【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直す等、全体として緩やかに回復しております。一方で、地政学リスクの高まりにより不安定な国際情勢が続いており、依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。
当社グループが属する情報サービス産業においては、グローバル化、消費者ニーズの多様化及び国内労働力人口の減少等ビジネス環境の急速な変化や不確実性への対応を目的に、企業・行政のDXに対する意欲が高まり、IT投資を後押しすることから、引き続き成長が予想されております。
当社グループは、「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る。」をミッションに、50年を超えて培ったテクノロジーにより、金融業・流通小売業をはじめとする多種多様な業種向けシステム開発・運用等及びデータ連携サービスを提供しております。前連結会計年度にリリースしたiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)である「HULFT Square」を基盤として、より一層の事業構造変革を推し進めるべく、当連結会計年度は戦略として「4つのシフト」(事業シフト・技術シフト・組織シフト・人材シフト)を実行しております。
このような中、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高は11,998百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は98百万円(同91.3%減)、経常利益は121百万円(同89.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は14百万円(前年同期は654百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
売上高は、企業・行政のDX投資意欲の高まりを受け、HULFT事業、データプラットフォーム事業及び流通ITサービス事業が拡大したこと等により、増収となりました。営業利益及び経常利益は、HULFT事業が順調に増益となった一方で、流通ITサービス事業において、受注損失引当金繰入額1,272百万円を売上原価に計上したこと等により、減益となりました。営業利益及び経常利益の減益に加えて、第1四半期連結会計期間におけるデータプラットフォーム事業の減損損失等により、親会社株主に帰属する四半期純損益は、損失となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
なお、「HULFT Square」について、前連結会計年度までは新サービスの研究開発であったため全社費用としておりましたが、2023年2月にリリースしたことに伴い、第1四半期連結会計期間より「データプラットフォーム事業」に区分しております。
① HULFT事業
HULFT事業は、国内データ連携ソフトウェアのスタンダードである当社の主力製品「HULFT」、「DataSpider Servista」及び関連製品群の販売・サポートサービスを提供しております。
売上高は、ライセンス販売の増加及びサポートサービスの更新が順調に推移したこと等により、4,914百万円(前年同期比6.6%増)となりました。2023年9月末現在におけるサポートサービス契約本数は、前年同期に比べて、「HULFT」は2,524本増加し61,188本、「DataSpider Servista」は511本増加し5,368本と順調に推移しております。営業利益は、売上高の増加等により、2,093百万円(同12.8%増)となりました。
② データプラットフォーム事業
データプラットフォーム事業は、当社の強みである「HULFT」「DataSpider Servista」「HULFT Square」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータとSaaSをつなぐことで、業務効率化、経営情報可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げる各種サービスを提供しております。
売上高は、DX領域が拡大したこと等により、1,325百万円(同25.0%増)となりました。一方で、サービスの立ち上げフェーズである「HULFT Square」の原価の計上等により、1,032百万円の営業損失(前年同期は373百万円の営業損失)となりました。
③ 流通ITサービス事業
流通ITサービス事業は、流通小売業・航空業向けシステム開発・運用等を提供しております。
売上高は、お客様のIT投資が回復してきたこと等により、1,463百万円(前年同期比11.2%増)となりました。一方で、開発を進めていた一部プロジェクトに高負荷が発生したことにより、この立て直しに必要な今後の開発コストとして、受注損失引当金繰入額1,272百万円を売上原価に計上しております。この結果、1,297百万円の営業損失(前年同期は65百万円の営業損失)となりました。
④ フィナンシャルITサービス事業
フィナンシャルITサービス事業は、金融業向けシステム開発・運用等を提供しております。
売上高は、既存領域における情報処理サービスの減少等により、4,295百万円(前年同期比9.9%減)となりました。営業利益は、売上高の減少等により、335百万円(同38.0%減)となりました。
(トピックス)
当社は、ミッション「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る。」を体現するため、2024年4月に「株式会社セゾンテクノロジー」へ商号変更します。なお、当第2四半期連結累計期間におけるトピックスは以下のとおりです。
・欧米向けにiPaaS「HULFT Square」を提供開始
前連結会計年度より国内でサービス提供を開始しているiPaaS「HULFT Square」を欧米市場においても提供開始することを決定しました。欧米市場におけるターゲットは、製造業におけるサプライチェーンマネジメントです。欧米における認知拡大のため、11月にアメリカのラスベガスで開催されるイベントに出展予定です。
・「Enterprise向け生成AI導入支援サービス」を提供開始
現在多くの企業において、生産性向上や新規アイデアの創出等に有効なツールとして生成AIの利用が検討されています。一方、生成AIの業務利用は、ルール整備やセキュリティ担保といった課題も多くあります。当社グループは、これら課題を解決し、生成AIをメッセージングアプリ経由で利用可能にする「Enterprise向け生成AI導入支援サービス」の提供を開始しました。
・長野県、データ連携基盤にHULFTシリーズを採用
長野県の洪水予測などの住民生活の向上を目指したデータ連携基盤に「DataSpider Servista」と「HULFT DataCatalog」を採用いただきました。
(TSR(株主総利回り))
当社グループは、目指す高収益企業にふさわしい株主還元を実現するためのベンチマーク目標として、TSRを経営指標の1つに設定しております。
当社グループの事業構造は、システム開発・運用と自社パッケージソフトウェア販売とがバランスしており、情報技術産業の中でも類似の事業構造を持つ企業が少ないと考えます。したがって、ベンチマークとするTSRは一定数の上場企業を含み、恣意性を排除した対象とするため、GICS(世界産業分類基準)における当社が属する産業グループ(4510:ソフトウェア・サービス)に同様に属する国内上場企業のTSRとしております。
評価期間は、2019年3月末を基準(100%)として評価をしており、その推移は次のとおりです。
2020年3月末
2021年3月末
2022年3月末
2023年3月末
2023年9月末
当社
119.2%
160.5%
149.6%
151.1%
164.3%
同業他社
平均
87.0%
135.6%
121.9%
124.4%
134.0%
なお、当社TSRは業界平均を上回って推移しております。これは、当社も含めたDXに関わる銘柄がコロナ禍を契機にTSRを押し上げたことに加えて、当社がかねてより進めている受託開発型からサービス提供型への事業シフトが資本市場に評価された結果だと推察されます。当社は引き続き資本市場との対話に努めてまいります。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末より1,488百万円増加し22,787百万円となりました。主な増加要因は、現金及び預金が同1,240百万円増加したこと、流動資産のその他に含めている前払費用が同171百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、減損損失の計上及び減価償却費等により有形及び無形固定資産が同218百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は同2,094百万円増加し、8,650百万円となりました。主な増加要因は、受注損失引当金が同1,134百万円増加したこと、前受金が同895百万円増加したこと、未払費用が同167百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、未払法人税等が同204百万円減少したこと等によるものであります。
純資産合計は同606百万円減少し、14,136百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより同728百万円減少したこと、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により同14百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より7.2ポイント減少し、62.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より1,240百万円増加し、14,439百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,977百万円(前年同期は1,855百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、受注損失引当金が1,134百万円増加したこと、前受金が891百万円増加したこと等であります。また、主な減少要因は、その他の資産が360百万円増加したこと、法人税等の支払額250百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は117百万円(前年同期は346百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、ソフトウェア開発やハードウェア購入等に120百万円を支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は731百万円(前年同期は731百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、配当金728百万円を支出したこと等によるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題につきましては、「1 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は91百万円であり、製品・サービスの研究開発によるものであります。
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