【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の段階的緩和等により個人消費に持ち直しの動きが見られる等、回復の兆候が見られます。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなり、またウクライナ情勢長期化による供給制限や急速な円安進行に伴う物価上昇等、先行きは依然不透明な状況にあります。
斯かる状況下、当社グループが属する情報サービス産業においては、IT投資の抑制や先送りの懸念がありつつも、DXを活用したビジネスモデル変革や事業領域拡大を優先度の高い経営課題として掲げる企業が増加していることから、引き続き成長が予想されております。
当社グループは、「カテゴリートップの具現!」をビジョンに、先端技術を駆使したデータ連携基盤サービス提供によって、お客様の意思決定や異分野連携を加速する「データエンジニアリングカンパニー」を目指しております。このため、2021年3月期から、HULFT製品及びクラウド技術を活用しファイル連携やデータ連携サービスをクラウド上で提供する次世代クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」の開発に着手し、2022年6月に先行ユーザー様向けリリースをいたしました。
このような中、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高は11,728百万円(前年同期比4.4%増)、営業利益は1,130百万円(同7.8%減)、経常利益は1,142百万円(同7.5%減)となりました。また、基幹システム導入計画の見直しにより特別損失が発生したため親会社株主に帰属する四半期純利益は654百万円(同31.7%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
なお、第1四半期連結会計期間からリンケージ事業を、データ連携領域を中心としたプラットフォームビジネスに拡大させることを目的に、データプラットフォーム事業へセグメントの名称を変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。前第2四半期連結累計期間との比較・分析は、変更後の名称により行っております。
① HULFT事業
HULFT事業は、国内データ連携ソフトウェアのスタンダードである当社の主力製品「HULFT」製品群及び「DataSpider」製品群の販売・サポートサービス等を提供しております。ファイル連携、データ連携の需要の高まりから、当第2四半期連結累計期間における出荷本数は、前連結会計年度末より「HULFT」が3,695本増加、「DataSpider」が242本増加となりました。また、2022年9月末現在のサポートサービス契約本数は、「HULFT」が58,664本、「DataSpider」が4,857本となりました。
売上高は、堅調なDX関連システム需要を受けて、「HULFT」「DataSpider」のライセンス販売、サブスクリプションサービス及びサポートサービス更新が順調に推移したこと等により、4,608百万円(前年同期比8.9%増)となりました。営業利益は、売上高の増加等により、1,854百万円(同32.2%増)となりました。
② データプラットフォーム事業
データプラットフォーム事業は、当社の強みである「HULFT」「DataSpider」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータと有力SaaSをつなぐことで、お客様業務の効率化、経営情報の可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げるサービスを展開しております。これらのサービスは、経営・業務のDX化を支援する「モダンマネジメントサービス」、DXプラットフォームを提供する「データ連携基盤構築サービス」、財務・経理のDX化を支援する「モダンファイナンスサービス」の3つのサービスを提供しております。
売上高は、モダンファイナンスサービス及びモダンマネジメントサービスの売上拡大等により、1,060百万円(同18.1%増)となりました。一方で、今後のDX案件需要増に対応する体制強化に伴う原価の増加等により、373百万円の営業損失(前年同期は129百万円の営業損失)となりました。
③ 流通ITサービス事業
流通ITサービス事業は、流通小売業のシステム開発等で培ったノウハウの活用によるパブリッククラウド環境への移行や、依然として残るアナログ業務のデジタル化による業務改善等、新しい技術を活用した新規サービスの提供をしております。
売上高は、当社の強みが活きるDX領域への選択と集中を図ったこと等により、1,315百万円(前年同期比15.0%減)となりました。営業利益は、売上高の減少等により、65百万円の営業損失(前年同期は92百万円の営業利益)となりました。
④ フィナンシャルITサービス事業
フィナンシャルITサービス事業は、クレジットカード会社向けシステム開発から運用に至る実績を強みとして、「HULFT Square」と連携した新規サービス開発やパブリッククラウド上へのインフラ環境構築等の新規サービス提供をしております。
売上高は、新規サービス提供が進展したこと等により、4,765百万円(前年同期比3.9%増)となりました。営業利益は、前年同期に利益率の高い案件があったことから対前年では減少し、540百万円(同16.7%減)となりました。
(重点施策)
当社グループは、既存事業の徹底した生産性向上によって収益性を高め、また新たな市場・顧客へ事業拡大することで、更なる事業成長を目指しております。具体的には、①DXデータ連携基盤ビジネスの全部門への展開 ②新規ビジネス創造のための競争戦略 ③アライアンス強化 ④「HULFT Square」リリースに伴う体制強化 ⑤人材戦略の5つの重点施策を実行しております。Topicsは以下のとおりです。
・「HULFT Square」先行ユーザー様へのサービス提供が進展
「HULFT Square」は、予定通り2022年6月に先行ユーザー様向けリリースを行い、本サービスへユーザー様のご意見を反映させ、利用品質向上やパフォーマンス改善、開発機能の一部見直しを進めております。先行ユーザー様へのサービス提供も順調に進んでおり、2022年度第4四半期に日本国内向けにリリースを行う予定です。更には、グローバル展開も見据えて取組んでおります。
・事業拡大
クラウド連携、ペーパーレス化、業務自動化等、お客様ニーズに対応したソリューション開発に向けて、パートナー企業様と当社製品・サービス群のコラボレーションを進めております。更には、「HULFT Square」等当社製品サービス群又はその開発技術の拡充を目的に、M&Aを含む企業間連携強化の検討を進めております。また、当社におけるサステナビリティ重要課題は人的資本拡充と考え、積極的な人材採用・育成に取組んでおります。人材採用は、当連結会計年度において100名の採用計画を立てており、当第2四半期連結累計期間においては、エンジニアを中心に国内で55名を新たに内定・採用いたしました。遠隔地勤務制度を導入する等、働き方の柔軟性を高めつつ働き甲斐のある環境づくりに努めており、更には、社員自らデータ探索・可視化・分析を可能にする社内システムの環境づくりを行うことで、DX人材育成を推進しております。
・データプラットフォーム事業(リンケージサービス)の拡大
データプラットフォーム事業において、民間企業や行政機関のDX推進のため、データ連携・活用の分析・構想立案といった上流工程を短期コンサルティングする「コンセプトデザインサービス」の提供を始めております。これは、データ連携のルールや標準化を早期に図ることで、効率的かつ高品質なデータ連携基盤の構築を実現するものです。
・「HULFT Multi Connect Service」サービスラインナップの拡充
フィナンシャルITサービス事業において、ISDNサービス終了を代替するため、インターネットでセキュアなファイル転送を実現する「HULFT Multi Connect Service」のライト版を新たにリリースいたしました。これにより、エンタープライズ版の基本機能はそのままに、利用規模を中小規模システムに最適化して利用しやすい価格帯までサービスラインナップを拡大いたしました。
(TSR(株主総利回り))
当社グループは、目指す高収益企業にふさわしい株主還元を実現するためのベンチマーク目標として、TSRを経営指標の1つに設定しております。
当社グループの事業構造は、システム開発・運用と自社パッケージソフトウェア販売とがバランスしており、情報技術産業の中でも類似の事業構造を持つ企業が少ないと考えます。
したがって、ベンチマークとするTSRは一定数の上場企業を含み、恣意性を排除した対象とするため、
GICS(世界産業分類基準)における当社が属する産業グループ(4510:ソフトウェア・サービス)に同様に属する国内上場企業のTSRとしております。
評価期間は、2018年3月末を基準(100%)として評価をしておりその推移は次のとおりとなっております。
2019年3月末
2020年3月末
2021年3月末
2022年3月末
2022年9月末
当社
83.36%
99.39%
133.84%
124.68%
116.87%
同業他社
平均
102.80%
92.01%
141.04%
127.19%
120.05%
なお、2021年3月末以降の当社TSRはベンチマークとしているTSRを下回っております。これはコロナ禍の働き方改革関連製品サービスやエンターテインメント系製品サービスを扱う銘柄が当社が属する産業グループの当該期間のTSRを押し上げていることが要因と推察されます。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末より779百万円増加し21,613百万円となりました。主な増加要因は、現金及び預金が同975百万円増加したこと、流動資産のその他に含めている前払費用が同179百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、減価償却や基幹システム導入計画の見直しに伴う減損等により有形及び無形固定資産が同279百万円減少したこと、受取手形、売掛金及び契約資産が同187百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は同637百万円増加し、6,723百万円となりました。主な増加要因は、前受金が同519百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、賞与支給により賞与引当金が同79百万円減少したこと等によるものであります。
純資産合計は同142百万円増加し、14,890百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより同728百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により同654百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より1.9ポイント減少し、68.9%となりました。
なお、当社は経営指標としてROE20%を設定しており、DOE(自己資本配当率)10%を目安としながら自己資本比率50%~75%を維持し、最適資本構成を目指しております。引き続き資本コストの重要性を認識し、高ROEを目指してまいります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より975百万円増加し、13,886百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,855百万円(前年同期は1,746百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前四半期純利益835百万円を計上したこと、前受金が515百万円増加したこと等であります。また、主な減少要因は、法人税等の支払により124百万円減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は346百万円(前年同期は700百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、ソフトウェア開発やハードウェア購入等に357百万円を支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は731百万円(前年同期は753百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、配当金729百万円を支出したこと等によるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は694百万円であり、主として、次世代クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」の研究開発によるものであります。
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