【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がみられるものの、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気は持ち直しが期待されます。一方で、ウクライナ情勢の長期化等による不透明感がみられるなかで、原油などのエネルギー資源や輸入原材料価格の上昇、円安傾向及び金融資本市場の変動、中国における感染動向等の影響もあり、今後の経済環境の見通しは不透明度が継続しております。個人消費については持ち直しの動きがみられるものの、物価の上昇により一部に足踏みがみられるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
宗教用具関連業界においては、核家族化や生活様式・価値観の変化による購入商品の小型化・簡素化、さらにはそれに伴う単価下落の傾向などが継続しております。さらに、原材料の枯渇と価格高騰もあり厳しい状況が続いております。加えて、コロナ禍の影響で安心・安全にお求めになりたいと思うお客様心理がはたらき、その結果ECで購入する方が増えていることから、販売方法の見直しが求められております。
このような環境のなか、当社は、2023年3月期から始まる中期経営計画を策定しており、新たな取り組みを始めました。中期経営計画では、「“売り切り型”からの脱却」と「手を合わせる機会の創造」というテーマで、これからはご供養の領域だけではなく、お客様の心豊かな生活(ピースフルライフ)を支援する企業として、お客様から最も信頼される企業に進化してまいります。「“売り切り型”からの脱却」のテーマのもと、お客様と永続的に関係性を保てるように2022年6月13日より新たな会員制度「ピースフルクラブ」を始めました。新しい会員制度では、スマホアプリを導入し、様々なコンテンツから、お客様にお役に立てる情報を提供して、お客様と永続的な関係を構築して、会員獲得を推し進めております。また、2022年10月からは法事を予定されているお客様に対する田ノ実の食ギフトの販売を全営業店で開始いたしました。
多様化するお客様のニーズに応えられるように商品開発も行なってまいります。仏壇仏具事業では、建築家 隈研吾氏がデザインを手掛けたお仏壇『薄院(はくいん)』を新たに開発し、2022年6月18日より販売を開始しております。さらに、環境にも人にも優しい日本初のFSCⓇ認証材を使用したお仏壇『然(ぜん)』を2022年10月1日より販売を開始しております。墓石事業でも、近年注目されている樹木葬の販売を2022年1月より東海地区で開始し、順調にお求めいただいております。引き続き同様の開発・販売を他地域でも行なってまいります。
販売促進活動では、当社の強みである知名度を活かした「しあわせ少女 ゆうかちゃん」を起用したTVCMや新聞折込チラシなどを展開いたしました。新聞折込チラシについては、全店共通ではなく、地域特性に合わせて紙面や配布時期を設定することで、お客様のニーズに応えられるように地域別の対応を行なってまいりました。また、秋彼岸の時期には、お仏壇やお墓に手を合わせて故人様を供養していく「お彼岸」という時期を想起させることを目的に新聞広告を行ないました。これまで当社はTVCMや折込チラシなど、4大メディアでのプロモーションが中心で、リスティング広告などのWEBでの販売促進は補完的な販売促進費用と位置づけて実施してまいりましたが、販売促進費用全体に占める各種販売促進施策の構成比を意図的に変更し、地域によってはWEBでの販売促進に集中するなどの活動を実験的に行なっております。今後は各種販売促進施策の業績への貢献度を検証しながら、最適な配分を見極めて、販売促進費用を投下してまいります。
今後もお客様の価値観や生活様式の変化が進む環境のなか、供養に関連する全ての事業分野において、新しい商品・サービスの開発及び商品構成の見直しに取り組んでまいります。
このように、各事業において施策を推進した当第3四半期累計期間の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
① 財政状態
当第3四半期会計期間末における資産合計は、需要が高い商品の品揃えを充実させたことなどにより商品が3億91百万円及び販売保証契約に基づく預託により販売保証金が3億91百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が4億42百万円及び墓石販売に伴う営業保証金の回収等により営業保証金が2億38百万円それぞれ減少したことなどにより、前事業年度末に比べて1億84百万円減少し、181億45百万円となりました。
当第3四半期会計期間末における負債合計は、借入の返済により長期借入金(1年内返済予定を含む)が10億37百万円減少したことなどにより、前事業年度末に比べて11億79百万円減少し、72億81百万円となりました。
当第3四半期会計期間末における純資産合計は、主に四半期純利益10億46百万円を計上し利益剰余金が9億22百万円増加したことなどにより、前事業年度末に比べて9億94百万円増加し、108億64百万円となりました。
当社は、自己資本比率を主要な経営指標の目標とし、財務体質の強化に取り組んでおります。
当第3四半期会計期間末においては、自己資本比率は59.9%(前事業年度末は53.8%)となりました。
② 経営成績
当第3四半期累計期間の売上高は163億63百万円となりました。
営業利益は15億37百万円、経常利益は15億77百万円となり、四半期純利益は10億46百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<仏壇仏具>
仏壇仏具については、東日本地区と西日本地区ともに、販売基数が増加したことにより、売上高は116億47百万円となりました。販売促進活動については、前期からの引き続きで、地域特性に合わせた新聞折込チラシを増加させたことと、来店される前にWEBで情報収集をされる方に向けたリスティング広告も積極的に行なってまいりました。それに加えて、2021年12月にリニューアルしたホームページの商品の掲載と商品説明を充実させたことと、前期より導入した来店予約システムを活用したことで、お客様に安心してご来店いただけるように努めてまいりました。2022年12月には、公式「LINE」アカウントを開設いたしました。「LINE」アカウントでは、当社がお買い得情報やお役立ち情報の送付など、お客様にとって手軽なコミュニケーションを図っていくことで、営業店やオンラインストアへ誘致し、初回購買いただくことを目指しております。
販売単価の向上については、2022年6月18日より販売開始した「薄院」や徳島銘木仏壇等の高単価商品、高級仏像・仏具の提案及び販売を推進してまいりました。
<墓石>
墓石については、仏壇同様に東日本地区・西日本地区ともに、販売基数が増加したことと販売単価が向上したことにより、売上高は35億28百万円となりました。墓石の販売促進活動についても、リスティング広告を積極的に行ないました。また、2022年4月から永代供養付墓所やペットと一緒に埋葬できる墓地など、様々なタイプの墓所から選べる霊園(埼玉県蓮田市)と2022年9月からお客様のニーズに対応できる多彩な永代供養墓がある霊園(東京都国立市)が、新規に販売開始されております。
<屋内墓苑>
屋内墓苑については、年末にむけて新聞折込チラシやDMに加えリスティング広告の販売促進活動を積極的に行なった結果、売上高は4億16百万円となりました。
今後も墓石販売とともに、ご遺骨供養において利便性や機能性を求められるお客様のニーズに応えられるよう事業を展開してまいります。
<飲食・食品・雑貨>
飲食・食品・雑貨については、売上高は69百万円となりました。
以前より実験導入していた法事ギフトを2022年10月より全営業店にて販売を開始しております。
<その他>
その他については、売上高は7億1百万円となりました。
なお、当社の報告セグメント別売上高は次のとおりであります。
(セグメント別売上高の構成比)
報告セグメント等
の名称
区分
当第3四半期
累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
金額
構成比
(百万円)
(%)
報告セグメント
仏壇仏具
・
墓石
東日本
仏壇仏具
9,264
56.6
墓石
2,909
17.8
計
12,173
74.4
西日本
仏壇仏具
2,382
14.6
墓石
619
3.8
計
3,002
18.4
計
仏壇仏具
11,647
71.2
墓石
3,528
21.6
計
15,176
92.8
屋内墓苑
416
2.5
飲食・食品・雑貨
69
0.4
その他
701
4.3
合計
16,363
100.0
(注)第1四半期累計期間より四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同期比較を行なっておりません。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積りについて、当該見積りに用いた仮定を含め重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次のとおりであります。
社会情勢の変化に伴う原材料や輸送費等の価格上昇と著しい円安の影響による商品の利益率の悪化に対しては、販売費及び一般管理費の費消予定を見直し、効率的な費消をすることで、当初計画した利益を確保できるように努めてまいります。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品仕入代金の支払資金のほか、人件費及び販売促進費等の販売費及び一般管理費であります。
投資を目的とした資金需要のうち主なものは、早期に収益を上げられる店舗モデルを展開するための新規出店、店舗移転、既存店舗の改装等に係る設備投資や、墓石販売に伴う建墓権取得のための営業保証金の差入れ及び屋内墓苑販売業務委託契約に伴う販売保証金の預託等によるものであります。
② 財政政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または銀行借入により資金調達することとしております。
このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金につきましては短期借入金により調達することとしており、設備投資、営業保証金(建墓権)及び販売保証金に係る資金につきましては長期借入金(原則として5年以内)により調達することとしております。
また、運転資金の効率的な調達を行なうため取引銀行5行と当座貸越契約(当座貸越極度額合計30億円)を締結しております。
なお、当第3四半期会計期間末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は34億95百万円、有利子負債依存度は19.3%となっております。