【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られる一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行、資源価格の上昇など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く繊維・アパレル業界におきましては、物価上昇による消費マインドの冷え込みが懸念される一方で、行動制限の緩和に伴い人流が回復し、市場環境は回復基調にて推移いたしました。このような状況の下、当社グループは、3ヶ年の中期経営計画「CHALLENGE NEXT 100」の2年目を終え、定量目標として掲げた連結経常利益25億円を達成、3つの基本戦略である「アジア市場」「DX推進」「全社戦略」を着実に推し進めております。最終年度の2024年3月期につきましても、引き続き3つの基本戦略を中心に、経営資源を有効活用し、企業価値向上、収益拡大に取り組んでまいります。
売上高及び売上総利益売上高は前連結会計年度に比べて2,552百万円(15.1%)増の19,466百万円となり、売上総利益は前連結会計年度に比べて1,469百万円(22.1%)増の8,116百万円となりました。
営業利益及び経常利益販売費及び一般管理費の合計額が前連結会計年度に比べて974百万円増加いたしましたが、営業利益は前連結会計年度より494百万円(28.4%)増の2,237百万円となり、経常利益は前連結会計年度に比べて562百万円(24.0%)増の2,912百万円となりました。
税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益前連結会計年度に特別利益として債務免除益など1,243百万円計上し、特別損失として商標権の減損損失など757百万円計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて38百万円(1.4%)増の2,875百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて68百万円(3.2%)増の2,206百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の49円19銭から2円74銭増加の51円93銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ファッション関連事業基幹ブランドである「DAKS」「LEONARD」を軸に、国内をはじめ、中国・香港・マカオ・台湾・韓国・タイなどのアジア市場において、ブランド価値向上を重視し、戦略的な店舗展開を推し進め、ブランドビジネスの拡大を図っております。また、当期にLEONARD FASHION SAS(以下、LEONARD社)の全株式を取得し、LEONARD社が当社グループの傘下に入ることにより、「LEONARD」の更なるブランドステータスの向上や事業展開の拡大を図ってまいります。国内事業は、「DAKS」「LEONARD」を百貨店などに販売する国内子会社では、プロパー販売を重視し、収益体質の強化策を推し進めております。市場環境が堅調に推移し、粗利率が向上したことにより、売上高は横ばいながら、増益となりました。海外事業は、「DAKS」「LEONARD」などを展開するアジア市場において、事業展開の拡大を推し進めております。香港・中国に積極的な出店を実施し、店舗増加による売上増に加え、為替によるプラス影響もあったことから、増収増益となりました。以上の結果、当事業全体の売上高は前期比16.2%増の8,696百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比40.9%増の2,015百万円となりました。
繊維関連事業製品OEM事業は、依然として厳しい市況が続き、受注競争が加速する中、スポーツ、アウトドア、イエナカ分野などへの取り組み強化を図り、増収となりましたが、円安や原材料価格などの製造コスト上昇により、減益となりました。以上の結果、当事業全体の売上高は前期比11.5%増の9,421百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比16.6%減の202百万円となりました。
不動産関連事業大阪の賃貸ビルをメインとして東京・横浜・神戸などの不動産に係る賃貸事業は、稼働率が安定的に推移し、内装工事事業も工事件数が増加したことにより、増収増益となりました。以上の結果、当事業全体の売上高は前期比25.7%増の2,183百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比12.0%増の649百万円となりました。
(注)上記のセグメント売上高には合計835百万円のセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績生産金額は僅少であるため記載を省略しております。
② 受注実績該当事項はありません。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
ファッション関連事業
8,696
16.2
繊維関連事業
9,421
11.5
不動産関連事業
2,183
25.7
調整額
△835
―
合計
19,466
15.1
(注) セグメント間の取引については、相殺消去前の数値であります。
(2) 財政状態① 流動資産流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,376百万円(6.5%)減少し、19,845百万円となりました。これは、現金及び預金が2,048百万円減少した一方で、売掛金が587百万円増加したことなどによるものであります。
② 固定資産固定資産は、前連結会計年度末に比べて3,691百万円(12.5%)増加し、33,153百万円となりました。これは、投資有価証券が1,636百万円増加、商標権が873百万円増加、使用権資産が594百万円増加したことなどによるものであります。
③ 流動負債流動負債は、前連結会計年度末に比べて521百万円(8.4%)増加し、6,694百万円となりました。これは、未払金が104百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が98百万円増加、未払費用が82百万円増加、リース債務が56百万円増加したことなどによるものであります。
④ 固定負債固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,309百万円(27.0%)増加し、6,153百万円となりました。これは、繰延税金負債が642百万円増加、リース債務が512百万円増加したことなどによるものであります。
⑤ 純資産純資産は、前連結会計年度末に比べて484百万円(1.2%)増加し、40,150百万円となりました。これは、利益剰余金が1,138百万円増加、その他有価証券評価差額金が991百万円増加した一方で、自己株式が1,849百万円増加したことなどによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,072百万円減少(前連結会計年度は693百万円の減少)し、当連結会計年度末には14,341百万円(前連結会計年度末における現金及び現金同等物は、16,414百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上額が2,875百万円、減価償却費の計上額が726百万円となった一方で、法人税等の支払額が532百万円、売上債権の増加額が240百万円あったことなどにより、2,770百万円の収入(前連結会計年度は2,389百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,108百万円、投資有価証券の取得による支出が200百万円、有形固定資産の取得による支出が134百万円あったことなどにより、1,524百万円の支出(前連結会計年度は457百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が1,849百万円、配当金の支払額が1,068百万円、リース債務の返済による支出が378百万円あったことなどにより、3,381百万円の支出(前連結会計年度は2,719百万円の支出)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。また、設備投資ならびに事業投資等の長期資金需要につきましては、自己資金はもとより、金融機関からの借入等、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討しております。
(5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上高経常利益率を重要な指標として位置づけており、当連結会計年度の売上高経常利益率は15.0%(前連結会計年度比1.1%増)となりました。引き続き、当該指標を重視して経営に取り組み、2024年3月期に連結売上高210億円、連結経常利益30億円を目指しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。当社グループは特に下記の会計方針が重要な見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 棚卸資産当社グループは、棚卸資産の評価基準に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。商品及び製品については、それぞれの販売可能性について推定される将来需要及び市場状況を踏まえて、販売見込額まで減額しています。当該商品及び製品に関する実際の販売価格が、販売見込額を下回った場合には追加の損失が発生する場合があります。
② 固定資産の減損当社グループは、有形固定資産、商標権等の固定資産を保有しております。有形固定資産及び商標権等のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損した当該金額を減損損失として計上することとなります。そのため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には減損損失が発生する可能性があります。