【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、一段と進む円安やインフレへの懸念、緊迫するウクライナ情勢など世界的にも国内的にも先行きが不透明な経済環境にあります。
一方で、新型コロナウイルスの状況が国内外で落ち着きを見せつつある中、人流の復活も予想され、経済活動におきましても、より活動的になる面も見込まれます。
世界人口の伸びも鈍化を見せる中で、世界、そして日本においても、多様性や包摂性などの価値観の醸成は一層に進むことと思われます。さらには、1996年から2015年にかけて生まれた世代を指すZ世代と呼ばれる幼少期から情報端末に触れているデジタル・ネイティブの社会的かつ経済的な存在感は今後ますます高まってくると思われます。また従来にない発想において、国際的にも競争力を持ちうる新たな日本発の技術、サービス、製品の出現も求められております。
このような時代背景のもと、あらゆる企業活動において、顧客との本質的な相互理解や顧客との信頼関係の構築について、より一層の変化や進化が見込まれております。折しも、欧州の個人情報保護規則(GDPR)に端を発する今後のインターネット上における個人情報保護強化の流れ、いわゆるポストクッキー(これまで広く利用できていたユーザーをWEB上で判別するための識別子を本人の同意なく使用不可とする)時代においては、従来活用できていた第三者のデータ(サードパーティデータ)や個人の行動履歴などの利用制限が進むことが予測されており、従来行なっていた顧客獲得、特に潜在顧客の発掘や関係性構築においては、大きな変化が起こりえます。
その変化の中では、企業や顧客との情緒的な結びつきもあらためて重要な要素の一つとなり、そのなかで、当社独自の企業と顧客の気持ちを繋ぐ感性メタデータ活用先、活用方法は広がってきております。
当社の既存の主力事業である感性メタデータを活用したエンターテイメント・テクノロジー分野に関しては、音楽・映像のインターネット配信の需要の広がりを受けて、堅調に推移する一方で、美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など日々の暮らしに関わる領域に、当社の事業機会が広がっております。具体的には、クッキーを使用しない新しいインターネット広告サービス、またあらゆる企業の自社保有のデータ(ファーストパーティデータ)の充実に向けた感性メタデータ生成サービスの開発と提供が進んでおります。これらの事業機会においては、従来の自然言語処理技術だけでは困難な曖昧な文脈(コンテキスト)を解釈する技術が極めて有効となります。そして、さらに重要なのは、当社技術は曖昧な文脈(コンテキスト)を解釈するだけではなく、さらにその文脈(コンテキスト)に接している人の感性や感情を推測することが可能とする点となります。
この独自データ技術により、これからの時代、ひとりひとりが、自分らしく生きる、社会と共に生きる、ありたいライフスタイルにこだわる、ウェルビーイングとも言われるそのようなニーズがさらに高まってまいります。このようなひとりひとりが自身の内面により深く向き合うこれからの時代ならではのマーケティング活動、コミュニケーション活動において、当社独自の感性・感情解釈のデータ技術は社会に役に立つことができます。ここが、当社事業の使命と存在意義となります。
そのうえで、中期的には、当社の既存主力事業であるエンターテイメント分野と新規事業である感性マーケティング分野を繋ぎ、日本全国の大企業から個人事業者や生産者と生活者とのコミュニケーション活動とエンターテイメントが持つ共感を増幅する力を掛け合わせ、気づきと共感を繋げる社会の実現に貢献してまいります。
当社の強みは、音楽、映像を中心としたエンターテイメント分野を通じて人間が持つ感性や感情を体系的、網羅的、詳細にデータベース化を行い、国内最大級の感性データベースであるメディアサービスデータベース(以下「MSDB」といいます)として自社開発、運用しているところにあります。またさらにそれら「感性メタデータ」を活用した感性AI、感情分析などの「感性テクノロジー」を開発し、人間の感性と感情に寄り添い「セレンディピティ=偶然の幸せな出会い」を生む独自のサービス開発技術にあります。
当社は、「データベース・サービスカンパニー」として、創業以来『人の想像力をつなぐ』ことをミッション に、コンテンツに紐づく情報をデータベース化したオリジナルのMSDBを開発し、主に通信会社およびインターネットサービス会社を対象に、データ提供、検索機能提供、レコメンド・パーソナライズ機能提供、データ分析などの多様なデータベース関連サービスの開発および提供を行っております。具体的には現在、「音楽データサービス」「映像データサービス」「感性ターゲティング広告サービス」の3事業を展開しております。
これらのサービスについては、ユーザーベースをもつパートナー企業への技術ライセンス提供として、
KDDI株式会社、株式会社レコチョクを通じた株式会社NTTドコモ、ヤフー株式会社、楽天グループ株式会社、LINE MUSIC株式会社、HJホールディングス株式会社(サービス名「Hulu」)、株式会社
サイバーエージェント(サービス名「ABEMA」)、資生堂ジャパン株式会社、株式会社集英社、株式会社
プレミアム・プラットフォーム・ジャパン(サービス名「Paravi」)、株式会社フジテレビジョン(サービス名「FOD」)などのサービスにて利用されております。
開発・運用型売上ではなく、技術ライセンス収入主体への事業モデルの転換に向けたデータ・テクノロジーライセンス事業に一段と主力事業がシフトする一方で、研究開発やデータ開発を引き続き、売上の25%を目処に積極的な投資を実行しております。それら事業活動の結果として、当第2四半期累計期間の経営成績は、売上高452,900千円(前年同期比109.0%)、営業損失55,736千円(前年同期は62,410千円の営業損失)、経常損失55,598千円(前年同期は62,028千円の経常損失)、四半期純損失40,590千円(前年同期は36,667千円の四半期純損失)となりました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期会計期間末における総資産は、1,014,660千円(前事業年度末比39,981千円減)となりました。流動資産につきましては920,572千円(同43,955千円減)となり、増減の主な要因としましては、現金及び預金の減少(同35,559千円減)並びに売掛金及び契約資産の減少(同13,513千円減)などがあったことによります。固定資産につきましては、自社サービス用のソフトウエア開発の進捗等により無形固定資産が増加したことで、94,088千円(同3,973千円増)となりました。
負債は、219,634千円(同19,628千円増)となりました。増減の主な要因としましては、前期から継続で行っている外注業務の見直しなどによる買掛金の減少(同3,267千円減)があった一方で、支給対象者増に対する賞与引当金の増加(同5,692千円増)などがあったことによります。
以上の結果、純資産は、795,025千円(同59,609千円減)となり、自己資本比率は、前事業年度末の76.7%から75.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は前事業年度末に比べ、35,559千円減少し、752,548千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、22,518千円(前年同期は44,685千円の獲得)となりました。主な収入要因としては、売上債権の減少13,513千円および減価償却費786千円の計上などであります。一方で主な支出要因としては、税引前四半期純損失39,445千円の計上、仕入債務の減少3,267千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、5,689千円(前年同期は19,958千円の獲得)となりました。主な支出要因としては、無形固定資産の取得による支出5,397千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7,351千円(前年同期比19千円増)となりました。支出要因としては、配当金の支払額7,351千円であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更及び新たに定めた経営方針・経営戦略等はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期累計期間における研究開発活動の金額は、64,598千円であります。
なお、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当第2四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者の問題意識と今後の方針について」に重要な変更はありません。
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