【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響も徐々に緩和され経済活動正常化への動きが活発であったものの、エネルギー料金を中心とした国内物価の上昇が続いており、また世界的な金融引き締めにより景気後退が懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明感が拭えないまま推移いたしました。
このような状況のなか、当社グループのデジタルトランスフォーメーション事業は、クライアントのデジタルプラットフォーム構築のハブとなるDXパートナーとして、高い技術知見によってクラウド、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など先端技術を活用し、クライアントのビジネスモデル変革や新たなサービス開発に最適なシステム像を描き、クライアントの企業価値の最大化に貢献してまいりました。当社グループを取り巻く環境としましては、昨年中から第1四半期連結会計期間にかけて国内で急速に円安が進んだことから、DX業界でも顧客の技術開発投資に緊縮の動きがみられました。また、当連結会計年度より人材確保を目的として給与水準を高めたこと、優秀な人材獲得を進めたため採用費が増加したことなどにより、利益面は前年同期の値を下回りました。採用面では、IT業界で人材不足が大きな課題となる中、おおむね採用計画どおり人材を確保できております。
その結果、当連結会計年度における経営成績については、売上高は2,190,968千円(前年同期比2.8%増)、営業利益は52,337千円(前年同期比85.2%減)、経常利益は52,784千円(前年同期比85.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は28,822千円(前年同期比88.0%減)となりました。
当社グループは、デジタルトランスフォーメーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業部門別の販売実績を示すと次のとおりです。なお、当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の販売実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
販売高(千円)
事業部門等の名称
前連結会計年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
デジタルマイグレーション事業部
1,239,773
1,279,110
データストラテジー事業部
506,681
457,873
インテリジェントオートメーション事業部
267,390
259,623
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社)
118,004
131,680
その他
-
62,681
合計
2,131,849
2,190,968
② 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,147,428千円となり、前連結会計年度末に比べ99,162千円減少いたしました。これは主に、前払費用が46,236千円、その他に含まれる未収還付法人税等が43,391千円、売掛金及び契約資産が29,551千円増加したものの、主としてオフィスの移転に係る費用の支払い等により現金及び預金が219,501千円減少したことによるものであります。固定資産は171,443千円となり、前連結会計年度末に比べ37,106千円増加いたしました。これは主に、投資その他の資産に含まれる敷金が15,725千円、繰延税金資産が14,977千円減少した一方、新オフィスの固定資産を購入したことにより有形固定資産が66,228千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,318,871千円となり、前連結会計年度末に比べ62,055千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は316,694千円となり、前連結会計年度末に比べ81,475千円減少いたしました。これは主に、未払金が57,516千円、契約負債が16,707千円増加した一方、未払法人税等が80,505千円、未払消費税等が37,181千円、1年内返済予定の長期借入金が19,895千円、資産除去債務が10,842千円減少したことによるものであります。固定負債は68,404千円となり、前連結会計年度末に比べ11,054千円減少いたしました。これは資産除去債務が16,389千円増加した一方、長期借入金が27,444千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は385,099千円となり、前連結会計年度末に比べ92,529千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は933,772千円となり、前連結会計年度末に比べ30,473千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を28,822千円計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ219,501千円減少し、786,378千円となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、113,240千円の支出となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を50,623千円計上したものの、法人税等の支払額による126,481千円の支出及び未払消費税等の36,960千円の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、60,342千円の支出となりました。これは主に、敷金の回収により15,785千円の収入があったものの、本社新オフィスの有形固定資産の取得により66,111千円支出したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、45,782千円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済により47,339千円を支出したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、デジタルトランスフォーメーション事業の単一セグメントであるため、受注及び販売の実績については、セグメント情報に代えて事業部門ごとに記載しております。
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
受注高(千円)
前連結会計年度比(%)
受注残高(千円)
前連結会計年度比(%)
デジタルマイグレーション事業部
1,259,583
104.8
118,417
85.8
データストラテジー事業部
442,643
89.8
39,596
72.2
インテリジェントオートメーション事業部
254,828
92.2
62,004
92.8
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社)
122,851
91.8
29,370
76.9
その他
62,681
-
-
-
合計
2,142,588
101.8
249,389
83.8
(注)1.事業部門間取引については、相殺消去しております。
2.当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の受注実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
販売高(千円)
前連結会計年度比(%)
デジタルマイグレーション事業部
1,279,110
103.2
データストラテジー事業部
457,873
90.4
インテリジェントオートメーション事業部
259,623
97.1
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社)
131,680
111.6
その他
62,681
-
合計
2,190,968
102.8
(注)1.事業部門間取引については、相殺消去しております。
2.当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の販売実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
トランス・コスモス株式会社
370,379
17.4
455,122
20.8
株式会社Joblab
251,087
11.8
321,403
14.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
(売上高)
当社グループでは、持続的な成長を通じた企業価値向上を目指しており、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけ、収益力の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度は、既存顧客からの継続的な案件受注があったものの、昨年中から第1四半期連結会計期間にかけて国内で急速に円安が進んだことから、DX業界でも顧客に技術開発投資に緊縮の動きがみられ、一部顧客からの売上高の減少につながりました。この結果、当連結会計年度における売上高は2,190,968千円(前期比2.8%増)となりました。当該売上高は、当連結会計年度における売上高目標である2,388,321千円を下回り、達成率91.7%での着地となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、競争力向上のための待遇改善などにより、1,603,238千円(前期比11.6%増)となり、売上総利益率は26.8%(前期は32.6%)となりました。
この結果、売上総利益は587,730千円(前期比15.5%減)となりました。
(営業利益)
当社グループは、強固な経営基盤及び高利益率体質を構築すべく、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、経営の効率化に努めております。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、コンサルティング事業拡大及び人事制度改善に注力すべく採用教育関連費が増加したことなどから、535,392千円(前期比56.4%増)となりました。
この結果、営業利益は52,337千円(前期比85.2%減)となり、営業利益率は2.4%(前期は16.5%)となりました。また、当該営業利益は、当連結会計年度における利益目標である94,713千円に対し、達成率55.3%での着地となりました。
(経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益は為替差益等の計上により1,475千円(前期比82.4%減)となりました。一方、営業外費用は支払利息等の計上により1,028千円(前期比41.1%減)となりました。
この結果、経常利益は52,784千円(前期比85.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益の計上はありませんでした。一方、本社移転に際し事務所移転費用を計上したことにより、特別損失は2,160千円(前期比86.7%減)となりました。また、法人税、住民税及び事業税を6,823千円、法人税等調整額を14,977千円計上しております。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28,822千円(前期比88.0%減)となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループでは、事業規模の拡大を進めるために、最先端IT技術の発掘や各種IT技術を活用した製品開発及びサービスの向上に取り組んでおります。これらの資金需要は、主として人件費や外注費であり、昨年の当社上場時の公募調達資金、手元資金及び営業キャッシュ・フローで補っておりますが、必要に応じて銀行借入れ等の有利子負債による調達を実施します。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成過程においては経営者による会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいておりますが、その性質上、将来においてこれらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることを見込んでおり、その結果回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減少又は増加し、この結果、税金費用が増減する可能性があります。
なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社はサービス提供及びアプリケーション提供の双方向からクライアント企業のデジタルトランスフォーメーションを支援することを経営方針として事業を展開しております。
引き続き、クラウド、IoTデバイスまで、幅広いシステムアーキテクチャにおけるシステム開発・実装経験を有するコンサルティングサービスを提供するほか、AIや自動言語処理、アナリティクスなどの各種IT技術をマイクロサービスと組み合わせた独自のアプリケーションの企画・開発に取り組んでまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最先端IT技術の発掘及び次世代商品開発による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。
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