【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年8月から2023年4月30日)における我が国経済は、ロシアのウクライナ侵攻や歴史的な円安、光熱費の高騰をはじめ物価の上昇など先を見通すことができない不安な社会情勢となりました。一方で、新型コロナ感染症による行動制限の緩和や全国旅行支援等の観光振興事業の後押しもあり、レジャー需要は回復してまいりました。また同時に、入国制限の緩和によりインバウンドによる国内観光も再開されました。
このような状況のもと、当社グループの第3四半期連結累計期間(2022年8月から2023年4月30日)における、ウィンターシーズン(2022年12月から2023年4月末まで)は、全国的に自然降雪が遅れたものの気温の低下が進んだため、継続投資してきた降雪機を稼働させることで安定的にオープンすることができました。なお、シーズン後半は3月の急激な気温上昇により融雪が急激に進んだこと等により、例年お客さまに春スキーを楽しんでいただく時期に滑走可能エリアの縮小を行わざるを得ない状況となり、前年に比べ早期にスキー場営業をクローズすることとなりました。
インバウンドは2020年3月のコロナ禍以降の入国制限により来場が見込めない状況でしたが、当ウィンターシーズンの来場者数は167千人と18-19シーズン(234千人)の71.3%まで回復しました。これらに加え、国内のスキー人口創出を目的とした中期的な取り組みとして、ファミリーでスキー場へ遊びに行きやすい環境づくりを行うため、小学生及び未就学児のお子様を対象としたシーズン券が無料となる「NSDキッズプログラム」を今シーズンも継続し、会員数は2万人と前シーズンの1万人から倍増し、当期のグループスキー場の同プログラム利用者数は58千人(前年同期比165.6%)となり、子どもの来場者数は集計可能な過去7年間で最高となりました。これらの結果、当ウィンターシーズン(2022年12月から2023年4月)の来場者数合計は1,512千人(前年同期比116.8%)となり、コロナ禍前の18-19シーズン(1,676千人)の90.2%まで回復してきております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は6,110,560千円(前年同期比25.1%増)となり、営業利益は1,450,109千円(前年同期は営業利益616,479千円)、経常利益は1,488,310千円(前年同期比124.1%増)、税金等調整前四半期純利益は1,507,955千円(前年同期比153.0%増)、また、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,170,275千円(前年同期比278.8%増)となりました。
ウィンターシーズン及びグリーンシーズンごとの営業実績は次のとおりです。
(1)ウィンターシーズン事業
スキー場別のオープン状況
エリア名
運営スキー場
2022年7月期
2023年7月期
前期対比
白馬エリア
HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場
11月26日
12月9日
13日遅い
HAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールド
12月17日
12月16日
1日早い
HAKUBA VALLEYつがいけマウンテンリゾート
12月1日
12月11日
10日遅い
HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパーク(*)
12月18日
12月24日
6日遅い
その他エリア
竜王スキーパーク
12月4日
12月9日
5日遅い
川場スキー場
12月4日
12月10日
6日遅い
めいほうスキー場
12月19日
12月16日
3日早い
菅平高原スノーリゾート
12月10日
12月10日
-
(*)HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパークは、当社子会社の(株)鹿島槍がスキー場の設備を藤和那須
リゾート(株)に賃貸し、(株)鹿島槍は索道事業の受託契約を結んでおります。
スキー場別来場者数 (単位:千人)
運営スキー場
2022年
4月末累計
2023年
4月末累計
前年同期比
HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場
243
313
128.8%
HAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールド
98
121
122.5%
HAKUBA VALLEYつがいけマウンテンリゾート
200
271
135.3%
HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパーク(*)
61
50
82.6%
竜王スキーパーク
156
209
133.9%
川場スキー場
163
148
90.7%
めいほうスキー場
190
186
97.9%
菅平高原スノーリゾート
180
211
117.4%
計
1,294
1,512
116.8%
(*)HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパークは、当社子会社の(株)鹿島槍がスキー場の設備を藤和那須
リゾート(株)に賃貸し、(株)鹿島槍は索道事業の受託契約を結んでおります。
その他の施設における来場者数 (単位:千人)
会社名
2022年
4月末累計
2023年
4月末累計
前年同期比
川場リゾート㈱
28
34
123.2%
めいほう高原開発㈱
3
3
78.5%
計
32
38
117.8%
インバウンド来場者数 (単位:千人)
会社名
2022年
4月末累計
2023年
4月末累計
前年同期比
HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場
11
87
750.0%
HAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールド
1
17
1119.9%
HAKUBA VALLEYつがいけマウンテンリゾート
8
56
665.8%
HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパーク(*)
-
-
-
白馬エリア計
21
161
743.5%
竜王スキーパーク他3スキー場
5
5
103.9%
計
27
167
616.1%
(*)HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパークは、当社子会社の(株)鹿島槍がスキー場の設備を藤和那須
リゾート(株)に賃貸し、(株)鹿島槍は索道事業の受託契約を結んでおります。
(注)1.スキー場の来場者数については、リフト券の販売数に基づいて記載しております。
2.菅平高原スノーリゾートの来場者数については、「TARO AREA・DAVOS AREA」の来場者数を表示しております。
3.その他の施設における来場者数は以下となります。
川場リゾート㈱:おにぎり店の来場者数(レジ通過者数)
めいほう高原開発㈱:おにぎり店の来場者数(レジ通過者数)
4.インバウンド来場者数については、外国語印字のリフト券の販売数等に基づいて記載しております。
(当第3四半期連結累計期間におけるウィンターシーズン事業の概況)
当社グループは新型コロナウイルス蔓延以降、インバウンドの入国が見込めない状況となったため、国内の来場者数増加に向けて、キッズや新たなチャネルであるノンスキーヤー向けの取り組みを重点的に行うとともに、当社グループのノウハウを積極的に活用し経営支援する「NSDアライアンス」やグループ外のスキー場の営業施策や設備調査等のコンサルティング業務を推進してまいりました。その一方、今シーズンは海外からの入国制限が緩和されたことでインバウンドの来場があり、国内、海外のお客様ともにゲレンデに賑わいが戻るシーズンとなり、8スキー場合計の来場者数は1,512千人となりました。
当社グループが主要な業績の指標としております売上単価は、グループスキー場全社的にリフト券の値上げを行ったことから前年から上昇し、また、付帯売上についても継続的に料飲メニューの改善や専用ラウンジなどが利用できるS-Classなどスキー場サービスの高付加価値化に努めていることから、新型コロナウイルスが本格的に蔓延する前の18-19シーズンを超える水準となりました。
それぞれのスキー場について、HAKUBA VALLEYエリアの当社リゾートでは、入国制限が緩和されたことにより、約16万人のインバウンドのお客様の来場がありました。国内来場者数も新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立ったことから、来場者の回復につながり、約75万人の来場者数となりました。
HAKUBA VALLEY八方尾根スキー場では、各種イベントを企画し、スノーリゾートでは初の試みとなるイベント競技型デジタルアート「LIMITS(リミッツ)」のエキシビションマッチを開催し、アルパインエリアではスキー・スノーボードの国際大会である、Freeride World Tourが開催されました。また、2月の週末には、毎週土曜日に20時から標高1200mから10分間花火を打ち上げ、HAKUBA VALLEYエリアに滞在されるお客様に楽しんでいただける初の試みとなりました。
HAKUBAVALLEY白馬岩岳スノーフィールドでは、観光目的での来場者数が約1.4万人、ペットの来場数も約1,200頭までになりました。同時にスキー場の整備にも力を入れ、定期的な地形コースの整備や、新たなアクティビティや各種イベントの開催など、魅力あるゲレンデづくりに注力した結果、過去10年で最高の約12万人のお客様を迎えることができました。
HAKUBA VALLEYつがいけマウンテンリゾートでは初級者から上級者まで誰もが楽しめるオールジャンル対応のフルスペックスノーパークTG PARKSを整備し、多くのお客様にパークライドを楽しんでいただきました。
首都圏から日帰り圏内にある川場スキー場については、非圧雪のパウダー専用コースの設定、地形を生かしたコース造りなど、今ウィンターシーズンもゲレンデに変化や改良を継続してまいりました。中部大都市圏から日帰り圏内にあるめいほうスキー場では、シーズン券の内容を充実させ固定ファンを増やすとともに、飛騨高山からの直通シャトルバスの運行を再開し、インバウンドの誘致を積極的に行いました。
(2)グリーンシーズン事業
索道を稼働した施設における来場者数 (単位:千人)
施設名
2022年
4月末累計
2023年
4月末累計
前年同期比
HAKUBA VALLEY国際山岳リゾート白馬八方尾根
46
62
133.0%
HAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾート
92
130
140.1%
HAKUBA VALLEYつがいけマウンテンリゾート
36
46
127.3%
竜王マウンテンパーク
34
39
113.9%
計
210
278
132.0%
その他の施設における来場者数 (単位:千人)
会社名
2022年
4月末累計
2023年
4月末累計
前年同期比
㈱鹿島槍
1
1
65.9%
川場リゾート㈱
37
74
195.3%
めいほう高原開発㈱
23
22
95.0%
計
63
97
154.5%
(注)1.索道を稼働した施設における来場者数については、主にリフト券の販売数に基づいて記載しております。
2.その他の施設における来場者数は以下の合計となります。
㈱鹿島槍:鹿島槍スポーツヴィレッジの来場者数
川場リゾート㈱:スケートボードパーク施設の来場者数、HANETTAの来場者数、おにぎり店の来場者数(レジ通過者数)
めいほう高原開発㈱:キャンプ施設、ASOBOTの来場者数、おにぎり店の来場者数(レジ通過者数)
(当第3四半期連結累計期間におけるグリーンシーズン事業の概況)
当社グループはグリーンシーズンにおいて、大自然の眺望を望む展望テラスの建設、大型遊具施設の導入、キャンプフィールドの展開など、地域の特性を活かした商品開発を継続し、一年を通じた営業体制を整えることで、ウィンターシーズンに業績が偏重する季節変動リスクを分散するとともに、コロナ禍で高まるアウトドア需要にも対応しております。
当社グループの当第3四半期連結累計期間(グリーンシーズン)の状況は、新型コロナウイルス第5波が8月にかけてピークに達したことや、繁忙期となるお盆期間は連続して雨天となったことから8月の来場者数は前年を下回りました。しかしながら、9月中旬以降は新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向となり、マイカー利用等の一般顧客だけでなく、バスツアー等団体旅行も徐々に再開され、10月から11月にかけてのグループ全施設の来場者数はGo Toトラベルの効果があった前年を上回り、観光需要の回復傾向が鮮明となりました。
各施設の取り組みとして、HAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾートでは山頂の人気スポット「HAKUBAMOUNTAIN HARBOR」の営業を行うとともに、山の上からハンドル操作とブレーキで山を駆け降りる「マウンテンカート」の新規導入や4月28日にグランドオープンした標高 1,100mの展望エリア「白馬ヒトトキノモリ」、同展望エリア内に表参道に店舗を構える人気のミルクティー専門店「CHAVATY」のFC店舗を招致するなどお客様が快適な環境で滞在できるよう新たな取り組みを継続しました。
川場リゾート㈱は、同社がおにぎり店を展開している道の駅川場田園プラザ内に、大人も子どもも楽しむことができる空と風のネットアスレチック「HANETTA(ハネッタ)」を設置し、グリーンシーズンの新たな事業を開始いたしました。
また、㈱鹿島槍、めいほう高原開発㈱及び竜王マウンテンパークにおいても、コロナ禍でニーズの高まるキャンプ等のアウトドア事業を展開しました。めいほう高原開発㈱では今シーズンもキャンプエリアを拡張するとともに、昨年新設したジップラインやバギーパークなどのアクティビティも複合的に展開し、前年を上回る来場者数となりました。竜王マウンテンパークでは新たに絶景グランピング施設「ソラグランピングリゾート」をオープンし、滞在中ロープウェイ乗り放題となる特典や、ペットと一緒にグランピングを楽しめるプライベートドックラン付きサイトなどをご提供し、シーズンを通して8割を超える稼働率となり、ロープウェイの利用者数が新型コロナウイルス感染症の影響により減少するなか、業績に貢献しました。
(第4四半期連結会計期間以降の取組み)
これまで当社グループはウィンターシーズンの取り組みとして、暖冬小雪の中でも営業期間を確保するための降雪機投資、差別化戦略として、利便性向上のための自動ゲートシステムの導入やサイドカントリーコース等非圧雪エリアの展開、また、日本のパウダースノーを求めるインバウンドに対する取り組み等を継続してまいりました。当社グループは新型コロナウイルスの世界的な蔓延以降、海外からの入国制限によりインバウンドが見込まれず、また、少子高齢化によりマーケット規模が縮小する状況にあるため、国内の来場者数増加に向けて、キッズや新たなチャネルであるノンスキーヤー向けの取り組みを重点的に行い、スノーリゾートに来場されるお客様数の長期的な拡大を図る取り組みを行ってまいりました。具体的には、「NSDキッズプログラム」によるキッズ会員の獲得や、HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパークでの「冬のテーマパーク化」によるノンスキーヤーの来場者数の増加など一定の成果が出始めており、引き続きプログラム内容の充実や、ノンスキーヤーの来場者の増加に係る取り組みの成功事例をグループ横展開し、今後減少が見込まれる国内マーケットに対応してまいります。(HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場ファミリーパークは当社子会社の(株)鹿島槍がスキー場の設備を藤和那須リゾート(株)に賃貸し、(株)鹿島槍は索道事業の受託契約を結んでおります)
また、インバウンドについては、入国緩和が進む中、物価の内外価格差も広がっております。そのため、インバウンドに好評なエリア共通券をはじめとしたリフト券や、ハード・ソフト面の高付加価値化に積極的に取り組むとともに、エリアの不足する宿泊施設についても地域と連携し、継続して課題解決に取り組んでまいります。
その他、断続的な暖冬小雪や新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに、多数の国内スキー場の経営環境が厳しくなる中、当社グループへの支援要請が増加しております。そのため、当社グループのノウハウを積極的に活用し経営支援する「NSDアライアンス」を展開し、昨シーズンよりみやぎ蔵王えぼしリゾート及びオグナほたかスキー場がアライアンスに加入し、これらのスキー場においては来場者数の増加や客単価向上、コストの適正化等、アライアンスの効果が見られております。これらの他、今シーズンよりびわ湖バレイ及び石打丸山スキー場が「NSDキッズプログラム」に参加し、同プログラムの対象スキー場が10カ所まで増加しました。また、来シーズンからは丸沼高原スキー場も同プログラムに参加いただくこととなり、今後も参加スキー場を拡大させ、大自然の雪山で非日常体験を楽しみ、ウィンタースポーツに参加するお子様を増やしていく予定であります。引き続き当社グループの強みを活かした営業支援やコンサルティングを他スキー場に対しても進め、スノー業界の活性化に努めてまいります。
安全への取り組みについても重点を置いて進めております。お客様の安全な輸送のため、計画に基づき索道設備や降雪機器のメンテナンスや更新・新規導入を順次進めております。また、労働災害の撲滅と快適な職場環境の形成を図るため、グループ内の人材交流による技術や営業ノウハウの共有のほか、グループ共通の労働安全衛生システムを導入し、安全目標の設定や安全な作業手順等を共通ルールのもと運用しております。なお、同システムの運用については、適正な運用と安全基準を担保するため、定期的なシステム監査及びグループ安全会議等を実施し、更なる安全性の向上に向けて連携を強化してまいります。
その他、当社グループのHAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾートにおいては、2024年12月に索道施設(ゴンドラリフト)のリニューアルを行うことを決定しております。当社グループのスキーリゾートは気候変動やニーズ、マーケットの変化等様々な外部環境を踏まえ、今後も将来に向けて、索道施設を含めたスキーリゾートの最適なリニューアルプランを策定し、地域の協力とともに実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。
②財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比べて1,423,881千円増加し、8,619,239千円となりました。主な要因は、現金及び預金が665,833千円増加、有形固定資産が673,621千円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末と比べて337,762千円増加し、2,468,966千円となりました。主な要因は、未払法人税等が132,074千円増加、短期借入金が100,000千円増加、未払消費税等が84,028千円増加したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べて1,086,119千円増加し、6,150,272千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が1,064,127千円増加したこと等によるものです。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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