【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結累計期間の末日現在において判断したものであります。(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により、経済活動・社会活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調がみられました。一方で、長期化しているロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高騰や、円安の長期化による物価上昇により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。 このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸とした諸施策を引き続き進めてまいりました。 これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、20,844百万円(前年同期比19.3%増)となりました。利益面では、営業利益は876百万円(前年同期は138百万円の営業損失)、経常利益は882百万円(前年同期は112百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は797百万円(前年同期は144百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 販売実績
セグメントの名称
アイテム
当第1四半期連結累計期間(自 令和5年1月1日
至 令和5年3月31日)(百万円)
前年同期比(%)
酒類
和酒部門
焼酎
8,158
102.0
チューハイ
3,951
137.8
清酒
883
112.4
合成清酒
418
115.4
販売用アルコール
3,566
162.8
みりん
104
73.8
17,082
119.1
洋酒部門
1,080
115.4
その他の部門
145
103.9
18,308
118.7
加工用澱粉
1,341
142.8
酵素医薬品
921
91.9
不動産
252
265.8
その他
20
119.7
合 計
20,844
119.3
<酒類事業>酒類事業におきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、全カテゴリーに及ぶ販売価格の改定(値上げ)により需要の縮小が一段と進み、競争が益々激化しております。一方で、飲用シーン別においては、行動制限の緩和により業務用市場に回復の兆しが表れております。また、物価上昇による節約志向の高まりから、家庭用市場におきましては、PB商品が引き続き好調に推移、加えて、チューハイの素やハイボールに最適なウイスキーなどが伸張しております。このようなニーズの変化に対応した販売活動を推進した結果、売上高は18,308百万円(前年同期比18.7%増)となりました。また、利益面につきましては、価格改定を推し進めたことにより、全カテゴリーにおいて利益率が改善し、485百万円の営業利益(前年同期は301百万円の営業損失)となりました。 和酒部門のうち焼酎につきましては、令和4年度以降、当期までに、甲類焼酎で平均4%、乙類焼酎並びに甲乙混和焼酎で平均6%の価格改定を実施しております。また、甲類焼酎の「ビッグマン」シリーズやしそ焼酎「鍛高譚」、PB商品等が好調に推移したため、売上高は増加いたしました。同カテゴリーでは、昨年、発売30周年を迎えたしそ焼酎「鍛高譚」の公式Twitterアカウントによる各種キャンペーンをはじめとした、SNSマーケティングを強化するなど、さらなるファン層の獲得を目指した施策を実施しております。 チューハイなどのRTD分野につきましては、レトロな雰囲気や懐かしい味わいを楽しめる「昔懐かしい」シリーズや、ローカルな飲食店やメーカーにスポットを当てた「ご当地」シリーズ、PB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。なお、同カテゴリーは令和4年度に平均9%の価格改定を実施しております。また、「ご当地」シリーズより、昨年11月に一部地域で先行発売した「浅草パンチ ハチブドーパンチ」が全国発売となるなど、ラインアップ強化を図っております。 清酒につきましては、市場の低迷が続いておりますが、業務用商品やPB商品等が好調に推移し、売上高は増加いたしました。なお、同カテゴリーは、令和4年度に平均7%の価格改定を実施しております。 販売用アルコールにつきましては、酒類原料用アルコール及び工業用アルコールが好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーについては、概ね四半期毎に各取引先と価格改定を行い、原料価格高騰分の価格転嫁を進めております。 洋酒部門につきましては、炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができる、RTSの「酎ハイ専科」シリーズに「酎ハイ専科 贅沢グレフルサワーの素」を追加し、ラインアップを強化したことや、ハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」などが国内外で伸張したことにより、売上高は増加いたしました。なお、同カテゴリーは、令和4年度に平均7%の価格改定を実施しております。
<加工用澱粉事業>加工用澱粉事業につきましては、一昨年から続く原料であるコーン価格の大幅な高騰に対応すべく、販売価格の改定を推し進めたことにより、売上高は1,341百万円(前年同期比42.8%増)となりました。しかしながら、原価上昇分を補うには未だ足りず、6百万円の営業損失(前年同期は68百万円の営業損失)となりました。
<酵素医薬品事業>酵素医薬品事業につきましては、国内における発酵受託ビジネスが好調に推移したものの、酵素部門における海外での販売が減少したため、売上高は921百万円(前年同期比8.1%減)となりました。しかしながら、原価の低減及び製品構成の影響により、営業利益は265百万円(前年同期比54.4%増)となりました。
<不動産事業>不動産事業につきましては、銀座の旧本社ビル跡地に、三菱地所グループの株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツが運営するホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」が昨年11月にオープンしたことなどにより、売上高は252百万円(前年同期比165.8%増)、営業利益は130百万円(前年同期比146.2%増)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末の総資産につきましては、53,797百万円となり、棚卸資産は増加したものの、売上債権が減少したため、前連結会計年度末と比較して1,713百万円の減少となりました。 負債につきましては、33,668百万円となり、短期借入金が増加したものの、未払酒税や未払金が減少したため、前連結会計年度末と比較して2,238百万円の減少となりました。 純資産につきましては、20,129百万円となり、前連結会計年度末と比較して525百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 株式会社の支配に関する基本方針当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者とは、当社グループの財務、事業の内容及び当社の企業価値を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保、向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。当社株式について大規模な買付けがなされる場合であっても、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、被買収会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社としては、そのような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、そのような者による大規模な買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。
② 基本方針の実現に資する取組みア.企業価値の最大化に向けた経営戦略当社は、企業理念の下、酒類や酵素医薬品の分野において、普遍概念「顧客志向」「収益志向」を両軸として、「将来価値の共創」に向けた取組みを実行してまいりました。また、当社は、「長期ビジョン100」を策定し、当社グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に向けた取組みを進めております。「長期ビジョン100」は、企業理念に基づくグループの使命・将来像を描いた7つの指針と、これを実現するにあたっての最重要課題である5本の柱で構成されております。
<7つの指針>① 顧客重視の経営② 収益重視の経営③ 株主重視の経営④ グループ全体最適化⑤ 経営監督機能の強化⑥ 強固な財務体質の確立⑦ 社会的良識を意識した経営<5本の柱>① 焼酎事業に集中② アルコール事業販売の拡大③ 生産改革④ 酵素医薬品事業の新展開⑤ CRE戦略
当社は、かかる「長期ビジョン100」を着実に実行していくことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に繋がるものと考えております。イ.コーポレート・ガバナンスに関する取組み当社は、「長期ビジョン100」において経営監督機能の強化を指針の一つとして掲げ、独立社外取締役の監督機能を活かしたコーポレート・ガバナンス体制の強化を進めております。 コーポレート・ガバナンスの具体的な内容につきましては、当社ウェブサイト(www.oenon.jp/)をご参照ください。ウ.不適切な支配防止のための取組み当社は、当社を取り巻く経営環境等の変化、金融商品取引法による大量買付行為に関する規制の整備の浸透状況などを鑑み、大規模買付ルールの取り扱いについて慎重に検討を重ねた結果、平成28年3月23日の第109回定時株主総会終結の時をもって、大規模買付ルールを継続しない(廃止する)こととさせていただきました。なお、当社は、本大規模買付ルールの有無に関わらず、今後とも中長期的な企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上にグループをあげて取り組んでまいります。また、当社は本大規模買付ルール終了後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。 ③ 基本方針の実現に資する取組みについての当社取締役の判断及びその判断に係る理由上記②基本方針の実現に資する取組みは、いずれも、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上を目的とするものであります。その結果として、当社の企業価値及び株主の共同の利益を著しく損なう大量買付者が現れる危険性を低減するものとなり、上記①株式会社の支配に関する基本方針に沿うものであると考えます。また、当該取組みは、当社の企業価値を向上させるものであることから、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えます。
(4) 研究開発活動 当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は94百万円であります。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。