【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当企業集団の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当企業集団の当連結会計年度の業績につきましては、産業関連部門のシステム構築が減少したほか、金融関連部門のシステム運用管理及び公共関連部門・産業関連部門のシステム機器販売が減少したことなどにより、売上高は、前年同期比1,206百万円(4.9%)減の23,588百万円となりました。
一方、損益面につきましては、減収影響があったものの、不採算案件の発生抑制や生産性の向上、個々の案件収支の改善などにより売上総利益率が改善したことを主因として、営業利益は993百万円と前年同期比173百万円(21.2%)の増益、経常利益も1,038百万円と前年同期比160百万円(18.2%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益も748百万円と前年同期比146百万円(24.4%)の増益となりました。なお、特別利益として、第2四半期に固定資産売却益38百万円を計上しております。
連結のセグメント別売上高は、次のとおりであります。
①
金融関連部門SMBCグループ向けのBPO業務量減少などによりシステム運用管理が減少したことに加え、SMBCグループ向け以外のシステム構築案件も減少したことから、売上高は6,485百万円と前年同期比546百万円(7.8%)の減収となりました。
②
公共関連部門前年にあった兵庫県下自治体の庁舎移転に伴う大口システム機器販売の反動減があったものの、公団体向けのシステム開発案件の増加などがあったことから、売上高は6,987百万円と前年同期比189百万円(2.8%)の増収となりました。
③
産業関連部門前年にあったERPソリューションをはじめとする大口システム開発案件、大手ベンダー向け基盤案件の減少などを主因としてシステム構築が減少しました。加えて、前年にあった大口システム機器販売案件の減少を主因としてシステム機器販売も減少したことから、売上高は10,115百万円と前年同期比849百万円(7.7%)の減収となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、前期に計上した大口売上債権を回収したことによる現金及び預金の増加等を主因として、総資産が前期比520百万円増加し、22,808百万円となりました。また、純資産につきましても、利益剰余金の増加等を主因として、前期比492百万円増加し、17,833百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比0.4%上昇し、78.2%となっております。
(2)
キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末比1,024百万円増加し、8,428百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比1,931百万円増加し、1,743百万円のプラスとなりました。資金が増加した主な要因は、前期末の大口売上債権の回収により大幅に当期資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比360百万円増加し、201百万円のマイナスとなりました。資金減少の主な要因は、固定資産の取得による支出によるものであります。なお、前年同期比で資金が増加した主な要因は、有形固定資産の売却による収入に加え、無形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比51百万円増加し、518百万円のマイナスとなりました。資金減少の主な要因は、リース債務の返済及び配当金の支払いによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
生産高(百万円)
前年同期比(%)
金融関連部門
システム構築
5,536
101.3
システム運用管理
854
69.4
その他の情報サービス
130
73.8
小計
6,520
94.9
公共関連部門
システム構築
3,272
113.8
システム運用管理
1,917
110.0
その他の情報サービス
804
91.5
小計
5,994
109.0
産業関連部門
システム構築
5,410
96.2
システム運用管理
2,071
101.6
その他の情報サービス
1,043
87.8
小計
8,525
96.3
合計
21,041
99.1
(注) システム構築の生産高については、当連結会計年度の販売実績高に仕掛増減額の販売高相当額を加味し、算出しております。なお、それ以外につきましては、販売高を記載しております。
b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
金融関連部門
システム構築
5,213
96.3
1,737
87.4
小計
5,213
96.3
1,737
87.4
公共関連部門
システム構築
3,233
109.1
951
94.4
小計
3,233
109.1
951
94.4
産業関連部門
システム構築
5,244
101.9
1,008
90.0
小計
5,244
101.9
1,008
90.0
合計
13,691
101.2
3,698
89.8
(注) システム構築以外の業務については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり把握することが困難なため、システム構築についてのみ記載しております。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
販売高(百万円)
前年同期比(%)
金融関連部門
システム構築
5,463
97.9
システム運用管理
854
69.4
その他の情報サービス
130
73.8
システム機器販売
37
83.9
小計
6,485
92.2
公共関連部門
システム構築
3,289
114.3
システム運用管理
1,917
110.0
その他の情報サービス
804
91.5
システム機器販売
975
75.2
小計
6,987
102.8
産業関連部門
システム構築
5,357
90.8
システム運用管理
2,071
101.6
その他の情報サービス
1,043
87.8
システム機器販売
1,643
89.6
小計
10,115
92.3
合計
23,588
95.1
(注) 1 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
富士通㈱
4,459
18.0
4,098
17.4
㈱三井住友銀行
2,221
9.0
2,189
9.3
なお、上記の販売実績以外に、㈱三井住友銀行の情報システム部門で行っているシステム関連機能については、㈱日本総合研究所を通じて取引しており、同社、同社子会社の㈱日本総研情報サービスへの販売実績は、次のとおりであります。
㈱日本総合研究所
1,793
7.2
1,817
7.7
㈱日本総研情報サービス
138
0.6
127
0.5
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当企業集団の当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社の経営課題は収益力の向上と考えており、外部環境の変化に影響を受けない収益体質への転換を図っております。具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを基本方針として、重点的に取り組む5項目を確実に進めてまいります。当企業集団の経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当企業集団の当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、本社ビルの設備更改等による支出を主因とする投資活動による資金減少や、リース債務の返済及び配当金の増配に伴う支払額の増加により財務活動における資金減少を見込む一方、期末に増加した売上債権の回収による資金増加を主因とし、営業活動による資金増加を見込むため、翌連結会計年度末の資金は当連結会計年度末に比べて増加する見込みであります。なお、設備投資の所要資金については、主に自己資金を充当し、必要に応じてリースを利用する予定であります。 セグメントごとの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメントごとの課題・対策については、次のとおりであります。
①
金融関連部門SMBCグループの情報化投資は堅調に推移しております。このため、引き続きSMBCグループ取引に最注力し、既存案件に対する取組方法の見直しを進め、品質と生産性の向上を両立させて利益率の向上を図ってまいります。また、これまで得意としてきた情報系システム等の業務領域を拡大させるとともに、システム基盤の構築案件への取組みを強化してまいります。
②
公共関連部門自治体との直接取引は、既存顧客における基幹システムの更改案件が一巡していることに加え、大きな制度改正等も予定されていないため、自治体周辺業務や文教向け自社ソリューションの競争力強化を図ってまいります。また、2025年に集中することが想定される自治体基幹システムの標準化やガバメントクラウドに対する準備に注力するとともに、その後を見据えた商品戦略策定に着手いたします。
③
産業関連部門一般民需分野における情報化投資は、デジタル化・オンライン化など新たな生活様式への対応やDX関連投資等の需要が強まることが見込まれることから、商品・サービスの一層の拡充を図り、ニーズに的確に対応してまいります。また、クラウドやリモートワークの進展による通信量や処理量の増加を背景に、より高度なサービス提供等によるデジタル基盤ビジネスの拡大を図るほか、情報セキュリティに関するサービスの拡充にも注力いたします。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
受注損失引当金当企業集団は、ソフトウェアの請負契約に基づく開発案件のうち、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについては、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額に対して、受注損失引当金を計上しております。開発案件の総原価の見積りに当たっては、お客さまからの要求事項をもとに、見積範囲、システム規模、リスク等を踏まえ、システム開発原価基準に基づき工数、原価を算出し、見積原価額を決定しておりますが、仕様の変更や作業内容に想定外の不具合が生じた等の事象が発生した場合に、総原価の金額に影響を与える可能性があります。このため、一定規模以上の開発案件については、事業部に加え、社内において品質・生産性の全般を管理している品質管理部による「見積検討会」を開催し、見積審査を行うとともに、取締役社長等本部役員をはじめプロジェクト担当部署及びその他の所管部署を構成メンバーとした「システム案件協議会」において案件毎の受託可否の判断のほか進捗状況の確認を行う体制としております。加えて受注損失引当金を計上する案件については決算期毎に品質管理部にて引当金額の妥当性を検証しております。
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