【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
※当第1四半期連結会計期間から、セグメントを変更しています。
また、前年同期との比較数値については、前年同期の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。
なお、「調整後営業損益」は、営業損益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用等)を控除し、買収会社の全社への貢献を明確化した利益指標です。また、「親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益」は、親会社所有者に帰属する四半期損益から営業損益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した利益指標です。
(1)財政状態および経営成績の状況
世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抑制による改善が続いているものの、欧米を中心とした物価の高止まりと金融引き締め政策等により、改善ペースは緩やかなものとなりました。日本経済は、個人消費や設備投資等の国内需要中心に緩やかな改善となりました。
このような事業環境のもと、当第1四半期連結累計期間の売上収益は、7,065億円と前年同期に比べ469億円(7.1%)増加しました。これは、ITサービス事業および社会インフラ事業で増収となったことによるものです。
収益面につきましては、営業損益は、前年同期に比べ72億円改善し、81億円の損失となりました。これは、売上収益の増加などによるものです。また、調整後営業損益は、前年同期に比べ74億円改善し、5億円の利益となりました。
税引前四半期損益は、営業損益が改善したことなどにより、前年同期に比べ42億円改善し、25億円の損失となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期損益は、税引前四半期損益が改善したことなどにより、前年同期に比べ65億円改善し、74億円の損失となりました。また、親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益は、前年同期に比べ68億円改善し、14億円の損失となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。なお、セグメント別の売上収益については、外部顧客への売上収益を記載しています。
a.ITサービス事業
ITサービス事業の売上収益は、国内の企業向け、官公庁向けが好調に推移したことなどにより、前年同期に比べ305億円(8.6%)増加し、3,858億円となりました。
調整後営業損益は、売上の増加に加え、システム構築領域の収益性向上などにより、前年同期に比べ171億円増加し、178億円の利益となりました。
b.社会インフラ事業
社会インフラ事業の売上収益は、海洋システムやOSS/BSS(Operation Support System/ Business Support System)など海外事業が増加したことなどにより、前年同期に比べ176億円(8.9%)増加し、2,150億円となりました。
調整後営業損益は、売上が増加したことなどにより、前年同期に比べ31億円改善し、21億円の損失となりました。
c.その他
その他の売上収益は、前年同期に比べ12億円(1.2%)減少し、1,057億円となりました。
調整後営業損益は、前年同期に比べ26億円減少し、3億円の利益となりました。
財政状態につきましては、当第1四半期連結会計期間末の総資産は、4兆161億円と前年度末に比べ320億円増加しました。流動資産は、現金及び現金同等物や棚卸資産などの増加があったものの、売上債権の回収などにより、前年度末に比べ603億円減少し、1兆9,356億円となりました。非流動資産は、為替変動に伴うのれんの増加などにより、前年度末に比べ923億円増加し、2兆805億円となりました。
負債は、2兆554億円と前年度末に比べ159億円減少しました。これは、契約負債やリース負債などが増加したものの、資材費の支払等により営業債務及びその他の債務が減少したことや賞与の支払い等により未払費用が減少したことなどによるものです。有利子負債残高は、前年度末に比べ180億円増加の6,265億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.38倍(前年度末比0.01ポイント悪化)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前年度末に比べ402億円減少の1,488億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.09倍(前年度末比0.03ポイント改善)となりました。
資本は、配当金の支払があったものの、在外営業活動体の換算差額の増加に伴うその他の資本の構成要素の増加があったことなどにより、前年度末に比べ479億円増加し、1兆9,606億円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する持分は1兆6,668億円となり、親会社所有者帰属持分比率は41.5%(前年度末比0.7ポイント改善)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、864億円の収入で、運転資金の増加などにより、前年同期に比べ210億円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、131億円の支出で、前年同期に比べ31億円の減少となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、733億円の収入となり、前年同期に比べ241億円の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社において償還オプション付優先株式の発行による収入があったものの、リース負債の返済による支出や、社債の償還による支出などにより、264億円の支出となりました。
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響は、113億円の増加となりました。
上記の結果、現金及び現金同等物は、4,777億円となり、前年度末に比べ582億円増加しました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、NECグループが定めた経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、NECグループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループの主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。
・インフラ施設管理全般のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた取り組みの一環として、橋梁やダムなどの大規模建造物の3Dデータと過去の点検画像を組み合わせてデジタル空間に当該建造物の実寸大の3Dモデルを構築し、損傷の位置やサイズの変化を検知するとともに、損傷の進行程度を数値化し、時系列変化の傾向から将来の経時変化を予測できる技術を開発(ITサービス)
・高純度半導体型のカーボンナノチューブ(CNT)により形成した薄膜の抵抗値が、常温付近において温度変化に敏感に反応するという特性を活かし、小型で安価な非冷却型でありながら、従来の非冷却型に比べて3倍以上の感度で、より細かく温度差を判別し精細に画像化できる赤外線イメージセンサを開発(社会インフラ)
(注)本赤外線イメージセンサは、2018年に開発した技術を用いて抽出した高純度半導体型のCNT膜を赤外線の検出部に適用したものであり、本成果の一部は、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究によるものです。
・量子コンピューティング技術の社会実装を加速するため、ノイズに強いという特長を有する超伝導パラメトロン素子を活用し、高速・高精度な演算ができる時間をより長く保持できる8量子ビット量子アニーリングマシンを開発(その他)
(注)本マシンは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業として、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で開発したものです。
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループ全体の研究開発費は、28,751百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
ITサービス事業
9,870百万円
社会インフラ事業
14,507百万円
その他
4,374百万円