【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
※第1四半期連結会計期間から、セグメントを変更しています。
また、前年同期との比較数値については、前年同期の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。
なお、「調整後営業損益」は、営業損益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用等)を控除し、買収会社の全社への貢献を明確化した、本源的な事業の業績を測る利益指標です。また、「親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益」は、親会社所有者に帰属する四半期損益から営業損益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した、親会社所有者に帰属する本源的な事業の業績を測る利益指標です。
(1)財政状態および経営成績の状況
世界経済は、ウクライナ情勢の悪化等による世界的なインフレ圧力の高まりや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う中国の行動制限強化等の影響によりやや減速しました。日本経済は、行動制限緩和により個人消費を中心に改善したものの、エネルギー価格の上昇や部材不足による供給制約、急速な為替変動等により改善ペースは緩やかなものとなりました。
このような事業環境のもと、当第2四半期連結累計期間の売上収益は、1兆4,554億円と前年同期に比べ726億円(5.2%)増加しました。これは、グローバル事業や社会基盤事業などが増収となったことによるものです。
収益面につきましては、営業損益は、前年同期に比べ93億円悪化し、139億円の利益となりました。これは、社会基盤事業やエンタープライズ事業などが改善したものの、ネットワークサービス事業で海外5Gの戦略的受注案件での一過性の費用計上、5G関連投資が当年度は上期に偏重していることに伴う一時的な費用増加等により悪化したことなどによるものです。また、調整後営業損益は、前年同期に比べ109億円悪化し、312億円の利益となりました。
税引前四半期損益は、営業損益が悪化したことなどにより、前年同期に比べ16億円悪化し、241億円の利益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期損益は、税引前四半期損益が悪化したことなどにより、前年同期に比べ94億円悪化し、40億円の利益となりました。また、親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益は、前年同期に比べ103億円悪化し、157億円の利益となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。なお、セグメント別の売上収益については、外部顧客への売上収益を記載しています。
a.社会公共事業
社会公共事業の売上収益は、メディア向けや消防・防災向けが減少したことなどにより、前年同期に比べ95億円(4.9%)減少し、1,838億円となりました。
調整後営業損益は、売上が減少したことなどにより、前年同期に比べ13億円悪化し、59億円の利益となりました。
b.社会基盤事業
社会基盤事業の売上収益は、航空宇宙・防衛向けや連結子会社の売上が増加したことなどにより、前年同期に比べ196億円(7.3%)増加し、2,889億円となりました。
調整後営業損益は、売上の増加に加え、不採算案件の抑制などにより、前年同期に比べ49億円改善し、220億円の利益となりました。
c.エンタープライズ事業
エンタープライズ事業の売上収益は、製造業向けや流通・サービス業向けが増加したことなどにより、前年同期に比べ67億円(2.4%)増加し、2,888億円となりました。
調整後営業損益は、売上が増加したことなどにより、前年同期に比べ41億円改善し、263億円の利益となりました。
d.ネットワークサービス事業
ネットワークサービス事業の売上収益は、通信事業者の設備投資が低調に推移したことなどにより、前年同期に比べ59億円(2.6%)減少し、2,196億円となりました。
調整後営業損益は、海外5Gの戦略的受注案件での一過性の費用計上、5G関連投資が当年度は上期に偏重していることに伴う一時的な費用の増加、連結子会社の減益などにより、前年同期に比べ217億円悪化し、133億円の損失となりました。
e.グローバル事業
グローバル事業の売上収益は、デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンスの増加に加え、サービスプロバイダ向けが増加したことなどにより、前年同期に比べ330億円(14.0%)増加し、2,682億円となりました。
調整後営業損益は、デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンスでの一時的な費用の増加に加え、ワイヤレスバックホールでの部材費の高騰に伴う原価率悪化などにより、前年同期に比べ7億円悪化し、117億円の利益となりました。
f.その他
その他の売上収益は、前年同期に比べ288億円(16.2%)増加し、2,060億円となりました。
調整後営業損益は、前年同期に比べ56億円改善し、32億円の利益となりました。
財政状態につきましては、当第2四半期連結会計期間末の総資産は、3兆8,580億円と前年度末に比べ963億円増加しました。流動資産は、売上債権の回収があったものの、棚卸資産の増加などにより、前年度末に比べ433億円増加し、1兆8,800億円となりました。非流動資産は、為替変動に伴うのれんの増加などにより、前年度末に比べ530億円増加し、1兆9,780億円となりました。
負債は、2兆148億円と前年度末に比べ397億円増加しました。これは、資材費の支払等による営業債務及びその他の債務の減少などがあったものの、社債の発行等による社債及び借入金の増加などによるものです。有利子負債残高は、前年度末に比べ720億円増加の6,694億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.43倍(前年度末比0.04ポイント悪化)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前年度末に比べ661億円増加の2,327億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.15倍(前年度末比0.04ポイント悪化)となりました。
資本は、配当金の支払や自己株式の取得があったものの、在外営業活動体の換算差額の増加に伴うその他の資本の構成要素の増加があったことなどにより、前年度末に比べ566億円増加し、1兆8,432億円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する持分は1兆5,578億円となり、親会社所有者帰属持分比率は40.4%(前年度末比0.1ポイント改善)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、92億円の支出で、運転資本の悪化などにより、前年同期に比べ298億円の悪化となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、271億円の支出で、有形固定資産の売却による収入が減少したことなどにより、前年同期に比べ76億円の悪化となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、363億円の支出となり、前年同期に比べ374億円の悪化となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出や、長期借入金の返済による支出などがあったものの、社債の発行による収入や、短期借入金の増加などにより、242億円の収入となりました。
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響は、円安進行などにより、180億円の増加となりました。
上記の結果、現金及び現金同等物は、4,367億円となり、前年度末に比べ59億円増加しました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、NECグループが定めた経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、NECグループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるNECグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第2四半期連結累計期間におけるNECグループの主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。
・人工知能(AI)技術を活用した建設現場・工場における安全・安心な作業環境の実現に貢献するため、AIが学習するデータに曖昧な情報を活用できる「弱ラベル学習」技術を発展させ、曖昧な情報に起因する学習の不安定さを克服することで、AIを活用した画像認識・対象物の検知を行う際に必要となる学習データの作成作業を大幅に簡素化できる技術を開発(その他)
(注)本技術は、国立研究開発法人理化学研究所と共同で開発したものです。
・AIの世界的な開発競争が激化する中で当社の競争優位性を維持・強化し、顧客やパートナーとの共創により先進的な社会価値を創出していくため、最新のハイエンドGPUサーバと先進的なソフトウェア群を密に結合する独自の構築技術を活用することで、高性能かつ利便性の高いAI研究用スーパーコンピュータを開発し、一部システムの利用を開始(その他)
(注)2023年3月までに本システムの構築を完了させ、AI研究用スーパーコンピュータとしては国内企業で最大規模の計算能力を有するシステムとなる予定です。
・インフラ施設管理のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた取り組みの一環として、衛星レーダによるリモートセンシングで得られた変位データと橋の構造や気温の変化を学習させたAIを用いて橋の状態を遠隔から解析し、従来発見が困難であった橋の「異常なたわみ」をミリ単位の精度で検知することで、橋の崩落につながる重大損傷を早期に発見することができる技術を開発(社会基盤事業)
当第2四半期連結累計期間におけるNECグループ全体の研究開発費は、59,337百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
社会公共事業
4,805百万円
社会基盤事業
4,750百万円
エンタープライズ事業
5,829百万円
ネットワークサービス事業
18,998百万円
グローバル事業
10,793百万円
その他
14,162百万円