【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ情勢をめぐる地政学的リスクの長期化や、資源・エネルギー価格の高騰の他、中国経済では内需が弱含む等、総じて先行き不透明な状況で推移いたしました。国内においては行動制限緩和による経済活動の本格的な回復から、雇用や消費の改善が進む一方で、原材料や各種消費財の価格上昇によるインフレの加速や円安進行から、全般的に景気回復ペースは緩やかな状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く業界では、自動車関連では半導体部品等の不足緩和により完成車メーカーの生産は回復が進み、また円安効果もあり収益性が改善した一方で、電子部品・半導体関連ではEV車関連や生成AI向けデータセンター需要は旺盛なものの、スマートフォン・タブレット端末の世界的な需要低迷の影響が大きく、これに伴う半導体製造装置関連需要の減速、及び素材・部材価格の上昇等により総じて厳しい状況で推移いたしました。
このような経済環境のもと、当社グループの売上高においてはアルミ圧延品、アルミ原料の取扱い、及び自動車用精密金属プレス部品、非破壊・マーキング関連の消耗材料及び装置の出荷が前年同期に比べて増加した他、前連結会計年度に連結子会社化した製造子会社による車載電池向け小型精密プレス部品の収益が当第2四半期連結累計期間業績に貢献いたしました。一方、電子部品向け伸銅品、銅スクラップ等の取扱い、及び半導体実装装置向け精密研削加工部品、めっき材料等の出荷が低調であったことから売上高は前年同期に比べ減少いたしました。損益面においてはエネルギー価格や原材料価格の高騰による仕入コストの上昇や、グループ全体での人的資本の増加もあり、これにより税金費用を控除した結果、段階利益は前年同期に比べ減少いたしました。
当第2四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。
前第2四半期連結
累計期間
(百万円)
当第2四半期連結
累計期間
(百万円)
前年同期比増減額
(百万円)
前年同期比増減率
(%)
売上高
92,214
83,757
△8,456
△9.2
営業利益
5,682
3,005
△2,676
△47.1
経常利益
6,105
3,033
△3,071
△50.3
親会社株主に帰属する
四半期純利益
4,141
1,916
△2,224
△53.7
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は次のとおりであります。また、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
前第2四半期連結累計期間
(百万円)
当第2四半期連結累計期間
(百万円)
前年同期比
増減額
(百万円)
前年同期比
増減率
(%)
商社流通
-電子機能材
売上高
24,733
15,793
△8,939
△36.1
セグメント利益
2,569
1,175
△1,393
△54.2
商社流通
-アルミ銅
売上高
34,641
34,003
△638
△1.8
セグメント利益
1,147
151
△995
△86.8
製造
-装置材料
売上高
20,864
20,290
△573
△2.7
セグメント利益
1,021
260
△761
△74.5
製造
-金属加工
売上高
14,034
15,786
1,751
12.5
セグメント利益
1,401
1,442
40
2.9
・商社流通-電子機能材事業
電子機能材においては、自動車生産の回復により、車載用電池やめっき用途のニッケルが好調に推移し、取扱量は前年同期に比べ増加いたしましたが、相場下落等により売上高は前年同期に比べ減少しました。PC及びスマートフォン等のデジタル機器に搭載される二次電池用材料に関しては、取扱量・売上高は共に前年同期比では増加したものの、本格的な回復には至っておりません。また、レアメタル・レアアースは、自動車関連向けで一部のレアメタル関連の取扱いは増加しましたが、中国経済の低迷等もあり、取扱量・売上高は共に前年同期比で減少いたしました。
・商社流通-アルミ銅事業
製品分野においては、チタン展伸材の欧州向け輸出取引が円安効果もあり伸長し、アルミ圧延品も自動車関連需要の回復により、取扱いが前年同期比で増加しました。一方で、伸銅品はIT関連や家電分野等、多くの顧客で需要が低迷し、取扱量・売上高は共に前年同期比で減少いたしました。原料分野においては、自動車生産の回復によりアルミ原料の取扱いが前年同期に比べ増加した一方で、銅スクラップは需要減少による各顧客での生産調整や操業低下の他、市況下落等によりスクラップの流通量が低下し、売上高・セグメント利益は共に前年同期比で減少しました。
・製造-装置材料事業
材料分野においては、めっき材料は円安効果による収益貢献はあったものの、取扱量は半導体需要低迷や中国経済の減速により前年同期比で減少いたしました。他方、自動車生産の回復により、自動車金型補修用材料やブレーキ用カシュー樹脂製品の売上高が前年同期比で増加しました。装置分野においては、自動車や製鉄関連向け非破壊・マーキング関連での装置及び消耗品の出荷は前年同期比で増加しましたが、原料価格高騰による仕入コストの転嫁が途上にあり、この結果、セグメント利益では前年同期比で減少しました。
・製造-金属加工事業
精密切削加工部品は好調を維持していた半導体製造装置向けの出荷が当第2四半期連結累計期間においては若干弱含みましたが航空機関連等の出荷が前年同期に比べ増加いたしました。半導体実装装置向けの精密研削加工部品はスマートフォン等の民生品需要の本格回復が遅れており、出荷は低調に推移しました。一方、精密金属プレス部品は自動車関連需要の回復により、出荷が前年同期に比べ増加した他、車載用リチウムイオン電池用の小型精密金属プレス部品が当セグメントの収益に貢献いたしました。なお、端子コネクタ用精密プレス部品はスマートフォン需要の回復が遅れ、当初の計画値を下回りました。
・財政状態に関する説明
①財政状態
a.流動資産
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は148,561百万円であり、前連結会計年度末比4,348百万円の増加となりました。主な内訳は、現金及び預金の増加3,372百万円、受取手形及び売掛金の増加1,217百万円、及び棚卸資産の減少138百万円であります。
b.固定資産
当第2四半期連結会計期間末における固定資産は49,512百万円であり、前連結会計年度末比1,834百万円の増加となりました。主な内訳は、投資その他の資産の増加1,621百万円、有形固定資産の増加522百万円、及び無形固定資産の減少309百万円であります。
c.流動負債
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は101,284百万円であり、前連結会計年度末比935百万円の増加となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金の増加4,198百万円、未払法人税等の増加162百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加228百万円、及び短期借入金の減少3,163百万円であります。
d.固定負債
当第2四半期連結会計期間末における固定負債は29,169百万円であり、前連結会計年度末比674百万円の増加となりました。主な内訳は長期借入金の増加254百万円であります。
e.純資産
当第2四半期連結会計期間末における純資産は67,620百万円であり、前連結会計年度末比4,573百万円の増加となりました。主な内訳は利益剰余金の増加1,069百万円、為替換算調整勘定の増加1,940百万円、繰延ヘッジ損益の増加24百万円、及びその他有価証券評価差額金の増加1,435百万円であります。
②経営成績
a.売上高
売上高は、世界的な金利上昇やエネルギー・原材料価格高止まりによるインフレ、中国経済の減速、国内における円安の進行による物価上昇等、当社グループを取り巻く事業環境は前連結会計年度から引続き不透明感が深まっております。取扱品及び製品別でみると、商社流通では車載向けニッケル製品、アルミ圧延品及びアルミ原料の取扱いが前年同期に比べ増加いたしましたが、電子部品・半導体関連需要の減速により電子材料向け伸銅品、銅スクラップ等の取扱いが前年同期に比べ減少いたしました。
製造では自動車生産の回復により精密金属プレス部品の出荷が前年同期に比べ増加した他、リチウムイオン電池向け小型精密プレス部品が収益に寄与する一方で、半導体製造装置向け精密切削加工部品の出荷は電子部品・半導体関連需要の減速により前年同期に比べ若干弱含み、また、半導体実装装置向け精密研削加工部品はスマートフォン向け需要の減速の影響を受けた他、めっき材料は中国経済の低迷等の影響もあり出荷は共に前年同期に比べて減少いたしました。
この結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は83,757百万円(前年同期比9.2%減少)となりました。
b.売上総利益
グループ全体での減収に加え原材料価格の高騰による仕入れコストの上昇により、当第2四半期連結累計期間における売上総利益は11,408百万円(前年同期比15.6%減少)となりました。
c.販売費及び一般管理費
前連結会計年度に連結子会社化した製造子会社の損益取込み、及びグループ全体における人的資本の増加等から、当第2四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は8,402百万円(前年同期比7.3%増加)となりました。
d.営業利益
上記の結果、当第2四半期連結累計期間における営業利益は3,005百万円(前年同期比47.1%減少)となりました。
e.営業外収益、営業外費用
受取配当金がある一方で、支払利息の増加や為替差損等により、当第2四半期連結累計期間における営業外収支(営業外収益-営業外費用)は27百万円の収入超となりました(前年同期は422百万円の収入超)。
f.経常利益
上記の結果、当第2四半期連結累計期間における経常利益は3,033百万円(前年同期比50.3%減少)となりました。
g.特別利益、特別損失
投資有価証券売却益等による特別利益331百万円を計上する一方、固定資産除却損等の特別損失18百万円を計上いたしました。
h.親会社株主に帰属する四半期純利益
税金等調整前四半期純利益3,346百万円から、法人税等1,395百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益35百万円を差引き、当第2四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は1,916百万円(前年同期比53.7%減少)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は28,660百万円(前年同四半期連結累計期間は20,921百万円)となり、前連結会計年度に比べ2,845百万円増加いたしました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な変動要因は次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは8,410百万円の増加(前年同四半期は375百万円の増加)となりました。主な増加要因は税金等調整前四半期純利益3,346百万円、のれんを含む減価償却費2,318百万円、仕入債務の増加3,132百万円、棚卸資産の減少1,008百万円、及び売上債権の減少236百万円であります。一方、主な減少要因は、法人税等の支払額1,820百万円であります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,621百万円の減少(前年同四半期は2,681百万円の減少)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入952百万円であります。一方、主な減少要因は設備投資等に伴う有形・無形固定資産取得による支出1,868百万円、及び投資有価証券の取得による支出343百万円であります。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,520百万円の減少(前年同四半期は3,925百万円の減少)となりました。主な増加要因は、長期借入金の純増加額407百万円であります。一方、主な減少要因は、短期借入金の純減少額3,914百万円、及び配当金の支払額844百万円であります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について特記すべき事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通しについて重要な変更はありません。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営者の問題認識と今後の方針について重要な変更はありません。