【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における国内外の経済情勢は、中国経済の減速やウクライナ情勢の長期化の他、エネルギー・資源価格の高騰、急激な円安並びに金利上昇等により物価上昇が進行し、総じて先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取巻く業界では、幅広い用途で需要が拡大してきた半導体・電子部品が第2四半期連結累計期間以降、世界的なインフレからくるユーザーの購買力低下によりスマートフォンをはじめとした民生機器の販売が減速し、これに伴い一部の半導体製造装置に受注調整が生じる等、需要は低調に推移いたしました。また自動車関連は、当第3四半期連結会計期間に入り部品調達不足の改善や完成車メーカーによる増産が計画され需要に持ち直しがみられたものの、台風等自然災害の影響や断続的なサプライチェーンの混乱等により国内生産が落ち込み、本格的な回復基調には至りませんでした。
このような経済環境のもと、当社グループの売上高においては半導体製造装置向け金属加工部品、めっき材料等の出荷、及び電子部品、半導体材料向けニッケル製品、アルミ圧延品等の取扱高が前年同期に比べ増加いたしましたが、国内自動車生産の低迷の影響を受けた精密金属プレス部品、関連材料の出荷は前年同期に比べ減少いたしました。損益面においては、円安による仕入価格の上昇や連結子会社の新規取込に伴う販売費及び一般管理費の増加等により営業利益及び経常利益は前年同期比で減益となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益は、製造子会社の株式取得に伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したものの税金費用を控除した結果、前年同期比で減益となりました。
当第3四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。
前第3四半期
連結累計期間
(百万円)
当第3四半期
連結累計期間
(百万円)
前年同期比増減額
(百万円)
前年同期比増減率
(%)
売上高
114,176
135,712
21,535
18.9
営業利益
8,430
7,255
△1,174
△13.9
経常利益
8,805
7,650
△1,155
△13.1
親会社株主に帰属する四半期純利益
6,537
5,092
△1,445
△22.1
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は次のとおりであります。また、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
前第3四半期
連結累計期間
(百万円)
当第3四半期
連結累計期間
(百万円)
前年同期比
増減額
(百万円)
前年同期比
増減率
(%)
商社流通
-電子機能材
売上高
26,363
35,317
8,954
34.0
セグメント利益
3,183
3,374
190
6.0
商社流通
-アルミ銅
売上高
45,497
49,803
4,306
9.5
セグメント利益
1,631
1,301
△330
△20.2
製造
-装置材料
売上高
26,761
31,559
4,797
17.9
セグメント利益
1,233
1,106
△126
△10.3
製造
-金属加工
売上高
20,753
21,478
724
3.5
セグメント利益
2,754
1,883
△870
△31.6
・商社流通-電子機能材事業
電子部品向け部材及び半導体材料向けニッケル製品は幅広い用途での需要増を受けて取扱高は堅調に推移いたしましたが、二次電池材料は、中国経済及びスマートフォン関連需要の減速の影響により前年同期に比べ取扱高が減少いたしました。一方、レアメタル・レアアースは、自動車関連の低調な生産の影響により取扱数量は伸び悩みましたが、市況の上昇等もあり売上及び利益は前年同期に比べ増加いたしました。
・商社流通-アルミ銅事業
製品分野においては、堅調な国内建設需要を背景にアルミ圧延品及び銅管等伸銅品の取扱いが前年同期に比べ増加いたしましたが、IT関連需要の減速により電子部品向け伸銅品の取扱いは前年同期に比べ減少いたしました。原料分野においては、低調な自動車生産の影響により銅・アルミスクラップ及びアルミ再生塊の取扱数量は共に前年同期に比べ減少いたしましたが、非鉄市況の上昇及び円安の影響によりアルミ再生塊の取扱高は前年同期に比べ増加いたしました。
・製造-装置材料事業
材料分野においては、米国及び中国の両拠点におけるめっき材料の需要拡大と市況上昇により出荷が前年同期に比べ増加いたしました。装置分野においては探傷剤及びペイント等消耗材料の出荷が国内外で堅調でありましたが、自動車を中心とした部品の調達不足による顧客の操業低下等の影響により非破壊検査及びマーキング双方における装置需要が落ち込み、出荷が前年同期に比べ減少いたしました。
・製造-金属加工事業
半導体製造装置のうちプロセス用処理装置の出荷・販売は高水準に推移しており、また工作機械は生産現場の自動化、EVを含む脱炭素関連の設備投資が好調なことから、これら需要に対応した精密金属加工部品の出荷が堅調に推移いたしました。また、半導体実装装置向け精密研削加工部品の出荷は、スマートフォン向け需要の減速の影響を受けて低調でありました。一方、精密金属プレス部品は顧客からの引合は強い一方で国内外での自動車生産が低調であったことから、出荷は前年同期に比べ減少いたしました。
・財政状態に関する説明
①財政状態
a.流動資産
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は150,993百万円であり、前連結会計年度末比15,873百万円の増加となりました。主な内訳は、現金及び預金の増加7,610百万円、受取手形及び売掛金の増加5,195百万円、及び棚卸資産の増加3,376百万円であります。
b.固定資産
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は47,140百万円であり、前連結会計年度末比5,822百万円の増加となりました。主な内訳は、ジュピター工業株式会社及びその海外子会社、並びに株式会社ソーデナガノの連結取込と製造子会社による設備投資に伴う有形固定資産の増加6,712百万円、無形固定資産の償却による減少528百万円、及び投資その他の資産の減少362百万円であります。
c.流動負債
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は106,041百万円であり、前連結会計年度末比11,397百万円の増加となりました。主な内訳は、短期借入金の増加11,798百万円、コマーシャル・ペーパーの増加1,999百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少729百万円、未払法人税等の減少1,482百万円、及び支払手形及び買掛金の減少1,084百万円であります。
d.固定負債
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は27,970百万円であり、前連結会計年度末比3,507百万円の増加となりました。主な内訳は、長期借入金の増加1,880百万円、長期未払金の増加1,471百万円、及び社債の減少75百万円であります。
e.純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は64,122百万円であり、前連結会計年度末比6,790百万円の増加となりました。主な内訳は、利益剰余金の増加3,451百万円、為替換算調整勘定の増加4,500百万円、その他有価証券評価差額金の減少823百万円、及び繰延ヘッジ損益の減少486百万円であります。
②経営成績
a.売上高
売上高は前年同期比で増収を確保したものの、中国経済の減速、世界的なインフレの他、エネルギー・資源価格の高騰、急激な円安、並びに金利上昇による物価上昇等、当社グループを取り巻く事業環境は不透明感が深まっております。取扱品及び製品別でみると、商社流通では半導体材料向けニッケル製品、アルミ圧延品の取扱いが前年同期に比べ増加いたしましたが、IT関連機器需要の減少により電子材料向け伸銅品、及び低調な自動車生産の影響によりアルミ原料、銅スクラップ等の非鉄原料の取扱いが前年同期に比べ減少いたしました。
製造では半導体実装装置向け精密研削加工部品がスマートフォン向け需要の減速の影響を受けて出荷が前年同期に比べ減少いたしましたが、半導体製造装置向け精密切削加工部品及びめっき材料の出荷が堅調に推移いたしました。しかし低調な自動車生産の影響により精密金属プレス部品、カーボンブラシ等素材、非破壊検査及びマーキング等の出荷は前年同期に比べ減少いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は135,712百万円(前年同期比18.9%増加)となりました。
b.売上総利益
商社流通及び製造は共に増収を確保したことから、当第3四半期連結累計期間における売上総利益は19,410百万円(前年同期比0.2%増加)となりました。
c.販売費及び一般管理費
ジュピター工業株式会社の損益取込み、及び営業費用の費消が前年同期に比べ増加し、当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は12,154百万円(前年同期比11.1%増加)となりました。
d.営業利益
上記の結果、当第3四半期連結累計期間における営業利益は7,255百万円(前年同期比13.9%減少)となりました。
e.営業外収益、営業外費用
受取配当金、及び為替差益等の計上により、営業外収支(営業外収益-営業外費用)は394百万円の収入超となりました(前年同期は375百万円の収入超)。
f.経常利益
上記の結果、当第3四半期連結累計期間における経常利益は7,650百万円(前年同期比13.1%減少)となりました。
g.特別利益、特別損失
製造子会社の株式取得に伴う負ののれん発生益、及び投資有価証券売却益等の特別利益558百万円を計上する一方、連結子会社によるのれん償却額、及び固定資産除却損等の特別損失245百万円を計上いたしました。
h.親会社株主に帰属する四半期純利益
税金等調整前四半期純利益7,963百万円から、法人税等2,789百万円、連結子会社12社における非支配株主に帰属する四半期純利益81百万円を差引き、当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は5,092百万円(前年同期比22.1%減少)となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について特記すべき事項はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通しについて重要な変更はありません。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営者の問題認識と今後の方針について重要な変更はありません。