【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
①経営成績の概要
ポストコロナにシフトする世界経済は回復に向けて動き出した直後、ロシアのウクライナ侵攻等からエネルギー価格等が上昇し、世界各国はインフレが加速しました。欧米では金融引き締めを実施し、インフレ抑制の姿勢を鮮明にしました。また、サプライチェーンの混乱等世界経済の先行きには大きな不安要素が残りました。
電子部品市場では、中国のゼロコロナ政策に伴うロックダウン等の影響から、一部の電子部品及び半導体における需給逼迫等供給網の混乱を懸念した顧客による前倒し発注により、顧客が在庫を積み増す動きが見られました。半導体不足による自動車減産は緩和の兆しが見えてきましたが、地政学リスクの増大やインフレの加速等による欧米、中国の景気下振れ懸念が強まり、先行き不透明感が広がっています。加えて、為替の円安進行や自動車需要の回復、原材料市況のピークアウト等の追い風がありつつも、巣ごもり需要の一服や、海外景気の減速といった逆風も強まりました。そうした中、自動車のカーボンニュートラルに向けた動きは加速しており、EV/xEV関連の需要は堅調に推移しました。
当連結会計年度の当社グループは、売上収益面は半導体供給不足の影響等で自動車生産台数が伸び悩む中、EV/xEV関連が堅調に推移しました。また、半導体関連設備投資、再生可能エネルギー関連の太陽光発電関連設備等も好調に推移しました。利益面では銅、プラスチック成型材料等の原材料価格の上昇による当社の製品価格への影響と当社グループの顧客で問題となっている半導体供給不足による生産調整等の影響が見られました。
当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比32.1%増の138,600百万円、営業利益は同53.8%増の8,189百万円、税引前当期利益は同67.6%増の6,534百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同94.0%増の5,099百万円となりました。
《前連結会計年度対比》
当連結会計年度は2021年度の一時的な要因として427百万円の損失の他、賃金の上昇、研究開発費の増加382百万円等があったものの、増収効果、生産効率の向上、為替変動の影響等により、営業利益の純増は2,863百万円となりました。
《増益要因として》
・売上増により2,480百万円
・生産効率の向上により1,367百万円
・為替変動による増益が1,062百万円
《減益要因として》
・賃金の上昇により1,243百万円
・研究開発費用の増加により382百万円
◎参考:期中平均為替レート
2021年度
2022年度
米ドル/円
109.23
130.24
ユーロ/円
129.83
137.21
人民元/円
16.89
19.37
資本コストを意識した経営が求められる中、資本コストとの比較に馴染むROIC(投下資本利益率)を中期経営計画上のモニタリング指標としています。ROICの実績及び目標は以下のとおりです。
▶ROIC
2021年度実績
2022年度実績
2023年度目標
5.03%
6.5%
6.08%
当連結会計年度末現時点での資本コストは5.3%と見ています。
2023年度計画の売上収益、営業利益が達成されることでROICは6.4%の達成が見込まれます。
また、支払利息、為替差損益等の財務費用が親会社の所有者に帰属する当期利益に与える影響も大きく、親会社の所有者に帰属する当期利益は配当額の算定に使用するため、ROEも引き続き重要なモニタリング指標だと考えています。ROEの実績及び目標は以下のとおりです。
▶ROE
2021年度実績
2022年度実績
2023年度目標
7.40%
12.00%
10.69%
2023年度計画の目標達成時のROEは10.5%を見込んでいます。
②報告セグメントの概況
当連結会計年度における報告セグメントの概況は次のとおりであります。
1)アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、車載関連においてはEV/xEV向け、家電関連ではスマートフォン向け、インダストリー関連では再生可能エネルギー向け等が堅調に推移し、売上収益は前連結会計年度比38.2%増の94,710百万円となりました。原材料価格高騰の影響等があったものの、増収効果に加え、為替市場が円安/米ドル高で推移したこと等から、セグメント利益は同37.9%増の6,350百万円となりました。
2)EU事業
EU事業では、車載関連では、半導体不足等の影響で新車生産台数が伸び悩んだものの、EV/xEV関連売上が順調に伸び、また、再生可能エネルギー向け等インダストリー関連が堅調に推移したことから、売上収益は前連結会計年度比20.6%増の43,889百万円となりました。原材料価格、エネルギー価格高騰の影響等があったものの、増収効果に加え、円安/ユーロ高で推移したこと等から、セグメント利益は同40.0%増の2,527百万円となりました。
③市場別の概況
当連結会計年度における市場別の概況は次のとおりであります。
1)車載関連
世界的な半導体不足、サプライチェーンの混乱が続いたことで新車生産台数が伸び悩む中、EV/xEV関連売上が堅調に推移したこと、為替市場が円安で推移したこと等から、車載市場の売上収益は前連結会計年度比29.1%増の81,031百万円となりました。
2)インダストリー関連
脱炭素化の動きから欧米の太陽光発電用設備関連が好調であり、また医療機器関連も堅調に推移したことから、インダストリー市場の売上収益は前連結会計年度比36.0%増の28,429百万円となりました。
3)家電関連
巣ごもり需要が一服したものの、スマートフォン関連が堅調であったこと、為替市場が円安で推移したこと等から、家電市場の売上収益は前連結会計年度比37.0%増の29,139百万円となりました。
(単位:億円)
④販売地域別の概況
当連結会計年度における販売地域別の概況は次のとおりであります。なお、経営管理においては、各営業所の活動に実質的な責任を有する販売地域別に売上を再集計しております。このため、本項に記載する販売地域別の売上と、「第5 経理の状況」の連結財務諸表注記に記載する数値との間には不一致が生じます。
1)アジア(中国/台湾除く)
半導体や原材料不足の影響が徐々に緩和される中で、EV/xEV関連売上が好調であり、また家電製品向けや医療機器向けも堅調に推移したこと、及び為替市場が円安で推移したこと等から、アジア(中国/台湾除く)の売上収益は前連結会計年度比17.6%増の25,865百万円となりました。
2)中国/台湾
新エネルギー車に対する政府補助金を追い風に、EV/xEV関連ビジネスが大きく成長しました。2023年の春節が例年よりも早い1月に予定されていたことから、2022年末の需要が伸びたこと等もあり、中国/台湾の売上収益は前連結会計年度比59.7%増の41,691百万円の売上収益となりました。
3)欧州
太陽光発電用設備関連が大きく伸びたこと、また車載向けアンテナ関連や白物家電関連が好調であったことから、欧州の売上収益は前連結会計年度比20.2%増の47,303百万円となりました。
4)北米/その他
スマートフォン関連の需要が非常に強く、またEV/xEV関連及び太陽光発電用設備関連が好調であったことから、北米/その他の売上収益は前連結会計年度比35.8%増の23,739百万円となりました。
(単位:百万円)
なお、当社グループは、需要の動向や顧客の要求、市場の変化等に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産実績および受注実績は販売実績に類似しています。このため、生産実績は以下「⑤生産地域別の概況」として記載し、受注実績は記載を省略しております。
⑤生産地域別の概況
当連結会計年度における生産地域別の概況は次のとおりであります。
1)アジア(中国除く)
ベトナム・クァンガイ工場の第2棟、第3棟の増設を行い、2022年度中に生産を開始しました。アジア(中国除く)で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比36.5%増の9,027百万円となりました。
2)中国
中国は当社グループの主たる生産拠点です。2022年にはゼロコロナ対策により、上海はじめ複数の都市が封鎖され、当社グループの周辺でも操業を停止する工場が相次ぎました。こうした中、当社グループでは現地マネジメントのリーダーシップ及び従業員の協力のもと、工場への出入りを完全に管理下に置きながら生産を継続しました。加えて、材料の供給リスクのあるサプライヤーを事前に察知して安全在庫を積み増したこと、物流ルートを一時的にトラックから船に変更したこと、また物流ルート自体を変更したこと等も安定的な生産活動に寄与しました。結果として、年間を通じて高操業度を維持することができ、急増する需要にも対応することができました。中国で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比43.3%増の85,039百万円となりました。
3)欧州
欧州においても、新型コロナウイルスの感染拡大により拠点間の往来が制限を受けました。こうした中、3Dやスマートグラス等のITを活用し、設備の設置前トレーニングや設備のリモートコントロール、並びに設備のメンテナンス教育等を行い、生産停止リスク回避及び効率向上を図りました。欧州で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比17.1%増の34,854百万円となりました。
4)北米/その他
米国では2022年に署名された大統領令により、米国産品の購入が奨励されています。当社グループにおいても、北米地域の顧客から米国内での生産に対する引き合いを受けています。北米/その他で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比4.8%増の9,680百万円となりました。
(単位:百万円)
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は134,846百万円となり、前連結会計年度末比17,121百万円増加しました。当社の保有資産の約94%は外貨建てですが、当期に進行した円安の影響で、外貨建て資産の評価額が大きくなったことから全体に資産残高が増加しました。
流動資産は10,840百万円増加しました。手元資金については、国内外連結子会社が35社にのぼり各社で資金が滞留することで資金効率が落ちるリスクがあるので、主要子会社の最低手持資金額を設定し毎月その設定額と実際手持資金を比較しグループ全体手持資金のモニタリングを実施し、余剰資金を削減し借入金の圧縮に努めています。前連結会計年度末は、新型コロナウイルス感染症の流行により世界経済の見通しが不明確な状況で手元流動を確保するため現金及び現金同等物を手厚くしましたが、当連結会計年度末では現金及び現金同等物が1,292百万円減少しました。流動資産の増加は、ビジネスの拡大に伴って営業債権及びその他の債権が増加したことも一因です。
非流動資産は6,280百万円増加しました。生産設備の購入や、工場の生産キャパシティ拡充のため使用権資産等が増加したことによります。なお、当社グループの有形固定資産のうち約96%が国外の有形固定資産となっています。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は85,969百万円となり、前連結会計年度末比8,344百万円増加しました。1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債、短期有利子負債等が増加したことから、流動負債が15,709百万円増加しました。リース債務等が増加したものの、長期有利子負債等が減少したため、非流動負債が7,364百万円減少しました。
当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は、現地通貨ベースで見ると1,998百万円減少しました。しかしながら一方で、当連結会計年度に進行した円安の影響により外貨建て負債の評価額が大きくなったことから、日本円ベースの有利子負債残高は前連結会計年度末から3,355百万円増加しました。資金管理については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束しない中で、3ヶ月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施しました。また、銀行団のオープン・コミットメント・ラインは164億円を維持しました。
当社グループの有形固定資産のうち約96%が国外の有形固定資産となっているため、相対的に金利水準の高い外貨建て借入金の割合が借入金全体の約87%となっています。そのため、借入金の平均金利は2.7%~3.3%となっています。なお、ネットDEレシオは前連結会計年度末の1.2倍から当連結会計年度末は1.1倍となりました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末比8,776百万円増加し、48,877百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益5,099百万円に加え、当連結会計年度に進行した円安の影響により3,910百万円増加しました。その結果、親会社の所有者に帰属する持分合計は46,829百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の32.6%から当連結会計年度末は34.7%となりました。
《資本政策の基本的な方針》
・財務体質の健全性の観点から、Net DEレシオを1.1倍以下にガイドラインとして設定しています。
・各銀行による当社の信用格付けの維持向上の為、各銀行に情報提供を目的として定期的に対話の機会を設けています。
・中期的に収益性の向上と財務体質の強化に取り組み、信用格付けを取得し、資金調達の方法についての選択肢を増やす目標を持っています。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比1,292百万円減少し、2,944百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は10,566百万円(前連結会計年度は600百万円の収入)となりました。ビジネスが拡大する中で、運転資本の増加を抑制できたことが営業キャッシュ・フローの改善に寄与しました。
B-to-BビジネスなのでDSO(売上債権回転日数)の短縮、つまり営業債権の回収期日の短縮は顧客からの値引き交渉に繋がりメリットが出ません。また、DPO(買掛債務回転日数)についての取り組みも仕入先からの値上げ交渉に繋がります。従って、DIO(棚卸資産回転日数)の管理が現実的な取り組みとなっています。DIOは地域別、会社別に毎月モニタリングを実施しています。前連結会計年度末に108日でしたが、半導体の供給逼迫により一部の客先の生産にブレーキがかかり、それが当社製品の納品の延期に繋がったこと等から2022年6月末に116日まで伸びました。地域別、会社別に在庫金額の目標値を定め、モニタリング頻度を週次に高めた結果、当連結会計年度末に92日まで短縮しました。
運転資本をモニターするKPIとしてCash Conversion Cycle(CCC)を採用しています。CCCの実績及び目標は以下のとおりです。
実績
増減
目標
2021年度
2022年度
2023年度
DSO(売上債権回転日数)
76
78
2
78
DIO(在庫回転日数)
108
92
△16
80
DPO(仕入債務回転日数)
66
64
△2
64
Cash Conversion Cycle
118
106
△12
87
当連結会計年度末のCCCは106日で、前連結会計年度末から12日短くなりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は8,174百万円(前連結会計年度は6,712百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における設備投資は、EV/xEVを中心に承認数、承認金額ともに計画通りに推移しました。前連結会計年度中に承認し、当連結会計年度に実行した案件もあり、設備投資額は8,204百万円となりました。
当社グループでは、顧客からの受注に基づき設備投資をしています。車載事業については量産が始まる2、3年前に設備投資が必要ですが、事業サイクルが長いため投資回収リスクは家電事業に比べて低くなります。対照的に家電事業は設備投資後1年内に量産が始まりますが、事業サイクルが短く投資回収リスクが相対的に高くなります。設備投資については、新製品、増産、生産効率改善、更新と目的別に計画を立て、規模の大きい設備投資については、モンテカルロシミュレーションなどの手法を採用したNPV分析を行い、その採算性について検討後、設備投資を決定しています。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は4,130百万円(前連結会計年度は4,751百万円の収入)となりました。有利子負債が1,988百万円純減したことに加え、リース債務の返済による支出1,233百万円、配当金の支払いによる支出680百万円、その他資本性金融商品の所有者に対する分配の支払額227百万円等の支出があったためです。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.重要な会計方針 3.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
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