【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大を繰り返し、オミクロン株の新たな派生型「BA.5」の感染が広がったことによる第7波では過去最多の感染者数を記録しましたが、ワクチン接種の広がり等により社会活動の継続が図られ、経済への悪影響は抑えられました。社会・経済活動の正常化とともにウクライナ情勢の深刻化や急激な円安の進行等によるガソリン価格や光熱費、食料品等を含む生活必需品の相次ぐ物価の上昇から、消費者の体感インフレが高まり景気の回復に力強さが欠ける状況になりました。国内の介護業界におきましては、社会の高齢化が進み介護サービスの需要が益々高まっておりますが、介護サービスの職業有効求人倍率は厚生労働省資料の一般職業紹介状況(2023年1月分)によると3.39倍と高い数値で推移しており、サービスを担う人材確保に取り組むことは介護事業者の大きな課題となっております。このような状況のもと当社グループは、政府による福祉・介護職員の処遇改善を目的とした「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づいた介護職員処遇改善支援補助金及び福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(処遇改善支援補助金)の給付制度が実施され、安定雇用を行うべく労務費と介護報酬のバランスを見極めたうえで、加算報酬要件を満たす取り組みをいたしました。さらには技能実習生や特定技能外国人の採用、並びに非正規社員から正規社員への登用を進めました。また、引き続き新型コロナウイルス感染症防止対策に努め、新型コロナウイルス感染症対策本部が中心になり、役職員全員で感染リスクを可能な限り抑制し、利用者に寄り添った介護サービスを継続できるよう最善を尽くしました。 そして、当社グループを拡大すべく2022年11月に東京都多摩市に本社を置く、株式会社シルバーアシストの全株式を取得して子会社化する一方、グループ経営の効率化を目的として、スマイル薬局株式会社の全株式を2022年7月に譲渡し、リストラクチャリング(事業再構築)を行いました。これらの結果、当連結会計年度の売上高はコロナ禍においても福祉用具事業及び介護事業がともに堅調に推移し、9,619百万円(前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は食材費や光熱費等の上昇によるコストの増加により544百万円(前連結会計年度比16.2%減)、経常利益は新設した介護事業所等に関する地方自治体からの補助金の支給等により737百万円(前連結会計年度比13.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は444百万円(前連結会計年度比15.8%減)となりました。なお、2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、上場に伴う費用を計上しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(福祉用具事業)福祉用具事業においては、2022年5月、栃木県内で3拠点目となる営業所を栃木県小山市に開設し、栃木県南部地域のサービス体制の強化を図りました。また、株式会社シルバーアシストの子会社化により、関東南部地域への進出を果たしました。 レンタル商品では介護用電動ベッドや堅調な需要が継続している手すりなどの貸与品等の売上高が増加いたしました。居宅介護支援においては、特定事業所加算の取得のため、ケアマネジャーの新規採用を進めた結果、加算取得事業所は9ヵ所となりました。以上の結果、当連結会計年度の福祉用具事業の売上高は4,385百万円(前連結会計年度比8.7%増)、セグメント利益は347百万円(前連結会計年度比27.9%増)となりました。
(介護事業)介護事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大により介護施設やデイサービスの利用の低下が懸念されましたが、感染症防止対策が功を奏し稼働率は堅調に推移いたしました。利益面では食材費や光熱費等のコスト上昇や新設介護事業所の初期投資費用の発生により減益となりました。介護事業の拠点につきましては、2023年3月に長野県諏訪市及び埼玉県羽生市にグループホーム、長野県松本市に看護小規模多機能型居宅介護施設を住宅型有料老人ホームに併設する形で計4事業所を新設した他、株式会社シルバーアシストの子会社化により6事業所が増加いたしました。またグループ経営の効率化を目的として、スマイル薬局株式会社の全株式を2022年7月に譲渡し、当社グループ外に調剤薬局の運営を移管いたしました。以上の結果、当連結会計年度の介護事業の売上高は5,233百万円(前連結会計年度比1.6%増)、セグメント利益は196百万円(前連結会計年度比47.9%減)となりました。
b.財政状態
(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,320百万円増加し、9,019百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ747百万円増加し、4,118百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加576百万円、売掛金の増加101百万円によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ571百万円増加し、4,893百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物(純額)の増加387百万円、備品等の有形固定資産のその他(純額)の増加54百万円、のれんの増加54百万円によるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ291百万円増加し、5,981百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ461百万円増加し、2,689百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加300百万円、未払法人税等の増加112百万円によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ170百万円減少し、3,291百万円となりました。主な要因は、長期未払金の増加31百万円に対して、長期借入金の減少224百万円があったことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,028百万円増加し、3,037百万円となりました。主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益444百万円の計上等による利益剰余金410百万円の増加の他、2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場への株式上場に伴う増資により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ306百万円増加しております。自己資本比率は前連結会計年度末の26.1%から7.6ポイント増加し33.7%になりました。
②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ584百万円増加し、2,178百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は969百万円(前年同期は898百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益696百万円、減価償却費307百万円による結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は849百万円(前年同期は使用した資金97百万円)となりました。これは、主に介護施設の新設等に伴う有形固定資産の取得による支出762百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出81百万円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果獲得した資金は463百万円(前年同期は使用した資金878百万円)となりました。これは、主に短期借入れによる収入2,500百万円、株式の発行による収入609百万円による増加に対して、短期借入金の返済による支出2,200百万円、長期借入金の返済による支出469百万円による減少の結果であります。
③仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
福祉用具事業
(千円)
1,633,046
104.9
介護事業 (千円)
335,536
88.3
合計
1,968,583
101.6
(注) 金額は、仕入価格によっております。
④販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
福祉用具事業 (千円)
4,385,661
108.7
介護事業 (千円)
5,233,740
101.6
合計
9,619,401
104.7
(注) 主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略してお
ります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当社グループでは、介護施設の利用者数の状況や福祉用具の利用者数の推移の見積りを前提として、投資回収率や収益性に関する見積り及び判断について継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づいて見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎となります。これらの実際の結果は、見積りが有する不確実性のため、見積りと異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は9,619百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。売上高はコロナ禍でも福祉用具事業及び介護事業が共に順調に推移した他、株式会社シルバーアシストの子会社化及び新規事業所の開設により増加したことが主な要因です。利益面においては、既存の福祉用具営業や介護事業は順調に推移したものの、事業拡大による投資負担、物価高騰による食材費や光熱費等の上昇等の特殊要因により、営業利益は544百万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。経常利益は新規事業所の開設等による補助金収入の増加により737百万円(前連結会計年度比13.8%増)となったものの、関係会社出資金評価損及び減損損失を特別損失に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は444百万円(前連結会計年度比15.8%減)となりました。セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載しております。
b. 財政状態の分析「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社における資金需要の主なものは、介護施設等の新規開設に伴う設備投資資金及び運転資金であります。運転資金としては、福祉用具事業におけるレンタル用商品の取得や、労務費、販売費及び一般管理費等であります。資金需要につきましては、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移について当社グループは、介護における多様なニーズに応えることによって、継続的、長期的な企業価値の向上を目指しております。利用者数及び介護施設の利用状況を示す売上高と、労務費等の売上原価の状況を示す売上総利益及び売上高総利益率を重要な経営指標と位置付けております。また、経営基盤の状況を見る上では、財務的視点から自己資本比率についても重要な指標ととらえております。
第35期連結会計年度(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第36期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
金額(千円)
金額(千円)
前年同期比
売上高
9,185,911
9,619,401
104.7%
売上総利益
1,556,877
1,553,664
99.8%
売上高総利益率
16.9%
16.2%
―
自己資本比率
26.1%
33.7%
―
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