【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の状況資産、負債及び純資産の状況
(資産)
資産は、前連結会計年度末に比べて1,592百万円増加し33,653百万円となりました。これは、主として現金及び預金が1,613百万円減少したものの、商品及び製品が1,367百万円増加し、受取手形及び売掛金が1,098百万円増加し、投資有価証券が796百万円増加したこと等によります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて1,640百万円増加し11,151百万円となりました。これは、主として短期借入金が1,665百万円増加したこと等によります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて48百万円減少し22,501百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が377百万円増加し、為替換算調整勘定が97百万円増加し、自己株式が86百万円増加し、退職給付に係る調整累計額が70百万円増加したものの、利益剰余金が679百万円減少したことによります。 これにより自己資本比率は66.9%となり、時価ベースの自己資本比率は32.1%となりました。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体の状況
a.事業全体の状況当連結会計年度の経済環境は、上半期では新型コロナウイルスの感染拡大により世界の経済活動が急速に収縮し、大幅に景況感が悪化いたしました。しかしながら、下半期におきましては、中国での経済活動の正常化がいち早く進み、一般消費、インフラ関連投資が堅調に推移、自動車市場もグローバルで需要が回復するなど、改善の傾向がみられました。第4四半期におきましては、中国での景気の回復基調が持続しましたが、他地域では感染影響により回復の動きは鈍いものとなりました。 半導体市場におきましては、新型コロナウイルス感染拡大影響がある一方で、新たなライフスタイルに伴う電子機器の需要増加、自動車関連市場の回復、 5G需要等により、2020年の世界半導体売上高は前年比6.8%増とプラス成長となりました。地域別では、米州が前年比19.8%増、中国が同5.0%増と市場が拡大しました。2021年2月では、世界全体売上高で前年同月比14.7%増と大きく伸びました。当社主要販売先である自動車分野、産業分野におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による影響が上半期大きく、自動車分野は2020年国内新車販売台数が前年比11.5%減となり、また米国新車販売台数も前年比14.6%減と厳しい状況となりました。産業分野は2020年のインバータ・サーボモータ等の産業用汎用電気機器の出荷台数は前年比6.6%減となりましたが、サーボモーターは輸出が前年を上回るなど回復傾向となっております。 このような環境の下、当連結会計年度は、品目別売上高では集積回路はマイコン・ロジックIC・リニアが産業・自動車分野を中心に減少、前年度比7,018百万円減(15.1%減)の39,323百万円、半導体素子はトランジスタ・パワーデバイスが自動車分野等での減少により、同1,553百万円減(13.5%減)の9,967百万円、表示デバイスは民生分野等での減少により、同119百万円減 (7.8%減)の1,416百万円、その他は高感度ひずみセンサーモジュール(STREAL)、EMSが増加となったものの開発等が減少し、同111百万円減 (1.2%減)の9,154百万円となりました。その結果、売上高は同8,802百万円減(12.8%減)の59,861百万円となりました。
売上原価は前年度比8,168百万円減(13.1%減)の54,281百万円。売上高に対する売上原価の比率は、STREALの売上比率増加等により、前年度に比べ0.2ポイント減少し90.7%となっており、売上総利益は同634百万円減(10.2%減)の5,580百万円となり売上高に対する売上総利益の比率は前年度に比べ0.2ポイント増加し9.3%となっております。
販売費及び一般管理費は、STREAL研究開発費の増加があったものの、総人件費の削減と新型コロナウイルス影響による移動制限等による旅費交通費・交際費の減少等により吸収し、前年度比202百万円減(3.2%減)の6,074百万円となりました。しかしながら、売上総利益減少の結果、営業損失493百万円(前年度は営業損失61百万円、前年度比432百万円損失増加)、経常損失261百万円(前年度は経常利益5百万円、前年度比267百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失367百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純利益65百万円、前年度比433百万円減)となりました。
(注) 当社グループは、「電子部品関連事業」のみの単一セグメントであります。
連結業績の推移
(単位:百万円)
令和2年3月期
令和3年3月期
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
売上高
17,551
17,989
16,991
16,131
13,040
13,867
15,677
17,275
営業利益又は営業損失(△)
△106
66
△27
5
△279
△224
67
△57
経常利益又は経常損失(△)
△28
47
△21
8
△259
△198
93
103
b.目標とする経営指標の達成状況等当社グループは、目標とする経営指標として「ROA(総資産経常利益率)5%」「営業利益率2%」を確保することを主要な経営指標目標として定めておりますが、当連結会計年度のROAは△0.8%、営業利益率は△0.8%となり、前年度のROA0.0%、営業利益率△0.1%から悪化いたしました。これは、主に売上高減少により売上総利益が前年度比634百万円減(10.2%減)と大幅に減少したことによります。
②仕入、受注及び販売の状況
a.仕入実績当連結会計年度における仕入実績を単一セグメント内の商品別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度(自
令和2年4月1日至
令和3年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
集積回路
37,339
90.3%
半導体素子
9,136
86.6%
表示デバイス
1,225
92.7%
その他
7,937
95.8%
合計
55,638
90.5%
(注) 金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績当連結会計年度における受注実績を単一セグメント内の商品別に示すと、次のとおりであります。
品目
受注高
受注残高
金額(百万円)
前期比(%)
金額(百万円)
前期比(%)
集積回路
48,560
104.8%
16,601
225.4%
半導体素子
9,324
81.3%
827
56.3%
表示デバイス
1,777
114.6%
672
215.9%
その他
5,802
63.5%
1,794
34.9%
合計
65,465
95.6%
19,896
139.2%
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績を単一セグメント内の商品別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度(自
令和2年4月1日至
令和3年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
集積回路
39,323
84.9%
半導体素子
9,967
86.5%
表示デバイス
1,416
92.2%
その他
9,154
98.8%
合計
59,861
87.2%
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
日立Astemo株式会社
12,675
18.5
9,680
16.2
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。4.日立オートモティブシステムズ株式会社は、2021年1月1日付の経営統合により日立Astemo株式会社に
商号変更しております。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物 (以下、「資金」という。) は、前連結会計年度末に比べ1,613百万円減少し、3,395百万円となりました。 当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、2,591百万円(前年同期1,774百万円の増加) となりました。収入の主な内訳は、仕入債務の増加191百万円であります。支出の主な内訳は、たな卸資産の増加1,354百万円、売上債権の増加1,080百万円、税金等調整前当期純損失261百万円であります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、356百万円(前年同期207百万円の減少) となりました。支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出273百万円、無形固定資産の取得による支出56百万円、有形固定資産の取得による支出21百万円であります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1,260百万円(前年同期386百万円の減少) となりました。収入の主な内訳は、短期借入金の増加1,629百万円であります。支出の主な内訳は、配当金の支払額312百万円、長期借入金の返済による支出93百万円であります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成31年3月期
令和2年3月期
令和3年3月期
自己資本比率(%)
68.8
70.3
66.9
時価ベースの自己資本比率(%)
28.6
29.0
32.1
自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.資金需要当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループが販売する商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは人件費及び販売促進費等の費用であります。
b.財務政策当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金または借入により調達することとしております。このうち、借入による資金調達は、短期借入金及び長期借入金であります。令和3年3月31日現在、短期借入金残高は3,197百万円、長期借入金残高は310百万円であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。