【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」、の状況の概要はつぎのとおりであります。
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の新たな段階への移行が進む中、経済活動が徐々に正常化し、景気も緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に加えて、エネルギー価格、原材料価格の高騰や半導体不足の常態化についての収束はみえておらず、また為替相場も不安定な状況が続くなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループは米国及び日本を中心に事業展開を進めました。アジア市場は、前連結会計年度に比べ減収となりました。これは前連結会計年度に韓国において、大手放送局2社向けのネットワーク更新案件の売上を計上した影響によるものです。北米市場は、前連結会計年度に比べて増収となりました。これは、主要顧客である大手通信事業者向けの販売が堅調に推移したことによるものです。オーストラリア市場は、メンテナンスサポートサービスはほぼ横ばいで推移したものの、ハードウエア製品の販売が減少したことにより、前連結会計年度に比べて減収となりました。EMEA市場は、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの影響に伴う案件の中断等により、前連結会計年度に比べ減収となりました。この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,523百万円(前連結会計年度比1.1%増)、営業損失は169百万円(前連結会計年度は営業損失661百万円)、経常損失は228百万円(前連結会計年度は経常損失726百万円)、親会社株主に 帰属する当期純損失は、248百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失758百万円)となりました。
なお、当社グループは、映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類していません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ154百万円増加し、473百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は795百万円(前連結会計年度は315百万円の減少)となりました。その主な要因は、棚卸資産の増加530百万円、税金等調整前当期純損失243百万円の計上、売上債権の増加117百万円、仕入債務の増加110百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は12百万円(前連結会計年度は34百万円の減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出17百万円、定期預金の払戻による収入9百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は932百万円(前連結会計年度は320百万円の減少)となりました。その主な要因は、株式の発行による収入1,137百万円、長期借入金の返済による支出135百万円、短期借入金の減少70百万円によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
ハードウエア製品
2,465,417
42.61
合計
2,465,417
42.61
(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
ハードウエア製品
1,676,696
△11.1
16,210
△79.8
メンテナンス・サポート
403,502
△41.5
270,278
△36.4
その他
244,560
59.5
23,218
1144.3
合計
2,324,758
△14.8
309,706
△39.0
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
ハードウエア製品
1,740,902
△3.9
メンテナンス・サポート
558,431
11.5
その他
223,208
22.0
合計
2,522,541
1.1
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
当連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
AT&T Corporation
675,220
27.1
1,288,839
51.1
Telstra Corporation Limited
362,029
14.5
298,004
11.8
IISN SYSTEMS CO., LTD.
304,653
12.2
22,040
0.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ908百万円増加し、3,183百万円となりました。主な変動要因は、特定顧客向けのビジネスで、既に開発期間を終え、プログラムの改良・強化のフェーズに入っている案件による仕掛品の増加310百万円、現金及び預金の増加145百万円、売上債権の増加133百万円、原材料及び貯蔵品の増加124百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ33百万円減少し、1,434百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金の減少85百万円、短期借入金の減少70百万円、買掛金の増加110百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ941百万円増加し、1,750百万円となりました。主な変動要因は、資本金の増加570百万円、資本剰余金の増加570百万円、親会社株主に帰属する当期純損失248百万円の計上による利益剰余金の減少によるものです。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,523百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が1,741百万円(同3.9%減)、その他が782百万円(同14.3%増)となりました。海外売上高比率は、前期の70.6%から72.2%へと増加しました。
(売上総利益)
当連結会計年度における、売上総利益率は62.7%、売上総利益は1,581百万円(同18.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
経費面では、販売費及び一般管理費は、1,751百万円(同12.3%減)となり、研究開発費は455百万円(同40.0%減)となりました。これは特定顧客向けのビジネスで、既に開発期間を終え、プログラムの改良・強化のフェーズに入っている案件を仕掛品として計上したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業損失は169百万円(前連結会計年度は営業損失661百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常損失は228百万円(前連結会計年度は経常損失726百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、248百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失758百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
主な資金需要は、製品製造のための材料及び外注加工費の支払のほか、製品開発のための研究開発費であります。
資金需要には、内部資金、金融機関からの借入及び第三者割当による新株予約権並びに社債の発行により対応しております。また、グループ内の資金の効率化を目的としグループ間で融資を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき実施しております。
詳細につきましては、「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。当連結会計年度におきましては、売上総利益率は前連結会計年度の53.5%に比べ9.2ポイント増加し、62.7%となりました。