【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化に向けた動きが見られ、緩やかな回復が続きましたが、為替の変動、ウクライナ情勢の長期化などに伴う物価上昇や海外景気の下振れリスクなどにより、先行きの不透明な状況が続いております。
このような経済環境下、当社グループの事業領域におけるお客様の投資意欲は、分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。
企業においては、DX(※1)などの最先端技術を活用した、オフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方(ニューノーマルな働き方)や、製造業などにおけるスマートファクトリー化、それに伴うセキュリティの見直しなどのニーズが強まっております。通信事業者においてはDX技術の活用などによるコスト削減、オペレーション効率化の需要はあるものの、全般的に設備投資抑制の動きが継続しております。一方、国際間通信においてはデータ量の増大に伴う海洋通信網の設置ニーズが堅調に推移しております。ローカル5Gにおいては、通信事業者の5Gサービス本格普及の遅れの影響を受けて端末デバイスの低価格化が進まず、その市場の立ち上がりに遅れが出ておりますが、発電所や医療など、高速無線ネットワークの中でも高セキュリティや安定性などといったローカル5Gが強みとする特徴が必須となる領域から、徐々に実装への動きが見られております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革への動きが顕在化してくるとともに、防災・減災や安全保障をテーマとしたネットワーク整備のニーズの高まりや、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きも見られはじめました。
こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に発表した中期経営計画「Shift up 2024」に基づき、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワークを軸に、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションと顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。
DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、積極的なDX技術の活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組み、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとしてサービス開発や提案型モデル(オファリングモデル)を強化してまいりました。また、企業向けのみならず自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体向けには、パートナー企業とともに自治体の閉域ネットワークに対応したサービスを順次リリースし、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースを活用したお客様提案も強化しております。通信事業者向けにおいても、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めております。
5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、先行市場に向けた対応を強化するとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などとのパートナーシップによる製品・サービスの強化、技術者の育成など、市場の本格立ち上がりに備えた積極的な取り組みを行いました。
なお、これらの取り組み成果を、事業としてより迅速にお客様に実装するため、全社横断組織であった新事業開発機能を、2023年4月に各事業部門に融合するとともに、成長戦略を支えるコンサルティングやDX、次世代ネットワークに対応した高度人材の育成を進めてまいりました。さらに、新たな事業領域の開拓として、ICT(※2)を活用した陸上養殖により、気象等の諸条件に左右されず水産資源の安定的供給を実現すべく山梨県にサーモンの陸上養殖場を設立しておりましたが、2023年8月より育成したサーモンの出荷を開始いたしました。
当社グループでは、これら新サービスの社会実装を通じてさらに課題解決型サービスとしての提供価値を高めることにより、一層の収益力向上を図ってまいります。
加えて、社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動対応に関しては、2022年4月に設置した「カーボンニュートラル推進本部」を中心に強化を進めており、次世代ネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として2023年3月に移転した新本社ビルを活用し、カーボンニュートラルの実現に向けたオフィスビル活用の検証等を行っております。また、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと当社の全事業とを組み合わせて気候変動対応型ビジネスの強化を図っており、2023年5月には経済産業省の「GXリーグ」にも参画いたしました。情報開示の面でも、2023年6月にはTCFDのフレームワークに基づく2度目の情報開示を行うとともに、カーボンニュートラル実現に向けた目標を前倒し修正いたしました。
このような状況下において、当四半期累計期間における連結業績は、
売上高 1,551億95百万円(前年同期比 8.8%増加)
営業利益 62億24百万円(前年同期比 34.1%増加)
経常利益 61億61百万円(前年同期比 29.4%増加)
親会社株主に帰属する四半期純利益 36億円(前年同期比 33.4%増加)
<参考>
受注高 1,912億 9百万円(前年同期比 10.9%増加)
となりました。
売上高は、豊富な受注残からの売上が本格化したことなどにより全セグメントで増加し、前年同期比8.8%増加の1,551億95百万円となりました。なお、受注高は、通信事業者による投資抑制の影響はあったものの、働き方改革関連分野や自治体、放送、道路といった官公庁・公共分野が堅調に拡大したことに加え、サウジアラビアにおけるプラント通信設備構築や国内における機器調達の大型案件が牽引し、前年同期比10.9%増加の1,912億9百万円となりました。
利益面では、データ経営の強化とその実践を通じた提案力の向上に向けた新基幹システムの導入に係る費用など成長に向けた費用の増加により販売費及び一般管理費が拡大しましたが、売上高の拡大や、前年に計上した海外における損失の解消により、営業利益は前年同期比34.1%増加の62億24百万円、経常利益は29.4%増加の61億61百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は33.4%増加の36億円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境
ソリューション事業
その他
計
売
上
高
当第2四半期
連結累計期間
58,939
38,627
53,672
3,956
155,195
前第2四半期
連結累計期間
51,915
36,286
50,920
3,563
142,686
増減額
7,023
2,340
2,751
392
12,509
増減率(%)
13.5
6.5
5.4
11.0
8.8
<参考:セグメント別受注高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境
ソリューション事業
その他
計
受
注
高
当第2四半期
連結累計期間
61,094
39,247
83,075
7,791
191,209
前第2四半期
連結累計期間
61,603
44,005
63,190
3,554
172,353
増減額
△ 509
△ 4,758
19,885
4,237
18,855
増減率(%)
△ 0.8
△ 10.8
31.5
119.2
10.9
1.DXソリューション事業(589億39百万円:前年同期比13.5%増):
子会社において新型コロナ関連ビジネスなどの売上が減少しましたが、DX技術を活用した働き方改革分野など中期経営計画における注力領域に加えて、既存領域も増加するなど、第1四半期に引き続いて強さが継続し売上高は前年同期比13.5%増加の589億39百万円となりました。
2.ネットワークソリューション事業(386億27百万円:前年同期比6.5%増):
通信事業者による設備投資抑制の影響を受け厳しさが継続しておりますが、豊富な受注残から、通信事業者関連事業と宇宙や海洋・放送関連などといった社会基盤事業の双方で増加し、売上高は前年同期比6.5%増加の386億27百万円となりました。
3.社会・環境ソリューション事業(536億72百万円:前年同期比5.4%増):
第2四半期に入り、受注残からの売上が本格化し出したことを受け、道路・交通などの国内ICT施工領域を中心に増加し、売上高は前年同期比5.4%増加の536億72百万円となりました。
※1 DX:
Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企
業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。
※2 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
<セグメントの概要>
セグメント
主な事業内容
DXソリューション事業
主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー
ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、
最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー
ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供
ネットワークソリューション事業
主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供
社会・環境ソリューション事業
主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業
その他
主に情報通信機器等の仕入販売
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ113億12百万円減少し、2,556億87百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ97億27百万円減少し、2,110億8百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権が合計で156億75百万円減少した一方、現金及び預金が39億47百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ15億85百万円減少し、446億79百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ114億91百万円減少し、1,097億93百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金、電子記録債務が合計で108億44百万円減少したほか、未払法人税等が14億8百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ1億79百万円増加し、1,458億94百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益が36億円、および第91期期末配当金の支払34億25百万円により利益剰余金が1億75百万円増加したことなどによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ39億47百万円増加し、724億97百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は118億85百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると13億85百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、28億10百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるもので、前年同期と比べると4億33百万円の減少となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、90億75百万円の増加となりました。前年同期と比べると9億51百万円の増加となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、52億63百万円となりました。これは主に、配当金の支払および短期借入金の返済などによるもので、前年同期と比べると1億1百万円の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を23円にしたことにより、34億21百万円の支払となっております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億67百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注および販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。
#C1973JP #NECネッツエスアイ #情報通信業セクター