【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結会計年度(2023年4月1日~2023年6月30日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化に向けた動きが見られ、緩やかな回復が続きましたが、為替の変動やウクライナ情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の高騰に伴う物価上昇や海外景気の下振れリスクなどにより、先行きの不透明な状況が続いております。
このような経済環境下、当社グループの事業領域におけるお客様の投資意欲は、分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。
企業においては、DX(※1)などの最先端技術を活用した、オフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方(ニューノーマルな働き方)や、製造業などにおけるスマートファクトリー化、それに伴うセキュリティの見直しなどのニーズが強まってきております。通信事業者においては前期後半から厳しさを増した設備投資抑制の動きが継続している一方で、DX技術の活用などによるコスト削減、オペレーション効率化のニーズは高まっております。また、国際間データ量の増大に伴う海洋通信網の設置ニーズが堅調に推移しております。ローカル5Gにおいては、通信事業者の5Gサービス本格普及の遅れを受け、市場の立ち上がりに遅れが出ておりますが、発電所、医療等の高セキュリティや安定性など5Gならではの特徴が必須となる領域から徐々に実装への動きが見られております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革への動きが顕在化してくるとともに、防災・減災や安全保障をテーマとしたネットワーク整備のニーズの高まりや、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きも見られはじめました。
こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代において、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションを軸に、顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。
DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、積極的なDX技術の活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組み、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化してまいりました。また、企業向けのみならず自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体向けに、パートナー企業とともに自治体の閉域ネットワークに対応したサービスを順次リリースし、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースを活用したお客様提案も強化しております。加えて、通信事業者向けには、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めてまいりました。
5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、先行市場に向けた対応を強化するとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などとのパートナーシップによる製品・サービスの強化、技術者の育成など、市場の本格立ち上がりに備えた積極的な取り組みを行いました。
なお、これらの取り組みを加速させるため、全社横断組織であった新事業開発機能を、2023年4月に各事業部門に融合いたしました。これにより新サービスをより迅速に事業に結びつけるとともに、お客様への実装を通じてさらに課題解決型サービスとしての提供価値を高めることにより、一層の収益力向上を図ってまいります。
社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動対応に関しては、2022年4月に設置した「カーボンニュートラル推進本部」を中心に強化を進めており、次世代ネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として2023年3月に移転した新本社ビルを活用し、カーボンニュートラルの実現に向けたオフィスビル活用の検証等を行っております。また、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと当社の全事業とを組み合わせて気候変動対応型ビジネスの強化を図っており、2023年5月には経済産業省の「GXリーグ」にも参画いたしました。情報開示の面でも、2023年6月にはTCFDのフレームワークに基づく2度目の情報開示を行うとともに、カーボンニュートラル実現に向けた目標を前倒し修正いたしました。
これらの活動を進めた結果、当四半期累計期間における連結業績は、
売上高
716億83百万円
(前年同期比 6.0%増加)
営業利益
11億18百万円
(前年同期比 25.4%減少)
経常利益
11億16百万円
(前年同期比 26.8%減少)
親会社株主に帰属する四半期純利益
1億82百万円
(前年同期比 63.2%減少)
<参考>
受注高
965億29百万円
(前年同期比 19.5%増加)
となりました。
売上高は、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※2)サービスや宇宙や海洋関連といった社会基盤分野などが増加し、前年同期比6.0%増加の716億83百万円となりました。なお、受注高は、働き方改革関連分野や社会基盤分野が堅調に拡大したことに加え、サウジアラビアにおけるプラント通信設備構築や国内における機器調達の大型案件が牽引し、前年同期比19.5%増加の965億29百万円となりました。
利益面では、売上が増加したことに加え提供サービスの高付加価値化や効率化などの取り組みに進展があった一方で、データ経営の強化とその実践を通じた提案力の向上に向けた新基幹システムの導入に係る費用など成長に向けた費用が増加したことにより、販売費及び一般管理費が拡大し、営業利益は前年同期比25.4%減少の11億18百万円、経常利益は26.8%減少の11億16百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は63.2%減少の1億82百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境
ソリューション事業
その他
計
売
上
高
当第1四半期
連結累計期間
27,759
18,125
23,089
2,709
71,683
前第1四半期
連結累計期間
24,736
16,547
24,232
2,110
67,628
増減額
3,022
1,577
△1,142
598
4,055
増減率(%)
12.2
9.5
△4.7
28.4
6.0
<参考:セグメント別受注高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境
ソリューション事業
その他
計
受
注
高
当第1四半期
連結累計期間
27,208
21,154
46,399
1,767
96,529
前第1四半期
連結累計期間
26,855
21,512
29,687
2,730
80,785
増減額
352
△358
16,712
△962
15,743
増減率(%)
1.3
△1.7
56.3
△35.3
19.5
1.DXソリューション事業(277億59百万円:前年同期比12.2%増):
子会社において新型コロナ関連ビジネスなどの売上が減少しましたが、豊富な受注残を背景に、DX技術を活用した働き方改革分野など中期経営計画における注力領域に加えて、既存領域も増加するなど、前第4四半期からの強さが継続し売上高は前年同期比12.2%増加の277億59百万円となりました。
2.ネットワークソリューション事業(181億25百万円:前年同期比9.5%増):
通信事業者向けは設備投資抑制の影響などを受けましたが、豊富な受注残から、主に海洋や宇宙関連などの社会基盤事業が拡大し、売上高は前年同期比9.5%増加の181億25百万円となりました。
3.社会・環境ソリューション事業(230億89百万円:前年同期比4.7%減):
受注残の売上計上時期が今期においては第2四半期以降に偏重している影響により、売上高は前年同期比4.7%減少の230億89百万円となりました。
※1 DX:
Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企
業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。
※2 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
<セグメントの概要>
セグメント
主な事業内容
DXソリューション事業
主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー
ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、
最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー
ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供
ネットワークソリューション事業
主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供
社会・環境ソリューション事業
主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業
その他
主に情報通信機器等の仕入販売
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ182億63百万円減少し、2,487億36百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ178億5百万円減少し、2,029億30百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権が合計で350億62百万円減少した一方、現金及び預金が144億35百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ4億57百万円減少し、458億6百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ147億84百万円減少し、1,065億1百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金、電子記録債務が合計で126億96百万円減少したほか、未払法人税等が33億76百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ34億78百万円減少し、1,422億35百万円となりました。これは主に、配当金の支払等により利益剰余金が32億43百万円減少したことなどによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ144億35百万円増加し、829億84百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は209億27百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると46億56百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、24億75百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得などによるもので、前年同期と比べると8億13百万円の減少となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、184億51百万円の増加となりました。前年同期と比べると38億43百万円の増加となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、40億67百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前年同期と比べると8億17百万円の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を23円にしたことにより、34億4百万円の支払となっております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億57百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注および販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。
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