【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、為替の急激な変動やウクライナ情勢の長期化などに伴う資源・エネルギー価格の上昇などにより、その先行きは不透明な状況となっております。
このような経済環境下、当社の事業領域においては、円安や依然として継続する半導体や各種部材不足による影響などが続き、お客様の投資意欲も分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。
企業においては、新型コロナウイルス感染症対策を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用した新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、設備投資抑制の動きが顕在化してきた一方で、DX活用などによるコスト削減、オペレーション効率化分野へのニーズが高まっております。官庁・自治体、公益関連においては、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きが見られたとともに、官庁・自治体における働き方改革への動きも顕在化してきました。
こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代に向けて、コンサルテーションを軸に顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。
DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、DX技術の積極的な活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組んでおります。そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化するとともに、ニーズが高まる官庁・自治体向けには、自治体DX推進に向け、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースをオープンするなど、企業向けのみならず、官庁・自治体における働き方改革ニーズへの対応を強化いたしました。
5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、ローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、技術拠点である新川崎テクニカルベースにおいて、ローカル5G(Sub6帯)の商用局免許を取得し、ローカル5G環境を活用した技術者の育成を強化するなど、5Gの事業体制をより一層強化いたしました。
社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動に関しては、全ての事業を気候変動対応の視点で見直し、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、蓄電池開発のスタートアップとの資本業務提携を行うなど取り組んできました。また、2021年12月にTCFDへの賛同を表明し、2022年6月にTCFDフレームワークに基づく情報開示を開始いたしました。なお、これらの取り組みを推進していくための全社横断組織として、2022年4月に「カーボンニュートラル推進本部」を設置いたしました。
このような、自社実践と共創実践、気候変動対応の取り組みをより加速すべく、ローカル5Gなどの高度なネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として、2023年の2月に新本社ビルに移転することも決定し、準備を進めております。
このようにサステナブルな成長に向けた取り組みを進める一方で、当四半期累計期間においては、急激な円安の進行にともない、海外から調達している製品やサービスにおけるコスト上昇などの影響が生じました。
これらの結果、当四半期累計期間における連結業績は、
売上高 2,218億81百万円(前年同期比 1.4%増加)
営業利益 111億74百万円(前年同期比 8.2%減少)
経常利益 112億 6百万円(前年同期比 10.5%減少)
親会社株主に帰属する四半期純利益 61億11百万円(前年同期比 20.5%減少)
<参考>
受注高 2,499億61百万円(前年同期比 2.6%増加)
となりました。
売上高は、通信事業者向けの減少や、案件の長期化に伴い、一部プロジェクトにおける期ずれの影響などがあったものの、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※2)サービスなどが増加し、前年同期比1.4%増加の2,218億81百万円となりました。なお、受注高は、通信事業者向けが減少したものの、注力領域であるDX/次世代ネットワーク分野を中心に全セグメントで堅調に拡大し、前年同期比2.6%増加の2,499億61百万円となりました。
利益面では、ミャンマーにおけるプロジェクトで計上していた受注損失引当金の一部戻入や中期経営計画に基づいた提供サービスの高付加価値化や効率化の取り組みの進展があった一方で、付加価値が低い機器中心の案件の一時的な増加や既存サービスの収益性低下による売上ミックスの悪化、急激な円安の進行により調達コストが高騰した影響、タイの通信インフラプロジェクトにおける損失の計上、さらには今後の成長に向けた新事業創出に関わるリソースの強化に伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益は前年同期比8.2%減少の111億74百万円、経常利益は10.5%減少の112億6百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は20.5%減少の61億11百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション
事業
社会・環境
ソリューション
事業
その他
計
売
上
高
当第3四半期
連結累計期間
80,202
55,511
80,598
5,569
221,881
前第3四半期
連結累計期間
77,728
57,347
79,252
4,496
218,824
増減額
2,474
△1,835
1,346
1,072
3,057
増減率(%)
3.2
△3.2
1.7
23.9
1.4
<参考:セグメント別受注高>
(単位:百万円)
DX
ソリューション事業
ネットワーク
ソリューション
事業
社会・環境
ソリューション
事業
その他
計
受
注
高
当第3四半期
連結累計期間
89,517
61,594
92,613
6,236
249,961
前第3四半期
連結累計期間
87,755
61,134
91,193
3,438
243,522
増減額
1,761
460
1,420
2,798
6,439
増減率(%)
2.0
0.8
1.6
81.4
2.6
1.DXソリューション事業(802億2百万円:前年同期比3.2%増):
一部期ずれの影響によりSI/工事分野は減少しましたが、注力領域であるDX技術を活用した働き方改革などのサービス事業が拡大し、売上高は前年同期比3.2%増加の802億2百万円となりました。
2.ネットワークソリューション事業(555億11百万円:前年同期比3.2%減):
海洋通信事業は増加しましたが通信事業者向けが減少し、売上高は前年同期比3.2%減少の555億11百万円となりました。
3.社会・環境ソリューション事業(805億98百万円:前年同期比1.7%増):
ICT機器のキッティング案件や海外通信インフラ構築案件などSI/工事領域が増加し、売上高は前年同期比1.7%増加の805億98百万円となりました。
※1 DX:
Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。
※2 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
<セグメントの概要>
セグメント
主な事業内容
DXソリューション事業
主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー
ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、
最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー
ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供
ネットワークソリューション事業
主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供
社会・環境ソリューション
事業
主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業
その他
主に情報通信機器等の仕入販売
当社の組織再編を2022年4月1日付で実施したことに伴い、「デジタルソリューション事業」「ネットワークインフラ事業」および「エンジニアリング&サポートサービス事業」としていた報告セグメントを、2023年3月期から「DXソリューション事業」「ネットワークソリューション事業」および「社会・環境ソリューション事業」に変更することといたしました。
なお、前第3四半期連結累計期間に係る報告セグメントに関する情報につきましても、当該事象による変更を反映したものに組替えて開示しております。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ82億66百万円減少し、2,464億35百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ125億34百万円減少し、2,016億27百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産が87億72百万円減少したほか、現金及び預金が115億99百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ42億67百万円増加し、448億7百万円となりました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ91億82百万円減少し、1,073億69百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金が42億64百万円減少したほか、未払法人税等が35億71百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ9億15百万円増加し、1,390億65百万円となりました。これは主に、利益剰余金が8億88百万円減少した一方、その他有価証券評価差額金が4億63百万円増加したことなどによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ115億99百万円減少し、681億32百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は15億17百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると116億4百万円の資金の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、38億64百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得などによるもので、前年同期と比べると37百万円の資金の増加となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、23億46百万円の資金の減少となりました。前年同期と比べると115億67百万円の資金の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、94億52百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前年同期と比べると41億44百万円の資金の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を24円、中間の1株当たり配当金を23円にしたことにより、前年同期と比べると10億41百万円増加し、69億84百万円の支払となっております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7億17百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注および販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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