【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、急速に進行する円安やウクライナ情勢の長期化などに伴う資源・エネルギー価格の上昇、依然として継続する半導体や各種部材不足の影響などにより、その先行きは不透明な状況となっております。
このような経済環境下、当社の事業領域においては、円安による影響など厳しい状況が続きましたが、投資意欲は全般としては堅調に推移いたしました。
企業においては、新型コロナウイルス感染症対策を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用した新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、トラフィックの増加に対応した通信品質の改善に向けた設備投資が継続する一方で、コスト削減、オペレーション効率化のニーズも高まっております。官庁・自治体、公益関連においては、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きが活発化してくるとともに、官庁・自治体における働き方改革への動きも顕在化いたしました。
こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代に向けて、コンサルテーションを軸に顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。
DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、DX技術の積極的な活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組んでおります。そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化するとともに、ニーズが高まる官庁・自治体向けには、自治体DX推進に向け、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースをオープンするなど、企業向けのみならず、官庁・自治体における働き方改革ニーズへの対応を強化いたしました。
5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、ローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、技術拠点である新川崎テクニカルベースにおいて、ローカル5G(Sub6帯)の商用局免許を取得し、ローカル5G環境を活用した技術者の育成を強化するなど、5Gの事業体制をより一層強化いたしました。
社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動に関しては、全ての事業を気候変動対応の視点で見直し、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、2021年12月にTCFDへの賛同を表明し、2022年6月にTCFDフレームワークに基づく情報開示を開始いたしました。また、これらの取り組みを推進していくための全社横断組織として、2022年4月に「カーボンニュートラル推進本部」を設置いたしました。
このような、自社実践と共創実践、気候変動対応の取り組みをより加速すべく、ローカル5Gなどの高度なネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として、2023年の年明けに新本社ビルに移転することも決定し、準備を進めております。
このようにサステナブルな成長に向けた取り組みを進める一方で、当四半期累計期間においては、急激な円安の進行を受け、海外から調達している製品やサービスにおけるコスト上昇などの影響が生じました。
これらの結果、当四半期累計期間における連結業績は、
売上高 1,426億86百万円(前年同期比 1.2%増加)
営業利益 46億43百万円(前年同期比 39.1%減少)
経常利益 47億62百万円(前年同期比 39.6%減少)
親会社株主に帰属する四半期純利益 26億99百万円(前年同期比 42.6%減少)
<参考>
受注高 1,723億53百万円(前年同期比 3.9%増加)
となりました。
売上高は、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※2)サービスなどが増加し、前年同期比1.2%増加の1,426億86百万円となりました。なお、受注高は、注力領域であるDX/次世代ネットワーク分野を中心に全セグメントで拡大し、前年同期比3.9%増加の1,723億53百万円となりました。
利益面では、中期経営計画に基づいた提供サービスの高付加価値化や効率化の取り組みは進展している一方、急激な円安の影響で調達コストが高騰したことや、海外現地法人において損失を計上したこと、さらには今後の成長に向けた新事業創出に関わるリソースの強化に伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益は前年同期比39.1%減少の46億43百万円、経常利益は39.6%減少の47億62百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は42.6%減少の26億99百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>
(単位:百万円)
DXソリューション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境ソリューション事業
その他
計
売
上
高
当第2四半期
連結累計期間
51,915
36,286
50,920
3,563
142,686
前第2四半期
連結累計期間
51,257
36,919
49,273
3,510
140,961
増減額
658
△632
1,646
53
1,725
増減率(%)
1.3
△1.7
3.3
1.5
1.2
<参考:セグメント別受注高>
(単位:百万円)
DXソリュー
ション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境ソリューション事業
その他
計
受
注
高
当第2四半期
連結累計期間
61,603
44,005
63,190
3,554
172,353
前第2四半期
連結累計期間
61,062
40,978
61,509
2,370
165,922
増減額
540
3,026
1,680
1,183
6,431
増減率(%)
0.9
7.4
2.7
49.9
3.9
1.DXソリューション事業(519億15百万円:前年同期比1.3%増):
SI/工事分野が一部下期へ期ずれした影響により減少しましたが、注力領域であるDX技術を活用した働き方改革などのサービス事業が拡大し、売上高は前年同期比1.3%増加の519億15百万円となりました。
2.ネットワークソリューション事業(362億86百万円:前年同期比1.7%減):
半導体・各種部材不足による製品調達遅れの影響などにより、売上高は前年同期比1.7%減少の362億86百万円となりました。
3.社会・環境ソリューション事業(509億20百万円:前年同期比3.3%増):
半導体・各種部材不足による製品調達遅れの影響は継続しましたが、受注残の着実な取り込みにより、売上高は前年同期比3.3%増加の509億20百万円となりました。
※1 DX:
Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。
※2 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
<セグメントの概要>
セグメント
主な事業内容
DXソリューション事業
主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー
ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、
最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー
ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供
ネットワークソリューション事業
主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供
社会・環境ソリューション事業
主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業
その他
主に情報通信機器等の仕入販売
当社の組織再編を2022年4月1日付で実施したことに伴い、「デジタルソリューション事業」「ネットワークインフラ事業」および「エンジニアリング&サポートサービス事業」としていた報告セグメントを、2023年3月期から「DXソリューション事業」「ネットワークソリューション事業」および「社会・環境ソリューション事業」に変更することといたしました。
なお、前第2四半期連結累計期間に係る報告セグメントに関する情報につきましても、当該事象による変更を反映したものに組替えて開示しております。
(2)資本の財源および資金の流動性
(資産)
当第2四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ87億96百万円減少し、2,459億5百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ126億79百万円減少し、2,014億82百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産が202億25百万円減少した一方、現金及び預金が31億57百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ38億83百万円増加し、444億23百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ88億2百万円減少し、1,077億49百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金が87億59百万円減少したほか、未払法人税等が15億20百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ6百万円増加し、1,381億56百万円となりました。これは主に、利益剰余金が8億75百万円減少した一方、その他有価証券評価差額金が6億63百万円増加したことなどによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ31億57百万円増加し、828億89百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は105億円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると57億45百万円の資金の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、23億76百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得などによるもので、前年同期と比べると2億55百万円の資金の増加となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、81億23百万円の資金の増加となりました。前年同期と比べると54億89百万円の資金の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、51億61百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前年同期と比べると31億4百万円の資金の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を24円にしたことにより、前年同期と比べると4億46百万円増加し、35億68百万円の支払となっております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億85百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注および販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。
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