【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における日本経済は、ウクライナ情勢の悪化による世界的な物価高騰等の影響を受けたものの、ウィズコロナの下で経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。海外においても、各国で経済活動の再開が段階的に進み、景気は緩やかに回復しましたが、金融引締めにより需要の低下や世界経済の下振れが顕在化しました。このような状況のもと、当社グループにおきましては、エンバイロメント事業では、中国における経済活動の抑制等が影響したものの、世界全体の乗用車・トラックの販売台数はほぼ横ばいであったことから、自動車関連製品の出荷は前期並みに推移しました。デジタルソサエティ事業では、半導体投資やデータセンター投資の減少等に伴い、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の電子部品の出荷が減少しました。エネルギー&インダストリー事業では、がいしや加熱装置を中心に出荷が増加しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は、半導体製造装置用製品などの物量が減少したものの、為替円安によるプラス効果から前期比9.6%増の5,592億40百万円となりました。利益面では、営業利益は為替円安によるプラス効果があったものの、物量減に加え、インフレに伴う労務費上昇や原燃料価格高騰が影響し、同20.1%減の667億61百万円となりました。経常利益は営業利益の減少や関係会社清算損などにより同23.6%減の658億87百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、法人税等還付税額等を計上した一方、エンバイロメント事業の生産能力適正化に伴う減損損失等を計上したことなどから同22.3%減の550億48百万円となりました。当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が減少したこと等から9.0%(前年同期比3.9ポイント悪化)となり、目標である10%以上の水準を下回りました。今後は資本効率の向上等を通して、ROEの改善・向上に努めてまいります。
セグメントの業績は次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕当事業の売上高は、3,207億87百万円と前期に比して9.6%増加いたしました。中国における経済活動の抑制等が影響したものの、自動車関連製品の出荷は前年並みで推移したほか、為替円安のプラス効果により増収となりました。営業利益は、為替円安のプラス効果があったものの、インフレに伴う労務費上昇や原燃料価格高騰による費用の増加などから前期比22.0%減の507億28百万円となりました。
〔デジタルソサエティ事業〕当事業の売上高は、1,631億92百万円と前期に比して8.6%増加いたしました。半導体投資やデータセンター投資の抑制等に伴い、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の出荷が減少したものの、為替円安のプラス影響により増収となりました。営業利益は、為替円安のプラス効果があったものの、出荷物量の減少に加え、減価償却費の増加などにより前期比11.6%減の175億57百万円となりました。
〔エネルギー&インダストリー事業〕当事業の売上高は、777億68百万円と前期に比して11.3%増加いたしました。がいしは、国内電力会社の設備投資抑制が継続したものの、北米・豪州の需要が活況であったことなどから出荷が増加しました。NAS®電池は、国内を中心に出荷が増加しました。産業機器関連製品はリチウムイオン電池正極材用の加熱装置を中心に出荷が増加しました。損益面では、出荷物量が増加したものの、原材料価格高騰の影響により、前期14億6百万円の営業損失から15億36百万円の営業損失に赤字が拡大しました。
なお、当連結会計年度より、組織変更に伴い「エネルギーインフラ事業」、「セラミックス事業」、「エレクトロニクス事業」及び「プロセステクノロジー事業」としていた報告セグメントを「エンバイロメント事業」、「デジタルソサエティ事業」及び「エネルギー&インダストリー事業」に変更しており、各セグメントの前期比につきましては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた上で算出しております。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業(百万円)
315,220
96.5
デジタルソサエティ事業(百万円)
178,375
114.2
エネルギー&インダストリー事業(百万円)
83,731
123.1
合計(百万円)
577,327
104.8
(注)1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。2.上記は、販売価格をもって表示しております。3.セグメント間取引については、相殺消去しております。
②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業
320,485
109.4
2,903
90.7
デジタルソサエティ事業
163,104
92.5
92,632
107.1
エネルギー&インダストリー事業
82,804
98.6
60,674
114.8
合計
566,394
102.4
156,210
109.6
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業(百万円)
320,783
109.6
デジタルソサエティ事業(百万円)
163,164
108.6
エネルギー&インダストリー事業(百万円)
75,292
111.6
合計(百万円)
559,240
109.6
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し4.7%増加し1兆291億68百万円となりました。流動資産は、売掛金が減少した一方、現金及び預金や棚卸資産などが増加したことから、前期比8.8%増の5,737億18百万円となりました。固定資産は、前期並みの4,554億49百万円となりました。流動負債は、短期借入金や契約負債が増加した一方、未払法人税等が減少したことなどから、前期比1.5%減の1,495億7百万円となりました。固定負債は、社債が増加した一方、長期借入金などが減少したことにより、同1.8%減の2,372億14百万円となりました。純資産は、利益剰余金が増加したほか、為替換算調整勘定が増加したことなどから、前期比9.0%増の6,424億46百万円となりました。これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は61.7%(前連結会計年度末59.3%)となり、1株当たり純資産は2,074.66円と、前期を203.44円上回りました。
セグメントごとの資産は、次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕当事業の総資産は、売上債権や資金が増加したことなどにより、前期比0.8%増加の4,786億75百万円となりました。〔デジタルソサエティ事業〕当事業の総資産は、棚卸資産が増加したほか、増産投資により有形固定資産が増加したことなどにより前期比7.9%増加の1,990億77百万円となりました。〔エネルギー&インダストリー事業〕当事業の総資産は、資金が減少したことなどにより前期比1.5%減少の927億41百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による979億49百万円の収入、投資活動による520億6百万円の支出、及び財務活動による345億68百万円の支出などにより、前期末に比し140億8百万円増加し、当期末残高は1,688億63百万円となりました。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産が増加しましたが、税金等調整前当期純利益575億22百万円に減価償却費を加え、合計では979億49百万円の収入となりました。前期との比較では、31億18百万円の収入増となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、自動車関連製品を中心とした設備投資に加え、有価証券の取得や定期預金の増加による支出もあり、合計で520億6百万円の支出となりました。前期との比較では、57億15百万円の支出増となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、将来の設備投資やカーボンニュートラルへの取組みなどへ充当するため長期借入及び社債の発行を実施した一方、長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得などによる支出から、合計で345億68百万円の支出となりました。前期との比較では、106億95百万円の支出減となりました。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 [連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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