【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る各種行動制限や海外からの入国制限が解除されたことから、国内経済活動の正常化とインバウンド需要の回復が進み、個人消費や雇用環境にも持ち直しの動きがみられる等、内需を中心に景況感の改善が続いております。
一方で、国外では、ウクライナ情勢の長期化による原材料・エネルギー価格の高止まりに加え、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の低迷等、海外景気の下振れがわが国経済に及ぼす影響が懸念されるほか、国内でも物価上昇が加速しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する不動産業界においても、建築資材の高騰や人員の不足、さらには金融政策の見直しによる住宅ローン金利への影響等、懸念材料が増えつつあります。
このような状況のなか、当社は2021年2月に策定した第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」のもと、「転換&飛躍」を基本方針として、いかなる経済環境にも耐えうる強固な経営基盤を確立し、企業価値の最大化により持続的な成長を目指しております。
①第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」の進捗状況及び修正計画
2021年に実施した中部電力株式会社(以下「中部電力」といいます。)への第三者割当増資による連結子会社化によって、当社の信用力は大きく向上しました。加えて、株式会社ピカソ及び同社グループ会社7社(以下「ピカソグループ」といいます。)の子会社化等により安定した賃貸収入を確保することで、計画の基本方針としてきた「転換」は順調に進展しております。
中期経営計画最終年度となる当期は、「転換」から「飛躍」への仕上げの期であり、過去最高となる業績計画の達成と中部電力グループシナジーの発展を果たすべく取り組んでおり、後述する中部電力グループとの共同事業も実績が積み上がりつつあります。また、2023年2月公表の不動産賃貸事業等を手掛ける株式会社四条大宮ビルの子会社化が2023年7月31日に完了し、ストック収益のさらなる強化に寄与する見通しです。
他方、当社グループでは、親会社である中部電力との連携を強化し、中部電力グループ全体としてシナジー効果の一層の発揮のために、決算期を中部電力と同じ3月に変更することといたしました。2023年11月29日開催予定の臨時株主総会で現行定款の一部変更(事業年度の末日の変更)に係る議案が承認されることを条件として、決算期変更の経過期間となる当期は、2023年1月1日から2024年3月31日までの15ヶ月決算となる予定です。これに伴い現行の第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」は修正しておりますが、基本方針に変更はありません。また、次回の期末配当(基準日2024年3月31日)につきましても38円から10円増額し、48円とする予定です。
第4次中期経営計画の詳細は下記のとおりとなります。
(ア)経営戦略基本方針
・想定外の経済環境の変化に耐えうる事業基盤を確立する。
いかなる経済環境下においても資金調達力を維持することができる、堅固な事業及び財務基盤を確立させること。
・収益構造の変換と事業領域の拡大を同時に実現する。
不動産賃貸事業の拡大により、フロー収益重視からストック収益重視への収益構造の転換を図ると同時に、事業の多様化及び事業展開地域の拡大を実現させること。
(イ)基本方針 「転換&飛躍」
「転換」
・長期収益不動産への積極投資、BS構造の改善
・フロー重視の経営からストック重視の経営へと転換
「飛躍」
・中部電力グループシナジーの発展
・売上高1,200億円、営業利益180億円の達成(修正後中期経営計画最終年度)
(ウ)経営戦略
・持続的かつ安定収益構造への転換
・事業の多様化、エリア戦略による既存コア事業の安定成長
・事業の多様化、エリア戦略による新規事業のコア化
・新領域の挑戦
・日本エスコングループシナジー強化
・5大都市を中心とした拠点拡大
・中部電力グループシナジー強化
・ESGの推進
(エ)修正後業績計画
(単位:百万円)
業績計画
2021年12月期
(第27期)
2022年12月期
(第28期)
2023年
(第29期)
実績
実績
期初計画
(12ヶ月)
(A)
修正計画
(15ヶ月)
(B)
B-A
増減
B-A
増減率
(%)
売上高
79,017
99,431
110,000
120,000
10,000
9.1
不動産販売事業
70,334
86,531
94,800
100,000
5,200
5.5
分譲事業
45,050
58,532
61,900
69,000
7,100
11.5
分譲マンション
販売戸数(戸)
1,020
1,185
1,164
1,268
104
8.9
分譲事業以外
25,283
27,999
32,900
31,000
△1,900
△5.8
不動産賃貸事業
8,090
11,824
14,200
19,000
4,800
33.8
不動産企画仲介コン
サル事業
592
1,074
1,000
1,000
-
-
営業利益
10,381
15,492
16,200
18,000
1,800
11.1
経常利益
9,099
14,012
14,200
15,500
1,300
9.2
親会社株主に帰属する
当期純利益
5,961
7,250
9,400
10,000
600
6.4
(オ)修正後経営目標
経営目標
2021年12月期
2022年12月期
2023年
実績
実績
当初計画
(12ヶ月)
①
修正計画
(15ヶ月)
②
②‐①増減
賃貸利益割合
(注)1
21.2%
21.5%
30.0%
28.0%
△2ポイント
ROE(自己資本
利益率)
11.8%
11.3%
13.0%
15.0%
2ポイント
ROIC(投下資本利益率)
3.2%
4.6%
4.0%
4.0%
-
自己資本比率
24.8%
25.0%
21.0%
20.0%
△1ポイント
長期収益不動
産割合(注)2
20.6%
19.5%
23.0%
21.0%
△2ポイント
純資産額
626億円
641億円
720億円
710億円
△10億円
(注)1 賃貸利益割合:賃貸セグメント利益/セグメント利益合計(調整額除く)
2 長期収益不動産割合:固定資産計上の賃貸収益不動産/総資産
(カ)修正後投資計画
(単位:億円)
投資計画
2021年
2022年
2023年
3カ年
累計
(12ヶ月)
①
3カ年
累計
(15ヶ月)
②
②‐①
増減
実績
実績
期初計画
(12ヶ月)
修正計画
(15ヶ月)
グロス投資額
959
369
880
972
2,209
2,300
91
収益不動産への投資
767
108
657
665
1,533
1,540
7
収益不動産開発
への投資
56
36
100
128
193
220
27
中期収益不動産
への投資
337
56
337
292
731
685
△46
長期収益不動産
への投資
373
15
220
247
608
635
27
その他開発への投資
191
261
223
308
675
760
85
回収額
48
65
187
167
300
280
△20
ネット投資額
911
304
693
805
1,908
2,020
112
②中部電力グループとのシナジー効果発揮状況
中部電力の100%子会社である中電不動産株式会社との共同事業として、現在5プロジェクト目となる「TSUNAGU GARDEN 千里藤白台(大阪府吹田市藤白台)」の開発が進行中です。本プロジェクトは、約2万坪の土地に集合住宅、戸建て住宅、クリニックモール、認可保育園、商業施設、及び公園を一体開発し、「多世代共生型新街区」へ整備する同社と取り組む初の複合開発事業であり、事業名称には、「つながり、つづく暮らしの未来。」というコンセプトのもと、自然、多世代、暮らし、環境、安心安全がつながりあう、というメッセージが込められております。この新しいまちの第一弾の取組みとして、分譲マンション「レ・ジェイドシティ千里藤白台(総戸数244戸)」の開発がスタートしております。
中部電力との共同事業としては、現在2つのプロジェクトが進行中です。2022年8月に、名古屋競馬場跡地の開発事業において、中部電力を代表法人とし、当社も構成メンバーとして参画する事業者グループ(以下「当該事業者グループ」といいます。)が当該事業に係る基本計画協定を締結しました。また、同年9月には、愛知県が募集する「カーボンニュートラルの実現に向けた事業・企画アイデア」に対し、当該事業者グループは愛知県産木材の活用等の企画・応募を行った結果、「建築物木材利用促進協定」を同県で初めて締結しております。
また、中部電力及び株式会社スプレッド(以下、「スプレッド」といいます。)とともに「合同会社TSUNAGU Community Farm」を設立し、世界最大規模となる1日10トンのレタスを生産できる完全人工光型植物工場「テクノファーム袋井」の建設を行っております。2024年2月の生産開始に向け、中部電力のエネルギー管理に関するノウハウ、当社の不動産開発力、スプレッドの栽培技術を融合し、効率的かつ安定的に、「安心・安全」なレタスの生産に向け取組んでおります。
引き続き中部電力グループとの連携を強化し、大型まちづくりや「新しいコミュニティの形」の実現に向けて積極的に取組んでまいります。
③北海道における事業の進捗
2023年3月、当社がネーミングライツ契約を締結している、北海道北広島市に建設された北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールドHOKKAIDO)」が開業いたしました。当社は、新球場を核とした北海道ボールパークFビレッジ(総開発面積約36.7ha、以下「Fビレッジ」といいます。)におけるまちづくり構想に参画しており、新球場から直線距離約80mの希少立地に分譲した「レ・ジェイド北海道ボールパーク(総戸数118戸)」は好評のうちに完売となりました。さらに、Fビレッジの南東の一角において開発に着手しているメディカルモールを併設したアクティブシニア向けのレジデンスは「マスターズヴェラス北海道ボールパーク」に名称が決定し、メディカルモール「Fビレッジ メディカルスクエア」のテナント6店舗も内定しました。建物は2024年春の完成、同年6月より入居を開始する予定です。
また、Fビレッジへの重要なアクセス拠点としてさらなる期待が集まるJR北広島駅での「駅西口周辺エリア活性化事業」について、当社は事業パートナーとして開発を推進しております。2021年11月に続き2023年3月にも同事業における開発用地の一部を取得し、北広島駅の目の前の「駅前広場」、商業施設とホテルからなる「複合交流拠点施設」、屋内外の「立体的広場・公園」、「居住交流施設」の開発を行っております。この開発事業の内、商業施設及びホテルは地上14階建てとし、1階から3階を占める当該商業施設の名称を「tonarie北広島」に決定しました。「tonarie北広島」は、2025年3月の開業予定であり、「KITAHIRO“The GOOD” BASE」のコンセプトのもと、地元産の食材や製品、地域食材の味覚が楽しめる飲食店、そして市内で行われるエンターテイメントを提供し、「食・居・楽・美・医」のあらゆる分野の店舗、空間を備え、「北広島」を愉しんでいただける施設を目指してまいります。当社の商業施設ブランド「tonarie」シリーズとしては11施設目となります。
同市以外においても、昨年以降、当社において札幌市内初となる分譲マンション「レ・ジェイド札幌元町(札幌市東区、総戸数39戸)」が完売したほか、分譲マンション「レ・ジェイド札幌苗穂(札幌市東区、総戸数42戸、2024年2月竣工予定)」や千歳市における物流施設の開発等、北海道での事業が順調に進捗しております。
引き続きスポーツや文化振興等にも協力し、北海道地域の皆様に喜ばれるよう、地域全体の活性化と発展に貢献してまいります。
④不動産開発を通じた地方創生・地域活性化への取組み
2022年2月から、福島県いわき市において、いわき駅並木通り地区市街地再開発組合及び株式会社フージャースコーポレーションとともに住宅・商業・駐車場棟一体の「並木の杜シティ」開発プロジェクトとして、同駅周辺にさらなる賑わいを創出するべく再開発を行っております。同年11月には、住宅棟について同市最高層のバリアフリー仕様・免震構造タワーマンションとして、「ミッドタワーいわき」の名称で販売を開始しております。
また、長崎県大村市での西九州新幹線「新大村」駅周辺の開発事業において、大和ハウス工業株式会社、株式会社イズミとともに3社で構成する事業者グループの構成員として、2022年3月に大村市と基本協定を締結し、2023年3月に事業用地を取得しました。当該事業は「SAKURA MIRAI SHIN OMURA(サクラミライ新大村)」に名称が決定し、2022年9月の駅開業に伴い、大村市のまちづくり方針に沿って住民や市外からの来訪者が交流できる分譲マンションや商業施設等を開発する計画です。当社は2区画において、「レ・ジェイド新大村ステーションフロント(総戸数119戸)」及び「レ・ジェイド新大村パークサイド(同72戸)」の2棟の分譲マンション開発を行っており、2棟ともに外観は水平、垂直方向だけの床や壁で構成するのではなく、樹木が成長していく過程で屈折しながら上へと伸びる様を彷彿とさせる有機的なデザインとし、周辺の豊かな自然との調和を図ります。
さらに、2023年2月には「tonarie宇都宮(栃木県宇都宮市)」を地域のさらなる活性化に貢献できる施設へとリニューアルいたしました。同年3月に「星田駅北土地区画整理事業」(施行面積約26.4ha)区域内において、MIRARTHホールディングス株式会社との共同事業として開発に着手した地域密着型ショッピングセンター「tonarie星田(大阪府交野市)」が開業しており、周辺では分譲マンション、戸建住宅、事業所等の産業施設の開発が計画され、今後の発展が見込まれます。
⑤希少立地における多様な分譲マンション開発の推進
単に分譲戸数を拡大することではなく、仕入れた用地が持つ価値を最大限に引き出す商品企画を軸に多様な展開を行っております。
2023年1月、長野県北佐久郡軽井沢町に事業用地を取得しました。軽井沢の豊かな自然に囲まれた立地であり、同地における開発物件としては2棟目になります。1棟目の「オストレジデンス軽井沢(総戸数33戸、2021年完売)」は、上質な商品企画が評価され、2022年度グッドデザイン賞を受賞しております。
また、神奈川県三浦郡葉山町において2つの事業用地を取得しており、「森戸海岸」等豊かな自然環境を最大限活かした分譲マンション開発に取組むほか、東京都千代田区景観まちづくり重要物件に指定された歴史的建造物「東方学会本館」の隣接地で開発中の定期借地権付新規分譲マンション「レ・ジェイド クロス 千代田神保町(総戸数50戸、2023年10月竣工予定)」は2022年12月に早期完売を実現、2023年8月には鎌倉材木座海岸から徒歩4分の立地において「グラン レ・ジェイド鎌倉材木座 璃久(総戸数15戸)」のご案内を開始する等、付加価値の高い商品企画を推進しております。
さらに、当社は住まいという「一生もの」を創り出す企業として、分譲マンション開発に関する品質管理指針「IDEAL CONPASS」を策定し、分譲マンションにお住まいいただく方の生活をサポートする長期アフターサービス「Escon Premium After Support」の提供を開始する等の取組みを行っており、よりお客様が安心・安全、快適と感じていただける住まいを引き続き提供してまいります。
⑥戦略的なM&Aの実施
2023年2月公表のとおり、2021年10月のピカソグループに続いて、不動産賃貸事業等を手掛ける株式会社四条大宮ビルの子会社化を2023年7月に完了しました。同社は京都市において2010年に創業、同市を中心に不動産賃貸事業を展開しており、賃貸マンションや商業施設等、優良な収益資産を多数保有しております。
引き続き、戦略的なM&Aを積極的に展開し、当社グループの事業強化・領域拡大を図ってまいります。
⑦新領域への挑戦
第4次中期経営計画に「新規事業のコア化」「新領域の挑戦」を掲げ、事業内容の多角化、次世代を見据えた取組みを進めております。
当社が首都圏において初めて開発したオフィスビル「ESCON九段北ビル」が2022年11月に竣工しました。眺望を最大限に活かした、この場所でしかできない「体験型のオフィス」を命題とする新たなオフィスビルのかたちを具現化しており、2023年度グッドデザイン賞を受賞しております。
2022年12月に当社として海外初の戸建開発プロジェクトとなるタイ王国の不動産デベロッパーOrigin Property Public Company Limitedの子会社Britania Public Company Limitedが進めるプロジェクトに出資及び参画したほか、2023年1月には戦略事業本部に海外事業部を設置し、海外での事業展開を強化、同年7月には沖縄での今後の本格的な事業展開を念頭に沖縄支店開設準備室を設置する等、新たな事業領域・エリアへの展開を進めております。
また、2023年9月に兵庫県姫路市において、当社初のクリニックモール開発事業である「tonarie medical姫路夢前川」を開業しました。地域の方にとってより身近なクリニックモールであり、新しい取組みとなるものです。
引き続き、次代を見据えた新たな事業分野への取組みに注力し、多面的に不動産ビジネスを展開いたします。
⑧気候関連財務情報開示タスクフォース提言への賛同表明及び情報開示
当社は2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向け、次世代型まちづくり等、新たな環境価値を創造する
ことを目指しております。
気候変動課題を経営の重点戦略の一つと捉え、経営層及び全社各部署から選抜したESG推進グループメンバ
ーが一体となり、「気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析するとともに、その情報開示を推進する」と
いう気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」といいます。)提言の枠組みに基づく情報開示に
向け取組んでおります。また、当社グループは2022年6月にTCFDへの賛同を表明いたしました。
TCFD提言に基づく情報開示(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目
標)の詳細については、当社ホームページ(https://www.es-conjapan.co.jp/esg/environment.html)をご参照
ください。
⑨ESG活動の取組み状況
当社における重要な経営戦略として「ESG推進による社会課題への対応」を掲げております。「ESG推進
グループ」及び健康経営をより促進するための「健康文化醸成チーム」を中心に全社で取組みを推進し、財務情
報だけでは測れない本質的な企業価値向上に注力いたします。
直近の主要な取組み内容は以下のとおりです。
(ア)環境「E」
・各種認証取得
当社は、2020年5月に環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)である「エコアクション21」の認証を取得しているほか、当社が保有する商業施設「tonarieふじみ野」について、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構より認定を受けたCASBEE(※1)評価認証機関より、CASBEE不動産評価認証の最高ランクである「Sランク」を取得しております。また、エスコンジャパンリート投資法人(以下「EJR」といいます。)が保有している「tonarie大和高田」「tonarie栂・美木多」「tonarie南千里」「tonarie清和台」「あすみが丘ブランニューモール」の各商業施設について、株式会社日本政策投資銀行よりDBJ Green Building認証を取得しております。上記6物件は、連結子会社である株式会社エスコンプロパティが運営管理を行っており、グループ全体で施設の価値向上に向けて取組んでおります。
※1 Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency / 「建築環境総合性能評価システム」は、建築物の環境性能を評価し格付けするもので、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮等も含めた建物の品質を総合的に評価するシステムです。
・環境に配慮したZEH対応住宅の継続的・積極的な開発
2022年8月に、分譲マンション「レ・ジェイド本川越 コエドテラス(埼玉県川越市、総戸数102戸)」について、優れた断熱性能を有し年間の一次エネルギー消費量削減に資する「ZEH(※2)-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」の認証を取得しております。2021年度グッドデザイン賞を受賞した「レ・ジェイド大倉山(横浜市港北区、総戸数25戸)」、2022年6月に全戸早期契約完売した「レ・ジェイド八尾桜ヶ丘(大阪府八尾市、総戸数72戸)」に続き、当社において3物件目のZEHマンションとなります。
今後も、総合デベロッパーの開発ノウハウを最大限活かし、お客様に評価され、かつ環境に配慮したZEHマンションの開発に積極的に取組みます。
また、2020年11月には、埼玉県内を中心に戸建住宅の販売を行う連結子会社の株式会社エスコンホーム及び株式会社エスコンクラフトにおいて、ZEHビルダー認証登録をしております。
※2 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。
・完全人工光型植物工場の建設・運営「テクノファーム袋井」
前述のとおり、中部電力、スプレッドと協業し、世界最大規模となる1日10トンのレタスを生産できる完全人工光型植物工場「テクノファーム袋井」の開発を進めております。当社を含む3社は、植物工場事業を通じて、食や農業分野の課題を解決するとともに、クリーンエネルギーの積極的な利用や栽培過程におけるCO2の有効活用等、脱炭素化に向けた取組みを進めていくことで、持続可能で暮らしやすい社会の実現とSDGsの達成に貢献してまいります。
・名古屋競馬場跡地の開発事業における木材の使用促進の取組み
②記載の当該事業者グループは、愛知県と「建築物木材利用促進協定」を締結しております。愛知県産木材を積極的に活用する等、当該事業を通じて脱炭素に資する取組みを行ってまいります。
(イ)社会「S」
・一般事業主行動計画の策定
2022年12月には、育児や介護を行う社員の家庭と仕事の両立支援の促進、女性を含めた全ての人材が継続して就業し活躍できる職場づくりを目指し、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間:2023年1月1日~2024年12月31日)を策定し、公表しました。
・「健康経営優良法人 2023」の認定取得
社員の健康は事業活動の礎であり、当社の持続的成長には必要不可欠な要素であると捉え、健康経営の推進を図っております。その結果、社員の健康促進・増進に向けた取組み、働きやすさの向上に向けた取組み、ダイバーシティへの取組みが主に評価され、2023年3月、「健康経営優良法人 2023」に認定されました。
・「企業版ふるさと納税」を活用した北海道北広島市への支援
北海道北広島市のまちづくりのさらなる発展に寄与するとともに、交通、観光、スポーツ及び教育等様々な分野に波及することにより、同市のさらなる発展の一助になればとの想いから、昨年に続き2023年3月に「企業版ふるさと納税」を活用し、同市に3億円を寄附しました。当該資金は将来にわたって活力あるまちを維持していくために活用されます。
・医療への貢献
病気や怪我で苦しんでいる多くの方々のために、iPS細胞による治療を早期にかつ安価で提供実現する活動を支援するため、京都大学「iPS細胞研究基金」に2020年以来寄附を行っております。
また、癌治療薬として期待されている癌ワクチンの治験支援として大阪大学大学院医学系研究科に2019年以来寄附を行い、2022年5月には癌免疫療法の研究を目的に、同研究科が取り組んでいる「癌免疫学」寄附講座の設置にかかる費用について寄附いたしました。
2022年11月には、チャリティイベント「Osaka Great Santa Run 2022」(主催:グレートサンタラン・オーガニゼーション(一般社団法人 OSAKA あかるクラブ内))へ協賛いたしました。当イベントでは、参加費の一部を病気と闘うこどもたちへのプレゼントとして届ける取組みを行っております。
・スポーツ振興への貢献
2021年4月には、プロサッカーチーム「FC琉球」を運営する琉球フットボールクラブ株式会社に出資し、これを通じて沖縄での事業機会創出の橋頭堡とするとともに、同チームの沖縄に密着した地域活性化活動を支援することにより、スポーツ振興を通して地域社会に貢献してまいります。
・人的資本の充実
持続的な成長の実現には組織力の強化が必要であり、そのためには社員又は社員が持つ知識、技能、資質等である「人的資本」のさらなる充実が重要であるとの認識のもと、当社では経営企画本部に人材戦略部を設置するとともに、「人財育成・社員の成長」を加速させていくための指針として「育成基本方針(人財基本要件)」を策定いたしました。この「育成基本方針(人財基本要件)」を全社員が理解し、実践していくための人財育成プログラムを構築し、今期からスタートさせております。また、昨今の物価高の影響や社員のエンゲージメント向上、及び優秀な人財の確保を図るため、2023年4月より給与のベースアップを行っております。
(ウ)ガバナンス「G」
・取締役指名及び報酬に関する任意の委員会設置
2020年1月に取締役の指名、報酬等にかかる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的として、「指名・報酬諮問委員会」を設置しております。2023年3月より、4名の委員の内3名を監査等委員である取締役から独立社外取締役に交代し、取締役の選任及び報酬等につき公平性・透明性を確保することに加え、取締役の選任及び報酬等に関する監査等委員の意見陳述権の明確化を図る等、企業統治の向上に努めております。
・後継者育成
後継者候補制度いわゆるサクセッションプランへの取組みも開始し、2023年1月には計7名を雇用型執行役員として選任しております。
・取締役会の多様性
2023年3月24日開催の第28回定時株主総会において、社外取締役及び監査等委員である取締役がそれぞれ1名ずつ新たに選任され、当社の取締役会は業務執行取締役3名、社外取締役3名、監査等委員である取締役4名の計10名の構成となりました。取締役の半数となる5名(内女性1名)を独立役員としたことで、取締役会の多様性を拡充するとともに、よりガバナンスの効いた体制を構築しております。
・コンプライアンス経営の推進
当社の連結子会社である株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「EAM」といいます。)に対する行政処分を重く受け止め、2022年10月に、法令遵守態勢及び内部管理態勢を強化するとともに、利害関係者との取引プロセスを監視し、二度と同じ事象を起こさないよう利益相反管理態勢を構築すべく、社長直下組織にコンプライアンス室を新設しました。
また、2023年3月にはコンプライアンス行動規範を見直し、コンプライアンス宣言を制定しました。こうした取組みにより、当社及びグループ全体におけるコンプライアンス経営の推進を徹底強化してまいります。
(エ)その他
不動産セクターのESG配慮を測る年次のベンチマーク評価であるGRESBに2018年より毎年参加し、継続的な評価結果の向上を目指しております。2023年10月には、「ディベロップメント・ベンチマーク」における環境への配慮やサステナビリティへの取組みについて、総合スコアでの相対評価に基づく5段階評価のGRESBレーティングにおいて、「2 Stars」の評価(報告期間:2022年1月1日~2022年12月31日)を取得し、また5年連続で「Green Star(※3)」を取得しております。
※3 「ディベロップメント・ベンチマーク」における「Green Star」とは、「マネジメント・コンポーネント」及び「ディベロップメント・コンポ―ネント」の2軸で絶対評価の上、双方ともの得点率が50%以上の参加者へ与えられます。
⑩EAMの現況について
当社の連結子会社であるEAMは、2022年7月15日に金融庁より業務停止命令及び業務改善命令の行政処分を受け、同年8月15日に業務改善報告を金融庁長官宛に提出・受理され、金融庁への対応はすべて完了しております。なお、EAMは当該行政処分に関連して、2023年6月8日に一般社団法人投資信託協会より処分を受けておりますが、新たに不動産鑑定評価業者の独立性を損なう不適切な働きかけ、不適切な不動産鑑定業者選定プロセスほか、忠実義務違反等の行為が行われたものではありません。当社は、EAMの親会社であり、EAMを資産運用受託者とするEJRのメインスポンサーとして、今回のEAMに対する行政処分を重く受け止め、再発防止をグループ全体の重要課題と認識し、前述のとおり利益相反管理態勢を構築するためコンプライアンス室を設置しております。
また、EAMでは、2023年1月に代表者変更や当社との兼務解除等の経営体制見直しを行い、同年6月には一部業務(第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業等)を廃止する等、組織及び業務の改革を着実に進めてきました。さらに2023年9月公表のEJRの「運用ガイドライン」の変更においては、生活利便性の高い大都市及び大都市へのアクセスが容易な周辺地域に住まうことへのニーズは安定的であるとの考えのもと、これまで行ってきた商業施設及び底地への投資に加え、新たに住宅への投資と、持続可能な社会の実現に資する資産への投資(地域コミュニティが抱える暮らしの中に存在する多種多様な社会問題の解決につながる取組み)、すなわち主に五大都市圏に所在する「暮らし密着型資産」への投資を通じて、運用資産の着実な成長と投資主価値の最大化を図ることとしております。今後とも高度なコンプライアンス態勢は維持しつつ、EJRの収益の長期安定性と成長性を追求してまいります。
⑪セグメント別の事業展開
中核事業である不動産販売事業においては、収益不動産の販売等を行うとともに、分譲マンションの販売が順調に進捗しております。
分譲事業においては、「レ・ジェイド阿倍野播磨町(大阪市阿倍野区、総戸数48戸)」「レ・ジェイドシティ橋本Ⅰ・Ⅱ(相模原市緑区、総戸数Ⅰ/69戸、Ⅱ/87戸)」「レ・ジェイド箕面船場ノースレジデンス(大阪府箕面市、総戸数30戸)」「レ・ジェイド札幌苗穂(札幌市東区、総戸数42戸)」「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南(神奈川県茅ケ崎市、総戸数31戸)」「レ・ジェイド新横浜(横浜市港北区、総戸数190戸)」「レ・ジェイド袋井駅前(静岡県袋井市、総戸数48戸)」「レ・ジェイド谷町五丁目(大阪市中央区、総戸数42戸)」「レ・ジェイド上通(熊本市中央区、総戸数138戸)」「レ・ジェイド金山グランデ(名古屋市中区、総戸数87戸)」「レ・ジェイド新大村ステーションフロント/パークサイド(長崎県大村市、総戸数119戸/同72戸)」の新規分譲案件を販売開始しております。販売の進捗としては、今期の竣工物件のうち「レ・ジェイド北海道ボールパーク(北海道北広島市、総戸数118戸)」をはじめ8物件が全戸引渡し済み、今期及び来期引渡し予定物件のうち「レ・ジェイド長居パークアベニュー(大阪市住吉区、総戸数52戸)」等6物件は契約完売しております。
また、前述のとおり、北海道での分譲マンションを含む開発事業は順調に進展中、九州では福岡、熊本に続き長崎での開発にも着手しており、加えて沖縄にも進出する等、事業エリアの拡大を進めております。
不動産賃貸事業においては、前述のとおり、ピカソグループに加えて株式会社四条大宮ビルを子会社化することで、時価評価額420億円、物件数43物件がグループ保有資産に加わることとなり、賃貸事業のさらなる強化による安定収益確保が実現する見通しです。また、「自分らしさを表現し、人生の『いま』を楽しむレジデンス」とのコンセプトのもと、賃貸レジデンスの新ブランド「TOPAZ(トパーズ)」を立ち上げました。現在、「TOPAZ新御徒町」「TOPAZ江坂」の2物件が稼働しており、「TOPAZ新御徒町」は2023年度グッドデザイン賞を受賞しております。今後も新たなプロジェクトを展開していく予定です。
その他では、岡山県倉敷市で新たに商業底地を取得、また、前述の地域密着型ショッピングセンター「tonarie星田」が2023年3月に開業しており、2025年3月には「tonarie北広島」も加わる予定である等、商業施設の安定的な賃料収入の確保と資産価値の向上に努めております。
不動産企画仲介コンサル事業においては、納骨堂の永代使用権の販売を開始する等、当社が強みとする企画力等を活かし、業務受託、企画仲介コンサル事業等ノンアセットで利益率の高い事業として注力しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高61,962百万円(前年同四半期比22.5%増)、営業利益8,089百万円(同30.2%増)、経常利益7,093百万円(同33.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,565百万円(同34.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ア)不動産販売事業
不動産販売事業においては、売上高51,275百万円(前年同四半期比22.9%増)、セグメント利益9,571百万円(同26.6%増)となりました。
(イ)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、保有する収益不動産の賃料収入の増加を含めた資産価値の向上を図るべくリーシング活動及びプロパティマネジメント事業に注力した結果、売上高10,299百万円(前年同四半期比21.3%増)、セグメント利益4,100百万円(同26.1%増)となりました。
(ウ)不動産企画仲介コンサル事業
不動産企画仲介コンサル事業においては、企画力、多面的な事業構築力を最大限に活かし、企画コンサル等の業務受託等に積極的に取組んだ結果、売上高388百万円(前年同四半期比4.1%増)、セグメント利益187百万円(同497.0%増)となりました。
契約及び販売の実績は次のとおりであります。
(ア)契約実績
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間における不動産販売事業の契約実績は、次のとおりであります。
区分
前第3四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2023年1月1日
至 2023年9月30日)
期中契約高
期末契約残高
期中契約高
期末契約残高
物件戸数
(戸)
金額
(百万円)
物件戸数
(戸)
金額
(百万円)
物件戸数
(戸)
金額
(百万円)
物件戸数
(戸)
金額
(百万円)
中高層住宅等
827
41,439
1,031
59,828
799
42,245
873
47,315
その他
-
13,693
-
18,781
-
4,578
-
12,581
計
827
55,132
1,031
78,610
799
46,824
873
59,897
(イ)主な販売実績
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間における主な販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
前第3四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2023年1月1日
至 2023年9月30日)
物件名
物件
戸数
(戸)
金額
(百万円)
物件名
物件
戸数
(戸)
金額
(百万円)
不動産販売事業
分譲マンション
630
29,678
分譲マンション
669
39,799
古賀市玄望園区画6
-
5,479
岐阜県羽島市物流施設
-
8,380
千葉リサーチパーク
-
3,001
高槻市南松原Ⅱ底地
-
400
西国立
-
373
吹田市藤白台5丁目(老健用地)
-
308
鶴間駅前
-
323
その他
-
2,386
西所沢
-
268
その他
-
2,597
小計
630
41,719
小計
669
51,275
不動産賃貸事業
8,489
10,299
不動産企画仲介
コンサル事業
372
388
合計
50,582
合計
61,962
(注)セグメント間の取引はありません。
財政状態の状況は次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末の資産については、前連結会計年度末比85,851百万円増加し、349,581百万円となりました。これは主に現金及び預金が6,458百万円減少したものの、有形固定資産が23,623百万円、棚卸資産が55,334百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債については、前連結会計年度末比84,874百万円増加し、284,459百万円となりました。これは主に長期・短期の借入金が79,824百万円増加したことによるものであります。
純資産については、前連結会計年度末比976百万円増加し、65,121百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益4,565百万円を計上したものの、配当金の支払3,673百万円があったことによるものであります。この結果、自己資本比率は19.1%(前連結会計年度末は25.0%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、記載を省略しております。
(3)経営方針・経営戦略等
当社は事業年度を「毎年1月1日から12月31日まで」から「毎年4月1日から3月31日まで」に変更するための定款変更を行うことを予定しており、これに伴って、経過期間である2024年3月期は2023年1月1日から2024年3月31日までの15ヶ月間の決算期間となります。決算期間の3ヶ月の延長及び直近の業績の動向等を踏まえ、2023年1月27日に公表しました2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日 ※決算期変更前)の通期業績予想を修正することといたしました。詳細につきましては、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。