【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済状況は、ウクライナ情勢の長期化に関連するエネルギーの供給制約や世界的な物価高騰に加えて、米国の利上げや円安の急伸等への懸念はあるものの、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中で社会経済活動の平常化が進み、消費活動を中心に持ち直しの動きがみられました。
当社グループが属する電子基板(※1)業界は、中国においてロックダウンが段階的に解除されサプライチェーンの正常化及び需要の回復が進む中で通信端末、EV及び産業機器等の成長分野における半導体パッケージ基板やパワーモジュール基板の需要が引き続き高水準で推移いたしました。また、高密度多層基板等の高機能化や素材関連の積極的な開発、生産設備の増強計画が次々と打ち出され、堅調を維持いたしました。
このような経済環境の下、電子基板事業及び鏡面研磨機(※2)事業において販売は増加したものの、テストシステム事業及び産機システム事業において販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。
これらの結果、連結売上高は2,615百万円(前年同四半期比3.4%減)と、前年同四半期連結累計期間に比べ93百万円の減収となりました。
損益については、電子基板事業及び鏡面研磨機事業において売上高が増加したことに伴う影響はあったものの、テストシステム事業の売上高が減少したことや、人件費等の販売費及び一般管理費が増加したことに伴う影響により営業損失66百万円(前年同四半期は17百万円の営業損失)、雇用調整助成金等の助成金収入を営業外収益に計上したことにより経常損失4百万円(同80百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失4百万円(同77百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(電子基板事業)
産業機器向けのFPC(※3)の試作案件は市場に一服感がみられ減少したものの、産業用のインクジェットプリンタやドローンといった産業機器及び医療機器向けの社内量産案件の受注が好調に推移したことから、売上高は増加いたしました。損益については、社内量産案件の受注増に伴う売上原価増加の影響はあったものの、売上高増加に伴う影響により増益となりました。
その結果、売上高1,966百万円(前年同四半期比9.6%増)、セグメント利益416百万円(同7.2%増)となりました。
(テストシステム事業)
海外市場における通電検査機(※4)の大型案件は販売できたものの、中国市場を中心とした国内外の電子基板メーカー各社の生産活動が停滞し、通電検査機及び外観検査機(※5)の販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。損益については、売上高減少に伴う影響により損失が拡大いたしました。
その結果、売上高302百万円(前年同四半期比44.0%減)、セグメント損失102百万円(前年同四半期は12百万円のセグメント損失)となりました。
(鏡面研磨機事業)
金属圧延加工向けの大型研磨機に加えて、建設機械向けのシリンダー研磨に使用する消耗品及び中古機の販売に伴う機械の修理・メンテナンス等の受注増により販売が増加したことから、売上高は増加いたしました。損益については、人件費等の販売費及び一般管理費が増加したことに伴う影響はあったものの、売上高増加に伴う影響により損失が縮小いたしました。
その結果、売上高144百万円(前年同四半期比24.9%増)、セグメント損失6百万円(前年同四半期は20百万円のセグメント損失)となりました。
(産機システム事業)
検査システム事業における鋼板表面検査装置等の販売及び不採算案件の産業用ロボット関連の販売はできたものの、製造ラインにおける大型設備案件の販売があった前年同四半期の反動減により、売上高は減少いたしました。損益については、前述の不採算案件の解消及び検査システム事業における売上高増加に伴う影響により損失が縮小いたしました。
その結果、売上高202百万円(前年同四半期比21.9%減)、セグメント損失50百万円(前年同四半期は61百万円のセグメント損失)となりました。
※1 電子基板
電子部品を表面に固定し当該部品間を配線で接続するために必要な導体パターンを、絶縁基板の表面のみ又は表面及びその内部に形成した板状又はフィルム状の部品であるプリント配線板と、プリント配線板に電子部品を実装したモジュール基板の総称。前者は材質によりリジッド板、FPC等に区分される。
※2 鏡面研磨機
素材表面の凹凸を砥石等で磨きこむことにより、素材表面を鏡のように加工する機器。
※3 FPC
Flexible Printed Circuit(フレキシブルプリント配線板)の略。プリント配線板の一種であり、ポリイミド等の屈曲率が高く薄い絶縁材料を支持体とした、柔軟に曲がる基板。
※4 通電検査機
プリント配線板及び半導体パッケージ向け基板の配線が設計のとおり接続されており、断線や短絡がないことを電気を通して確認する検査を行う機器。
※5 外観検査機
プリント配線板やプリント配線板に部品を実装したプリント回路板等の外観状況を光学的に把握し、コンピュータを用いた画像処理によって良否を判断する検査を行う機器。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ207百万円増加し、3,039百万円となりました。これは主として、売上債権が減少した一方、現金及び預金並びに棚卸資産が増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ49百万円増加し、2,050百万円となりました。これは主として、有形固定資産の取得により増加したことによるものであります。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ184百万円増加し、1,157百万円となりました。これは主として、未払法人税等及び流動負債のその他に含まれる未払消費税等が減少した一方、短期借入金が増加したこと及び冬季の賞与引当金を計上したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ60百万円増加し、1,302百万円となりました。これは主として、長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、2,629百万円となりました。これは主として、利益剰余金が減少した一方、その他の包括利益累計額が増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は79百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは材料仕入、外注費及び人件費等の営業費用であり、運転資金及び設備資金等を自己資金にて賄うことを基本としておりますが、資金の安定及び効率的な調達を行うため、金融機関からの借入れ及び割賦契約による調達を行っております。また、取引銀行6行と当座貸越契約を締結しており、今後も資金の流動性に留意しつつ機動的な資金調達を行ってまいります。
なお、財務状況については、自己資本比率51.0%であり、健全な状態を確保しているものと認識しております。また、流動比率262.6%であり、十分な流動性を確保しているものと認識しております。
(7)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等のうち、当第3四半期連結累計期間に完了したものは、次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資総額
(千円)
資金調達
方法
着手年月
完了年月
完成後の増加能力
当社
本社工場
和歌山県
和歌山市
電子基板事業
AOI
(※6)
29,800
割賦購入
2022年
8月
2022年
9月
-
※6 AOI
導体パターン検査に用いられる自動光学検査装置。製品と設計データとの比較照合による相違点を自動検出する。