【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
① 事業全体の状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載いたしましたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことを受け、3年以上にも及ぶコロナ禍は終息方向に向かい、アフターコロナの生活様式に移行してまいりました。そうした状況下、当社グループは、新規出店に伴う従業員の適正確保を図り積極的な事業活動を展開することができたことから、堅調な業績を確保することができました。当連結会計年度におきましては、直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、下記のとおりとなりました。
(売上高)
当社グループの売上高は22,982,625千円(前年同期比35.1%増)となりました。これは主に、前期以前、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において既存店売上高に甚大な影響があったことが一転し、今期は既存店売上高が回復するとともに新規出店を実施したことによるものです。
(営業利益)
当社グループの営業利益は2,352,549千円(前年同期比49.7%増)となりました。これは主に、既存店売上高が回復したことに伴い利益率が向上したことによります。
(経常利益)
当社グループの経常利益は2,424,467千円(前年同期比0.7%減)となりました。これは主に、営業利益が増加した一方、時短協力金などの補助金収入が減少したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益は1,597,276千円(前年同期比3.8%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことによるものです。
また、当連結会計年度の目標とする経営指標は、下記のとおりとなりました。
〈売上高成長率〉
当社グループの売上高成長率は前年同期比35.1%増(2023年10月期目標20.0%増以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈売上高営業利益率〉
売上高営業利益率は10.2%(2023年10月期目標10%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈ROA(総資産経常利益率)〉
ROA(総資産経常利益率)は21.6%(2023年10月期目標15%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈ROE(自己資本当期純利益率)〉
ROE(自己資本当期純利益率)は26.2%(2023年10月期目標15%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
② 事業部門別の状況
(直営店事業部門)
国内直営店事業部門においては、当連結会計年度を通じて積極的な出店を続け、直営店27店舗の新規出店により26店舗の純増を図りました。当該期間における直営店の新規出店は、主力である横浜家系ラーメン業態の「町田商店」で14店舗、「町田商店」以外のブランドで13店舗とバランスよく行うことができました。
当連結会計年度におきましては、「町田商店」の中部地区への出店を加速させ、5店舗(ロードサイド店4店舗、駅近店1店舗)の新規出店を果たしました。ロードサイド店4店舗の出店エリアは、名古屋市守山区、愛知県長久手市、岐阜県多治見市、三重県四日市市であり、駅近店1店舗の出店エリアは、名古屋市中区栄となりました。また、首都圏地区への新規出店は7店舗(ロードサイド店3店舗、駅近店4店舗)と最多となり、ロードサイド店は、ドミナント出店を進める東京北部の練馬区西大泉や埼玉県川越市、千葉県習志野市への出店を図りました。また、駅近店4店舗は、行徳駅に出店したのを始め、大森駅、大崎駅、三軒茶屋駅にも出店いたしました。さらには、東北地区への新規出店は2店舗となり、岩手県盛岡市に当社グループ国内最北端となるロードサイド店、福島県福島市に2店舗目となるロードサイド店をそれぞれ新規出店いたしました。
一方、「町田商店」に次ぐ第2ブランドであるガッツリ系ラーメン業態の「豚山」では、当連結会計年度において、7店舗の出店を図りました。当該7店舗は、首都圏地区3店舗、中部地区が2店舗、関西地区、東北地区が各1店舗とバランスの良い出店となり、これまで「豚山」が得意としてきた首都圏地区は勿論のこと、それ以外の新たなエリアへの出店も積極的に行うとともに、ロードサイドに出店する等、「町田商店」に次ぐブランドとして「豚山」の潜在成長力を測るための戦略的出店も進めてまいりました。中部地区においては、「町田商店」でも出店した名古屋の繁華街である栄、さらにはその近隣にある大須と2店舗を出店しました。関西地区においては、南船場に次ぐ関西2店舗目として神戸本線、宝塚本線、京都本線の3本線が集結するターミナル駅である十三駅に出店いたしました。また、東北地区では、東北最大乗降客数を誇る仙台駅の駅近エリアに新規出店いたしました。当該店舗は、出店間もない現在において、早くも繁盛店の賑わいを呈しており、当該地区へのさらなる増店に対して、十分に期待を抱かせる状況に至っております。
さらに、当連結会計年度では、新規出店時に店舗のインフラ上の制約を比較的受けにくいブランドである油そば業態の「元祖油堂」の業態力測定を行うべく、立地的な性格の異なるエリアに4店舗の新規出店を図りました。繁華街である赤坂駅、住宅街である綱島駅、都心近接のベッドタウンである川口駅、昨今都市開発が進んだ北千住駅と立地特性の異なる駅近エリアにそれぞれ出店することにより、業態特性等、マーケティングデータのさらなる蓄積を図り、当社グループにおける「町田商店」「豚山」に続く第3のブランドとして業態力を磨き上げてまいりました。
当社グループでは、新商品、新業態の開発に対しても商品開発部門を中心に各種テーマへ積極的に取り組んでまいりました。前期においては、味噌業態の「いと井」を開発し、東京ラーメン横丁でオープンを迎えることとなりました。ここ数年で当社グループが開発、ローンチした「いと井」以外の業態及びブランドは、前述のガッツリ系ラーメン業態の「豚山」、油そば業態の「元祖油堂」、中華そば業態の「長岡食堂」とどれも一定程度のご評価をいただくものとなっており、当社グループの業態、ブランドの開発力も十分備わってきたと自負しております。今後も引き続き可能性を秘めた新ブランドの開発に注力してまいります。
海外直営店事業部門においては、米国ニューヨーク州にこれまで2店舗の路面店を展開してまいりましたが、2022年11月、ペンシルベニア駅施設内のフードコートにおいて、ニューヨーク3号店をオープンさせることになりました。当該施設は、全米1位の乗降客数を誇るペンシルベニア駅施設内であり、2万人収容のスポーツアリーナと、5千人収容のシアターなどで構成され、プロバスケットボール、プロアイスホッケーの試合が開催されるマディソンスクエアガーデンに近接する集客力の高いエリアでもあることから、フードコートでの営業にも関わらず、既に当社ニューヨーク路面店2店舗を凌ぐ売上が確保できる状況に至っております。
以上の結果、当連結会計年度末の当社グループの店舗数は、直営店188店舗(国内185店舗、海外3店舗)、業務委託店9店舗、合計197店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は19,207,025千円となりました。
(プロデュース事業部門)
国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。既存プロデュース店は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況の中でここ数年、来客数の減少、売上減少が続いてまいりましたが、当連結会計年度においては復調の兆しを見せており、これまで直営店同様にテイクアウトニーズへの対応、宅配ニーズの掘り起こし等、販売促進活動における直営店の成功ノウハウをもとに積極的に支援してきた成果が現れることとなりました。また、当社が開発した新業態を既存プロデュース店オーナーが自ら展開することを検討する場面も増えてきており、これまでの横浜家系ラーメン業態を中心としたプロデュース事業に加え、新業態では当社グループの展開するブランド名(同一の屋号)でのFC事業も開始いたしました。このようにプロデュース事業部門においては、事業ラインナップの充実化を進め、より付加価値の高い提案活動を展開できるよう各種準備を進めてまいりました。
海外プロデュース事業部門においては既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても出店支援を進め、昨年11月、ベトナムでのプロデュース店の新規出店を図りました。一方で台湾の既存オーナーにおいて、親会社倒産に伴う連鎖倒産が発生したことから、プロデュース店5店舗の閉店が生じてしまいました。また、当期より「Machida Shoten(町田商店)」の店舗名でのFC事業を本格的に展開しており、本年1月のタイでのFC店の初出店に続き、7月にはベトナムにてFC店の初出店を図る等、東南アジア地区にて着実に事業拡大を図ってまいりました。FC事業は、このように順調にスタートすることができ、各国のフランチャイジーとのFC契約も締結が進んでいることから、今後はアメリカ、東南アジア等において「町田商店」「豚山」等のブランドをFC事業として展開すべく、精力的な営業活動を展開してまいります。
以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当連結会計年度に37店舗の純増となり、結果、プロデュース店は国内525店舗、海外13店舗、FC店は国内7店舗、海外3店舗、合計548店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は3,775,599千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年増減比(%)
飲食事業
2,646,977
46.9
合計
2,646,977
46.9
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、製造原価によっております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年増減比(%)
飲食事業
4,968,893
41.8
合計
4,968,893
41.8
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
事業部門の名称
販売高(千円)
前年増減比(%)
直営店事業部門
19,207,025
35.8
プロデュース事業部門
3,775,599
31.3
合計
22,982,625
35.1
(注)1.当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため事業部門別の販売実績を記載しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.直営店事業部門における当連結会計年度の地域別販売実績は、次のとおりであります。
地域
地域別売上高(千円)
国内
関東
11,894,835
東日本(関東以外)
4,363,218
西日本
2,337,381
国内合計
18,595,435
海外
611,589
合計
19,207,025
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がないため、記載を省略しております。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,622,336千円増加し12,527,470千円となりました。これは主に、直営店の新規出店などの設備投資により建物及び構築物などの有形固定資産が1,250,699千円、敷金及び保証金が400,643千円、長期貸付金が229,802千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,282,349千円増加し5,755,422千円となりました。これは主に、出店のタイミングにより未払金が445,811千円、未払消費税等を含む流動負債のその他が204,174千円、長期借入金(1年以内返済予定分を含む)が567,125千円増加した一方、未払法人税等が158,835千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,339,986千円増加し6,772,048千円となり、自己資本比率は54.0%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,597,276千円の計上等により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フロー及び流動性の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,855,272千円となり、前連結会計年度末に比べ152,071千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は2,534,377千円(前年同期比17.9%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,291,346千円を計上し、減価償却費617,833千円、減損損失131,214千円等の非資金的費用があった一方、法人税等の支払額855,043千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は2,956,174千円(前年同期比63.5%増)となりました。これは主に、直営店の新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出1,608,693千円、貸付けによる支出が441,141千円、敷金及び保証金の差入による支出399,909千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は252,506千円(前年同期は315,506千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,210,000千円があった一方、長期借入金の返済による支出642,875千円、配当金の支払額301,430千円、短期借入金の純減額17,863千円があったことなどによります。
なお、事業から創出したキャッシュは直営店の新規出店など収益力強化に向けた投資に充当しております。
② 資本政策の基本的な方針
当社グループは、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。事業への資源配分については、新規出店を主とした設備投資を継続的に実施してまいります。また、成長戦略に伴う当社グループの企業価値向上につながるM&Aも積極的に実施してまいります。また、株主還元については、株主への利益還元を経営の最重要課題と考えており、安定的かつ継続的な利益還元を基本スタンスとして連結配当性向20%以上を目安として実施してまいります。資金の源泉は事業から創出したキャッシュを中心としつつ、基本的に金融機関からの借入により資金調達をしてまいります。大規模な希薄化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響などを十分に考慮し、取締役会にて検討を行ったうえで、株主に対する説明責任を果たしてまいります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。