【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におきまして、日経平均も堅調に推移するとともに、レジャーやインバウンド需要の伸長など国内経済は総じて安定した推移を見せております。一方、海外では、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の不安化、アメリカの金利政策、新興国経済の発展スピードの鈍化など国内経済活動にも影響を与えております。具体的には、燃料価格の高騰や原材料価格の上昇に伴う物価高、商品やサービスへの価格転嫁などによる消費者心理の冷え込みにも繋がります。また、物流や運送業界ならびに建設業界における2024年問題など、多くの社会的課題を抱える厳しい環境にあります。加えて、2024年1月に発生した能登半島地震のように自然災害のリスクにも対応が求められる環境にあります。
そのような中、急速に広まりを見せる生成型AIは期待と不安が入り混じる状況ではありますが、労働人口が減少する中、有益に活用することが求められています。加えて、政府の推進する「Society 5.0」で実現する社会は、現在普及が進んでいる「5G」の性能をさらに進化させた次世代の移動通信システム「6G」により、すべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、社会的課題の解決が期待されています。そのために、法整備をはじめとした規制改革、インフラ整備、そしてそれらの先行的な実現の場として考えられているスマートシティへの取組などが行われています。
こうした状況の中で当社グループは、2022年3月期から「Investment & Innovation」を目標に掲げた3年間の中期経営計画をスタートさせ、当連結会計年度においてその最終年度を迎えております。その1年目及び2年目には人財の採用とその育成といった人的資本への取り組みの強化、新たな製品・サービスをリリースするための研究開発、自動運転実用化に向けた研究と体制づくりなど、経営計画を達成するための重要な成長フェーズと捉え、積極的な投資を行ってまいりました。また、「未来の社会インフラを創造する」をキーワードに、国土強靭化、不動産登記行政といった分野への取り組みとともに、自動運転の分野において地域公共交通の維持、スマートシティ、自動運転社会の実現といった多方面の社会的課題の解決のため積極的な取り組みを行っております。
当第3四半期連結累計期間においては、国が促進する各種補助金の活用をお客様に促し、自社製品や三次元計測機器を中心とする各計測機器への購買動機を高める活動を継続するとともに、展示会への出展を強化し、商談機会の獲得に努めてまいりました。MMS(Mobile Mapping System)機器販売、高精度三次元地図の作成請負及び2025年の自動運転サービス実用化に向けた自動運転実証実験請負、自動運転車両の構築請負、公共及び民間からの測量業務委託については、当事業年度第2四半期決算発表資料でもご説明した通り受注から納品までに時間を要するとともに、売上計上が年度末に集中する傾向にあるため、当第3四半期連結累計期間では大半の案件が収益計上には至っておりませんが、多方面より受注獲得は進み、納品に向けた対応を進めております。
なお、当第3四半期連結累計期間末において、当連結会計年度に収益計上する予定の請負契約に係る受注残高は以下の通りとなります。
(単位:千円)
公共セグメント
モビリティセグメント
合計
計測機器販売及び関連サービス
-
8,083
8,083
各種請負業務及び関連サービス
113,662
1,029,740
1,143,402
合計
113,662
1,037,824
1,151,485
(前年同期との比較)
前年同期との比較につきましては、以下の通りとなります。
A)自社ソフトウェアに関連する事業は、当社主力商品である「WingneoINFINITY」および測量・土木分野向け点群処理ツール「WingEarth」のライセンス販売ならびにそれらのサポートサービスによるものです。当第3四半期連結累計期間においては、前連結会計年度の自社ソフトウェア販売が堅調に推移したことから、サポートサービスの新規契約、契約更新による売上が増加しました。「WingneoINFINITY」及び「WingEarth」に関しては、昨年度末に新たにリリースした「WingneoINFINITY 2024」及び「WingEarth」の新バージョン販売が好調に推移したことに加え、追加サービスや補助金申請を活用した販促活動、リモートによる業務サポートや体験会を実施しました。また、2022年11月に発売開始した、外業向けソフトウェア「LasPort」の売上も好調に推移しております。以上により、自社ソフトウェアに関連する事業の売上高・利益ともに前年同期と比較し、増加しました。
B)MMS計測機器及び関連商材の販売については、受注は前年同期を上回るペースで順調に推移しておりますが、受注から納品までに部材の調達、製造の工程を経て完成するため、一定の時間を要を要するため、これら案件の内複数台について当連結会計年度中の収益計上を予定しております。その結果、当第3四半期連結累計期間において売上高は前年同期と比較し減少しております。一方で、MMSの累積販売台数増加に伴い、当該保守サービスの売上は、前年同期と比較し増加しました。以上により、前年同期と比較し、売上高・利益ともに減少となりました。
C)三次元計測請負業務及び高精度三次元地図データベース整備は、「安全・安心」な自動運転社会の実現を目指し、自動車向け高精度三次元地図の継続的な提供を進めるとともに、全国各地の自治体における自動運転移動サービスの実現を目指した実証実験のための地図データの作成など、高精度三次元地図を中心とした事業と技術研究開発を積極的に進めることで、年度末時点においての売上高は前年比を上回る見込ですが、第4四半期に収益計上される案件の割合が前年比を上回っており、当第3四半期連結累計期間においては、前年同期と比較し、売上高が減少しました。
D)測量請負事業は、ここ数年、官公庁における公共測量に係る入札競争が激しさを増しております。このような事業環境へ対策すべく、民間の建設コンサルタント企業を中心とした新規顧客の開拓に努めてまいりました。その結果、前年同期と比べて売上高・ 利益ともに増加しました。また、年度末に向けた案件の受注も順調に推移しております。
E)様々な車両を自動化するAutomotive事業や、自動走行関連システムの販売および実用化に向けた実証実験は、実用化を見据えた自治体や交通事業者との連携を積極的に行っております。パートナー連携やプロジェクトへの参加などを推進したことで、新たな案件や商材を獲得できており、当第3四半期連結累計期間の受注件数は前年度を上回るとともに、前年同期と比較し売上高・利益も増加しました。また、各自治体、交通事業者とともに、国土交通省による地域公共交通確保維持改善事業の公募へのアプローチを積極的に行った結果、2023年10月20日に公表の通り、全国15の地域に参画し自動運転実証調査事業を行うこととなりました。本事業は、グループ会社であるA-Drive株式会社と連携して行ってまいります。本事業の多くは、当連結会計年度末である第4四半期に売上計上を予定しております。
F)当連結会計年度では、前連結会計年度より引き続き、中期経営計画に基づき様々な投資を実施しております。人財投資においては、新卒採用、即戦力となるキャリア採用を積極的に実施し経営基盤の強化を図るとともに、2023年4月12日に公表の通り、従業員の労務環境整備のための賃金アップや人財戦略に向けた投資を行っております。また、新たなソフトウェアの開発や、ウェブサイトの継続的なリニューアル、自動運転に関する技術の開発推進に加え、2024年1月5日に測量機器総合マーケット「GEOMARKET」におけるリペア業務のシナジーを図るべく、有限会社秋測の子会社化が完了するなど、引き続き積極的に投資を行っております。その結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比較し、増加しました。
以上の結果、当社グループにおける当第3四半期連結累計期間の業績は以下の通りとなりました。
(単位:千円)
2023年3月期
第3四半期
2024年3月期
第3四半期
対前期増減額
対前期増減率
売上高
2,746,773
3,134,504
387,730
14.1%
営業利益
59,629
78,865
19,236
32.3%
経常利益
59,064
84,993
25,928
43.9%
親会社株主に帰属する四半期純利益
25,270
55,005
29,735
117.7%
セグメント別においては、次の通りであります。
a.事業セグメント別の業績
(単位:千円)
2023年3月期
第3四半期
2024年3月期
第3四半期
対前期増減額
対前期増減率
公共
セグメント
売上高
2,128,534
2,244,812
116,278
5.5%
セグメント利益
264,733
291,309
26,575
10.0%
営業利益率
12.4%
13.0%
モビリティ
セグメント
売上高
609,866
881,318
271,452
44.5%
セグメント損失(△)
△49,147
△53,546
△4,399
-
営業利益率
△8.1%
△6.1%
その他
売上高
8,373
8,373
-
-
セグメント利益
4,023
3,852
△171
△4.3%
営業利益率
48.0%
46.0%
b.報告セグメント別の概要
①公共セグメント
当社グループの主力製品である「WingneoINFINITY」は、対象となるサポートサービスに加入しているお客様に対し、各契約に応じた対象バージョンを当第3四半期連結累計期間にお届けしたことにより、当該役務の完了に応じた収益を計上しました 。営業活動としては、従前の訪問型営業だけではなく、測量・不動産登記・衛星測位・点群といった当社製品及びサービス、ならびに当社が保有する技術に関するオンラインセミナーを積極的に開催し、潜在顧客の掘り起こしを行い、その結果、前年同期と比較し、売上高は増加しました。
測量・土木分野向け点群処理ツール「WingEarth」は、前連結会計年度における受注残案件の売上計上、補助金制度を活用した販売活動により、一定の効果がありました。2023年9月には新機能を搭載した「WingEarth Version2.4.0」とともに新オプションをリリースし、オンライン体験会等の販促活動を行いましたが、前年同期と比較し売上高は減少しました。当第4四半期以降につきまして、引き続き本製品の販売活動を推進してまいります。
これら自社ソフトウェア販売に関して、各種補助金を活用した販売施策の投入、昨年度にリリースした次世代TSコントローラー「LasPort」の販売促進に加え、2024年1月にリリースした新たな3次元ツール「GrandBase」など、様々な業務に特化した新たなサービス・製品のリリース及び開発の継続により、収益の改善を目指してまいります。
測量機器のリユース・リペア・レンタルの3Rサービスをウェブ展開する測量機器総合マーケット「GEOMARKET」は、お客様との取引がオンラインで完結します。半導体不足は以前に比べ解消傾向にある一方で、原材料高騰は新型測量機器の価格にも影響が出ていることから、リユース販売やレンタル需要が高まっております。その中で、ウェブ広告を積極的に展開することで知名度も向上したことで、買取の問い合わせも増加し、前年同期と比較し、売上高が増加しました。また、2024年1月5日に公表の通り、有限会社秋測の子会社化を行い、測量機器のリペア業務におけるシナジーを図る取り組みを開始しております。
MMS計測機器及び関連商材の販売においては、公共分野・インフラ分野のお客様への新規導入提案活動、既存顧客へのリプレースの提案を行うとともに、測量・土木・地図市場において、これまでに販売してきたMMSの保守契約や、公共分野でのMMS計測受託業務を行っております。前連結会計年度を上回る新たなMMS販売の受注も獲得しておりますが、納品までに時間を要するため、これらの案件は当連結会計年度中の収益計上を予定しております。
測量請負事業は、ここ数年、官公庁における公共測量に係る入札競争が激しさを増しております。このような事業環境へ対策すべく、民間の建設コンサルタント企業を中心とした新規顧客の開拓に努めてまいりました。その結果、前年同期と比べて売上高・ 利益ともに増加しました。また、案件の受注も順調に推移しておりますが、測量成果の納品時に一括して収益を計上するため、これらの案件は当連結会計年度末を中心に収益計上を予定しております。
一方、前連結会計年度に引き続き、中期経営計画に沿った人財投資計画を進めた結果、販売費及び一般管理費は前年同期と比較して増加しました。
②モビリティセグメント
モビリティセグメントにおきましては、政府の掲げる「RoAD to the L4」に伴う2025年の自動運転サービス実用化に向けて、国を挙げての取り組みが加速しており、自治体や交通事業者等の課題意識も高く、自動車業界における各社の投資意欲もEVへの投資とともに継続し、新たな商談が発生している状況です。一方で、世界規模の半導体不足は以前に比べ解消傾向にあるものの、その影響は未だに継続しており、一部自動走行車両の構築業務案件において、納品時期に影響を及ぼす可能性もございます。
三次元計測請負業務及び高精度三次元地図データベース整備は、自動走行の実用化を目的とした整備業務を受注し、随時納品をしております。一方で、品質やコストへの要求が高まっており、生産性向上に向けた体制の見直し、ツールの開発、グループ間でのシナジーを生み出す検証は、前連結会計年度から継続して取り組んでおります。これらの結果、当第3四半期連結累計期間において、高精度三次元地図データベース整備は前年同期と比較し、売上高は減少しましたが、各方面より案件の引き合い及び受注は進んでおり、年度末時点において売上高は前年比を上回る見込です。
自動走行システムの販売および実用化に向けた実証実験は、前連結会計年度に引き続き、国内の多くの企業や地方自治体などで需要がある状況です。そのような中、自動走行の実用化に向けた実証実験は、特に実用化が期待される地域におけるものを中心に積極的に進めておりますが、2023年10月20日に公表の通り、グループ会社であるA-Drive株式会社とともに、全国15の地域に参画し、自動運転実証調査事業を行うこととなりました。これらを含め、自動走行の実用化に向けた実証実験の実施は第4四半期に集中しており、現在各地域において実施中、もしくは実施を直前に控えている状況です。そのため、当連結会計年度末までに売上計上を予定しております。
自動運転の実用化は、政府目標として2025年に50か所以上、2027年に100カ所以上での社会実装を目指すとされています。当社グループは、株式会社ティアフォー、損害保険ジャパン株式会社、KDDI株式会社等のパートナー企業と連携し、全国自治体との対話を進め、将来の実用化に向け積極的に推進してまいります。それまでの間は、当事業分野は投資フェーズと捉えており、将来の事業モデル確立に向けた先行投資として、前連結会計年度より引き続き、事業推進に必要な人財確保、システム構築や機材などの調達を積極的に行ってまいります。また、愛知県の補助金を活用した大型自動運転バスの実用化に向けた研究に加え、株式会社ティアフォーと連携し、自動運転小型EVバスである「ティアフォーMinibus」を導入するなど、従来の乗用車タイプ、カートタイプでの実証実験の知見を活かし、今後はニーズが高いバスタイプでの実証や販売に積極的に取り組んでまいります。
このように、補助金等も積極的に活用した一方で、人財投資を進めた結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比較し、増加しました。
その他の分野では、前連結会計年度から取り扱いを始めた自動運転支援用のカメラ販売は、他用途での利用を目的とした販売など、本商材の販売は引き続き好調に推移し、収益を計上いたしました。また、2023年2月に三菱商事株式会社との共同出資による「A-Drive株式会社」を設立し、パートナー企業の知見やノウハウを有効活用しながら、自動運転の様々なニーズに対応するサービスの展開を行い、2025年の自動運転実用化に向けた更なる事業の深化を目指してまいります。なお、「A-Drive株式会社」の収益に関しては、上記に記載の通り、当面は投資フェーズとして事業展開を進めております。
③その他
自社保有の不動産に係る賃貸収入については、前年同期と同水準の結果となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結累計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて517百万円減少し、7,484百万円となりました。その主な要因は現金及び預金が468百万円減少したこと等によります。
(負債)
当第3四半期連結累計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて484百万円減少し、1,472百万円となりました。その主な要因は支払手形及び買掛金が417百万円減少したこと等によります。
(純資産)
当第3四半期連結累計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて33百万円減少し、6,011百万円となりました。その主な要因は利益剰余金が26百万円減少したこと等によります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において当社グループが定めている経営方針・経営戦略等につきましては、2023年5月10日に開示した「中期経営計画の修正に関するお知らせ」から重要な変更はありません。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度に掲げた課題について、当第3四半期連結累計期間において対処した事項は以下の通りとなります。
①新型コロナウイルス感染症の影響は小さくなっておりますが、今後も新たなパンデミックの発生は想定されます。前連結会計年度の有価証券報告書にも記載の通り、引き続き会社を感染源としない取り組みを優先的に実施するとともに、テレワークを含めた柔軟な働き方は継続しております。ただし、変異株等の感染再拡大に伴い、感染者および濃厚接触者が飛躍的に増加することにより、会社への出社や営業活動、自動運転の実証実験などの制約を受ける場合は、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
②少子高齢化に関するリスクへの対処としては、人的資本経営として取り組みを開示している通り、当社グループの事業活動においては、社是にある「知恵・実行・貢献」を実践し持続可能な社会を実現するために、持続的な成長と中長期的な価値を創出する源泉は人財であり、社員一人ひとりの活躍が求められています。そのためには、当社グループとマッチする社員を新卒採用やキャリア採用を通じて確保する必要があります。採用した社員はコストではなく、大切な人的資産と考え、継続的なスキルアップを実現する教育プログラムを整えるとともに給与体系の充実と従業員満足度の向上にも努めていきます。また、社員一人ひとりが所属する組織とのミスマッチを防ぎ、「変化・変革」へ果敢に挑戦し続け、活躍機会を増やすことが、生産性向上にもつながり、会社利益・企業価値向上に寄与すると考え、人財開発に投資を行っています。多様性に対する考え方は、さまざまな年齢、性別、国籍、雇用形態や働き方、価値観などを持つ方々を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮できる職場環境を目指しています。
③サイバーセキュリティに関するリスクに対しては、従来の取り組みに加え、クラウドサービスや生成AIの利用に係るリスクに対応するガイドラインを策定、拠点やデータセンターの強化、社員への情報セキュリティ教育やリスク対策委員会による検証を実施するなど、継続的に本リスクへの対応を行っております。
④世界経済、為替変動に関するリスクで記載した、自動車産業に係る課題については、全国各地の地方整備局へのMMS導入効果や自治体における三次元データ流通拡大を背景にした公共事業分野への積極的な営業活動も行うことで、受注の落ち込みを最小限にすべく努めております。
⑤個別の事業分野におけるリスクの一つである「自動運転技術を活用した自動走行実証実験の安全性について」に関しては、2022年2月にリリースをした「自動運転システム提供者専用保険」に加え、「A-Drive株式会社」を共同設立した三菱商事株式会社等の共同パートナー企業とともに、国内全域における計画的かつ安心・安全な自動運転サービス実証を行うため、様々な取り組みを行っております。
⑥労務安全衛生管理体制についての課題への対処としては、顧問社会保険労務士と最新の法令内容の情報共有や確認をするとともに、社員に対し適切な情報開示を継続的に行っております。
⑦グローバルサプライチェーンに関するリスクへの対応として、多方面での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行うとともに、将来の取引の見込みより適正な在庫管理を行うなど実施しております。
(6)研究開発活動
当社グループでは経営戦略・事業戦略を実現するため、製品競争力強化と事業拡大に向けた研究開発を積極的に推進しております。公共セグメントでは主に測量及び3次元用ソフトウェアの研究開発を、モビリティセグメントでは主に3次元の高精度位置情報や地図データベース及び自動運転実用化に向けた研究開発を行っております。また、当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は101百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、投資有価証券の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金または金融機関からの借入を基本としております。
当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
なお、当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は3,868百万円となっております。
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