【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行に伴う社会経済活動の正常化から需要は回復基調にあるものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクもあり、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケアソリューション事業において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類は2023年5月から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、抗原検査キット等の受注活動は縮小傾向にあります。地球環境ソリューション事業においては、2021年4月現在、125カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるGEOソリューション分野、ESG分野への重要性は増しており、当社では、地域及び地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。原子力関連分野においては、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東京電力」)が2022年3月10日に公開した「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に当社は参加しておりますが、2023年5月30日付で公表しましたとおり、現在は、「フィージビリティスタディ」を、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。国際原子力機関(IAEA)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を昨夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も東京電力が進めている本技術公募に引き続き参画してまいります。当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,071,671千円(前年同期比54.4%増)、営業損失108,450千円(前年同期は98,104千円の損失)、経常損失109,177千円(同114,456千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失199,436千円(同119,037千円の損失)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業ヘルスケアソリューション事業の当第1四半期連結累計期間は、売上高145,541千円(前年同期比75.6%減)、セグメント損失39,778千円(前年同期は26,106千円の利益)となりました。当セグメントの業況といたしましては、メディカルシステム分野、メディカルサプライ分野を中心とした展開を行っておりますが、両分野共に、前年同期間(前第1四半期連結累計期間)と比べ、売上高と利益共に大幅な減収・減益となりました。メディカルシステム分野においては、『PACS』(医療用画像管理システム)、電子カルテ、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステム等を継続販売しております。医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。当四半期では、電子カルテの新規売上獲得はできたものの、前年同期間に獲得したRIS関連の大型案件が発生せず、また、各種システムに係る保守の売上も減少したことから、売上高と利益共に前年同期間を大幅に下回る結果となりました。メディカルサプライ分野では、PCR検査機器、PCR検査キット、抗原検査キット、検査・検診用のニトリルグローブやマスクなどの消耗品等を継続販売しております。当四半期では大型入札案件を確保できたものの、新型コロナウイルス感染症の改善と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬などの需要が引き続き縮小しているため、売上高と利益共に前年同期間を大幅に下回りました。
地球環境ソリューション事業地球環境ソリューション事業の当第1四半期連結累計期間は、売上高926,130千円(前年同期比845.2%増)、セグメント利益10,330千円(前年同期は25,357千円の損失)となりました。当セグメントの業況といたしましては、GEOソリューション分野、ESG・エネルギー分野、原子力関連分野を中心とした展開を行っておりますが、売上高と利益において、GEOソリューション分野、ESG・エネルギー分野が大きく貢献し、前年同期間と比べて大幅な増収・増益となりました。GEOソリューション分野においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『PIX4Dmapper』『PIX4Dmatic』並びにスマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツール『viDoc RTK rover』の受注が引き続き堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像に高付加価値を与える新たなソリューションサービス事業に関しては、従来の取引先である測量・建築業界以外からも多種多様な業界から要望がきており、今後も成長が期待できるマーケットになります。ESG・エネルギー分野においては、再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を行っておりますが、当四半期では、鹿児島県鹿屋市吾平町麓太陽光発電所の売却を行ったため、大幅な売上増加となりました。原子力関連分野のトリチウム分離技術においては、東京電力が進めている「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に関して、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で「フィージビリティスタディ」を進めております。また、国際原子力機関(IAEA)からは、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラ2台を耐久テストサンプルとして受注を受け、テストサンプルの納品を完了しております。ALPS処理水の安心・安全を確保するためには、トリチウムの連続計測器が必要であると考えておりましたが、トリチウム等の連続計測器の開発に成功した新生福島先端技術振興機構と独占販売代理店契約を締結し、同社が持つ先端技術を国内外に提供することも開始しております。
なお、当社グループは、2024年1月31日付「第三者委員会調査に伴う特別損失の計上見込みに関するお知らせ」、にて公表しましたとおり、第三者委員会調査に要する費用が当連結会計年度第1四半期の決算において発生し、73,122千円を特別損失に計上することになりました。
(2) 財政状態の分析(資産)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、1,882,152千円(前連結会計年度末比16.9%減)となりました。これは、商品が311,799千円増加し、現金及び預金が206,330千円、仕掛販売用不動産が578,000千円減少したこと等によります。固定資産は、550,785千円(同3.9%減)となりました。これは、投資有価証券が205,099千円増加し、長期預け金が216,612千円減少したこと等によります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における総資産は、2,432,937千円(同14.3%減)となりました。 (負債)当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、798,063千円(前連結会計年度末比20.2%減)となりました。これは、買掛金が43,980千円、仮受金が115,013千円増加し、未払金が217,762千円、その他が114,035千円減少したこと等によります。固定負債は、15,940千円(同21.4%減)となりました。これは、長期借入金が2,520千円、退職給付に係る負債が
1,818千円減少したこと等によります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、814,004千円(同20.2%減)となりました。 (純資産)当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、1,618,932千円(前連結会計年度末比11.0%減)となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失199,436千円を計上したことによります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動該当事項はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社の資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。