【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や日本銀行の金融緩和策等の効果による設備投資の堅調な伸びが続き、企業収益は総じて回復基調が続いていたものの、2020年3月頃からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経済は内外需要共に急激に悪化しており、同感染症の影響が今後も続くと予想される中、先行きは依然不透明な状況となっております。 外食産業におきましても、人手不足を背景とした人件費の上昇、消費税率の引き上げに加え、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請や営業時間短縮要請によって業界全体が集客数の著しい減少に晒される状況となっており、極めて厳しい経営環境下に置かれております。 このような状況の中、当社は業態ブランドの更なる認知度向上を企図し、当期は8店舗の新規出店と1店舗の業態変更を行いました。2019年7月、京都・嵐山に高級茶葉を使った日本初のティーラテ専門店ブランド「CHAVATY(チャバティ)」の2号店として「CHAVATY Kyoto arashiyama」を、東京都・表参道に「いしがまやハンバーグ」初のグローバル旗艦店「いしがまやGOKU BURGER」を出店し、翌8月、主要ブランドである「KICHIRI」の新店「KICHIRI misceo」を東京・町田に出店いたしました。そして2019年10月、静岡県沼津市の三井ショッピングパークららぽーと沼津内に、ハンバーグ専門店の「いしがまやハンバーグ」、オムライスを提供する「3 Little Eggs」、かつめし専門店の「かつゑもん」、新業態である焼き鳥専門店「ひな鶏 伊勢ゐ」の計4店舗を出店することで、全国の出店地域は1都2府8県となり、続く2019年11月、神奈川県のJR茅ヶ崎駅直結のショッピングセンター「ラスカ茅ヶ崎」に「いしがまやハンバーグ」を出店し、当期において当社グループの店舗数は100店舗を突破する運びとなりました。 2020年4月7日の緊急事態宣言以降は、新型コロナウイルス感染拡大の状況に対応するため、「新しい生活様式」に対応した飲食業界最高レベルの感染予防策の実行を目指し、お客様との接触機会を8割削減する非接触型サービスの提供を開始、さらに、既存の対面サービスとは別にデリバリーやテイクアウト商品の販売、ティーラテ専門店「CHAVATY」の公式オンラインショップでのEC販売など非対面型サービス事業に注力することで、コロナ禍での競合優位性を確保する取り組みに注力いたしました。 プラットフォームシェアリング事業については、外食企業向けの更なるプラットフォーム強化を進めるとともに異業種のブランドホルダーに対する出店支援コンサルティング業務の提供も増加しております。2020年3月には、当社子会社のオープンクラウドが開発した動画面接システム「Apply Now」や人材教育システム「shouin」の導入など、システム開発・導入による生産性向上や付加価値創出への継続的なプラットフォーム強化のための取り組みが評価され、「農林水産大臣賞」を受賞いたしました。 フランチャイズ事業については、西日本最大級の総合スーパーであるイズミが展開するショッピングセンター「ゆめタウン」への出店を行っており、今後も同社施設内への継続的な新規出店を進めるとともに、新規のクライアント開発も積極的に行ってまいります。 以上の結果、当連結会計年度における売上高は8,048百万円(前年同期比18.8%減)、営業損失は368百万円(前年同期は営業利益406百万円)、経常損失は366百万円(前年同期は経常利益376百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は609百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益161百万円)となりました。 なお、当社はセグメント情報の記載を省略しているため、セグメント業績の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は8,335百万円となりました。
流動資産合計は5,656百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,923百万円増加しております。増加の主な要因は、現金及び預金が4,082百万円増加したこと等によるものであります。固定資産合計は2,679百万円となり、前連結会計年度末と比較して328百万円増加しております。増加の主な要因は、有形固定資産99百万円が増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は6,955百万円となりました。
流動負債合計は5,233百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,936百万円増加しております。増加の主な要因は、短期借入金が4,200百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債合計は1,722百万円となり、前連結会計年度末と比較して804百万円増加しております。増加の主な要因は、長期借入金が610百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,379百万円となりました。前連結会計年度末と比較して489百万円減少しております。減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失609百万円を計上したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における当社の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて4,082百万円増加し、5,045百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は399百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上821百万円、未払費用の減少128百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は484百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出390百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は4,978百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加4,200百万円及び長期借入金の借入による収入900百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので生産実績は記載しておりません。
(b)受注実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので受注実績は記載しておりません。
(c)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
前年同期比(%)
飲食事業(千円)
報告セグメント計(千円)
2,292,331
81.4
その他(千円)(注)3
–
–
合計
2,292,331
81.4
(注)1.金額は仕入価格によって表示しており、セグメント間の内部振替はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他は「プラットフォームシェアリング事業」「フランチャイズ事業」であります。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
前年同期比(%)
飲食事業(千円)
報告セグメント計(千円)
7,890,605
80.2
その他(千円)(注)3
157,939
206.4
合計
8,048,544
81.2
(注)1.金額は販売価格によって表示しており、セグメント間の内部振替はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他は「プラットフォームシェアリング事業」「フランチャイズ事業」であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当業界の参入障壁が比較的低いことから新規参入企業が増加する等、同業他社との競争がますます激化した場合に、当社グループが考える出店条件に合致する立地に出店できず、想定どおりの出店ができない可能性があり、また当社グループの展開する業態が多様化する顧客のニーズに応えられない場合が考えられます。加えて、食品表示偽装や食中毒事件等により、消費者の食の安全・安心に対する意識が一層高まり、外食そのものを倦厭する環境となった場合等も重要な影響を与える要因となります。当社グループにおいては、安心・安全を第一に考えた仕入ルートの確保や、店舗の衛生管理、従業員への衛生教育を引続き徹底してまいります。また、顧客のニーズを捉えた業態開発・商品開発を積極的に行うとともに、想定どおりの出店を進めるべく、物件情報の入手ルート及び商業施設のディベロッパー様とのパイプ強化等、物件開発体制の強化を図ってまいります。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について、当社グループでは、高い収益性と財務健全性を維持しながら株主の皆様に利益還元したいとの考えから、売上高営業利益率4.0%以上、ROE10.0%以上、配当性向30.0%を目標とする経営管理を行っております。
当連結会計年度にいては、売上高営業利益率△4.6%、ROE△38.4%となりました。これは、当連結会計年度の第3四半期における新型コロナウイルスの感染症拡大を受けて、売上高が減少したためであります。また、当期業績に鑑み、2020年6月30日を基準日とする剰余金の配当を見送っております。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループ資本の財源及び資金の流動性については、資金需要の多くは新規出店と既存店改装のための設備投資資金であり、投資活動によるキャッシュ・フローに示した有形固定資産の取得による支出が主なものとなっております。今後は、新規出店と既存店改装は営業活動によって得られる資金によって賄う方針でありますが、出店の拡充や、大型出店の判断に至った場合には、金融機関からの借入または資本市場からの直接資金の調達によって、必要資金の確保を進めていきたいと考えております。資本の財源についての分析は、(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、当連結会計年度末における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しましては、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる要因等に基づき行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性により、実際の結果は異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(追加情報)に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)固定資産の減損損失
当社グループは、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについてはその帳簿価額を回収可能性まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。
(b)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。