【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概況
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加し、28億10百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。これは主に現金及び預金の増加2億12百万円(前連結会計年度末比20.3%増)、仕掛品の増加63百万円(前連結会計年度末比17.2%増)等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ13百万円増加し、9億64百万円(前連結会計年度末比1.4%増)となりました。これは主に機械装置等への設備投資によるものであります。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ1億41百万円増加し、37億75百万円(前連結会計年度末比3.9%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べ13百万円増加し、20億20百万円(前連結会計年度末比0.7%増)となりました。これは主に仕入債務の増加13百万円(前連結会計年度末比0.8%増)、未払消費税等の増加18百万円(前連結会計年度末比126.7%増)等によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ1億24百万円減少し、1億9百万円(前連結会計年度末比53.2%減)となりました。これは主に長期借入金が返済により1億24百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ1億10百万円減少し、21億30百万円(前連結会計年度末比4.9%減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計額は、前連結会計年度末に比べ2億52百万円増加し、16億44百万円(前連結会計年度末比18.1%増)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の獲得によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年11月1日~2023年10月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和により経済活動の正常化が進展したことに加え、水際対策緩和によるインバウンド需要の回復を背景に景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ウクライナ情勢等に起因する資源価格の高騰や為替変動による物価上昇が引き続き懸念されており、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要取引先であるコメ流通業界におきましては、資源価格の高騰や食品関連の相次ぐ値上げ等により、消費者の節約志向が強まる状況が続いている一方で、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、行動制限や入国制限が緩和され、外食関連の需要も回復傾向がみられました。また、物流業界におきましても、企業活動の持ち直しやネット通販市場の引き続きの拡大傾向が見られるなど物流需要は堅調に推移しております。
このような環境の下、当連結会計年度における当社グループの売上高は59億72百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は4億48百万円(同比19.3%増)、経常利益は4億46百万円(同比20.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億90百万円(同比21.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(包装関連事業)
包装関連事業の主要取引先であるコメ流通業界は、少子高齢化による人口減や食の多様化により国内のコメ消費量が毎年減少傾向にあります。当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症が5類へと移行されたことなどの影響から、人流の回復に伴い外食関連等の業務用向け販売は堅調に推移したこと、また、コロナ禍による部品不足が解消され、機械関係の販売が堅調に推移したことに加え、資源価格の高止まりなどの影響を最小限に抑えるため、様々なコストダウンに注力いたしました。
その結果、売上高は50億80百万円(前年同期比9.2%増)となり、セグメント利益は4億32百万円(同比22.6%増)となりました。
(物流梱包事業)
物流梱包事業につきましては、新型コロナウイルス感染症が5類へと移行されたことなどの影響から、イベント関係等で物流梱包関連商品の需要が回復基調にあったことや、SDGsなど脱プラスチックの風潮に沿った環境配慮型商材の拡販などにより、売上と利益は堅調に推移しました。また、上期の為替レートが当初の想定よりも円高傾向で推移したことや、原材料価格の高止まりなどの影響を最小限に抑えるため、コスト全般の見直しに注力いたしました。
その結果、売上高は8億92百万円(前年同期比10.6%増)となりましたが、展示会への出展再開や将来の業容拡大を見据えた先行的な人員の採用などから販売費及び一般管理費が増加したことにより、セグメント利益は15百万円(同比32.4%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億12百万円増加し、12億55百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億50百万円(前年同期は得られた資金4億54百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益4億46百万円(前年同期は3億70百万円)、及び売上債権の減少額1億73百万円等により運転資本が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は42百万円(前年同期は使用した資金2百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出40百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億96百万円(前年同期は使用した資金2億71百万円)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1億28百万円、配当金の支払55百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
包装関連事業
金額(千円)
前年同期比(%)
5,181,296
107.7
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流梱包事業の対象会社であるパックウェル株式会社は、生産活動を行っておりません。そのため、記載は省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
物流梱包事業
金額(千円)
前年同期比(%)
932,130
112.7
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
包装関連事業
5,024,380
100.6
1,119,588
95.3
物流梱包事業
925,236
114.3
53,398
253.5
合計
5,949,617
102.5
1,172,987
98.1
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
包装関連事業
5,080,036
109.2
物流梱包事業
892,903
110.6
合計
5,972,939
109.4
(注)1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.金額にはセグメント間の内部取引高等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上である相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度末の財政状態は、流動資産28億10百万円、固定資産9億64百万円、総資産37億75百万円、流動負債20億20百万円、固定負債1億9百万円、負債合計21億30百万円、純資産16億44百万円となりました。
前連結会計年度末から当連結会計年度末にかけての主な財務比率につきましては、当座比率が100.8%から102.0%に、流動比率が133.7%から139.1%にそれぞれ若干ではあるものの改善し、さらに自己資本比率は38.3%から43.4%に上昇いたしました。また、現金及び預金の残高は10億43百万円から12億55百万円へと2億12百万円増加し、いずれの指標についても順調に推移しているものと考えております。
また、リース債務を含めた有利子負債比率は前連結会計年度末から当連結会計年度末にかけて24.1%から12.5%と半減しており、上述の各指標と併せ、当社グループの財務の安定性に特段の問題はないものと考えており、今後も財務の健全性の維持、向上に努めてまいります。
②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、59億72百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、現状、コメ流通業界が主要な取引先であることから、コメの消費量が考えられます。昨今の新型コロナウイルス感染症の影響から、巣ごもり需要等により家庭における消費量は増加したものの、外出自粛等により外食店の需要・消費量が大きく減少しておりましたが、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、行動制限や入国制限が緩和され、外食店の需要・消費量にも回復傾向が見られました。それにより、家庭用精米に係る製品・商品の売上は堅調に推移し、業務用精米に係る製品・商品の売上についても回復傾向が認められました。さらに、従前から引き続き、寡占化する卸業者や量販店グループといった重点顧客のニーズの掘り起こしに努めた結果、前連結会計年度を5億13百万円上回る売上となりました。 セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
上述のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けていた外食店の需要・消費量に回復傾向が認められる状況の中、業務用精米に係る製品・商品の売上に回復が見られました。また、既存事業の強化を掲げ、寡占化する卸業者や量販店グループといった重点顧客のニーズの掘り起こしに努めました。その結果、前年同期比9.2%増の50億80百万円(内、包装資材関連の売上高は33億82百万円、包装機械関連の売上高は16億97百万円であります。)の売上高となりました。
(物流梱包事業)
新型コロナウイルス感染症が5類へと移行されたことなどの影響から、イベント関係等で物流梱包関連商品の需要が回復基調にあったことや、SDGsなど脱プラスチックの風潮に沿った環境配慮型商材の拡販などに注力した結果、前年同期比10.6%増の8億92百万円の売上高となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、44億26百万円(前年同期比8.7%増)となり、売上総利益は15億46百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
包装関連事業における売上原価は前年同期比8.8%増の38億22百万円となりました。売上原価の増加の主な要因は売上の伸長でありますが、コロナ禍による部品不足の解消などにより、若干ではあるものの、原価率が75.5%から75.2%と0.3ポイント改善したこともあり、売上総利益は前年同期比10.5%増の12億57百万円となりました。
(物流梱包事業)
物流梱包事業における売上原価は前年同期比8.6%増の6億4百万円となりました。売上原価の増加の主な要因は、包装関連事業同様、売上の伸長でありますが、円安の影響を抑制するため仕入先の変更を推し進めるなど様々なコストダウンに注力した結果、原価率は前連結会計年度の69.0%から67.7%と1.3ポイント改善し、売上総利益は、前年同期比15.2%増の2億88百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、10億97百万円(前年同期比8.4%増)となり、営業利益は4億48百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
業容拡大に伴う人員増加やそのための採用費用等の増加等により、販売費及び一般管理費は前年同期比5.1%増の8億25百万円となりました。その結果、セグメント利益は前年同期比22.6%増の4億32百万円となりました。
(物流梱包事業)
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う展示会への出展や新規商品開拓のための出張の増加、業容拡大に向けての先行的な増員などにより、販売費及び一般管理費は前年同期比20.0%増の2億72百万円となりました。その結果、セグメント利益は、前年同期比32.4%減の15百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、3百万円(前年同期比3.6%増)となりました。これは主に、受取保険金1百万円が生じたことによるものであります。また、営業外費用は5百万円(前年同期比43.8%減)となりました。これは主に、支払利息、損害賠償金、為替差損が各々1百万円生じたことによるものであります。
以上の結果、経常利益は4億46百万円(前年同期比20.7%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は1億52百万円となりました。
以上の結果、当期純利益は2億94百万円(前年同期比22.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億90百万円(前年同期比21.0%増)となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の175円42銭から219円55銭と大きく増加しました。また、ROEにつきましても、目標としている15%を上回る19.2%となり、前連結会計年度の18.1%から1.1ポイント上昇いたしました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億12百万円増加し、12億55百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億50百万円(前年同期は得られた資金4億54百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を4億46百万円(前年同期は3億70百万円)獲得できたこと、売上債権の回収が順調に進んだことによる売上債権の減少額が1億73百万円(前年同期は売上債権の減少額1億22百万円)あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は42百万円(前年同期は使用した資金2百万円)となりました。これは、主に包材印刷関連設備等(有形固定資産)の取得に伴う支出40百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億96百万円(前年同期は使用した資金2億71百万円)となりました。これは、主に約定に基づく長期借入金の返済が1億28百万円生じたこと、配当金の支払いに55百万円を使用したこと等によるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要といたしましては、通常の営業において必要となる運転資金、その中で賞与等時期特有の季節資金及び設備投資等の際に必要となる設備資金等があります。
運転資金については、内部留保を財源とすることを基本にしております。当社グループでは、通常、売上債権の回収期間が仕入債務の支払期間よりも短いため、利益が確保できれば、運転資金につき内部留保を財源とすることに問題はないものと考えております。
また、季節資金についても、原則として内部留保を財源としており、不足が生じると予測される場合に限り、短期借入金により調達する方針であります。
他方、設備資金等につきましては、現状、金融機関からの長期借入金により資金調達を行っております。現在、多額の資金調達の予定はありませんが、金融機関からの借入れのみでは、更なる成長のための資金調達源泉としては不十分であると考えており、今後は、新株式や社債の発行なども視野に入れ、資金調達の多様化の実現に努めてまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。