【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する制限の緩和とそれに伴う経済活動の正常化が進む一方で、ウクライナ情勢の長期化による国際情勢不安を背景に、エネルギー価格や原材料価格の高騰、各国における金融政策の引き締めなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方で、当社が展開するサービスを取り巻く環境は、インターネット、スマートフォン、SNSの普及によりデジタルチャネルでの購買が一般化してきたことにより、企業のマーケティング活動のデジタルシフトが続いており、当社が事業を展開するDXコンサルティングや「Keywordmap」シリーズ等のデジタルマーケティングを支援するサービスへの需要は引き続き拡大傾向にあり、堅調な成長を続けております。このような経営環境のもと、当事業年度の売上高は1,945,153千円(前期比7.8%増)、売上総利益は1,366,154千円(前期比4.2%増)となりました。一方、積極的な人材投資及び信託型ストックオプション関連費用の計上により人件費が増加したこと、新オフィス移転により一過性の費用が発生したことなどにより、営業利益は78,792千円(前期比73.1%減)、経常利益は77,911千円(前期比73.3%減)となりました。また、「Keywordmap for SNS」のサービス縮小の決定に伴い減損損失を計上したため、当期純利益は5,263千円(前期比97.4%減)となりました。
事業ごとの売上高及びセグメント利益は以下のとおりになります。
(ソリューション事業)ソリューション事業においては、「Keywordmap」については、営業部員の人材育成が計画通りに進捗しなかったこと、新規の顧客層が従来のハイリテラシー層からライトユーザー層にまで拡大したことで、顧客のニーズの中心が分析の精度から使いやすさ、わかりやすさに変化したことにより、当社の競争優位性が低下したため、新規案件の獲得が鈍化しました。また、カスタマーサクセスチームに関しても人材育成が計画通りに進捗しておらず、十分なサポート・サクセス支援品質を提供できなかったことにより、解約率が上昇しました。「Keywordmap」については、企業の多様化するニーズに対応することを目的とし、ハイリテラシー層からライトユーザー層まで幅広いユーザー層に対応するために、初心者向けのガイド機能の追加やコンテンツの制作・運用のサポート対象範囲を拡張するなど、大幅な刷新を行いました。「Keywordmap for SNS」については、X社(旧Twitter社)から提供されるAPIの仕様変更の発表によりサービス提供環境の厳しさが増したため、2023年5月19日開催の取締役会にて「Keywordmap for SNS」のサービス縮小を決定し、7月1日以降、提供する機能の縮小、料金の値下げ、開発・営業体制の縮小を行いました。その結果、当セグメントの売上高は前期と同水準の888,230千円(前期比0.2%増)を確保したものの、円安によるサーバー費の増加、営業人員増による人件費の増加により、セグメント利益は57,615千円(前期比72.1%減)となりました。
(アナリティクス事業)アナリティクス事業は、既存のDXコンサルティングサービスにおいては、ウェビナーやSNSを活用したマーケティング施策が順調に推移したものの、営業人員の人材育成が計画通りに進捗しなかったことで受注率が鈍化し、新規獲得案件が減少しました。また、コンサルタントの採用遅延及び退職者の増加により、対応できる案件数が減少し、売上高の成長が鈍化しました。一方、新規サービスであるSNSマーケティングコンサルティングサービスやエキスパートソーシングサービスにおいては、人員採用が遅延したものの、案件獲得が堅調に進捗しました。
その結果、当セグメントの売上高は1,079,248千円(前期比15.5%増)となったものの、営業人員増による人件費の増加により、セグメント利益は21,176千円(前期比75.5%減)にとどまりました。
② 財政状態の状況(資産)当事業年度末の資産については、前事業年度末に比べて184,611千円減少し、1,840,978千円となりました。これは主に現金及び預金の減少(前事業年度末比245,791千円の減少)、敷金及び保証金の減少(前事業年度末比23,101千円の減少)、本社移転に伴う建物の増加(前事業年度末比57,897千円の増加)、未収還付法人税等の増加(前事業年度末比15,457千円の増加)、工具、器具及び備品の増加(前事業年度末比11,913千円の増加)によるものであります。
(負債)当事業年度末の負債については、前事業年度末に比べて169,019千円減少し、358,622千円となりました。これは主に、借入金の減少(前事業年度末比80,012千円の減少)、未払法人税等の減少(前事業年度末比70,086千円の減少)、未払消費税等の減少(前事業年度末比31,676千円の減少)と、資産除去債務の増加(前事業年度末比22,270千円の増加)、人件費の増加に伴う未払費用の増加(前事業年度末比12,201千円の増加)によるものであります。
(純資産)当事業年度末の純資産については、前事業年度末に比べて15,591千円減少し、1,482,356千円となりました。これは主に、自己株式の取得による減少(前事業年度末比21,880千円の減少)、当期純利益の計上による利益剰余金の増加(前事業年度末比5,263千円の増加)と、ストックオプションの行使による資本金及び資本準備金の増加(前事業年度末比1,030千円の増加)によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,277,717千円となり、前事業年度末残高に比べ245,791千円減少いたしました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、使用した資金は17,016千円(前事業年度は185,501千円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払いにより109,540千円の減少、未払消費税等の支払いにより31,676千円の減少、売上債権の増加により17,720千円の減少、仕入債務の減少により6,018千円の減少、一方で増加要因は、減損損失56,821千円、減価償却費47,365千円、税引前当期純利益20,863千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は127,908千円(前事業年度は174,806千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出92,167千円、有形固定資産の取得による支出58,914千円を計上、敷金及び保証金の返還による収入24,361千円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、使用した資金は100,867千円(前事業年度は91,055千円の支出)となりました。これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の返済による支出80,012千円、自己株式の取得による支出21,880千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,024千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績の記載を省略しております。
(b) 受注実績当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、受注実績の記載を省略しております。
(c) 販売実績第10期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
ソリューション事業
888,230
+0.2
アナリティクス事業
1,079,248
+15.5
合計
1,967,478
+8.0
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しておりません。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)当事業年度における当社の売上高は、1,945,153千円(前事業年度比7.8%増加)となりました。これは、主に、ソリューション事業の「Keywordmap for SNS」はサービス縮小を行った一方、アナリティクス事業の新規サービスであるSNSマーケティングコンサルティングサービスやエキスパートソーシングサービスの案件獲得が堅調に進捗したことによるものであります。
(営業利益)当事業年度における当社の営業利益は、78,792千円(前事業年度比73.1%減少)となりました。これは、主に、新オフィスへの移転費用、信託型ストックオプション関連費用の計上等、一過性の費用が増加したことによるものであります。
(営業外損益・経常利益)当事業年度における営業外収益は、補助金収入等により84千円となりました。また、営業外費用は、支払利息等964千円を計上しました。経常利益は、77,911千円(前事業年度比73.3%減少)となりました。
(特別損益・税引前当期純利益・法人税等・当期純利益)当事業年度における特別利益は新株予約権戻入益を0千円計上しました。特別損失は、「Keywordmap for SNS」のサービス縮小に伴い減損損失56,821千円を計上しました。その結果、税引前当期純利益は、20,863千円(前事業年度比92.9%減少)となりました。また、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計15,600千円を計上したことにより、当事業年度の当期純利益は、5,263千円(前事業年度比97.4%減少)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性当社の所有資金は、運転資金及び事業拡大に伴う、新サービスに関連するソフトウエア等の投資資金となっています。これらの資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した自己資金を充当することを基本としておりますが、資金需要及び金利動向等の調達環境を考慮し、金融機関からの借入等、外部資金を調達する場合があります。また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,277,717千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、常に、事業環境に留意するとともに、組織体制の整備、優秀な人材の確保等により、リスク要因に対応してまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、あらゆるデータを様々な分析手法で活用し、革新的ソリューションを提供することにより、マーケティングソリューションで日本を代表する会社を創るというビジョンのもと、マーケティングの効率化・品質向上を支援するソリューション事業、データアナリストによるデータ解析、コンサルテーションを実施するアナリティクス事業を拡大してまいりました。今後の方針としましても、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入することで中長期の持続的な成長を目指してまいります。経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦
経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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