【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化を反映し、緩やかな回復の動きがみられたものの、原材料・エネルギー価格の高騰や世界的な金融引き締めによる景気の下押しリスクが懸念されるなか、国際情勢が一段と不安定化するなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループが属する宝飾業界は、インバウンド需要の回復もあり、引き続き高額品の売れ行きが堅調であった一方で、物価上昇による実質賃金の低下を背景とした生活防衛意識の高まりに加え、原材料費の高騰や慢性的な人材不足など、総じて厳しい事業環境が続きました。このような環境のなか、当社グループは、引き続き「強みの進化」と「ビジネスモデルの再構築」を中期の基本方針に掲げ、当社の強みを進化させることで付加価値の高い商品やサービスを継続的に創出し、持続的な成長を可能とする経営基盤の確立を目指しております。主な取り組みとして、進行する消費の二極化を踏まえ、富裕層を中心に新たな客層へのアプローチを強化するなど、ブランド価値のさらなる向上を見据えた対応を進めました。その一環として、エルメス、ルイ・ヴィトン等、数々のハイブランドを手掛け日本を代表するアーティストである河原シンスケ氏との協業により、2023年10月6日から伊勢丹新宿本店に「プチウサギ・シンスケカワハラ・フォーフェスタリア」と題した期間限定ショップをオープンしました。ジャポニスムなショップ空間を演出し、商品ラインナップにはフェスタリア初のジェンダーレスラインの先駆けとなるコインジュエリーを取り揃えた当ショップは、連日多くのお客様、セレブリティの皆様にご来場いただき、大盛況となりました。さらに、2023年10月11日からは伊勢丹新宿本店の海外メゾンを中心としたラグジュアリーゾーンの一画に当社の主力商品である“Wish upon a star®”オンリーショップの出店が実現するなど、ブランド価値向上に資する取り組みが進展しました。また、DX(Digital Transformation)による競争優位性の確立に向けた取り組みでは、オーダーメイド施策の一環としてジュエリーの3Dデジタルカスタマイズシステムの本格展開を進めたほか、OMO(Online Merges with Offline)戦略をサポートするCRM(Customer Relationship Management)システム「festaria Members Club」をオンラインショップに先行導入したことに加え、全国の店舗で会員登録の促進を図る運用を確立するため、トライアル店舗への先行導入も実施いたしました。さらに、業務標準化の推進においては、当社の強みである接客について、特にその育成手法に焦点を当てて標準化を実施し、文書化を進めました。また、バックエンドの最適化を図るため、基幹システムの刷新を柱としたシステム基盤の整備を進めました。海外事業については、台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)は、引き続きアジアマーケットの重要拠点として、フェスタリアグループの強みに立脚したビジネス展開を進め、収益性の向上を図りつつ、さらなるブランド力の強化を目指しました。ベトナム子会社D&Q JEWELLRY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、自社ブランドのみならず、OEM生産等を検討し、製造体制の見直しや生産合理化によるコスト競争力の向上を目指すとともに、品質のさらなる向上や工程安定化を確保することでSPA企業として最適な製造体制の確立を推進しました。これらの取り組みにより、売上高につきましては、ブライダルジュエリーが低調に推移したものの、ファッションジュエリーの販売が堅調に推移し、ブライダルの落ち込みをカバーしたため、前年同四半期比では同水準となりました。売上総利益は、金価格が期間平均で18.1%増加するなど、原材料価格の高騰が売上原価を圧迫したことから、売上総利益率が前年同四半期比で0.4ポイント低下したため、前年同四半期比5百万円(0.5%減)減少しました。費用面に関しては、人材の確保、定着に向けた対応を強化したことから人件費が大きく増加したことに加え、DX推進に伴う外注費やプロモーションコストを継続的に投下したため、販売費及び一般管理費は前年同四半期比106百万円(8.3%増)増加しました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,904百万円(前年同四半期比0.1%増)、営業損失177百万円(前年同四半期営業損失65百万円)、経常損失176百万円(前年同四半期経常損失75百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失157百万円(前年同四半期純損失66百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間の資産の部は、前連結会計年度に比べて606百万円(9.0%)増加して、7,324百万円となりました。これは主に、現金及び預金が124百万円、売掛金が75百万円、商品及び製品が373百万円、繰延税金資産が20百万円増加したことによるものであります。 当第1四半期連結会計期間の負債の部は、前連結会計年度に比べて781百万円(14.7%)増加して、6,091百万円となりました。これは主に、賞与引当金が39百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が85百万円、借入金が603百万円、未払金及び未払費用が78百万円、前受金が55百万円増加したことによるものであります。 当第1四半期連結会計期間の純資産の部は、前連結会計年度に比べ175百万円(12.4%)減少して、1,233百万円となりました。これは主に、利益剰余金が181百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は16.3%となり、前連結会計年度末に比べ4.1ポイント減少いたしました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。