【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績及び財政状態の状況
①経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)においては、中国の不動産市場の停滞に伴う景気減速懸念の高まりや、ロシア・ウクライナ問題の長期化及びイスラエル・ハマス紛争による国際情勢の不安定化といった地政学リスクの上昇に加え、欧米諸国における政策金利の高止まりの兆候や外国為替市場において円高への動きが見られるなど、世界経済全体として不確実性が高い状況が継続しております。
このような環境下、当社グループは、「世界一の品質を世界のすみずみへ」という使命を掲げ、当社グループの製品を世界中に提供し、世界の人々の幸福に貢献することを目指しております。当社グループの更なる成長に向けて、2022年8月期より中期経営計画をスタートし、営業・生産・開発の各機能のグローバル化を進めることでビジネスモデルの変革を行い、企業理念実現のための取り組みを着実に進めております。
中期経営計画の重要施策の観点では、グローバル生産体制の構築を目的として、ドイツの連結子会社MANI MEDICAL GERMANY GmbH(以下、MMG)では2023年9月に新本社・工場に移転し、生産活動を開始しました。MMGは今後、歯科用修復材1の生産能力の増強を図り、欧米及びアジアにおける販売拡大を推進してまいります。また、国内では2023年10月よりスマートファクトリーの建設を開始いたしました。今回建設するスマートファクトリーは、新製品及び新生産プロセスの量産化技術の確立とその後の海外展開を見据えた最初の「パイロット工場」として位置付けており、製品の原価低減を図りながらグローバルでの売上拡大を目指しております。特に、重点開発製品であるNiTiロータリーファイル「JIZAI」2や白内障手術に用いられる眼科ナイフの量産を想定した準備を進めております3。さらに、既存のベトナム工場を増設し、生産能力増強とBCP強化を図ります。グローバルマーケティングの推進の観点では、デンタル関連製品の更なる市場シェア及び売上拡大のため、2023年9月より新たな組織として「デンタル事業本部」を設置し活動を開始しました。デンタル関連製品セグメントの競争力強化及びマーケティング機能強化を2024年8月期の重要課題として設定しております。また、新たな拠点としてマレーシアに設立した販売子会社 MANI MEDICAL DEVICE MALAYSIA SDN. BHD.は2023年11月に本格稼働に向けた準備が整いました。今後東南アジア地域の新興国をターゲットにデンタル関連製品やサージカル関連製品の積極的な販売・マーケティング活動を展開してまいります。
今後も中期経営計画に基づく成長戦略により、企業価値の向上を目指してまいります。
(脚注)
1歯の欠損した部分を人工物で埋めることにより歯の形態を回復し、機能性及び審美性を高める治療(歯冠修復治
療、審美歯科治療)に使用される樹脂材料
2歯の歯髄と呼ばれる神経の治療法の1つである根管治療において、根管内の感染源除去に用いられる柔軟性の高い
ニッケルチタン製の歯科治療機器
3スマートファクトリーへの総投資額は105億円を予定(内訳:工場建設費用84億円、「JIZAI」量産ラインへの投資額11億円、眼科ナイフ量産ラインへの投資額10億円)
当第1四半期連結累計期間における経営成績
主にアジア、北米、国内や欧州を中心とした地域で販売が増加した他、円安による海外売上高の押し上げも加わったことを背景に、売上高は7,114百万円(前年同期比16.5%増)と好調に推移しました。一方、海外子会社における製造原価の上昇等により売上原価は2,667百万円(同8.6%増)、マーケティング活動の強化に伴う販促費の増加及び本社における人件費の増加により販売費及び一般管理費は2,224百万円(同17.0%増)となりましたが、売上高の拡大や売上原価率の改善も寄与し、営業利益は2,223百万円(同27.1%増)となりました。営業利益の大幅な増益及び為替差益の計上に伴い、経常利益は2,349百万円(同35.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,573百万円(同21.1%増)となり、前年同期から増益幅が拡大いたしました。
セグメント別の業績概況は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
売上高
セグメント利益(営業利益)
百万円
前年同期比(%)
百万円
前年同期比(%)
サージカル関連製品
1,945
18.8
651
36.7
アイレス針関連製品
2,520
21.1
966
62.5
デンタル関連製品
2,648
11.0
605
△10.6
連結
7,114
16.5
2,223
27.1
(サージカル関連製品)
サージカル関連製品の売上高は1,945百万円(前年同期比18.8%増)、セグメント利益は651百万円(同36.7%増)となりました。品質評価の高い眼科ナイフの需要が中国を中心としたアジア、国内、欧州や北米等の地域で拡大したことにより、前年同期から増収増益となりました。
(アイレス針関連製品)
アイレス針関連製品の売上高は2,520百万円(前年同期比21.1%増)、セグメント利益は966百万円(同62.5%増)となりました。製品需要の拡大を背景として、アイレス針の受注が中国を中心としたアジア、北米並びに欧州において前年度より引き続き増加したことにより、大幅な増収増益となりました。
(デンタル関連製品)
デンタル関連製品の売上高は2,648百万円(前年同期比11.0%増)、セグメント利益は605百万円(同10.6%減)となりました。中国、タイ、インドを中心としたアジア地域における歯科用根管治療機器(リーマ・ファイル類)及び歯科用回転切削機器(ダイヤバー)等の販売が好調であった一方、ドイツの連結子会社MMGにおける新本社・工場の立ち上げにより生じた生産遅延により、歯科用修復材を中心とするMMG製品の販売は低調に推移しました。他方、売上原価の増加や積極的なマーケティング活動の実施に伴う販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益は減益となりました。
補足:セグメント利益の算出方法の変更
当社グループは、当第1四半期連結累計期間の期首よりセグメント利益の算出方法を変更しております。変更の理由及び影響額については下記のとおりです。
変更の理由
デンタル関連製品の更なる市場シェア及び売上拡大を2024年8月期の重点施策として掲げており、2023年9月に新たな組織として「デンタル事業本部」を設置し活動を開始しました。これに伴い、デンタル関連製品セグメントで多くの販売費及び一般管理費の負担が発生する実態をより適切に各セグメントの業績に反映する必要が生じたため、セグメント利益の算出方法(セグメント別の販売費及び一般管理費の計算方法)を新たに変更するものです。
セグメント利益への影響額
(単位:百万円)
A
B
C
C-A
B-A
前第1四半期
連結累計期間
(変更前)
前第1四半期
連結累計期間
(変更後)
当第1四半期
連結累計期間
(変更後)
増減額
うち、
影響額
サージカル関連製品セグメント利益
(うち、販売費及び一般管理費)
476
(515)
453
(538)
651
(644)
174
(129)
△23
(23)
アイレス針関連製品セグメント利益
(うち、販売費及び一般管理費)
595
(599)
665
(529)
966
(594)
371
(△4)
70
(△70)
デンタル関連製品
セグメント利益
(うち、販売費及び一般管理費)
677
(785)
630
(833)
605
(984)
△72
(198)
△47
(47)
セグメント利益合計
(うち、販売費及び一般管理費合計)
1,748
(1,901)
1,748
(1,901)
2,223
(2,224)
474
(323)
–
(-)
②財政状態に関する説明
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2023年8月31日)
当第1四半期連結会計期間末
(2023年11月30日)
増減額
総資産
54,977
54,749
△227
流動資産
34,994
31,942
△3,051
固定資産
19,982
22,806
2,823
負債
5,149
5,254
105
純資産
49,827
49,494
△332
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ227百万円減少し、54,749百万円となりました。これは主に、流動資産3,051百万円の減少(主に設備投資や配当に伴う現金及び預金の減少)及び固定資産2,823百万円の増加(主に当第1四半期連結会計期間に実施したスマートファクトリー関連投資2,668百万円)によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ105百万円増加し、5,254百万円となりました。これは主に、預り金(主に配当源泉税に係る預り金)等のその他流動負債が増加したこと等によるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ332百万円減少し、49,494百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1,573百万円を計上した一方、配当金2,068百万円の支払いにより利益剰余金が減少したこと等によるものです。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は547百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。