【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績に関する説明
当社グループは、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの下、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げ、クラウドソフトウエアにテクノロジーと人力によってアナログ情報をデジタル化する仕組みを組み合わせた手法を軸に、人や企業との出会いをビジネスチャンスにつなげる、働き方を変えるDXサービスを提供しています。
具体的には、企業の営業活動や請求書業務、契約書業務等に対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するサービスを展開しており、DXへの意識改革や働き方の変化、SaaSビジネスへの関心の高まり等によって、DX市場は2030年度に6兆5,195億円(2022年度見込比3兆7,918億円増)(注1)、国内SaaS市場は2027年度に2兆990億円(2023年度見込比6,862億円増)(注2)の規模に達すると予想されています。当社が提供する営業DXサービス「Sansan」は、法人向け名刺管理サービス市場において82.4%のシェア(注3)を占めており、同市場は当社サービスの成長等につれて、2013年から2022年にかけて約16倍に拡大しています。また、当社が提供するインボイス管理サービス「Bill One」は、クラウド請求書受領サービス市場においてNo.1の売上高シェア(注4)を獲得しており、2022年度の同市場は、前年同期と比べて156.8%拡大しています。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高
11,824
15,726
+33.0%
売上総利益
10,200
13,423
+31.6%
調整後営業利益
65
522
+704.2%
経常利益
△113
268
–
親会社株主に帰属する四半期純利益
151
143
△5.1%
当第2四半期においては、Sansan/Bill One事業では、好調な受注状況を背景に、さらなる売上高成長を目的とした営業体制の強化等を行いました。また、Eight事業においては、デジタル名刺交換と名刺管理に特化したアプリへコンセプトを変更し、収益化に取り組みました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は前年同期比33.0%増、売上総利益は前年同期比31.6%増、売上総利益率は85.4%(前年同期比0.9ポイント減)となり、好調な実績となりました。調整後営業利益は、売上高が伸長したことに加え、主には売上高広告宣伝費率が低下したこと等により、前年同期比704.2%の大幅増となりました。また、調整後営業利益の増加等により、経常利益は黒字を計上しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前期同期においては関係会社株式売却益を計上していたこと等により、前年同期比5.1%減となりました。
(注)1.「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編」富士キメラ総研
2.「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」富士キメラ総研
3.「営業支援DXにおける名刺管理サービスの最新動向2024」(2024年1月 シード・プランニング調査)
4. デロイト トーマツ ミック経済研究所「驚異的な成長を続けるクラウド請求書受領サービス市場」(ミックITリポート2023年11月号)
セグメント別の業績は以下の通りです。
①Sansan/Bill One事業
当事業セグメントには、営業DXサービス「Sansan」やインボイス管理サービス「Bill One」等のサービスが属しています。
当第2四半期連結累計期間におけるSansan/Bill One事業の成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高(注5)
10,516
14,023
+33.3%
「Sansan」
9,532
11,012
+15.5%
「Sansan」ストック
9,039
10,401
+15.1%
「Sansan」その他
492
610
+24.0%
「Bill One」
898
2,588
+188.2%
その他
86
422
+391.0%
調整後営業利益
2,964
3,907
+31.8%
「Sansan」
契約件数
8,722件
9,234件
+5.9%
契約当たり月次ストック売上高
177千円
193千円
+9.0%
直近12か月平均月次解約率(注6)
0.49%
0.46%
△0.03pt
「Bill One」
MRR(注7)
177
494
+179.5%
有料契約件数
1,084件
2,304件
+112.5%
有料契約当たり月次ストック売上高
163千円
214千円
+31.3%
直近12か月平均月次解約率(注6)
0.50%
0.47%
△0.03pt
(注)5. 外部顧客への売上高及びセグメント間の内部売上高または振替高の合計値
6. 各サービスの既存契約のMRRに占める、解約に伴い減少したMRRの割合
7. Monthly Recurring Revenue(月次固定収入)
a.「Sansan」
「Sansan」の契約件数及び契約当たり月次ストック売上高のさらなる拡大に向け、当第2四半期においては、人員採用を通じて営業体制の強化を行いました。
この結果、主に中堅・大企業の新規契約獲得が進み、「Sansan」の契約件数は前年同期末比5.9%増、契約当たり月次ストック売上高は前年同期比9.0%増となりました。また、直近12か月平均月次解約率は0.46%(前年同期比0.03ポイント減)となり、1%未満の低水準を維持しました。
この結果、「Sansan」売上高は前年同期比15.5%増、うち、固定収入であるストック売上高は前年同期比15.1%増、その他売上高は前年同期比24.0%増となりました。
b.「Bill One」
「Bill One」の高成長継続に向け、当第2四半期は、第1四半期に継続してマーケティング活動の強化と積極的な人材採用を通じた営業体制の強化を行いました。
これらの結果、2023年11月におけるMRRは前年同月比179.5%増、ARR(注8)は5,937百万円となりました。また、中堅・大企業の新規契約獲得が進み、有料契約件数は前年同期末比112.5%増、有料契約当たり月次ストック売上高は前年同期比31.3%増となりました。また、直近12か月平均月次解約率は0.47%(前年同期比0.03ポイント減)となり、1%未満の低水準を維持しました。
この結果、「Bill One」売上高は前年同期比188.2%増となりました。
(注)8. Annual Recurring Revenue(年間固定収入)
c. その他
既存サービスで培った強みや知見、ノウハウ等を活かして、契約DXサービス「Contract One」等の立ち上げに注力しました。また、2023年3月に連結子会社化したクリエイティブサーベイ株式会社の業績が前第4四半期連結会計期間より寄与しています。
この結果、その他売上高は前年同期比391.0%増となりました。
以上の結果、Sansan/Bill One事業の売上高は前年同期比33.3%増、調整後営業利益は前年同期比31.8%増となりました。
②Eight事業
当事業セグメントには、名刺アプリ「Eight」やイベント書き起こしサービス「logmi」シリーズが属しています。
当第2四半期連結累計期間におけるEight事業の成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高(注9)
1,235
1,509
+22.1%
BtoCサービス
146
166
+13.6%
BtoBサービス
1,088
1,342
+23.3%
調整後営業利益
△149
4
–
「Eight」
「Eight」ユーザー数(注10)
320万人
343万人
+23万人
「Eight Team」契約件数
3,195件
4,194件
+31.3%
(注)9. 外部顧客への売上高及びセグメント間の内部売上高または振替高の合計値
10. アプリをダウンロード後、自身の名刺をプロフィールに登録した認証ユーザー数
a. BtoCサービス
コロナ禍収束に伴うビジネスの正常化やデジタル名刺交換等の機能拡充により、「Eight」ユーザー数は堅調に増加して前年同期末比23万人増の343万人となり、BtoCサービス売上高は前年同期比13.6%増となりました。
b. BtoBサービス
大型のビジネスイベントの開催をはじめとした、各種BtoBサービスのマネタイズ強化に取り組んだ結果、BtoBサービス売上高は前年同期比23.3%増となりました。また、「Eight Team」の契約件数は前年同期末比31.3%増となりました。
以上の結果、Eight事業の売上高は前年同期比22.1%増となりました。調整後営業利益は、売上高が伸長したことに加え、収益性改善に焦点を当てた事業運営を進めた結果、黒字を計上しました。
(2)財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当第2四半期
連結累計期間
前連結
会計年度末比
資産合計
31,200
31,312
111
負債合計
18,009
17,616
△393
純資産合計
13,190
13,695
504
負債純資産合計
31,200
31,312
111
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産額は31,312百万円となり、前連結会計年度末に比べて111百万円増加しました。これは主に投資有価証券の378百万円増加、敷金の1,762百万円増加及びのれんの268百万円増加、現金及び預金の2,170百万円減少及び売掛金の221百万円の減少によるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は17,616百万円となり、前連結会計年度末に比べ393百万円減少しました。これは主に未払金の408百万円減少及び長期借入金の270百万円減少によるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産額は13,695百万円となり、前連結会計年度末に比べ504百万円増加しました。これは、ストックオプションの行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ106百万円増加、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の143百万円増加によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
営業活動によるキャッシュ・フロー
△646
611
1,257
投資活動によるキャッシュ・フロー
796
△2,711
△3,507
財務活動によるキャッシュ・フロー
430
△85
△515
現金及び現金同等物の四半期末残高
15,828
18,806
2,977
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,178百万円減少し、18,806百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は611百万円(前年同期は646百万円の支出)となりました。主な増加要因は税金等調整前四半期純利益の計上262百万円、非現金支出となる減価償却費の計上415百万円、売上債権の減少額250百万円及び仕入債務の増加額154百万円によるものであり、主な減少要因は未払金の減少額484百万円及び前払費用の増加額177百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は2,711百万円(前年同期は796百万円の収入)となりました。主な減少要因は敷金の差入による支出1,956百万円、投資有価証券の取得による支出311百万円、無形固定資産の取得による支出195百万円及び有形固定資産取得による支出139百万円によるものであり、主な増加要因は敷金の回収による収入192百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は85百万円(前年同期は430百万円の収入)となりました。主な減少要因は長期借入金の返済による支出286百万円によるものであり、主な増加要因は新株の発行による収入200百万円によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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