【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られた一方で、各種物価の上昇によるコスト高や為替相場の変動が続いており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社の関連業界である賃貸不動産業界においては、デジタル技術の進化により、契約手続きのデジタル化が進んでおります。具体的には、契約書類のオンライン化や電子署名の導入が行われており、紙の契約書の作成や保管、運送といった手間を省くことが可能となってきております。また、電子契約システムの導入により、契約のスピードアップやリモートでの取引が可能となるなど、業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展しております。このような事業環境のもと、当社は多様化する顧客ニーズに対応するべく、これまで培ってきたノウハウを活用し、保証システム及び取扱店様向け顧客情報管理システムの改修を図り、サービスの業容拡大を目指してまいりました。この結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,876,511千円(前期比10.4%増加)、営業利益291,668千円(前期比26.4%減少)、経常利益292,172千円(前期比28.1%減少)、当期純利益196,885千円(前期比22.9%減少)となりました。なお、セグメント別の経営成績につきましては次のとおりであります。
(保証事業)保証事業におきましては、積極的な新規取引先の開拓を継続することにより、新規優良顧客の獲得に努め、シェア拡大を目指してまいりました。並びに、既存クライアントへは随時情報収集を行い、新たな商品設計の提案を行うなど、各施策を実施し顧客ニーズへの対応強化を図ったため、契約件数が順調に推移しました。また、SMSを使ったWEB請求・オートコール・AIオペレータによるオートメーション化を図るなど、回収効率向上にも取り組んでまいりました。この結果、本報告セグメントの売上高は2,674,267千円(前期比11.0%増加)、セグメント利益は538,034千円(前期比12.5%減少)となりました。
(その他)その他の区分におきましては、ランドリーサービスについては、店舗の美化向上に向けた業者による清掃を行い、「安心、安全、清潔」な店舗を維持するように努めました。フィットネスサービスについては、お客様一人ひとりに合わせたサポート体制を目指し、ストレッチ教室の開催やカウンセリングを通じてフォロー体制を強化してまいりました。さらに、近隣のスーパーなどを活用した集客活動を通じて、新規会員の獲得を積極的に行ってまいりました。この結果、セグメントのその他における売上高は202,243千円(前期比3.2%増加)、セグメント利益は28,837千円(前期比1.7%増加)となりました。
②財政状態の状況
(資産)総資産の残高は、前事業年度末に比べ496,432千円増加し、3,407,640千円となりました。流動資産の残高は、前事業年度末に比べ413,714千円増加し、2,943,412千円となりました。これは主に、現金及び預金が109,125千円増加、未収入金が122,890千円増加、求償債権が248,390千円増加したことによるものであります。固定資産の残高は、前事業年度末に比べ82,717千円増加し、464,228千円となりました。これは主に、有形固定資産が1,021千円増加、投資その他の資産が82,290千円増加した一方で、無形固定資産が594千円減少したこと等によるものであります。
(負債)負債合計は、前事業年度末に比べ299,546千円増加し、2,305,141千円となりました。これは主に、流動負債の短期借入金が105,400千円増加、前受収益が93,173千円増加、保証履行引当金が104,488千円増加した一方で、未払法人税等が119,728千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)純資産合計は、前事業年度末に比べ196,885千円増加し、1,102,499千円となりました。これは、利益剰余金の増加によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は1,729,700千円となり、前事業年度末に比べ109,125千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは64,107千円の収入(前事業年度は278,107千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益292,172千円、貸倒引当金の増加額97,935千円、保証履行引当金の増加額104,488千円、未収入金の増加額△122,890千円、求償債権の増加額△248,390千円、前受収益の増加額93,173千円、法人税等の支払額△277,055千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは53,481千円の支出(前事業年度は27,172千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出△22,040千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは98,499千円の収入(前事業年度は39,411千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減による収入105,400千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は生産活動を行っていないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社は受注活動を行っていないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
保証事業
2,674,267
111.0
その他
202,243
103.2
合計
2,876,511
110.4
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.当事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容a 売上高当事業年度の売上高は、2,876,511千円(前期比10.4%増加)となりました。保証事業につきましては、積極的な新規取引先の開拓を継続することにより、新規優良顧客の獲得に努め、シェア拡大を目指してまいりました。並びに、既存クライアントへは随時情報収集を行い、新たな商品設計の提案を行うなど、各施策を実施し顧客ニーズへの対応強化を図ったため、契約件数が順調に推移しました。この結果、売上高は2,674,267千円(前期比11.0%増加)となりました。その他の区分におきましては、ランドリーサービスについては、店舗の美化向上に向けた業者による清掃を行い、「安心、安全、清潔」な店舗を維持するように努めました。フィットネスサービスについては、お客様一人ひとりに合わせたサポート体制を目指し、ストレッチ教室の開催やカウンセリングを通じてフォロー体制を強化してまいりました。さらに、近隣のスーパーなどを活用した集客活動を通じて、新規会員の獲得を積極的に行ってまいりました。この結果、売上高は202,243千円(前期比3.2%増加)となりました。
b 売上原価、売上総利益当事業年度の売上原価は、1,204,044千円(前期比18.4%増加)となりました。これは主に、保証事業における売上拡大に伴う、保証委託契約を締結したことによる不動産管理会社等へ支払う紹介手数料(事務手数料)の増加、債務保証額及び求償債権の増加により保証履行引当金、貸倒引当金が増加することによる保証履行引当金繰入、貸倒引当金繰入の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,672,466千円(前期比5.3%増加)となりました。
c 販売費及び一般管理費、営業利益当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,380,798千円(前期比15.9%増加)となりました。これは主に、家賃債務保証サービスの拡大に伴う人件費の増加、及び当社株式上場に伴う上場関連費用等の計上によるものであります。この結果、営業利益は291,668千円(前期比26.4%減少)となりました。
d 営業外収益、営業外費用、経常利益営業外損益については、営業外収益は、受取配当金及び受取賃貸料等の計上により、6,779千円(前期比40.8%減少)となりました。営業外費用は、主に支払利息の計上及び上場関連費用の計上により、6,275千円(前期比348.5%増加)となりました。この結果、経常利益は292,172千円(前期比28.1%減少)となりました。
e 特別損益、法人税等、当期純利益特別利益及び特別損失については、発生がありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は95,286千円(前期比36.9%減少)となりました。この結果、当期純利益は196,885千円(前期比22.9%減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 資本の財源及び資金の流動性当社の資本の財源及び資金の流動性については、販売費及び一般管理費等の運転資金需要及び管理会社及び賃貸人への代位弁済による立替金需要に対して、自己資金で賄うことを基本としつつ、取引金融機関と当座貸越契約の締結により機動的に資金調達ができる体制を構築しており、一部の資金については当該契約を活用し調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、引当金の計上や資産の評価等の見積りについては、当社における過去の実績や将来の計画を勘案し判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。a 貸倒引当金求償債権のうち、一定の滞納月数を超えておらず、回収不能となる兆候が個別にみられないものについては、一般債権等として将来の予想損失額を見込んで貸倒引当金を計上しております。予想損失額は過去の一定期間の貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の平均値に基づき算定しております。また、求償債権のうち、一定の滞納月数を超えるものについては、貸倒懸念債権等特定の債権として、個別に求償債権残高から回収可能見込額を控除した回収不能見込額に基づき貸倒引当金を計上しております。見積もられた予想損失額に関して、保証委託者の状況や経済環境が変化した場合には、貸倒引当金残高が変動し、損益に影響を及ぼす可能性があります。
b 保証履行引当金保証履行引当金は、保証契約に定める保証限度額の範囲において翌事業年度以降に生じると見込まれる求償債権や費用の発生額に基づき、保証履行による将来の予想損失額を計上しております。求償債権や費用の発生見込額を見積もる際には、保証委託者の状況、過去の一定期間における回収実績及び保証終了時の滞納累積月数の実績並びに弁護士費用や強制執行に要する追加費用の発生実績に基づき算出しております。見積もられた予想損失額に関して、保証委託者の状況や経済環境の変化等の追加情報を評価する結果、保証履行引当金を追加で計上する可能性があると判断される場合もあります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、初回保証契約件数と初回保証契約単価及び求償債権発生率と求償債権回収率を重視しております。
[重視する指標]
2023年9月期実績
初回保証契約件数(件)
35,607
初回保証契約単価(円)
42,923
求償債権発生率(%) (注)1
5.8
求償債権回収率(%) (注)2
98.7
(注) 1.当事業年度の債務保証額に対し、当事業年度に賃料の未納が発生し代位弁済した金額の比率であります。2.当事業年度請求発生額に対し当事業年度に回収した金額の比率であります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
#C5843JP #ニッポンインシュア #その他金融業セクター