【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和以降、徐々に社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安の進行による原材料・エネルギー価格の高騰、急激な物価上昇による景気後退も懸念され、先行きは依然として不安定な状況で推移いたしました。印刷業界におきましては、デジタル化の進展によるプリントメディアの需要縮小、競争の激化、価格の低迷などが長期化していることに加え、度重なる印刷用紙の値上げやエネルギー価格の高騰による製造原価の上昇により、依然として厳しい経営環境が続いております。このような環境下にあって当社グループでは、環境配慮型パッケージの拡充やフルフィルメントサービスの拡大を推進するとともに、プリントメディアからデジタルメディアまでの領域を「発想から発送まで」ワンストップで提供するビジネスを推進してまいりました。また、原材料価格・エネルギー価格の高騰に対しては、経費削減や生産・物流部門の効率化を推進し、不採算商品の見直しや販売価格の修正を行ってまいりました。
商品分野別の業績を示すと、以下の通りであります。(パッケージング分野)パッケージング分野におきましては、国内における個人消費の回復および商品の包装から発送までを受託するフルフィルメントサービスの需要が増加したことにより、売上高は81億40百万円(前期比3.2%増)となりました。(コミュニケーション分野)コミュニケーション分野におきましては、デジタルメディアサービスの伸長および新型コロナウイルス感染症の長期化の影響により中止、延期あるいは規模縮小をしていたイベント・展示会等の開催が行動制限の緩和により活発化し、カタログ、パンフレット等の需要が増加したため、売上高は49億円(前期比9.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は130億40百万円(前期比5.4%増)、営業利益は3億63百万円(前期比7.1%増)、経常利益は5億85百万円(前期比20.3%減)となりました。なお、特別利益に世徳印刷(無錫)有限公司の工場移転に伴う土地収用補償金10億77百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は11億38百万円(前期比106.6%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産額は、148億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億66百万円増加しました。その内訳と増減要因については、次のとおりであります。
(資産)流動資産は63億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億36百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加3億73百万円、売掛金の増加3億97百万円によるものであります。固定資産は84億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億30百万円増加しました。これは主に、投資有価証券の増加2億32百万円、リース資産の増加3億2百万円によるものであります。
(負債)流動負債は49億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億11百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加1億60百万円、電子記録債務の増加2億45百万円によるものであります。固定負債は16億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億91百万円減少しました。これは主に、長期前受金の減少4億17百万円、長期借入金の減少3億円、リース債務の増加2億75百万円によるものであります。
(純資産)純資産は82億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億47百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加11億38百万円によるものであります。
③ 当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億73百万円増加し、19億10百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は10億46百万円(前連結会計年度は11億60百万円の獲得)となりました。これは、主に世徳印刷(無錫)有限公司の立退きに伴う収用補償金の受取額6億47百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は1億71百万円(前連結会計年度は4億18百万円の獲得)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出2億94百万円、保険積立金の積立による支出73百万円、保険積立金の払戻による収入2億34百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は5億2百万円(前連結会計年度は10億96百万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の減少1億20百万円、長期借入金の返済による支出3億40百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
商品分野の名称
金額(千円)
前年同期比(%)
パッケージング分野
6,891,777
103.0
コミュニケーション分野
4,108,051
110.4
合計
10,999,829
105.6
(注)生産金額は販売価格により表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
商品分野の名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
パッケージング分野
8,225,746
105.2
454,452
123.2
コミュニケーション分野
4,731,459
102.5
271,383
61.6
合計
12,957,206
104.2
725,835
89.7
(注)金額は販売価格により表示しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を商品分野ごとに示すと、次のとおりであります。
商品分野の名称
金額(千円)
前年同期比(%)
パッケージング分野
8,140,022
103.2
コミュニケーション分野
4,900,845
109.3
合計
13,040,868
105.4
(注)1.金額は販売価格により表示しております。2.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
王子ネピア株式会社
1,391,123
11.2
1,406,172
10.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、原材料価格およびエネルギーコストの高騰の影響、ペーパーレス化への移行による印刷物の需要の減少等で、引き続き厳しい経営環境となりました。このような状況の中、当社グループは、環境配慮型パッケージの開発・提供に注力するとともに、フルフィルメントサービスを拡充するなど十分な付加価値を保持しました。また、引き続き、顧客のニーズに応えるべく、営業力・提案力の強化を図り、新規顧客の開拓と既存顧客の深耕に注力するとともに、生産効率の向上、更なる内製化の推進により、売上の拡大、収益性の改善に取り組んでまいりました。売上高は、国内及び中国で堅調に推移し、130億40百万円(前年同期比5.4%増)となりました。パッケージング分野は、高付加価値品が増加したことにより81億40百万円(前年同期比3.2%増)となり、コミュニケーション分野は、イベント・展示会等の開催が行動制限の緩和により活発化し、49億円(前年同期比9.3%増)となりました。営業利益は、エネルギーコストおよび原材料の高騰により製造原価が増加したものの、製品価格への転嫁が順調に進んだことにより3億63百万円(前年同期比7.1%増)となりました。営業外収益は、主に保険解約返戻金が増加したものの匿名組合投資利益が減少したことにより、前期に比べ1億61百万円減少し2億44百万円(前期比39.7%減)となりました。この結果、経常利益は、前期に比べ1億48百万円減少し5億85百万円(前期比20.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、世徳印刷(無錫)有限公司の移転に伴う土地収用補償金の計上により、前期に比べ5億87百万円増加し11億38百万円(前期比106.6%増)となりました。なお、当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、景気や消費動向、原材料や燃料価格の変動、価格競争による製品価格の動向などがあります。これらに対して、当社の強みである「発想から発送までのワンストップソリューション」により、販売においては顧客の売り上げを最大化するための企画提案を継続し、新規分野・新規顧客先の開拓に積極的に取り組みます。モノづくりにおいては、生産効率の向上をテーマに、一層の自動化・機械化・省人化・省エネルギー化を推進してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要③ 当期のキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要の主なものは、原材料の購入費用のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用などの運転資金及び生産設備の更新を中心とした設備投資であります。運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入による調達、設備投資資金については、金融機関からの長期借入による調達を基本方針としております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1
連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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