【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の四半期財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この四半期財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産および負債の金額、収益および費用の金額に影響を与えるような仮定、見積り、判断を必要とします。過去の経験や状況に応じ合理的と判断した入手可能な情報に基づいた仮定、見積り、判断であっても、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
① 業績の状況当第1四半期累計期間(自 2023年6月1日 至 2023年8月31日。以下、「当四半期」)の経営成績につきましては、売上高57,372百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益18,468百万円(前年同期比14.4%増)、経常利益18,581百万円(前年同期比13.8%増)、四半期純利益12,877百万円(前年同期比13.7%増)となり、第1四半期としては売上高、営業利益、経常利益および四半期純利益ともに過去最高を達成いたしました。当四半期における当社の属する国内の情報サービス産業においては、システム更新需要のほか、企業が収集するあらゆるデジタルデータを活用した業務効率化、サステナビリティ経営の実現に向けたIT環境整備、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするクラウドサービス(*1)や、Autonomous(自動化)、AI(人工知能)、マシーン・ラーニング(機械学習)、ディープ・ラーニング(深層学習)など新しいテクノロジーに対するIT投資が底堅く推移しております。このような環境下において、当社は引き続き、当社製品・サービスの活用によって顧客企業のイノベーションの実現とビジネス変革、成長を強力に支援することへの価値訴求を継続してまいりました。
② 報告セグメント別の状況
市場展開方針
ミッション・ステートメント当社は、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援することにより、さらなる企業成長を目指しております。また人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくことをミッションとしております。我々自身が進化を続け、そしてお客様の進化を正しくナビゲートしていくことが、世の中を正しい方向に導く一歩となり、いずれ社会や人類への貢献に繋がると考えております。
当社の強み「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」を掲げ、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援することにより、さらなる企業成長を目指しております。テクノロジー企業であるオラクルが自社のテクノロジーを用いて実践したビジネスプロセスの近代化、デジタル化の成果をお客様企業へ導入することで、データ・ドリブンなデジタル・トランスフォーメーションを支援してまいります。当社はシステムを構築するために必要なプラットフォーム製品、業務アプリケーション、ハードウェアまでを、クラウド、オンプレミスいずれの環境においても展開可能な総合的製品ポートフォリオを有しております。特にソフトウェア・ライセンス製品は、長年、高度なセキュリティ、可用性と高速処理性能が求められるミッションクリティカル領域で広く採用されております。事業の中核であるOracle Cloudは、このソフトウェア・ライセンスと同じ設計思想、同じ技術で構築しており、オラクルのソフトウェア・ライセンスで構築したオンプレミス・システムとオラクルクラウドとの連携、双方向の移行を可能とすることを強みとしております。
重点施策これまで注力してきたデータ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウドサービス、それらの利用を支援する各種サービスの提供をさらに加速させ、日本の社会のために貢献してまいります。また、ライセンス部門・クラウド部門がより強力に連携することで、お客様のクラウドトランスフォーメーションをともに推進いたします。さらに組織横断のコラボレーションによりインダストリーモデルをより強化し、各業界のお客様に最適なオラクルソリューションをご提供することで、お客様のビジネスに貢献してまいります。
2023年5月期は「クラウドトランスフォーメーションを加速」する5つの施策を推進し、当期は日本社会へさらに貢献するために、次の2分野に注力してまいります。
(1) 日本のためのクラウドの提供1. 日本のお客様専用のクラウドを提供することで、ミッションクリティカル・システムの近代化を支援いたします。2. ガバメントクラウドに認定されたOracle Cloud Infrastructure(OCI)を活用し、日本全国、地方自治体のデジタル化を支援することで、日本政府が推進するガバメントクラウドに貢献します。3. ITコストの構造改革の最適解を常に提案し、オンプレミスとクラウドのハイブリッドクラウド環境や、マルチクラウド環境を提供することで、お客様のミッションクリティカル・システムのクラウド化を支援いたします。4. クラウドネイティブなSaaSの提供により、お客様のライフサイクルコスト構造の変革、進化を続けるAI技術の享受、さらに変化対応力の両立を支援します。5. 以上の施策を実現するために、パートナー様との連携をさらに強化いたします。
(2) お客様のためのAIの推進当社はお客様にAIサービスを提供する能力、体制を備えております。オラクル・グループはAIの最前線に位置しており、当社もその利点を生かしてAIの活用を推進可能な立場にあります。またAIはコンピューティング技術においても不可欠な存在となっており、当社もAIをクラウドサービス等に活用することで、お客様のためのAIを推進してまいります。
[用語解説]*1 クラウドサービス:企業等のITシステムに利用されるソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービスとして提供する形態。*2 オンプレミス:ITシステムを自社所有で構築・運用する形態。
[クラウド&ライセンス]
売上高は48,170百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益は18,574百万円(前年同期比14.2%増)となりました。内訳につきましては、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は8,436百万円(前年同期比22.5%増)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は39,733百万円(前年同期比11.9%増)となりました。 当セグメントは企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェアのソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成されます。当四半期は、上記の市場展開方針により、当社製品・サービスの価値訴求を積極的に展開してまいりました。ライセンスビジネスにおいては、コスト削減のためだけではなく、ビジネスを成長させていくためのIT投資需要は引き続き堅調です。また、パートナー企業様とのアライアンス強化を積極的に推進し、クラウドパートナーとの協業強化を進め、中堅中小企業向けの需要創出にも注力してまいりました。クラウドサービスにおいては、クラウドシフトをさらに加速させるため、既存のお客様向けに“Oracle Fusion Cloud ERP”へのアップグレード(オンプレミスからクラウドへのリフト&シフト)に一層注力するとともに、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでまいりました。“Oracle Cloud Infrastructure (OCI)”については、パフォーマンスやセキュリティ、費用対効果を重視されるお客様からの引合いは引き続き強く、東京および大阪データセンターの利用量は順調に増加しております。また、OCIは、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP – Information system Security Management and Assessment Program)に適合したクラウドサービスとして登録されております。さらにOCIは、2022年10月「デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に決定いたしました。政府機関、地方自治体等のデジタル化の推進に伴う、中長期的な需要創出および基盤構築への寄与を目指します。なお、政府・自治体向けOCIに関する情報提供webサイトを開設いたしました。https://www.oracle.com/jp/cloud/government/
中堅中小企業向けCloud ERPのNetSuiteにおいても、クラウドサービスを導入する企業の需要を取り込み堅調に推移いたしました。
ライセンスサポートは、高い契約更新率を維持しており、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの販売に伴う新規保守契約も高水準を堅持しております。
[ハードウェア・システムズ]売上高は3,819百万円(前年同期比20.1%増)、営業利益は160百万円(前年同期比20.8%増)となりました。当セグメントは、サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェア・システムズ・プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェアの更新版等の提供を行う「ハードウェア・システムズ・サポート」から構成されます。当四半期は、2023年6月に“Oracle Exadata Database Machine X10M”(X9Mのアップグレード版)の提供を開始いたしました。“Exadata Database Machine X10M”および“Exadata Cloud@Customer X10M”は、すべての AMD EPYC™ プロセッサを搭載した初のExadataシステムです。世界的な半導体不足に伴うチップ不足による出荷への影響は徐々に緩和してまいりましたが、引き続き慎重に状況を精査してまいります。Exadataは、ストレージ・ボトルネックを排除し、オンライン・トランザクション処理(OLTP)、アナリティクス、IoT、不正検出、高頻度取引など、最も過酷なワークロード向けにパフォーマンスを大幅に向上させます。
[サービス]売上高は5,382百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は923百万円(前年同期比16.7%減)となりました。当セグメントは、当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」から構成されております。当四半期は、コンサルティングサービスにおいて、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、当社の総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が堅調に推移しております。
<報告セグメント別売上高の状況>
区分
2023年5月期第1四半期
2024年5月期第1四半期
2023年5月期
金額
構成比
金額
構成比
対前年同期比
金額
構成比
百万円
%
百万円
%
%
百万円
%
クラウドサービス
9,275
18.2
12,742
22.2
37.4
36,314
16.0
ライセンスサポート
26,222
51.4
26,991
47.0
2.9
105,660
46.6
クラウドサービス&ライセンスサポート
35,497
69.6
39,733
69.3
11.9
141,975
62.6
クラウドライセンス&オンプレミスライセンス
6,883
13.5
8,436
14.7
22.5
47,876
21.1
クラウド&ライセンス
42,381
83.1
48,170
84.0
13.7
189,851
83.7
ハードウェア・システムズ
3,179
6.2
3,819
6.7
20.1
16,240
7.2
サービス
5,457
10.7
5,382
9.4
△1.4
20,822
9.2
合計
51,018
100.0
57,372
100.0
12.5
226,914
100.0
(注) 1.金額は単位未満を切捨て、構成比ならびに対前年同期比は単位未満を四捨五入で表示しております。
2.当第1四半期会計期間よりクラウド&ライセンスセグメントの区分の内、当社が注力しているクラウドサービス売上高の重要性が高まったため、「クラウドサービス&ライセンスサポート」を「クラウドサービス」及び「ライセンスサポート」の2区分に変更しました。なお、前第1四半期累計期間は、変更後の区分により作成したものを開示しております。
③ 営業利益営業利益は、クラウド&ライセンスセグメントにおける売上高の伸長により、18,468百万円(前年同期比14.4%増)となりました。売上原価は、30,726百万円(前年同期比15.3%増)となりました。クラウド&ライセンスセグメントにおいて、ロイヤルティおよび業務委託費が増加しました。また、ハードウェア・システムズセグメントにおいて、当期仕入高が増加しました。販売費及び一般管理費では、業務委託費等が増加した一方、人件費および福利厚生費が減少した結果、8,177百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
④ 営業外損益および経常利益経常利益は、営業外損益112百万円の収益(純額)を計上した結果、18,581百万円(前年同期比13.8%増)となりました。
⑤ 四半期純利益法人税等(5,704百万円)を計上した結果、四半期純利益は12,877百万円(前年同期比13.7%増)となりました。
(2) 財政状態の分析(資産の部)当第1四半期会計期間末における流動資産は、125,092百万円(前事業年度末比5,738百万円減)となりました。これは主に、売掛金の減少(6,418百万円)等によるものです。当第1四半期会計期間末における固定資産は、前事業年度末比で527百万円減少し、149,656百万円となりました。 (負債の部)当第1四半期会計期間末における負債は、126,751百万円(前事業年度末比1,589百万円増)となりました。(純資産の部)当第1四半期会計期間末における純資産は、147,998百万円(前事業年度末比7,855百万円減)となりました。これは主に、ストック・オプションの行使による資本金、資本剰余金の各々の増加(26百万円)、当四半期純利益の計上(12,877百万円)、配当金の支払(20,778百万円)等によるものです。 この結果、自己資本比率は53.8%(前事業年度末比1.6ポイントダウン)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 2023年8月24日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載した内容から重要な変更はありません。
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