【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産の残高は、前事業年度末に比べ389,688千円減少し、2,977,402千円となりました。これは主に、研究開発費や事業運営費の支出により現金及び預金が399,885千円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ67,801千円減少し、610,015千円となりました。これは主に、減価償却費の計上によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ457,489千円減少し、3,587,417千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債の残高は、前事業年度末に比べ14,985千円減少し、97,425千円となりました。これは主に、預り金が20,455千円減少したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ580千円減少し、36,369千円となりました。これは主に、繰延税金負債が652千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ15,566千円減少し、133,794千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度末に比べ441,922千円減少し、3,453,623千円となりました。これは主に、当期純損失の計上によるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、景気の持ち直しがみられました。しかしながら、各国の金融政策やウクライナ情勢等による為替相場の急激な変動や資源・エネルギー及び原材料価格の高騰等もあり、当社を取り巻く経営環境においては不確定な要因も多く、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。
当社は、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け、大阪大学が実施する医師主導治験を継続して支援しております。当事業年度においては、同医師主導治験の進捗を加速させるために、当社は治験参加施設の拡充や治験参加施設に対する同医師主導治験のサポート業務を行いました。
同医師主導治験は、前半部分(コホートA)と後半部分(コホートB)に分かれています。コホートA(ヒトに移植されることから慎重に進めるための前半フェーズ)では2020年11月までに計3症例の被験者に対して移植が行われました。コホートB(コホートAでの安全性及び有効性評価に応じて用量の増加を可能とするフェーズ)では、2022年8月、12月に順天堂大学医学部附属順天堂医院において、それぞれ1症例ずつ移植が行われ、また2023年1月には九州大学病院及び大阪大学医学部附属病院、2023年3月には東京女子医科大学病院にて移植が行われたことにより、計画していた計5症例の被験者への移植を完了しました。この結果、同医師主導治験の予定被験者数である8症例への移植が完了しました。
また、コホートAについては、現在、その有効性や安全性を評価している段階にありますが、大阪大学の研究チームがコホートAの第1症例目を対象に有効性及び安全性について解析した結果、肯定的な評価を示唆する論文を発表しております。( www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.12.27.21268295v1.full )
本論文では、移植後にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関連する有害事象は認められず、また、心機能だけでなく、運動耐容能も改善し得る可能性が示唆されています。
本論文は、2022年8月2日に「Frontiers in Cardiovascular Medicine」誌の査読後、アクセプトされ、より詳細な情報を含んだ上で、公開されております。
( www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2022.950829/abstract )
その他の研究開発活動におきましては、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに続く新たな研究開発パイプラインの製品化に向けた取り組みを本格的に開始しております。当事業年度においては、主に、カテーテル、体内再生因子誘導剤、虚血性心筋症(海外)に関する研究開発活動を進めてまいりました。
売上高について、前事業年度から開始した製造開発受託サービス(CDMOサービス)は、当事業年度においても堅調に推移いたしました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高38,278千円(前年同期比175.1%増)、営業損失450,435千円(前年同期は373,264千円の損失)、経常損失450,418千円(前年同期は373,140千円の損失)、当期純損失452,077千円(前年同期は375,337千円の損失)となりました。
当事業年度において発生した研究開発費(総額)は648,463千円(前年同期比1.1%減)でありましたが、当社は共同研究開発のパートナー企業から共同研究開発費(以下、共同研究開発費受入額)を受領しており、共同研究開発費受入額を控除した金額168,152千円(前年同期比49.1%増)を販売費及び一般管理費において研究開発費として計上しております。
なお、当社は、再生医療等製品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ399,885千円減少し、2,941,896千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、401,612千円の支出(前年同期は220,762千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失449,878千円(前年同期は373,140千円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、8,968千円の支出(前年同期は28,444千円の支出)となりました。これは主に、研究機器等の有形固定資産の取得による支出5,066千円(前年同期は28,691千円の支出)や、無形固定資産の取得による支出5,500千円(前年同期は-千円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、10,694千円の収入(前年同期は48,541千円の収入)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入9,364千円(前年同期は2,247千円の収入)によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
CDMOサービスにおいては、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注実績が僅少であることから記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、以下のとおりであります。なお、当社は再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
CDMO・コンサルティングサービス
38,278
175.1
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
富士フイルム株式会社
-
-
20,000
52.2
セルソース株式会社
-
-
7,920
20.7
株式会社VC Cell Therapy
11,327
81.4
6,248
16.3
カノンキュア株式会社
1,800
12.9
4,060
10.6
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)業績・財政状態に関するリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、研究開発を行う上で必要な資金は、他の製薬企業との共同研究開発契約を通じて確保しております。また、設備投資や事業運営費等の資金は、第三者割当増資により資金調達を図っております。また、研究開発パイプラインの拡充に向けて、株式上場時の公募増資等により財務基盤の強化が必要であると認識しております。
資金の流動性については、一時的な余資は主に流動性の高い金融資産で運用しており、投機的な取引は行わない方針であり、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物によって確保を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。資産・負債及び収益・費用の測定にあたり、金額を直接観察できない場合には、経営者は過去の実績やその他の様々な仮定を設定し、合理的に算定しておりますが、見積金額の測定には、固有の限界があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
