【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という))の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が長期化するなか、行動制限や入国制限の緩和等により社会活動が正常化する動きが見られました。一方で引き続きウクライナ情勢による地政学リスクや原油価格・原材料価格の上昇が個人消費に与える影響など不安材料も抱えており、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような環境の下、当社は引き続き、コロナ禍における時差通勤、テレワークの実施、ビジネスチャットを活用したWeb会議等により、感染予防に努めながら、安定的な事業活動を推進するとともに、モバイルペイントアプリ『ibisPaint』を提供するモバイル事業及びIT技術者派遣と受託開発を行うソリューション事業の事業拡大を図ってまいりました。また、各種社内規程・マニュアルの整備やJ-SOXへの対応など、内部管理体制の整備に取り組んでまいりました。以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高3,397,886千円(前年同期比23.8%増)、営業利益219,908千円(前年同期比266.2%増)、経常利益238,130千円(前年同期比121.5%増)、当期純利益168,692千円(前年同期比133.3%増)となりました。
事業セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。<モバイル事業>当事業年度におきましては、主製品であるモバイルペイントアプリ『ibisPaint』シリーズについて、アプリ上の新機能や様々な改善・仕様変更に対応した最新バージョン(ver.9.4.9からver.10.0.6まで)のリリースや、第12~18回素材コンテストの開催及び様々な無料素材の新規追加、YouTubeお絵かき講座での継続的な動画投稿のほか、2022年12月に中国向けキャンペーン(売切型アプリの無料配布)を開催したことにより、シリーズ累計ダウンロード数が2022年12月末に2億9,848万件(前年同期比39.7%増)となりました。また、サブスクリプション型(月額課金・年額課金)のプレミアム会員数は66,257人(前年同期比81.0%増)、売切型アプリの累計販売数は740,657件(前年同期比66.8%増)となりました。本事業の広告ビジネスにおいて主な収入源となっているアプリ広告売上、及びBtoCビジネスにおいて主な収入源となっているプレミアム会員サービスのサブスクリプション売上等がいずれも好調に推移した結果、売上高は2,164,140千円(前年同期比30.4%増)となりました。また、モバイル事業全体の売上高に対する海外売上は1,587,446千円(前年同期比16.2%増)となり、その比率は73.4%と、依然高い水準で推移しております。前事業年度に引き続き、新規ユーザの獲得及び売上高の伸長を重視する方針の下、積極的に広告宣伝費を投下した結果、セグメント利益は391,623千円(前年同期比132.7%増)となりました。
<ソリューション事業>当事業年度におけるIT技術者派遣につきましては、昨年からのコロナ禍で積みあがった派遣労働者の待機コスト解消に向けて営業活動を積極化するとともに、技術者派遣の需要が想定以上に増加したことから、高スキルの技術者を中心に、待機者の早期解消が進みました。しかしながら、経験の浅い技術者や外国籍の技術者等の需要は依然として低迷しており、需要の二極化が進んでおります。受託開発については、情報通信関連企業からの需要が想定以上に発生したなど、Webアプリケーションや業務システム等への投資は復調傾向にあります。以上の結果、売上高は1,233,745千円(前年同期比13.7%増)となり、内訳としては、IT技術者派遣が1,055,649千円(前年同期比10.2%増)、受託開発が178,096千円(前年同期比40.2%増)となりました。前事業年度は新型コロナウイルス感染症が本格的にまん延し、IT技術者派遣において人材採用費を抑制する方針で運営しておりましたが、当事業年度は人材採用費の投資を積極的に推進したことから、セグメント利益は161,606千円(前年同期比2.0%増)となりました。
② 財政状態の状況(資産の部)当事業年度末における資産合計は1,289,288千円となり、前事業年度末に比べ336,954千円の増加となりました。その主な要因は現金及び預金が289,194千円、前払費用が39,506千円、ソフトウエアが35,024千円増加した一方で、売掛金が70,455千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)当事業年度末における負債合計は857,924千円となり、前事業年度末に比べ168,261千円の増加となりました。その主な要因は未払金が186,280千円、未払法人税等が55,273千円増加した一方で、短期借入金が100,000千円、長期借入金が34,380千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)当事業年度末における純資産合計は431,363千円となり、前事業年度末に比べ168,692千円の増加となりました。その要因は当期純利益168,692千円を計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は594,765千円となり、前事業年度末と比較して289,194千円増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における営業活動による資金の増加は553,487千円(前事業年度は43,866千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益237,998千円の計上及び未払金の増加196,829千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における投資活動による資金の減少は129,912千円(前事業年度は58,796千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出73,584千円、差入保証金の差入による支出24,696千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における財務活動による資金の減少は134,380千円(前事業年度は135,380千円の減少)となりました。これは、短期借入金の純減少額100,000千円及び長期借入金の返済による支出34,380千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績当事業年度におけるソリューション事業の受託開発に係る受注実績は次のとおりです。なお、モバイル事業及びソリューション事業のIT技術者派遣は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
ソリューション事業
212,154
182.6
38,900
806.3
合計
212,154
182.6
38,900
806.3
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 販売実績当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
モバイル事業
2,164,140
130.4
ソリューション事業
1,233,745
113.7
合計
3,397,886
123.8
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先
前事業年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
Google LLC
878,361
32.0
1,305,060
38.4
InMobi Japan株式会社
406,227
14.8
―
―
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析財政状態の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b 経営成績の状況の分析(売上高)当事業年度における売上高は3,397,886千円(前年同期比23.8%増)となり、前事業年度と比較して653,735千円の増収となりました。これは主にモバイル事業の主製品であるモバイルペイントアプリ『ibisPaint』シリーズの累計ダウンロード数が2022年12月末に2億9,848万件(前年同期比39.7%増)となり、アプリ広告売上及びプレミアム会員サービスのサブスクリプション売上が順調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)当事業年度における売上原価は1,028,130千円(前年同期比18.4%増)となりました。これは主にモバイル事業の開発人員採用に伴う人件費の増加、アプリダウンロード数が伸びたことによるサーバ利用料等の通信費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は2,369,755千円(前年同期比26.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度における販売費及び一般管理費は2,149,847千円(前年同期比18.4%増)となりました。これは主に『ibisPaint』の積極的な販売促進活動による広告宣伝費の増加や、モバイル事業の売上増加に伴う販売手数料の増加によるものであります。この結果、営業利益は219,908千円(前年同期比266.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)当事業年度における営業外収益は主に為替差益の発生により24,541千円(前年同期比55.0%減)となりました。営業外費用は主に支払利息の計上や上場関連費用の計上により6,320千円(前年同期比11.4%減)となりました。この結果、経常利益は238,130千円(前年同期比121.5%増)となりました。
(当期純利益)当事業年度における当期純利益は168,692千円(前年同期比133.3%増)となりました。これは法人税等調整額を含む法人税等合計69,305千円を計上したことによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の主な資金需要はモバイル事業の『ibisPaint』アップデート及び新規アプリ開発投資に係る人件費であります。運転資金は主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達しております。設備投資の必要性が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。現金及び現金同等物の当事業年度末残高は594,765千円であり、資金の流動性は十分に確保できております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。経営者は債権、繰延税金資産、引当金等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、当社の財務諸表で採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
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