【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、1,840,823千円(前連結会計年度末1,689,126千円)となり、151,696千円の増加となりました。このうち、流動資産は770,986千円(前連結会計年度末942,803千円)となり、171,816千円の減少となりました。この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が17,865千円増加した一方で、現金及び預金が226,964千円減少したことによるものであります。また、固定資産は1,064,921千円(前連結会計年度末741,788千円)となり、323,132千円の増加となりました。この主な要因はヴィビットインタラクティヴ株式会社の買収及び吸収合併、後藤ブランド株式会社の買収によりのれんが208,279千円、『SHANON MARKETING PLATFORM』の機能強化や『ZIKU』の開発等によるソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の合計が116,400千円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,555,414千円(前連結会計年度末1,043,225千円)となり、512,188千円の増加となりました。このうち、流動負債は1,036,204千円(前連結会計年度末641,359千円)となり、394,844千円の増加となりました。この主な要因は、前受金が281,380千円、短期借入金が50,000千円それぞれ増加したことによるものであります。また、固定負債は519,210千円(前連結会計年度末401,866千円)となり、117,344千円の増加となりました。この要因は社債が55,000千円減少した一方で、長期借入金が172,344千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、285,409千円(前連結会計年度末645,901千円)となり、360,491千円の減少となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が365,864千円減少したことによるものであります。
b. 経営成績
当社グループが属するクラウドサービス市場においては、クラウドサービスを利用している企業の割合は引き続き上昇傾向にあります。総務省の令和3年「通信利用動向調査」によると、2021年度末におけるクラウドサービス利用企業の割合は70.4%(前年 68.7%)に拡大しています。また、同調査によると、資本金規模別のクラウドサービス利用状況においても、大企業を中心に引き続きその利用率は拡大傾向にあります。このように成長を続けるクラウドサービス市場の中で、当社が属するマーケティングオートメーション(SaaS)分野も例外ではなく、今後も10.1%(2021~2026年度の年平均成長率)の市場成長率が見込まれています(出展:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」)。
一方で、当社のマーケティング活動やイベントクラウド事業は、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うまん延防止等重点措置の実施による各種経済活動の自粛の影響を受けていますが、ウェビナーを活用した自社マーケティング活動の実施やイベントクラウド事業におけるオンラインカンファレンス、バーチャルイベントへの取り組みによりこの状況に対処しています。
このような状況の中、当連結会計年度における売上高については、最重点方針として取り組んでいるサブスクリプション事業におけるサブスクリプション売上は、当期から新たに取り組んでいるパブリックセクター向けの営業では苦戦しているもののその他は概ね順調に推移しました。
一方で、イベントクラウド事業は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける事業環境の中、リアルイベント案件だけでなく、オンラインカンファレンス、バーチャルイベント案件あるいは、両者を組み合わせたハイブリッド案件も提案することにより、柔軟に対応しているものの当初計画に対して苦戦を強いられました。また、メタバース事業については、営業の立ち上がりの遅れが響き、当初想定に対しては大幅にビハインドする結果となりました。
費用面については、中期的な成長を加速するために積極的に採用活動を推進していることに伴い人件費が大幅に増加しております。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は2,456,133千円(前期比11.8%増)、営業損失は327,871千円(前期は営業利益11,368千円)、経常損失は325,351千円(前期は経常利益52,258千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は365,864千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益107,885千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、当連結会計年度における売上高及び売上原価は167,332千円減少しております。収益認識会計基準等の適用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より業務管理区分の見直しに伴い、報告セグメントを従来の単一セグメントから「サブスクリプション事業」「イベントクラウド事業」「メタバース事業」「広告事業」の4区分に変更しております。前期比については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて算出しております。
事業セグメント
サブスクリプション事業
■サブスクリプション(年間契約)
MA、CMSのシステム利用料
MRR(月額契約金額、※)、従量課金、有償保守サービス、年間契約のBPOサービス
■プロフェッショナル
MA、CMSに関する初期導入サービス、BPOサービス、WEB制作、マーケティングコンサルティング等
イベントクラウド事業
SMPを用いたイベントのシステム支援(バーチャルイベントに関するシステム構築費を含む)、会期当日支援(機材レンタルを含む)
メタバース事業
株式会社ジクウが提供するメタバースイベントプラットフォームのシステム利用料、従量課金、初期導入サービス、BPOサービス等
広告事業
デジタル広告の運用、コンサルティング
※MRRとは、Monthly Recurring Revenueの略で、当社では、10月時点の単月サブスクリプション売上をMRRとしています
a サブスクリプション事業
当セグメントは、「SHANON MARKETING PLATFORM」と「CMS(vibit CMS Neo)」の年間利用契約に関する売上(サブスクリプション)およびそれに付随する初期導入やコンサルティングサービス等の売上(プロフェッショナル)から構成されています。
当連結会計年度における売上高については、最重点方針として取り組んでいるマーケティングオートメーション(MA)サービスにおけるサブスクリプション売上は、パブリックセクター向けの取り組みにおける苦戦や大型案件の解約が発生したものの、新規案件の獲得や既存案件の契約更新、アップグレード、従量課金売上は、順調に推移しました。
また、プロフェッショナル売上については、大型案件の獲得は順調に推移したものの、競争環境の中で中小型案件における単価下落の傾向が続いております。
この結果、当連結会計年度におけるサブスクリプション売上は1,277,233千円(前期比14.7%増)、プロフェッショナル売上は569,294千円(前期比15.6%増)、サブスクリプション事業全体の売上高は1,846,527千円(前期比15.0%増)、営業利益は44,448千円(前期比79.8%減)となりました。また、当連結会計年度末における契約アカウント数は、507アカウント(前期末比6.3%増)となりました。
b イベントクラウド事業
イベントクラウド事業売上は、一昨年から続いていた新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりオフラインイベントの開催の動きが鈍く、苦戦を強いられました。
この結果、当連結会計年度における売上高は433,951千円(前期比18.1%減)、営業利益は27,153千円(前期比85.8%減)となりました。
c メタバース事業
当連結会計年度においては、営業マーケティングの強化により商談数も増加しており、徐々に受注獲得のペースも上がってきております。積極的な事例公開や追加の機能開発、営業・マーケティング体制の強化をもって、今後の拡販を図ってまいります。
この結果、当連結会計年度における売上高は29,515千円、営業損失は72,376千円(前期は営業損失29,991千円)となりました。
d 広告事業
当セグメントは、前連結会計年度に事業譲受を行った広告事業の売上及び当連結会計年度より新たに連結範囲に含まれることとなった後藤ブランド株式会社の売上を計上しております。当社グループは、当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しています。これにより広告事業関連の売上高の一部は「取扱高」となり、「取扱高」からSSP(Supply Side Platform)企業の媒体費用を引いた額が、おおよそ、新基準における「売上高」となります。
広告事業は大型のキャンペーン案件の発生や後藤ブランド株式会社の取り込みもあり、順調に推移しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は146,139千円(前期比143.9%増)、営業利益は22,545千円(前期比509.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末比で226,964千円減少し、264,179千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は、3,919千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失325,351千円(減少要因)、減価償却費154,328千円(増加要因)、仕入債務の増加額15,879千円(増加要因)、売上債権の減少額14,861千円(増加要因)、その他に含まれる前受金の増加額231,245千円(増加要因)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、283,580千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出224,595千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出27,955千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、57,513千円となりました。これは主に、短期借入金の借入による収入220,000千円、短期借入金の返済による支出172,272千円、長期借入金の借入による収入200,000千円、長期借入金の返済による支出121,089千円、社債の償還による支出70,000千円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループは、受注実績の金額と販売実績の金額の差額が僅少であるため受注実績の記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
サブスクリプション事業
1,846,527
15.0
イベントクラウド事業
433,951
△18.1
メタバース事業
29,515
―
広告事業
146,139
143.9
合計
2,456,133
11.8
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択適用のほか、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、人件費(売上原価やソフトウエアに計上されるものを含む)、仕入、広告宣伝費、システムの運用・保守費用等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としながら、市場の状況等を勘案しながら必要に応じて株式発行等で調達する方針であります。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
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