【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概況
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度と収益の会計処理が一部異なりますが、この変更が連結財務諸表に与える影響は軽微であるため、前期の数値を組替えずに比較・分析を行っております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億12百万円増加し、26億82百万円(前連結会計年度末比8.6%増)となりました。これは主に現金及び預金の増加1億80百万円(前連結会計年度末比20.9%増)、仕掛品の増加1億15百万円(前連結会計年度末比45.8%増)等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し、9億50百万円(前連結会計年度末比4.7%減)となりました。これは主にのれん償却等によるものであります。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ1億64百万円増加し、36億33百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べ1億66百万円増加し、20億7百万円(前連結会計年度末比9.0%増)となりました。これは主に仕入債務の増加1億26百万円(前連結会計年度末比8.7%増)、未払法人税等の増加22百万円(前連結会計年度末比28.9%増)等によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ1億37百万円減少し、2億34百万円(前連結会計年度末比37.0%減)となりました。これは主に長期借入金が返済により1億28百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ28百万円増加し、22億41百万円(前連結会計年度末比1.3%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計額は、前連結会計年度末に比べ1億36百万円増加し、13億92百万円(前連結会計年度末比10.8%増)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の獲得によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度(2021年11月1日~2022年10月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が長引く中、ワクチン接種をはじめとする感染対策を進めながら、社会活動の正常化や個人消費の回復が図られていく一方で、2月以降はウクライナ情勢等の影響により、原材料価格の上昇や為替変動による景気の下振れリスクをかかえ、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主要取引先であるコメ流通業界におきましては、少子高齢化による人口減や食の多様化により国内のコメの消費量が毎年減少傾向にある中、新型コロナウイルス感染症の流行により、巣ごもり需要の増加など消費者の生活スタイルが変化したことや食品の値上げなどの影響もあり、家庭用向け精米販売は堅調に推移し、外出自粛等による外食店の需要減などによる業務用向け販売の減少も回復傾向がみられました。また、物流業界においては、市場規模は緩やかな拡大基調が予想される中、新型コロナ感染症の流行の影響を受けていた製造業や卸業等での物流梱包関連商品の需要も回復傾向がみられ、また、消費者のネット購入の需要は引き続き堅調に推移しております。
このような状況の中、当社グループは年度経営方針として「既存事業の強化」「新規事業・新規市場の基盤構築」「成長戦略推進」「組織基盤整備」を掲げ事業展開を進め、包装関連事業では、売上高は46億51百万円(前期比7.6%増)となり、セグメント利益は3億52百万円(同比13.8%増)となりました。物流梱包事業では、売上高は8億7百万円(同比8.2%増)となり、セグメント利益は22百万円(同比245.7%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高54億58百万円(同比7.7%増)、売上総利益13億88百万円(同比9.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は10億12百万円(同比6.3%増)となり、当連結会計年度の営業成果である営業利益は3億75百万円(同比18.7%増)、経常利益は3億70百万円(同比14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億39百万円(同比16.8%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当社グループの収益に与える影響は軽微であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(包装関連事業)
包装関連事業の主要取引先であるコメ流通業界は、少子高齢化による人口減や食の多様化により国内のコメ消費量が毎年減少傾向にある中、新型コロナウイルス感染症流行により2022年3月までまん延防止等重点措置が行われるなど、巣ごもり需要の拡大や食料品の値上げの影響もあり、家庭用向け精米需要増による当社包装関連製品販売は堅調に推移し、外出自粛等による外食産業向け精米需要減による当社包装関連製品販売も回復傾向がみられました。また、素材や部品などの仕入価格高騰の影響を抑えるために、販売費及び一般管理費など様々なコストダウンに注力いたしました。
その結果、売上高は46億51百万円(前期比7.6%増)となり、セグメント利益は3億52百万円(前期比13.8%増)となりました。
(物流梱包事業)
物流梱包事業につきましては、物流業界の市場規模は緩やかな拡大基調が予想され、消費者のネット購入拡大による需要も引き続き堅調に推移しております。そのような中、省力化・自動化に伴う新たな需要や、SDGsなど脱プラスティックの風潮に沿った商材の需要に合わせた拡販や新規顧客開拓などに取組み、売上と利益の増強を図っております。また、素材や部品などの仕入価格高騰の影響を抑えるために、販売費及び一般管理費など様々なコストダウンに注力いたしました。
その結果、売上高は8億7百万円(前期比8.2%増)となり、セグメント利益は22百万円(前期比245.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億80百万円増加し、10億43百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億54百万円(前年同期は得られた資金4億24百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3億70百万円(前年同期は3億24百万円)、及び売上債権の減少額1億22百万円、仕入債務の増加1億26百万円等により運転資本が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2百万円(前年同期は得られた資金1百万円)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出2百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億71百万円(前年同期は使用した資金2億3百万円)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1億28百万円、自己株式の取得による支出67百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
包装関連事業
金額(千円)
前年同期比(%)
4,808,983
110.6
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.物流梱包事業の対象会社であるパックウェル㈱は、生産活動を行っておりません。そのため、記載は省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
物流梱包事業
金額(千円)
前年同期比(%)
827,324
106.6
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
包装関連事業
4,995,586
108.8
1,175,244
141.4
物流梱包事業
809,288
106.3
21,065
111.1
合計
5,804,874
108.5
1,196,309
140.7
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
包装関連事業
4,651,782
107.6
物流梱包事業
807,176
108.2
合計
5,458,958
107.7
(注)1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.金額にはセグメント間の内部取引高等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上である相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度末の財政状態は、流動資産26億82百万円、固定資産9億50百万円、総資産36億33百万円、流動負債20億7百万円、固定負債2億34百万円、負債合計22億41百万円、純資産13億92百万円となりました。
前連結会計年度末から当連結会計年度末にかけての主な財務比率につきましては、当座比率が106.7%から100.8%に、流動比率が134.2%から133.7%にそれぞれ若干下落したものの、自己資本比率は36.2%から38.3%に上昇し、現金及び預金の残高は8億63百万円から10億43百万円へと1億80百万円増加していることから、順調に推移しているものと考えております。
また、リース債務を含めた有利子負債比率は前連結会計年度末から当連結会計年度末にかけて39.3%から24.1%に低下しており、上述の各比率と併せ、当社グループの財務の安定性に特段の問題はないものと考えており、今後も財務の健全性の維持、向上に努めてまいります。
②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、54億58百万円(前期比7.7%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、現状、コメ流通業界が主要な取引先であることから、コメの消費量が考えられます。昨今の新型コロナウイルス感染症の影響から、巣ごもり需要等により家庭における消費量は増加したものの、外出自粛等により外食店の需要・消費量が大きく減少しておりましたが、当連結会計年度においては、外食店の需要・消費量にも回復傾向が見られました。それにより、家庭用精米に係る製品・商品の売上は堅調に推移し、業務用精米に係る製品・商品の売上も一定の回復が認められました。さらに、前連結解明年度同様、寡占化する卸業者や量販店グループといった重点顧客のニーズの掘り起こしに引き続き努めた結果、前連結会計年度を3億90百万円上回る売上となりました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
上述のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けていた外食店の需要・消費量に回復傾向が認められる状況の中、業務用精米に係る製品・商品の売上に回復が見られ、さらには既存事業の強化を掲げ、寡占化する卸業者や量販店グループといった重点顧客のニーズの掘り起こしに努めた結果、前期比7.6%増の46億51百万円(内、包装資材関連の売上高は31億20百万円、包装機械関連の売上高は15億31百万円であります。)の売上高となりました。
(物流梱包事業)
当連結会計年度においても、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制限等は残るものの、新規顧客の獲得に成功し、さらには、製造業等の一部に回復傾向が見られたことから、前期比8.2%増の8億7百万円の売上高となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、40億70百万円(前期比7.2%増)となり、売上総利益は13億88百万円(前期比9.4%増)となりました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
包装関連事業における売上原価は前期比7.3%増の35億14百万円となりました。大口の販売先に対する売上の構成割合は前連結会計年度から特段の変化はなく、印刷色数が多い等、原価率が低い商品の構成割合が増加したことから原価率は前連結会計年度の75.8%から75.5%に改善し、上記に記載した売上高の伸長も大きく寄与したため、売上総利益は前期比8.8%増の11億37百万円となりました。
(物流梱包事業)
物流梱包事業における売上原価は前期比6.5%増の5億56百万円となりました。原価率の高い商品の売上における構成比率が前連結会計年度より低下したことで、原価率は前連結会計年度の70.0%から69.0%と1.0ポイント改善し、さらには売上が伸長したことから、売上総利益は、前期比12.0%増の2億50百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、10億12百万円(前期比6.3%増)となり、営業利益は3億75百万円(前期比18.7%増)となりました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(包装関連事業)
新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中ではありますが、前連結会計年度は取りやめていた展示会への出展等を再開したこと等により、販売費及び一般管理費は前期比6.7%増の7億85百万円となりました。その結果、セグメント利益は前期比13.8%増の3億52百万円となりました。
(物流梱包事業)
新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制限等は引き続き残るものの、新規顧客の獲得に注力したことから、販売費及び一般管理費は前期比4.8%増の2億27百万円となりました。その結果、セグメント利益は、前期比245.7%増の22百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、3百万円(前期比68.7%減)となりました。これは主に、保険返戻金1百万円が生じたことによるものであります。また、営業外費用は9百万円(前期比160.3%増)となりました。これは主に、為替差損、違約金損失が各々3百万円生じたことによるものであります。
以上の結果、経常利益は3億70百万円(前期比14.1%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は1億30百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2億39百万円(前期比16.8%増)となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の147円58銭から175円42銭と大きく増加しました。また、ROEにつきましても、目標としている15%を上回る18.1%となり、前連結会計年度の17.8%から0.3ポイント上昇いたしました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億80百万円増加し、10億43百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億54百万円(前年同期は得られた資金4億24百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を3億70百万円(前年同期は3億24百万円)獲得できたこと、前期の期末月の売上伸長により増加した売上債権が回収されたことによる売上債権の減少が1億22百万円(前年同期は売上債権の増加額1億47百万円)あったこと、さらには、包装機械の生産計画に起因する仕入債務の増加額が1億26百万円(前年同期は仕入債務の増加額2億70百万円)あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2百万円(前年同期は得られた資金1百万円)となりました。これは、主にソフトウエアの取得に伴う無形固定資産の取得による支出2百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億71百万円(前年同期使用した資金2億3百万円)となりました。これは、主に借入金に関して、約定に基づく返済が短期借入金59百万円、長期借入金1億28百万円、合計で1億88百万円生じたことに加え、自己株式の取得に67百万円、配当金の支払いに40百万円を使用したこと等によるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要といたしましては、通常の営業において必要となる運転資金、その中で賞与等時期特有の季節資金及び設備投資等の際に必要となる設備資金等があります。
運転資金については、内部留保を財源とすることを基本にしております。当社グループでは、通常、売上債権の回収期間が仕入債務の支払期間よりも短いため、利益が確保できれば、運転資金につき内部留保を財源とすることに問題はないものと考えております。
また、季節資金についても、原則として内部留保を財源としており、不足が生じると予測される場合に限り、短期借入金により調達する方針であります。
他方、設備資金等につきましては、現状、金融機関からの長期借入金により資金調達を行っております。現在、多額の資金調達の予定はありませんが、金融機関からの借入れのみでは、更なる成長のための資金調達源泉としては不十分であると考えており、今後は、新株式や社債の発行なども視野に入れ、資金調達の多様化の実現に努めてまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。