【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当第3四半期累計期間における我が国経済は、ウクライナ情勢による不安定な国際情勢が継続しており、資源価格の高騰、それによる電力料金の高騰、また、円安の進行により、先行きが不透明な状況が続いていたものの、当第3四半期会計期間において、5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に見直され、人流の増加に伴い経済活動の正常化が進み、消費活動の拡大やインバウンドの拡大等により景気は緩やかに回復しております。
当社は、アフターコロナを見据えて着実な成長を図るため、第1四半期会計期間より、従来の①インクジェットプリント事業、②デジタルサイネージ事業、③デジタルプロモーション事業の3区分を、①セールスプロモーション事業、②ウェブプロモーション事業の2区分に再編し、シェア拡大、機能拡大、及び、領域拡大の3つの戦略を実行してまいりました。
セールスプロモーション事業においては、シェア拡大のため、2022年11月に京都営業所を開設し、アフターコロナにおけるインバウンド増による販促広告需要の獲得のため、並びに、2025年の大阪万博開催による販促広告需要を視野に入れ、関西エリアの営業の強化を図りました。また、名古屋、福岡の両拠点では、営業人員を増強して体制の強化を行い、さらに、主要な事業拠点である大阪、東京、横浜の各エリアでは、営業人員の増強を積極的に進めるとともに、情報や知識の共有・連携を強化することにより人材育成効果の最大化を図ると同時に、顧客満足度の向上に努めております。
機能拡大については、当社が主として扱っている多品種少量生産型のインクジェットプリントに加えて、第1四半期会計期間より、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、オンデマンド印刷等の少品種多量生産型の案件に迅速に対応する社内制作体制及び外注先との協業体制を構築し、順調に売上を伸ばしております。また、デジタルサイネージ事業においては、第2四半期会計期間において大型の案件を受注し、引き続き映像を配信できるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入提案を積極的に進めております。
領域拡大については、第1四半期会計期間より、成長市場とされるキャラクタービジネス市場において、インクジェットプリント事業で培ってきた印刷ノウハウや保有設備を活用し、オーダーグッズ制作に参入いたしました。キャラクターグッズを扱う法人やコンテンツホルダーとの連携を見据えて、まずは既存顧客を中心にさまざまな販売促進用グッズの受注生産を行い、着実に実績を積んでおります。
さらに、成長戦略に掲げる機能拡大の一環として、6月に株式会社OnePlanetと拡張現実(AR)技術に関する業務提携を行い、セールスプロモーション事業における新たなサービスとして「Promotion AR」を開始しました。東京ビッグサイトで開催された「販促EXPO [夏]」への出展を通じて多くの来場顧客に対して本サービスを体験していただく等、積極的な営業活動を進めており、将来に向けた成長投資を積極的に行いました。
生産体制については、高収益体質の生産体制の構築に向けた投資として、横浜と大阪において最新カットマシーンの増設を実施し、生産機能の拡大及び生産効率の向上を実現しました。その他、制作知識の共有や検品体制の強化による品質管理の向上、材料費高騰への対応として代替品への切り替えや新素材の発掘を進めております。
ウェブプロモーション事業においては、デジタルプロモーション事業で培ったネットショップの運営サポートを自社ECサイトの運営に活かすべく、第1四半期会計期間より自社ECサイトの運営とデジタルプロモーション事業を統合しました。また、2022年8月に開設したサインディスプレイ専門サイト「インクイット」に加え、オンリーワンのオリジナルグッズが作れるサイト「オーダーグッズラボ」を2月1日にオープンし、積極的な商品展開により受注を伸ばしております。
以上の結果、売上高は過去最高の2,215,047千円(前年同期比8.8%増加)となり、営業利益は255,759千円(前年同期比19.6%増加)、経常利益は256,536千円(前年同期比19.7%増加)、四半期純利益は175,191千円(前年同期比33.0%増加)となりました。四半期純利益が前年同期と比較して大きく増益となったのは、前年同期に役員退職慰労金の打切り支給をご承認いただいたことに伴い、役員退職慰労引当金の引当対象外である功労金23,550千円を特別損失に計上したためです。
当第3四半期累計期間における売上高の進捗は、前年同期とほぼ同様となっております。通常、第2四半期にはゴールデンウィークをにらんだ広告需要があるものの、第3四半期はそうした需要が無いことから受注が落ち着きます。当第3四半期も同様の傾向が見られ、かつ、当第3四半期に予定していた比較的多額の案件が第4四半期での受注となりました。一方、第4四半期に受注が拡大するのも従来からの傾向であり、当第4四半期においても、例年通りの大型受注の獲得が予定されていること、また、第3四半期からずれた受注が実現することから、業績は期初想定に沿って進捗しております。
なお、当社はインクジェットプリントを主力とするセールスプロモーション事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の経営成績の記載はしておりません。
財政状態の状況
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産の残高は、3,155,782千円(前事業年度末は3,245,503千円)となり、89,720千円減少いたしました。その主な要因といたしましては、営業活動を通じて現金及び預金や棚卸資産の増加があったものの、売上の季節的変動により売上債権が232,160千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産の残高は、284,383千円(前事業年度末は272,334千円)となり、12,049千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、設備投資による増加が減価償却による減少を上回ったためであります。
(流動負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債の残高は、268,346千円(前事業年度末は447,714千円)となり、179,368千円減少いたしました。その主な要因といたしましては、売上の季節的変動に合わせて買掛金が77,999千円減少するとともに、前期に係る納税の影響で未払法人税等や未払消費税等が減少したことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期会計期間末における固定負債の残高は、152,116千円(前事業年度末は153,278千円)となり、1,161千円減少いたしました。その主な要因といたしましては、退任監査役に対して役員退職慰労金を支給したことにより長期未払金が減少したためであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は、3,019,703千円(前事業年度末は2,916,845千円)となり、102,858千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、剰余金の配当による78,021千円の減少があったものの、四半期純利益175,191千円を計上したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
また、前事業年度に掲げた課題については、当第3四半期累計期間も引き続き取り組んでおります。
(5)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
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