【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況 当事業年度(2021年11月1日から2022年10月31日まで)における当社を取り巻く経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束時期は引き続き不透明な状況が継続しております。また、海外情勢についても、ウクライナ情勢を巡る軍事侵攻や米国金利の上昇による急激な円安等の不透明な市況が継続しております。そのような状況において、当社の所属する業界においては、AI等の最新技術への関心が高まっており、製造業顧客及び情報通信業顧客向けのソリューションの提供を中心にプロジェクト型の契約件数等が堅調に増加した結果、売上は順調に推移いたしました。また、当事業年度より、業務提携先に対する「仮想人材派遣」に関連する技術情報の提供やライセンスの供与、関連事業・サービスの立上支援、API化したAEI基礎技術の提供等のサービス型の役務提供を開始し、研究開発の商用化を順次図っております。 以上の結果、当事業年度の売上高は726,075千円(前期比43.0%増)、営業利益127,675千円(前期は80,570千円の営業損失)、経常利益116,353千円(前期は78,687千円の経常損失)、当期純利益は120,635千円(前期は79,217千円の当期純損失)となりました。なお、当社の事業セグメントはソリューション提供事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
②財政状況(資産)ⅰ.流動資産
当事業年度末における流動資産合計は947,851千円となり、前事業年度末に比べ717,548千円増加いたしました。これは主に、新規上場時の公募増資、投資有価証券の売却等により現金及び預金が666,958千円増加したこと、売上高の増加により売掛金が47,662千円増加したことによるものであります。ⅱ.固定資産
当事業年度末における固定資産は71,629千円となり、前事業年度末に比べ49,486千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定24,914千円及び繰延税金資産29,098千円の新規計上があった一方で、定額償却により営業権が6,826千円、売却により投資有価証券が2,720千円それぞれ減少したことによるものです。ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定に関しては、当事業年度より当社の研究開発活動である仮想人材派遣の一部について将来の収益獲得が確実になったことに伴い、その中核技術であるN4及びPSFの一部につき、資産計上を行っております。また、繰延税金資産については、将来の回収可能性を見直した結果、資産計上を行っております。上記の結果、総資産は1,019,480千円となり、前事業年度末に比べ767,034千円増加いたしました。
(負債)当事業年度末における流動負債は199,211千円となり、前事業年度末に比べ75,946千円増加いたしました。これは主に、課税所得の計上により未払法人税等が47,523千円及び未払消費税が15,537千円、人員数の増加に伴い未払費用が17,849千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が返済により3,601千円減少したことによるものです。この結果、負債合計は、199,211千円となり、前事業年度末に比べ74,533千円増加いたしました。
(純資産)当事業年度末における純資産は、820,269千円となり、前期末比に比べて692,500千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上による利益剰余金の増加が120,635千円、会計基準の変更に伴う利益剰余金期首残高の増加が2,614千円、新規上場に伴う自己株式の処分による資本剰余金の増加が568,763千円等があったことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度から666,958千円増加し、805,616千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により獲得した資金は、114,644千円(前年同期は83,204千円の支出)となりました。主な減少要因は、ソリューション提供事業の売上規模拡大に伴う売上債権及び契約資産の増加額40,174千円(前年同期は売上債権の増加額38,337千円)、投資有価証券の売却益20,128千円(前年同期はなし)等があったことによるものであります。一方、売上規模拡大による税引前当期純利益の獲得136,481千円(前年同期は税引前当期純損失78,687千円)、人員拡大に伴う人件費増加による未払費用の増加額17,849千円(前年同期は人員拡大に伴う、未払費用の増加額25,787千円)、未払消費税等の増加額15,537千円(前年同期は売上規模拡大による、未払消費税等の増加額872千円)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は、11,921千円(前年同期は780千円の支出)となりました。これは、当事業年度においてソフトウエアの取得による資金の支出が26,606千円(前年同期はなし)、投資有価証券の売却による収入が22,848千円(前年同期はなし)、敷金及び保証金の差入による支出が8,162千円(前年同期はなし)あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により獲得した資金は、564,236千円(前年同期は3,324千円の支出)となりました。これは、当事業年度において新規上場に伴う自己株式の処分による収入が569,250千円によるものであります。また、長期借入金の返済による支出が5,014千円(前年同期は借入の返済による支出3,324千円)あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績 a 生産実績当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
ソリューション提供事業
726,075
143.0%
合計
726,075
143.0%
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績については、売上高の10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積に用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表作成に際して採用している重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。会計上の見積りのうち重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当事業年度の売上高は、726,075千円(前年同期比43.0%増)となりました。主な要因は、AIに関する需要の高まりから、製造業及び情報通信業の大手企業等を中心に、AIソリューションを提供しており、前事業年度から継続顧客等を中心として契約件数及び契約単価が上昇したことによるものであります。また、前事業年度末からAEIを活用した業務提携を開始しており、当事業年度においては、AEI関連売上比率が10.6%、サービス型売上比率は1.9%と上昇した結果、売上増加となっております。
(売上原価、売上総利益)当事業年度の売上原価は284,230千円(前年同期比13.6%増)となりました。主な要因は、事業規模拡大に伴う案件数の増加に伴い、労務費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は441,845千円(前年同期比71.6%増)となり、売上総利益率はAEI関連売上等の高付加価値案件が増加したことに伴い60.9%(前年同期比10.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度の販売費及び一般管理費は314,169千円(前年同期比7.1%減)となりました。主な要因は、AEI実用化に伴うソフトウエア資産計上があったことによる研究開発費の減少10,634千円、事業体制強化に向けた投資が収束したことに伴う支払報酬の減少13,465千円、セキュリティ体制強化に向けた投資の収束による消耗品費の減少11,922千円、事業拡大による人員増加に伴う人件費の増加29,385千円等によるものであります。この結果、営業利益は127,675千円(前年同期は営業損失80,570千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)当事業年度の営業外収益は24千円、営業外費用は11,347千円となりました。営業外費用の主な要因は、東京証券取引所グロース市場上場に関する上場関連費用として11,321千円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は、116,353千円(前年同期は経常損失78,687千円)となりました。
(特別損益、当期純利益)当事業年度の特別利益は20,128千円、当期純利益は120,635千円(前年同期は当期純損失79,217千円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでございます。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析当社の運転資金需要のうち主なものは、ソリューション提供事業に係る営業費用(労務費、人件費、外注費)及び、研究開発費用であります。これらの事業運営に必要な運転資金に関しては、現時点では自己資金で賄っており、基本的には今後も自己資金又は営業活動によるキャッシュフローから充当していくことを基本方針としております。なお、今後事業拡大に向けて急激な資金需要が生じた場合、これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを検討しております。当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は805,616千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金は十分であると考えておりますが、今後も資金残高及び各キャッシュ・フローの状況を常時モニタリングし、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。
⑤経営方針等の目標と達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針等の目標と達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、管理指標としてソリューション提供事業における売上高成長率、売上総利益率を使用し、参考指標として継続的な顧客への売上比率、AEI関連売上比率及びサービス型売上比率を使用しており、当該指標の推移に関しては以下のとおりでございます。
第4期事業年度(自 2020年11月1日
至 2021年10月31日)
第5期事業年度(自 2021年11月1日 至 2022年10月31日)
売上高成長率(%)
32.9
43.0
売上総利益率(%)
50.7
60.9
継続的な顧客への売上比率(%)
70.7
70.7
AEI売上比率(%)
0.1
10.6
サービス型売上比率(%)
-
1.9
売上高成長率に関しては一定以上の成長率を確保し、投資余力を拡大することを目標としており、第4期事業年度、第5期事業年度においても高い成長率を確保できていると考えております。第6期事業年度以降に関してもAEIを活用して他社と差別化を行う他、既存顧客からのアップセル、上場等の知名度向上に伴う追加的な新規顧客の獲得により一定以上の成長率を確保していきたいと考えております。売上総利益率に関しては、一定水準以上を維持することで投資余力を確保することを目標としております。第5期事業年度に関しては、高付加価値を持つAEI関連案件を受注することで、第4期と比較して高い売上総利益率を確保することができました。引き続き、高い売上総利益率の水準を維持できるように高付加価値案件を増やしていきたいと考えております。継続的な顧客への売上比率に関しては、第4期事業年度と第5期事業年度に関しては継続的な顧客の定着及びアップセル等により、70%近い高水準を維持しております。AEI売上比率及びサービス型売上比率に関しては、実質的には第5期から管理を開始した指標となりますが、一定以上の売上高成長率及び売上総利益率により確保した投資余力をAEI関連の研究開発投資に充てることで中長期的にその数字を伸ばしてく方針でございます。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
⑦経営者の問題意識と今後の方針について当社は、「知の創発により、新しい選択肢を生み出す」をミッションに事業の運営を行っております。AIを軸に、当社のビジョンである「人の可能性を広げる」ことを実現していきます。当社の「AEI」が社会的に活用されることにより、社会全体の生産性が向上し、ひいては人類の可処分時間や可処分所得が増加し、あらゆる人を幸せに寄与できると考えております。そのために、当社の経営陣は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、最大限にバリューを発揮し、最善の経営方針を立案するよう努めていく必要があると認識しております。
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