【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年11月1日から2023年7月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行したことに伴い、個人消費やインバウンド需要に回復の動きが見られました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やエネルギー価格の上昇、円安に起因する物価上昇や人手不足に伴う賃金上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては、コロナ禍の収束に伴い、人流が改善するなどの回復傾向がみられる一方で、コロナ禍を通じた生活様式の変化や節約志向の高まりも顕在化してきております。また、原材料価格や物流費、人件費、光熱費の上昇といったコスト増の影響もあり、厳しい経営環境が続いております。加えて、いたずら動画の拡散が社会問題化し、お客様の食の安心・安全に対する要請も一段と厳しい状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは、抗菌寿司カバーを始めとする安心・安全に関するさまざまな取り組みを行いながら、回転レーンを通じて、回転寿司本来の手軽さと楽しさを追求してまいりました。
店舗開発につきましては、国内20店舗、米国6店舗、台湾4店舗に加え、中国大陸初となる1号店を上海に出店し、計31店舗となりました。この結果、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は、全て直営で641店舗(「無添蔵」4店舗、「くら天然魚市場」1店舗、米国46店舗、台湾51店舗、中国大陸1店舗を含む)となりました。
セグメント業績は次の通りであります。
① 日本
売上高1,216億69百万円(前年同期比8.4%増)、経常損失11億4百万円となりました。期初から新型コロナウイルス感染症第8波による人流の減少や、飲食店における迷惑行為の影響を受けましたが、コロナ禍の収束に伴い、回復基調となりました。人流が回復してきたことに加え、コストアップに対応するため、商品ごとにきめ細かく適正な価格を設定させていただいたことが奏功し、収益面の改善に貢献いたしました。販売面におきましては、4月から地域の旬の地魚を毎週お楽しみいただける「くらの逸品シリーズ」を本格導入し、7月より取り扱いを全国に拡大しております。また、「かに」「まぐろ」など人気の高い商品を中心としたフェアを展開したことに加え、人気バーチャルライバーグループ「にじさんじ」とのコラボレーションによるグッズプレゼント等のキャンペーンを実施したことにより、当第3四半期連結累計期間における売上高は過去最高となりました。
店舗展開につきましては、“ジャパンカルチャー”を世界に発信する「グローバル旗艦店」として、日本国内5店舗目(関西2店舗目)となる、「なんばパークスサウス店」を7月にオープンいたしました。都市部を中心に、急速に回復するインバウンド需要の取り込み強化を図っております。
いたずら動画等の迷惑行為への対策として、AIカメラによる新システムを開発し、全店での導入を完了しております。また、お客さまが入れ替わるごとに、醤油差しなどの備品も入れ替えており、安心、安全に食事ができる環境を整備しております。これらの対策を通じ、今後も、お寿司が回るエンターテインメント性を守り、回転寿司本来の“楽しさ”を提供してまいります。
② 北米
米国子会社 Kura Sushi USA,Inc.(KSU)におきましては、売上高181億92百万円(前年同期比56.7%増)、経常損失1億79百万円となりました。米国経済が堅調に推移したことに加え、期初より出店を継続してきたことが奏功し、当第3四半期連結会計期間は売上高、収益面ともに好調に推移いたしました。期初からの店舗展開につきましては、2022年11月の全米最大級のショッピングモール「モールオブアメリカ」への出店をはじめ、ジャージーシティ、フィラデルフィア、エジソン、オークブルックテラス、ビューフォードに出店し、当第3四半期連結会計期間における経常利益は黒字となりました。
③ アジア
アジアにおきましては、売上高152億5百万円(前年同期比39.4%増)、経常利益は11億13百万円となりました。
台湾子会社 亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)では、新型コロナウイルス感染症による影響は無くなり、消費の回復傾向から売上高は順調に推移いたしました。販促面におきましては、人気キャラクター「リラックマ」とのタイアップや、人気アニメ「鬼滅の刃」のグッズを採用するなどの取り組みを継続いたしました。また、2023年5月には海外店初となるグローバル旗艦店である「高雄時代大道店」をオープンし、当第3四半期連結累計期間の業績は前年同期比増収増益を達成しております。
上海藏寿餐飲管理有限公司(KSS)では、2023年6月に中国大陸での1号店となる「龍之夢中山公園店」を開店いたしました。内外のメディアにも取り上げられ、話題性とともに営業をスタートしております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,550億67百万円、経常損失1億70百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は6億49百万円となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末における資産総額は、1,247億3百万円となり、前連結会計年度末と比較して150億81百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が34億90百万円、売掛金が11億3百万円、有形固定資産が82億20百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して66億38百万円増加し、572億93百万円となりました。これは、主に買掛金が16億28百万円、リース債務が28億78百万円増加したこと等によるものであります。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純損失6億49百万円を計上し、配当金の支払い7億94百万円を行いましたが、連結子会社の増資等に伴い資本剰余金が30億86百万円、非支配株主持分が61億90百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して84億43百万円増加し、674億10百万円となりました。
(3)事業上及び財政上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。