【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 当第3四半期連結累計期間(2022年11月1日~2023年7月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響が緩やかになる一方で、資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融政策による急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が継続しております。日本経済においては、第1四半期連結会計期間に一時的に新規感染者数の再拡大がみられましたが、ワクチン接種の進展等による感染対策と経済活動の両立が進められ、資源高や円安進行による物価上昇はあるものの、個人消費や企業の設備投資を中心に持ち直しがみられ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。 このような環境のもと、当社グループは、中期事業戦略「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大とシームレス化」の達成を目指し、再び成長路線に回帰するため、各事業の拡大を図っております。さらに、「シームレス化」をより強力に推進するための「デジタル戦略の推進」を方針に掲げ、成長投資を加速させております。なお、4つのネットワークの1つである「人(会員)」については、中期目標であるタイムズクラブ会員数1,000万人を2023年1月に達成いたしました。 営業概況といたしましては、国内外事業ともに外部環境の改善に加え、前連結会計年度から継続している各種施策の効果もあり、総じて堅調な推移となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループ業績は、売上高は2,415億4百万円(前年同期比14.4%増)、営業利益は243億90百万円(同103.9%増)、経常利益は211億14百万円(同125.5%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は152億93百万円(同561.2%増)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
駐車場事業国内第1四半期連結会計期間に一時的に新規感染者数が再拡大したものの行動制限等の実施はなく、当第3四半期連結累計期間としては順調に推移いたしました。これまで感染症禍で行ってきた確実に収益化する駐車場のみに絞った厳選開発等のノウハウを活かし、エリアの状況に合った開発を行うことで収益性を維持した駐車場の拡大を図っており、当第3四半期連結累計期間は700件の開発をしております。また、利便性向上に向けた取り組みとして、パートナーサービス(施設付帯の駐車場運営サービス)向けにカメラで入出庫の管理を行う駐車場の開発や、精算・決済手段を多様化することでキャッシュレス化を推進するなど、より簡単に入出庫や支払いが可能な次世代駐車場サービスの構築を進めております。この結果、国内におけるタイムズパーキングの運営件数は17,543件(前連結会計年度末比0.8%増)、運営台数は571,511台(同3.5%増)、月極駐車場及び管理受託駐車場等を含めた総運営件数は25,334件(同0.3%増)、総運営台数は758,402台(同3.5%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,244億18百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は277億69百万円(同11.6%増)となりました。
駐車場事業海外主要な展開地域のうち、英国については、駐車場の稼働は緩やかながらも感染症禍からの回復が継続しており、総じて堅調に推移いたしました。豪州については、駐車場の稼働は回復基調ではあるものの想定よりも感染症禍からの回復が弱く、軟調な推移となりました。その他の地域につきましては、台湾を中心に駐車場の稼働は順調に推移いたしました。国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに、各国の駐車場需要環境に最適化した短期契約駐車場の開発を促進・量産することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオを見直し、事業リスクを低減させるとともに早期の黒字化に努めております。また、感染症禍で急速に進んだキャッシュレス決済への対応を引き続き推進することでお客様の利便性と満足度向上を図っております。 この結果、海外の駐車場の総運営件数は2,465件(前連結会計年度末比4.3%増)、総運営台数は535,428台(同4.4%減)となり、日本を含む全世界における駐車場の総運営件数は27,799件(同0.7%増)、総運営台数は1,293,830台(同0.1%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は499億40百万円(前年同期比21.5%増)、営業損失は14億64百万円(前年同期営業損失46億52百万円)となりました。※当第3四半期連結累計期間における海外グループ会社の連結対象期間は2022年10月1日~2023年6月30日となります。
モビリティ事業タイムズカー(カーシェアとレンタカーの融合サービス)については、需要に合わせた増車及び適正配備のための貸出拠点の積極開設に加え、旺盛な個人の観光需要や法人の出張需要等を取り込んだほか、個人・法人ともに利用促進に向けたキャンペーン等を実施したことなどにより、会員数及び利用が順調に増加し、車両1台当たり利用料は好調に推移いたしました。2023年5月からは、法人会員及び法人利用の拡大を目的とした、マスメディア等を用いた大規模プロモーションを実施しております。なお、当第3四半期連結累計期間において増車した車両台数は7,020台、増加した貸出拠点数は1,489箇所と、ネットワーク拡大は順調に進捗しております。この結果、モビリティ車両台数は60,082台(前連結会計年度末比13.2%増)、貸出拠点数は15,621箇所(同10.5%増)、会員数は2,289,963人(同12.2%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は711億13百万円(前年同期比27.5%増)、営業利益は94億37百万円(同628.0%増)となりました。
(2) 財政状態の状況 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末比60億1百万円減少し、3,016億25百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で機械装置及び運搬具を含む有形固定資産が38億6百万円、契約関連無形資産を含む無形固定資産が14億78百万円、減少で現金及び預金を含む流動資産が122億30百万円となっております。 負債合計は、同220億70百万円減少し、2,455億13百万円となりました。主な減少といたしましては、長期借入金を含む固定負債が205億11百万円、短期借入金を含む流動負債が15億59百万円となっております。 純資産は、同160億69百万円増加し、561億11百万円となりました。主な増加といたしましては、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上が152億93百万円、為替換算調整勘定が11億81百万円となっております。
(3) キャッシュ・フローの状況 当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて212億円減少し、638億64百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により得られたキャッシュ・フローは、316億97百万円(前年同期比164億7百万円の増加)となりました。主な内訳といたしましては、減価償却費を加えた税金等調整前四半期純利益444億86百万円、棚卸資産の減少額43億69百万円があった一方、法人税等の支払額119億75百万円、利息の支払額33億68百万円があったことなどによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動に使用したキャッシュ・フローは、196億93百万円(同71億50百万円の支出の増加)となりました。これは主として、タイムズパーキングへの設備投資やモビリティ車両の取得などによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、315億9百万円の資金の支出(同195億7百万円の支出の増加)となりました。これは主に新株予約権付社債の発行による収入があった一方、新株予約権付社債の償還による支出や長期借入金及びリース債務の返済による支出、短期借入金の純減額があったことなどによるものです。
(4) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等については重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」の記載について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動特記事項はありません。