【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結会計期間において、2022年3月31日に行われた企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っております。
なお、前連結会計年度末の数値並びに比較増減数値は、企業結合に係る会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う大小様々な影響による国内景気の停滞や落ち込み、不安定かつ先が見通しづらい国際経済やウクライナ問題をはじめとした国際情勢など、先行きが不透明な状況にあります。
当社グループは、「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」をミッションとして掲げています。このミッションの下、メディカルネットグループは、歯科医療プラットフォームビジネスを軸に、口腔周りから全身の健康を導き、笑顔溢れる世界を創るヘルステック企業として、事業を展開しております。生活者がより良い治療を自ら選択でき、事業者が持続的な成長を享受するサービス提供により、世界中の人々の健康と成長を生涯にわたって支援する事業への発展を目指しています。この目標を達成するために、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科器材・医薬品の卸、医薬品の開発・製造やタイにおいて歯科医院を運営しております。
こうしたなか、当社グループは、既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めております。さらに、口腔周りから始まる健康寿命増進プラットフォームビジネスという新たなサービスの構築に取り組み、事業を拡大したことにより売上高は前年同四半期比で増加いたしました。一方で、業容及び事業拡大のための人材採用を強化したことにより人件費が増加し、営業利益は前年同四半期比で減少いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,125,576千円(前年同四半期比20.6%増)、営業利益は260,359千円(前年同四半期比30.6%減)、経常利益は285,995千円(前年同四半期比23.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は139,457千円(前年同四半期比58.0%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① メディア・プラットフォーム事業
メディア・プラットフォーム事業は、「口腔周りから健康な社会の実現」のため、価値ある情報の提供を目的に、当社グループが運営するポータルサイトを通して生活者に有益な歯科情報や美容情報、ヘルスケア情報をお届けしております。
当事業が関連するインターネット広告市場における広告費は、3兆912億円(前年比14.3%増)となり、わずか3年で約1兆円増加し、広告市場全体の成長を後押ししております(株式会社電通「2022年日本の広告費」)。また、当社グループが属しておりますインターネット附随サービス業におきましては、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年比微増で推移しております(経済産業省「特定サービス産業動態統計月報(2023年1月分)」)。
当社グループの事業領域である歯科市場においては、歯科診療所は67,501施設(厚生労働省「医療施設動態調査(令和5年1月末概数)」)と歯科診療所数は横ばいで推移しておりますが、歯科診療医療費が3兆1,498億円(前年比4.8%増 厚生労働省「令和3年度医療費の動向」)と増加しております。また、新型コロナウイルス感染症長期化により、良好な口腔環境が感染症リスクを減らす効果に対する需要が増大し、自由診療分野において患者数の増加がみられました。さらに、令和元年の平均寿命が男性81.41年、女性87.45年、健康寿命が男性72.68年、女性75.38年であり、平均寿命と健康寿命の差は、男性が約9年、女性が約12年あります(厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」)。こうしたなか、口腔の健康が全身の健康に関係性があることが明らかになってきました。2021年6月18日に経済財政諮問会議で閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」には、「全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係るエビデンスの国民への適切な情報提供、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。」とされており、歯科医療の重要性が高まっております。
そのような状況のなか歯科分野においては、Googleのアルゴリズムの変動への対応が進んだことや、自由診療への需要が高まったことで、歯科医院の広告出稿意欲が高まり、主力サイトの「矯正歯科ネット」の売上高が前年同四半期比8.6%増、「インプラントネット」の売上高が前年同四半期比13.1%増となるなど好調に推移しております。歯科分野は前年に引き続き受注が好調に推移する見込みであり、組織強化のため積極的な人的投資を行っております。
また、美容分野においては、2022年のエステティックサロン総市場規模は3,141億円(前年比2.9%減)と減少推移となりました。コロナ禍3年目となる2022年度に入ってからは、東京をはじめとする都市部を中心に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出されたものの、店舗休業はなくウィズコロナの意識も広がったことから、コロナ禍収束への一定の道筋が見え始めた2021年度とは状況に変化が生じました(株式会社矢野経済研究所「2023年版エステティックサロンマーケティング総鑑」)。当社グループが運営する各ポータルサイトの認知度の向上を図ると共に引き続きスマートフォン広告の拡充を進め、新たなサービスの提供を実現するための体制を整備いたしました。しかしながら、美容・エステ分野におけるポータルサイトへの広告出稿につきましては厳しい状況が続いております。こうしたなか、「気になる!美容整形・総合ランキング」の売上高は前年同四半期比18.6%減、「エステ・人気ランキング」の売上高は前年同四半期比23.6%減となるなど前年同四半期比で減少いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は769,243千円(前年同四半期比5.0%増)、セグメント利益は460,719千円(前年同四半期比4.1%減)となりました。
② 医療機関経営支援事業
医療機関経営支援事業においては、SEMサービス及びHP制作・メンテナンスサービス、歯科医院運営、歯科器材・医薬品販売、医薬品・医薬部外品の製造・販売、歯科医院の事務代行・開業支援・経営支援等を行っております。
1.SEMサービス
クライアントのHPへの訪問を増やすために、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、検索エンジンの検索結果においてクライアントHPの検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供しております。また、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告(リスティング広告)の運用代行サービスを行っております。
2022年もインターネット広告媒体費は好調に推移いたしました。このうち、運用型広告市場規模は、大型プラットフォーマーを中心に高成長となり2兆1,189億円(前年比15.3%増)となりました(株式会社電通「2022年日本の広告費 インターネット広告媒体費詳細分析」)。
このような経済状況のなかで、SEOサービスにおいては、近年のGoogleアルゴリズムの変動の影響もあり短期的に検索順位向上を図ることが難しくなっておりますが、アクセス増加と順位対策を同時に行える新サービスの提供を開始し、継続的に収益を獲得することで売上高は前年同四半期比で売上は増加いたしました。
また、複数のキーワードへの対策結果を短期的に求めることが難しい仕組みに変化したことにより、比較的効果の現れやすいリスティング広告をSEO対策に代わる手法として求めるクライアントが増えております。そのようななか、多様化・細分化するユーザーニーズに応えるべく、従来のYahoo!、Googleのリスティング広告に加え、LINE広告などの運用代行を開始するなどサービスの拡充に努め、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。
2.HP制作・メンテナンスサービス
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてHP制作・メンテナンスサービスを提供しております。
インターネット広告制作費は、社会全体の急速なデジタル化を受けて4,203億円(前年比9.2%増)となりました(株式会社電通「2022年日本の広告費」)。
このような経済状況のなかでクライアントである歯科医院はもちろん「生活者にこそ価値のあるホームページ」をめざし、歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを提供すると同時に生活者にとって有意義な情報を提供しております。しかし、近年、SNSの利用者が増え、専門知識がなくとも手軽に情報を発信できるようになった背景もあり、受注制作案件が伸び悩み、売上高は前年同四半期比で減少いたしました。
3.歯科医院運営
連結子会社のMedical Net Thailand Co., Ltd.と連結子会社(孫会社)のPacific Dental Care Co., Ltd.、2022年3月に連結子会社(孫会社)化したFukumori Dental Clinic Co., Ltd.において、タイ・バンコクで歯科医院を運営しております。2021年11月にタイが新型コロナウイルスの規制緩和として開国に踏み切り、国内外の人の往来が増加いたしました。その間、タイ人スタッフへの研修に注力し、人材育成、組織改革を行った結果、バンコクの頼れるインターナショナルクリニックへの成長を遂げております。外部要因の変化及び内部組織の改善、Fukumori Dental Clinic Co., Ltd.が連結に含まれたことにより、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。
4.歯科器材・医薬品販売
連結子会社の株式会社オカムラ及び2022年5月に設立した株式会社オカムラOsakaにおいて、歯科器械材料・医薬品の卸売を行っております。また、タイ・バンコクにおいて、2022年3月に連結子会社(孫会社)化したNU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.において、歯科商社事業を行っております。
日本国内においては、東京と大阪の2拠点体制になりました。株式会社オカムラOsakaが連結に含まれたことや、東京において学納事業など新たな顧客との取引を開始し事業を拡大しております。
タイ・バンコクにおいては、日本やその他諸外国から輸入商品を増加させて、患者様により高品質なものを提供することに努めております。また、歯科医師の学術的なサポートを行っており、新しい歯科製品を学ぶためのトレーニングコースを設け、社会的に還元できる施策として好評を得ております。国内での事業拡大及びタイ・バンコクでNU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.が連結に含まれたことにより、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。
5.医薬品・医薬部外品の製造・販売
連結子会社(孫会社)のノーエチ薬品株式会社において、医薬品・医薬部外品の製造・販売を行っております。2022年は新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響で、ドラッグストアへ来店するお客様が減少する傾向がありました。こうしたなか、医薬品などのまとめ買いの購買動向がみられたため、一度のお買い物でストックできるような大容量サイズをリリースし、ラインアップの強化を図りました。また、メディカルネットとの初の共同企画製品として、歯ぎしり、イライラ、不眠などの効能を持つ漢方薬(デンター漢方錠)を新発売いたしました。しかし、医薬品小売業界は、EC利用者が増え、実店舗への来客頻度が減少している影響もあり、売上高は前年同四半期比で減少いたしました。
6.歯科医院の事務代行・開業支援・経営支援
「歯科医師が、歯科医療に専念できる環境を創る。」というミッションを掲げ、業界随一の歯科医院の開業から経営支援までをワンストップで支援するサービスを提供しております。
歯科医院の開業支援、経営支援サービスの営業活動が新型コロナウイルス感染症による影響があったものの、経営支援のサービスメニューの拡充や専門ポータルサイト「メディサポ」を開設したこと等によりサービスの認知度が高め、また、積極的に人材を採用し営業体制を強化しております。そのようななか、初の開業支援案件を受注し売上を大きく伸ばし、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,237,184千円(前年同四半期比28.5%増)、セグメント利益は63,561千円(前年同四半期比48.4%減)となりました。
③ 医療BtoB事業
医療BtoB事業においては、歯科医療従事者のための総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を中心にリサーチ、コンベンションの運営受託、広告ソリューションの提供等、様々なサービスを提供しております。
2022年は、これまで開催が制限されてきた学会やデンタルショー等の展示会のリアル開催が復活いたしました。一方で、歯科医療従事者のデジタルを活用した情報収集意欲も依然として高い状態が続いております。こうしたなか、「Dentwave.com」を活用した広告やウェビナー配信、リサーチの支援を拡大するとともに、オンラインデンタルショー(DDS)やオンラインイベント「歯科衛生士フェスタ」を開催いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は116,664千円(前年同四半期比1.4%増)、セグメント利益は29,228千円(前年同四半期比38.3%減)となりました。
④ その他
管理業務受託事業においては、経理、人事総務等の管理業務を受託し、サービスを提供しております。
当第3四半期連結累計期間の売上高は2,718千円(前年同四半期比0.1%減)、セグメント利益は2,718千円(前年同四半期比0.1%減)となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、3,309,193千円となり、前連結会計年度末に比べ159,518千円(前連結会計年度末比5.1%増)の増加となりました。主な増減要因は以下のとおりであります。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ159,518千円増(前連結会計年度末比5.1%増)の3,309,193千円となりました。これは主に、現金及び預金が26,438千円、売掛金が23,349千円、前払費用が27,668千円、長期前払費用が90,107千円増加したためであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ78,800千円減(前連結会計年度末比5.6%減)の1,338,107千円となりました。これは主に、短期借入金が50,389千円増加いたしましたが、未払金が70,573千円、未払法人税等が49,114千円、未払費用が24,757千円減少したためであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ238,319千円増(前連結会計年度末比13.8%増)の1,971,086千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益139,457千円の計上と、剰余金配当35,263千円を行ったことに加え、資本剰余金が49,650千円増加、自己株式が67,676千円減少したためであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。
#C3645JP #メディカルネット #情報通信業セクター