【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績に関する説明
当社グループは、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの下、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げ、クラウドソフトウエアにテクノロジーと人力によってアナログ情報をデジタル化する仕組みを組み合わせた手法を軸に、人や企業との出会いをビジネスチャンスにつなげる、働き方を変えるDXサービスを提供しています。
具体的には、企業の営業活動や請求書業務、契約書業務等に対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するサービスを展開しており、DXへの意識改革やコロナ禍による働き方の変化、SaaSビジネスへの関心の高まり等によって、国内DX市場は2030年度に5兆1,957億円(2020年度比3兆8,136億円増)(注1)、国内SaaS市場は2026年度に1兆6,681億円(2022年度比5,790億円増)(注2)の規模に達すると予想されています。当社が提供する営業DXサービス「Sansan」は、法人向け名刺管理サービス市場において81.6%のシェア(注3)を占めており、同市場は当社サービスの成長等につれて、2013年から2021年にかけて約14倍に拡大しています。また、当社が提供するインボイス管理サービス「Bill One」は、クラウド請求書受領サービス市場においてNo.1の売上高シェア(注4)を獲得しており、2021年度の同市場は、前年同期と比べて226.0%拡大しています。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高
14,705
18,177
+23.6%
売上総利益
12,973
15,746
+21.4%
調整後営業利益(注5)
306
760
+148.4%
経常利益
750
501
△33.2%
親会社株主に帰属する四半期純利益
575
738
+28.4%
当第3四半期連結累計期間においては、中期的な売上高成長の実現に向け、「Sansan」や「Bill One」における営業体制の強化を行ったほか、各サービスの機能拡充等に取り組みました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同期比23.6%増、売上総利益は前年同期比21.4%増(売上総利益率は86.6%)となり、堅調な実績となりました。調整後営業利益は売上高の伸長等により、前年同期比148.4%増となりました。一方、経常利益は前年同期において投資有価証券売却益979百万円を営業外収益に計上していたこと等により、前年同期比で33.2%減少しました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、持分法適用関連会社の株式譲渡に伴い、関係会社株式売却益619百万円を特別利益に計上したこと等により、前年同期比28.4%増となりました。
(注)1.「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」富士キメラ総研
2.「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」富士キメラ総研
3.「営業支援DXにおける名刺管理サービスの最新動向2023」(2022年12月 シード・プランニング調査)
4. デロイト トーマツ ミック経済研究所「驚異的な成長が見込まれるクラウド請求書受領サービス市場の現状と将来」(ミックITリポート2022年7月号)
5. 従来、営業利益を表示していましたが、第1四半期連結会計期間より経営上重視する業績評価指標を当社の株価水準に応じて大きく変動する可能性のある株式報酬関連費用や企業結合に伴い生じる費用を控除した恒常的な企業の収益力を表す指標に変更したことに伴い、営業利益に株式報酬費用及び企業結合に伴い生じた費用(のれん償却額及び無形固定資産の償却費)を加えた調整後営業利益にて表示しています。なお、前第3四半期連結累計期間についても、営業利益は変更後の調整後営業利益にて表示しています。
セグメント別の業績は以下の通りです。
①Sansan/Bill One事業
当事業セグメントには、営業DXサービス「Sansan」やインボイス管理サービス「Bill One」等のサービスが属しています。
当第3四半期連結累計期間におけるSansan/Bill One事業の成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高(注6)
13,199
16,232
+23.0%
「Sansan」
12,662
14,548
+14.9%
「Sansan」ストック
12,062
13,781
+14.3%
「Sansan」その他
600
766
+27.7%
「Bill One」
498
1,543
+209.5%
その他
38
140
+265.9%
調整後営業利益
4,050
5,197
+28.3%
「Sansan」
契約件数
8,314件
8,844件
+6.4%
契約当たり月次ストック売上高
167千円
180千円
+7.8%
直近12か月平均月次解約率(注7)
0.65%
0.46%
△0.19pt
「Bill One」
MRR(注8)
90
229
+153.0%
有料契約件数(注9)
643件
1,300件
+102.2%
有料契約当たり月次ストック売上高
140千円
176千円
+25.7%
直近12か月平均月次解約率(注7)
–
0.59%
–
(注)6. 外部顧客への売上高及びセグメント間の内部売上高または振替高の合計値
7. 各サービスの既存契約の月額課金額に占める、解約に伴い減少した月額課金額の割合
8. Monthly Recurring Revenue(月次固定収入)、算出方法の見直しにより、前第3四半期連結累計期間の値を変更
9. 集計タイミングを契約締結完了時点からサービス利用開始時点に見直したことにより、前第3四半期連結累計期間の値を変更
a.「Sansan」
「Sansan」の契約件数及び契約当たり月次ストック売上高のさらなる拡大に向け、クラウド名刺管理サービス「Sansan」を「営業を強くするデータベース」をコンセプトに、営業DXサービス「Sansan」へと刷新し、新たな機能の搭載に取り組みました。具体的には、第1四半期において、「Sansan」上で100万件以上の企業情報が閲覧できるようにしたほか、名刺だけではなくメール署名等の接点情報を蓄積し可視化できる機能を搭載しました。ユーザーはこれらの接点情報と企業情報を組み合わせることで、接点のない企業の情報も含めた利用企業ならではのデータベースを「Sansan」上に構築することが可能になりました。また、第2四半期においては、これらの新機能を背景とした新規ユーザーの獲得や既存ユーザーのアップセルの実現に向けて、販売力の強化に注力しました。当第3四半期においては、特に中堅・大企業の新規契約獲得に向けた営業体制を強化しました。
これらの結果、「Sansan」の契約件数は前年同期末比6.4%増、契約当たり月次ストック売上高は前年同期比7.8%増、直近12か月平均月次解約率は、プロダクト刷新によって既存顧客における利便性が向上した結果、前年同期比0.19ポイント減の0.46%となりました。
この結果、「Sansan」の売上高は前年同期比14.9%増、うち、固定収入であるストック売上高は前年同期比14.3%増、その他売上高は前年同期比27.7%増となりました。
b.「Bill One」
「Bill One」の高成長継続に向け、人材採用をはじめとした営業体制の強化やサービスの機能拡充等に取り組んだ結果、2023年2月におけるMRRは前年同期比153.0%増、ARR(注10)は2,748百万円となりました。また、中堅・大企業を中心とした新規契約獲得が進み、有料契約件数は前年同期末比102.2%増、有料契約当たり月次ストック売上高は前年同期比25.7%増となりました。
この結果、「Bill One」売上高は前年同期比209.5%増となりました。
(注)10. Annual Recurring Revenue(年間固定収入)
c. その他
既存サービスで培った強みや知見、ノウハウ等を活かして、契約DXサービス「Contract One」等の立ち上げに注力しました。
この結果、その他売上高は前年同期比265.9%増となりました。
以上の結果、Sansan/Bill One事業の売上高は前年同期比23.0%増、調整後営業利益は前年同期比28.3%増となりました。
②Eight事業
当事業セグメントには、キャリアプロフィール「Eight」のほか、イベント書き起こしサービス「logmi」シリーズが属しています。
当第3四半期連結累計期間におけるEight事業の成績は以下の通りです。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
売上高(注11)
1,430
1,848
+29.2%
BtoCサービス
213
225
+5.5%
BtoBサービス
1,217
1,623
+33.4%
調整後営業利益
△374
△206
–
「Eight」
「Eight」ユーザー数(注12)
305万人
324万人
+19万人
「Eight Team」契約件数
2,621件
3,398件
+29.6%
(注)11. 外部顧客への売上高及びセグメント間の内部売上高または振替高の合計値
12. アプリをダウンロード後、自身の名刺をプロフィールに登録した認証ユーザー数
a. BtoCサービス
コロナ禍収束に伴うビジネスの正常化を背景に、「Eight」ユーザー数は堅調に増加し前年同期末比19万人増の324万人となり、BtoCサービス売上高は前年同期比5.5%増となりました。
b. BtoBサービス
各種BtoBサービスのマネタイズ強化に取り組んだ結果、BtoBサービス売上高は前年同期比33.4%増となり、「Eight Team」契約件数は前年同期末比29.6%増となりました。
以上の結果、Eight事業の売上高は前年同期比29.2%増、調整後営業損失は前年同期と比較して168百万円縮小しました。
(2)財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当第3四半期
連結会計期間
前連結
会計年度末比
資産合計
26,292
27,311
+1,018
負債合計
14,199
13,470
△728
純資産合計
12,093
13,841
+1,747
負債純資産合計
26,292
27,311
+1,018
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は27,311百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,018百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加1,908百万円及び前払費用の増加302百万円、投資有価証券の減少1,515百万円によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は13,470百万円となり、前連結会計年度末に比べ728百万円減少しました。これは主に、未払金の減少302百万円及び顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領すること等による前受金の減少513百万円、長期借入金の増加426百万円によるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は13,841百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,747百万円増加しました。これは主に、ストックオプションの行使による資本金及び資本剰余金の増加がそれぞれ127百万円、その他有価証券評価差額金の増加62百万円及び親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び持分法の適用範囲の変動による利益剰余金の増加1,191百万円によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
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