【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年3月1日から2023年8月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行されたことにより経済活動の正常化が進んでいることや、半導体の供給体制の緩和に伴う生産活動の回復などにより、緩やかに改善してまいりました。一方、円安の進行を主因とする物価高が継続しているほか、中国不動産業の債務問題や米国の金融引き締め長期化が世界経済に及ぼす影響も懸念され、景気の先行きは不透明な状況が続いてまいりました。
当社グループが事業を展開する食品スーパーマーケット業界におきましても、賃金の上昇を上回る物価高が昨年来続いている中、お客様の生活防衛意識の高まりにより節約志向や選別消費の傾向が一段と強まっていることに加え、人件費や電気料金をはじめとする事業運営コストが増加しており、当社を取り巻く経営環境は厳しい状況が継続しております。
このような状況の下、昨年から続く商品・サービスの価格上昇、事業運営に係る各種コストの増加、お客様の日常消費に対する価値変容に対応するため、当社グループの強みであるローコストオペレーションの徹底と「鮮度・価格・品揃え」の総合力を強化する取り組みを推進してまいりました。
営業面につきましては、特に物価高対策として、当社グループのプライベートブランド商品と位置付けている「CGC商品」の販売強化に取り組んでまいりました。従来以上に㈱シジシージャパンとの連携を深め、国内外の生産者と原料調達まで踏み込んだ開発商品の拡販や、積載率向上による物流効率化、「スカスカ撲滅運動」による容器・包装資材の削減などを進めております。そのほか、カテゴリーマネジメント(※1)による商品構成の見直しを行い、従来の取り扱い品目に加え、米菓・農産乾物、乾麺・チルド麺、衣料洗剤に拡大し、取り組みを更に強化しております。加えて、商品調達プロジェクトが中心となり、販売・仕入・在庫に係る新基幹システムの利活用を一段階引き上げ、在庫水準の適正化やロス率削減といったグループ全体の効率改善に取り組んだほか、ひなまつりやホワイトデーなど季節催事の売れ筋商品に関するグループ横断の比較分析を実施し、グループシナジーの追求によるMD(※2)強化も進めてまいりました。東北のグループ会社(㈱ユニバース、㈱ベルジョイス、㈱伊藤チェーン)においては、酒類の帳合統一などの商流効率化も進めてまいりました。
新日本スーパーマーケット同盟(※3、以下同盟)におきましては、昨今の市場環境の変化を踏まえ、より現状の経営課題に資する取り組みとなるよう、既存の4つの分科会を5つの分科会(マネジメント分科会、商品分科会、業務改革分科会、サステナビリティ分科会、次世代領域開発分科会)に再編し、商品開発や共同調達といった従来の取り組みのほか、人手不足、2024年物流問題、IT・DX対応、エネルギー問題、物価高といった地域スーパーマーケット共通の課題について協議・対応を深めてまいりました。商品開発の取り組みとしては、同盟各社のご当地食材を使用した「ご当地の味ふわっと」(米粉スナック)や「チロルチョコ<日本列島めぐりチョコアソート>」、「塩こうじレモンぽん酢」といった限定商品の販売に注力してまいりました。
ネットスーパーの取り組みにつきましては、㈱ラルズが運営する「アークスオンラインショップ」において配送拠点を4店舗から6店舗に増強し配達エリアを拡大するとともに、個人のお客様のみならず介護施設・幼稚園等の法人取引も拡大してまいりました。本年6月からは会員ステージ制度(※4)を取り入れるなど、更なるサービスの拡充にも取り組んでおります。また、㈱ベルジョイスにおいて本年6月より「アークスオンラインショップ」を開始し、お客様からご好評をいただいております。そのほか、Amazonとの協業により、同社のAmazonプライム会員様向けサービスとして、「アークスネットスーパー」を札幌市・北広島市の一部地域を対象として今冬にスタートを予定しており、更なるお客様の利便性向上及び事業拡大に取り組んでまいります。
販売費及び一般管理費(以下、販管費)につきましては、エネルギー価格の高騰に対し、エネルギー監視システムの利活用や冷凍ケースのリーチイン化のほか、飲料品の設定温度の見直しや適切な照度での照明管理、お客様用トイレへの消音器導入による節水施策といった取り組みを進めております。また、DX推進委員会におけるRPA(※5)プロジェクトの推進による作業時間の削減や給与明細の電子化等、生産性向上及びコスト削減に資する業務改善を実現してまいりました。
店舗展開につきましては、当第2四半期連結会計期間(2023年6月1日から2023年8月31日)において、本年6月に北海道剣淵町に「Da*marche剣淵店」(㈱道北アークス)を新規出店するとともに、7店舗の改装を行いました。改装の内訳として、㈱福原にて「フクハラ別海店」、㈱道北アークスにて「スーパーチェーンふじ深川店」、㈱東光ストアにて「東光ストア豊平店」「東光ストア北広島店」の改装を実施したほか、㈱ラルズの「ビッグハウス白石店」を「スーパーアークス白石店」へ、㈱福原の「ビッグハウス中標津店」を「スーパーアークス中標津店」へ、㈱道東アークスの「ビッグハウスメッセ」を「スーパーアークスメッセ」へ、業態変更を伴う改装を実施いたしました。また、㈱伊藤チェーンにて「イトーチェーン角田店」を閉店し、第2四半期累計では新規出店2店舗、改装8店舗、閉店1店舗で第2四半期末日現在の総店舗数は374店舗となりました。第3四半期以降では新規出店2店舗、改装17店舗、閉店2店舗を計画しております。
当社グループの基盤強化につきましては、㈱ベルジョイスが、岩手県遠野市を中心にスーパーマーケット4店舗を展開する㈱みずかみと本年9月1日付で経営統合し、同社を㈱ベルジョイスの連結子会社といたしました。同社が創業以来築き上げてきた営業基盤と企業体質を強化し、地域経済への更なる貢献を目指してまいります。
サステナビリティ推進活動につきましては、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」に基づく情報開示を行ったほか、人的資本形成に向けた当社の考え方・ビジョンを明示すべく「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を公表いたしました。本年6月には「アークス統合報告書~地域のライフラインとして」(以下、統合報告書)を発行し、当社グループの持続的な成長及び中長期的な経済価値、社会価値の創造に向けた取り組みをステークホルダーの皆様に発信いたしました。8月には国内のみならず海外のステークホルダーの皆様にも広く認識していただけるよう英語版を当社ホームページ上に公開いたしました。また、㈱ラルズ、㈱ベルジョイス、㈱福原、㈱東光ストア、㈱道南ラルズ、㈱伊藤チェーンにおいてフードドライブ(※6)の取り組みを推進し、実施店舗は当第2四半期末で6社合計36店舗まで拡大いたしました。加えて、食品廃棄物や容器包装プラスチックの削減についてもグループ共通のKPI(数値目標)の設定を進めております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高2,922億1百万円(対前年同期比3.9%増)、営業利益79億35百万円(同7.1%増)、経常利益88億10百万円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益57億99百万円(同5.1%増)となりました。電気料金を中心とした販管費の増加により売上高販管費率は対前年同期比0.3ポイント上昇し22.4%となりましたが、売上高の堅調な推移や、商品構成の見直し等により売上高総利益率が対前年同期比0.4ポイント上昇し25.1%となったことから、増収増益での着地となりました。既存店売上高につきましては、節約志向の中でも既存店客数が対前年同期比で1.1%の増加となり、既存店客単価も同2.4%増となったことから、既存店売上高は対前年同期比3.6%の増加となりました。既存店客単価の内訳は、1人当り買上点数が対前年同期比4.0%減少した一方、物価上昇に伴い1点単価が同6.7%の増加となっております。
なお、予算対比では、売上高は100.8%、売上総利益高は100.1%と予算を上回ったほか、省エネ関連機器の導入や節電の推進に加え生産性向上の取り組み等の結果、販管費は99.0%と予算内執行となり、経常利益は予算比113.0%、親会社株主に帰属する四半期純利益は予算比111.5%と予算を上回る利益水準を確保しております。
(※1)小売業者が自社の戦略や目標に基づいて商品分野(カテゴリ)を設定し、商品の管理をすること。消費者にとって適切なタイミングで、適切な場所(売場・棚)に、適切な商品を適切な価格で提供することで、需要の活性化を図ることを目的とします。
(※2)マーチャンダイジングの略で、消費者のニーズ、ウォンツを予測しながら、どのような商品をどんな価格でいつどのような方法で販売することが最適であるかを仮説に基づいて計画、実施することです。
(※3)㈱バローホールディングス(本社:岐阜県)、㈱リテールパートナーズ(本社:山口県)、当社の3社により、2018年12月に資本業務提携契約を締結した地域密着型の独立系食品流通企業の連合体です。
(※4)㈱ラルズが運営するアークスオンラインショップにおいて、毎月の購入金額に応じて「ゴールド」「ダイヤモンド」「プラチナ」の会員ランクを付与し、ランクに応じてクーポンや抽選券の発行を行う制度です。
(※5)ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、作成したシナリオに基づいて動作するロボットにより、主にルーチン業務を自動化する仕組みです。
(※6)賞味期限内でまだ食べられるにもかかわらず、ご家庭で眠っている・買い過ぎてしまった食料品などを、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動です。農林水産省や消費者庁、環境省が中心となって推進しています。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して、80億29百万円増加し、2,741億85百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が42億79百万円、棚卸資産が10億13百万円、土地が20億77百万円、及び投資有価証券が14億18百万円増加した一方で、未収入金が11億3百万円、及びソフトウエアが10億83百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して、52億94百万円増加し、997億63百万円となりました。この主な要因は、買掛金が68億86百万円、及び未払費用が10億15百万円増加した一方で、短期借入金が13億34百万円、及び長期借入金が17億16百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、27億34百万円増加し、1,744億21百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が41億19百万円、及びその他有価証券評価差額金が10億53百万円増加した一方で、自己株式が24億98百万円増加したことなどによるものです。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末より0.9ポイント低下し63.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末と比較して、42億82百万円増加し、768億77百万円(対前年同期末比7億80百万円の増加)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、178億11百万円(対前年同期比12.1%増)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益87億90百万円、減価償却費47億16百万円、賞与引当金の増加額7億73百万円、売上債権の増加額7億29百万円、棚卸資産の増加額10億13百万円、仕入債務の増加額68億86百万円、及び法人税等の支払額27億12百万円などによるものです。また、得られた資金が増加した要因は、売上債権が減少したこと及び仕入債務が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、56億5百万円(対前年同期比90.3%増)となりました。これは主に、新規出店や店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出52億66百万円などによるものです。また、使用した資金が増加した要因は、新規出店や店舗改装の他、借地の自社所有化及び賃貸用不動産の取得に伴う有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、79億22百万円(対前年同期比161.9%増)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額4億50百万円、長期借入金の返済による支出26億円、自己株式の取得による支出25億4百万円、及び配当金の支払額16億79百万円などによるものです。また、使用した資金が増加した要因は、前期において長期借入れによる収入があったことなどによるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
該当事項はありません。