【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績 当連結会計年度(2022年6月1日~2023年5月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、企業の設備投資が回復するなど、社会経済活動は正常化しつつあります。海外では、多くの国で経済は緩やかに回復しており、中国においてもゼロコロナ政策の解除を機に景気回復基調にあります。一方で、地政学リスクの高まりや原材料・エネルギー価格の上昇、部品供給不足の長期化、金融・為替動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループでは、当期からスタートした中期経営計画において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、ROE8%以上の早期達成を目指した経営基盤の抜本的強化を図ることとし、初年度は「収益力を高める構造改革に徹底して取り組む1年」と位置付け、「東洋電機の再生と変革」に取り組んでまいりました。 このような環境のもと、当社グループにおいては、受注は回復基調にありますが、部材調達難の長期化による売上への影響は依然として継続しております。
この結果、当連結会計年度における業績は次のとおりです。
受注高は、前期比9.2%増の332億46百万円となりました。 売上高は、前期比2.9%増の310億25百万円となりました。 損益面では、営業利益は、前期比3億45百万円増の5億17百万円、経常利益は同2億20百万円増の9億87百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した産業事業に関わる事業用資産の減損損失の影響がなくなったこと等により、同17億54百万円改善し8億24百万円となりました。
報告セグメント別の状況は次のとおりです。なお、当社グループの事業領域をより適切に表示するため、従来「情報機器事業」としておりました報告セグメントの名称を「ICTソリューション事業」に変更しております。
<交通事業> 国内鉄道事業者の業績回復に伴い、抑制されていた車両の新造、機器の更新需要が増加しつつあります。また、中国においても、保守部品や新規案件の受注が増加しております。 受注高は、JR向け、民鉄向け、及び中国向けが増加したことから、前期比11.5%増の209億63百万円となりました。 売上高は、民鉄向けが反動減により減少したものの、中国向けが増加したことから、前期比2.1%増の198億57百万円となりました。 セグメント利益は、採算性の向上に取り組んだことから、前期比3.2%増の22億59百万円となりました。<産業事業> 国内は、多くの業種で設備投資の動きが堅調であり、当社への引合いも増加しております。一方で、自動車開発用試験機においては、電動化への急速な変化により、一部では計画されていた試験機設備投資に見直しの動きがありました。また、部材調達難の長期化による当社生産工程への影響が継続しております。 受注高は、大型の試験機向け案件の受注と、加工機向けが増加したことから、前期比1.6%増の108億55百万円となりました。 売上高は、試験機向け、加工機向けが増加したものの、電源向けが減少したことから、前期並みの99億5百万円となりました。 セグメント利益は、前期に計上した固定資産の減損による減価償却費の負担軽減があったものの、粗利益率の低下等により、前期並みの4億79百万円となりました。
<ICTソリューション事業> 駅務機器のソフトウェア改修は、新線開業やバリアフリー料金等の運賃改定に伴う増加の動きが見られました。引き続き、乗客の利便性向上、インバウンド対応、業務効率化に向けた動きがあります。
受注高は、前期比49.7%増の14億21百万円となりました。 売上高は、前期比59.0%増の12億56百万円となりました。 セグメント利益は、売上高の回復等により、前期比189.6%増の4億13百万円となりました。
※報告セグメント別の売上高については、「外部顧客への売上高」であり、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含みません
②財政状態
(資産の部) 当連結会計年度末の資産合計については、有形固定資産の減少6億21百万円などがありましたが、投資有価証券の増加18億17百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加11億45百万円などがあり、前連結会計年度末比27億65百万円増加の496億82百万円となりました。
(負債の部) 当連結会計年度末の負債合計については、借入金の減少5億85百万円などがありましたが、仕入債務の増加10億12百万円、製品保証引当金の増加63百万円などがあり、前連結会計年度末比1億95百万円増加の250億99百万円となりました。
(純資産の部) 当連結会計年度末の純資産合計については、その他有価証券評価差額金の増加14億56百万円などがあり、前連結会計年度末比25億69百万円増加の245億82百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より10億70百万円増加し55億20百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加などにより8億15百万円の収入(前期は25億4百万円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは投資有価証券の売却による収入などにより6億35百万円の収入(前期は2億89百万円の収入)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済などにより3億90百万円の支出(前期は23億56百万円の支出)となりました。 (当社グループの資本の財源及び資金の流動性) 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
交通事業
19,454
6.7
産業事業
9,645
2.8
ICTソリューション事業
1,569
131.2
その他
-
-
合計
30,669
8.4
(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
交通事業
20,963
11.5
21,915
5.3
産業事業
10,855
1.6
7,150
15.3
ICTソリューション事業
1,421
49.7
429
62.2
その他
6
△30.3
-
-
合計
33,246
9.2
29,496
8.1
(注) 金額は、販売価格によっております。 c. 販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
交通事業
19,857
2.1
産業事業
9,905
0.0
ICTソリューション事業
1,256
59.0
その他
6
△30.3
合計
31,025
2.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりです。 また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (3) 経営環境、優先的に対処すべき課題」に記載のとおりです。
②資本の源泉および資金の流動性に係る情報 当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資です。 当社グループの資本の源泉および資金の流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部資金の活用と各事業年度における事業計画の資金計画に基づいて設定した枠内で適時適切に必要な資金を取引金融機関から調達しています。取引金融機関とは当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。 また、当社グループは国内連結子会社5社との間でCPS(キャッシュ・プーリング・システム)を導入しており、各社における余剰資金と借入金の一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。