【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として四半期連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
(1)業績の状況
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。この結果、前第3四半期連結累計期間と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。
当第3四半期連結累計期間(2022年3月1日~2022年11月30日)における我が国経済は、7~9月期のGDP成長率が4四半期ぶりにマイナスとなりましたが、個人消費はプラス基調を維持しております。しかしながら、資源価格や原材料費の高騰、円安の影響など、物価の上昇により家計負担は増加しており、生活防衛的な消費傾向はますます強まることが想定され、先行きは不透明な状況が続いております。
こうした中、髙島屋グループ(以下、当社)はグループ総合戦略「まちづくり」(以下、まちづくり戦略)を推進し、持続的成長に向けて、百貨店の収益構造の変革とグループ利益の最大化に取り組んでおります。当社の中核事業である百貨店におきましては、安定的に利益を創出できる経営体制の整備を最優先課題に、大阪店・京都店・日本橋店・横浜店・新宿店の大型5店舗で、営業力強化とコスト構造改革の両面に取り組んでおります。成長領域であるネットビジネスにつきましては、百貨店ならではの魅力ある商材や独自商材の提案に加え、強みであるギフト商材を通じた新規顧客の獲得と中元歳暮など、店頭と連動した販促策を推進しております。
まちづくり戦略のけん引役である商業開発業の東神開発株式会社では、流山おおたかの森地区(千葉)において、3月にSC開業15周年を迎えた「流山おおたかの森S・C」を中心とする開発を進めており、6月には新たに「流山おおたかの森S・C ANNEX2」と「GREEN PATH」が開業いたしました。今後国内では、まちづくり戦略のもと2023年秋に、髙島屋京都店の増床区画に新しい機能やサービスを有する専門店ゾーンの導入により、百貨店と専門店からなる商業施設「京都髙島屋S.C.」の開業を計画しております。またベトナムでは、ホーチミン髙島屋を中核とするサイゴンセンター事業に続き、ハノイ市のタウンシップ開発事業である「スターレイク・プロジェクト」に参画するなど、成長領域での事業を着実に拡大しております。
金融業では、6月に住信SBIネット銀行株式会社の「NEOBANK®」を活用し、銀行取引や百貨店でのお買物の積み立て「スゴ積み」が利用できる金融サービスアプリ「髙島屋ネオバンク」サービスを開始いたしました。また9月には、株式会社SBI証券との金融商品仲介サービス「タカシマヤの投資信託」において、タカシマヤポイントがたまる、使える「タカシマヤのポイント投資」サービスを開始いたしました。本サービスにより、当社のポイント経済圏を拡大し、百貨店業と金融業の活性化につなげてまいります。
ESG経営につきましては、「すべての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現」をめざして、社会課題解決と事業成長の両立に取り組んでおります。環境課題に対する取り組みとしては、グループ5施設への再生可能エネルギー導入に加えて、衣料用ビニールのマテリアルリサイクル化の推進や、商品配送時におけるリユース可能な箱の利用など、サプライチェーンを巻き込んだ新たな取り組みを図っております。また、食品ロス削減月間である10月には、食品ロス削減に向け、当社の一部商業施設の飲食店で、食べ残しのお持ち帰り促進「mottECO(モッテコ)検証事業」に取り組みました。さらに家庭で使いきれない未使用食品を集めて、フードドライブ団体や地域の福祉施設などに寄贈する「フードドライブ活動」を7店舗で実施いたしました。お客様とともに持続可能な社会を実現する百貨店プロモーションにつきましては、本年度から「TSUNAGU ACTION」を本格始動し、当社が考える「エコ&エシカル」なライフスタイルに向けた商品・サービスの提案を行うとともに、お客様に参画いただける活動機会の拡充にも努めてまいります。
当第3四半期連結累計期間の連結業績につきましては、連結営業収益は317,752百万円(前年同期は537,289百万円)、連結営業利益は22,856百万円(前年同期は営業損失1,096百万円)、連結経常利益は24,471百万円(前年同期は1,342百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は22,910百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失3,715百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は314,413百万円減少し、営業利益は1,048百万円、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は1,744百万円それぞれ増加しております。
事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。
<百貨店業>
百貨店業での営業収益は231,455百万円(前年同期は456,455百万円)、営業利益は12,941百万円(前年同期は営業損失8,688百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当期の営業収益は313,010百万円減少し、営業利益は1,029百万円増加しております。
国内百貨店では、3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、個人消費は堅調に推移し、インバウンドを除く国内需要は2019年の水準まで回復してきております。9月から10月にかけて大型店で開催した大北海道展などの物産展は、多くのお客様から好評を博し、11月にスタートしたお歳暮ギフトセンターも連日多くのお客様にご利用いただき、店頭の賑わいを取り戻しつつあります。また、ラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額品は引き続き好調に推移しており、入店客数・売上ともに前年から大きく伸長いたしました。現在、コロナ禍で業績が落ち込んだ百貨店再生に向けた営業力強化の取り組みとして、衣料品の品揃え強化を進めております。お取引先との共存共栄を図っていくための協働を進め、各社それぞれの特性を生かしながら、品揃えにおける当社の自主性を強め、商品の質・量ともにお客様の満足度を高めてまいります。
東神開発株式会社が運営する「立川髙島屋S.C.」の百貨店区画である立川店につきましては、2023年1月末で営業終了することを決定いたしました。これに伴い、同年秋に全館専門店としてリニューアルオープンを予定しております。またJR新横浜駅「キュービックプラザ新横浜」に出店している「タカシマヤフードメゾン新横浜店」につきましては、賃借契約満了に伴い、2023年2月で営業終了することを決定いたしました。
海外(2022年1月~9月)におきましては、コロナによる規制が段階的に解除されたことにより売上の回復が見られ、シンガポール髙島屋やホーチミン髙島屋、サイアム髙島屋は増収増益となりました。一方、上海高島屋は、市内での感染拡大により3月18日から時短営業をし、4月1日からは全館休業、6月7日から6月30日までは時短営業をしたことにより減収減益となりました。引き続き各拠点とも感染対策を講じつつ、お客様ニーズに基づいた対策の実施により営業収益の増大に努めてまいります。
<商業開発業>
商業開発業での営業収益は35,105百万円(前年同期は30,657百万円)、営業利益は7,066百万円(前年同期は5,907百万円)となりました。なお、商業開発業セグメントにおいては収益認識会計基準等の適用による営業収益への影響は軽微であり、営業利益への影響はありません。
国内の商業施設におきましては、コロナ新規感染者の減少による規制緩和やワクチン接種の進行などにより来店客数の回復傾向が続いた結果、緊急事態宣言の期間にあたった前年同期に比べ、増収増益となりました。
このような状況の中で、3月に開業15周年を迎えた「流山おおたかの森S・C」では、街に新たな魅力を加えるべく、6月に「流山おおたかの森S・C ANNEX2」と「GREEN PATH」が開業し、流山おおたかの森駅周辺エリアの4年間におよぶ「森のタウンセンターとしての商業機能集積事業」は一旦、完成となりました。今後も本事業で創造した商業機能を核に、まちづくり戦略に基づく面開発の拡大を図ります。
また、街の中心に大きな館を持つ商業施設として、「玉川髙島屋S・C」では地域の安心・安全拠点として防災対策を強化すべく、世田谷区と災害時協力協定を締結するなど、引き続き地域に根差したコミュニティ基盤の創造と、サステナブルな地域社会の実現に取り組んでまいります。
11月には横浜市港南区に位置する港南台グラスコート跡地に「オーケーストア港南台店」を開業しました。国道1号線への延伸を予定する前面道路・横浜市環状3号線沿いに位置する立地ポテンシャルと地域ニーズへの貢献を目的とした開発となります。加えて、大阪市浪速区日本橋では、従来、駐車場として活用していたなんば駅・日本橋駅至近の土地において、当該エリアの住宅ニーズを捉えた賃貸住宅開発を2024年の竣工へ向け10月に着工いたしました。引き続き、グループ資産の有効活用にも取り組んでまいります。
海外事業におきましては、トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.が運営する「シンガポール髙島屋S.C.」では、高額品を中心とした消費が伸長した結果、増収増益となりました。またベトナムにおいては引き続き、「スターレイク・プロジェクト」並びに「ランカスター・ルミネールプロジェクト」を推進し、現地での事業基盤の拡大を進めてまいります。
<金融業>
金融業での営業収益は12,830百万円(前年同期は12,303百万円)、営業利益は3,450百万円(前年同期は3,310百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当期の営業収益及び営業利益は21百万円それぞれ増加しております。
クレジットカード事業におきましては、人出の回復を捉えた百貨店店内における新規会員獲得の強化に加えて、当社商業施設の専門店やオンラインストア等のウェブチャネルからの入会促進に取り組みました。また、外部の加盟店利用を含むクレジットカード利用促進策の強化など、取扱高・営業収益の増大に努めました。
ファイナンシャルカウンター事業におきましては、日本橋・横浜・大阪の3拠点体制における売場と協働した認知度向上策と集客対策に加え、投資信託のポートフォリオ提案や相続対策に関する専門セミナーの展開など、コロナ影響からの回復を捉えてリアルでの接点拡大に積極的に取り組んだ結果、新規顧客面談数・成約件数共に増加しています。6月から開始した「髙島屋ネオバンク」においては、「次世代顧客増加」「男性顧客の比率上昇」「高い平均積立額」などの顧客特性の変化も見られております。9月からは、お客様の利便性とタカシマヤカードの魅力向上とともに、当社のポイント経済圏を拡大し、百貨店業と金融業の双方の活性化につなげることを企図した「タカシマヤのポイント投資」のサービスを開始いたしました。
今後もリアルとウェブでの顧客接点を生かし、百貨店の新たな品揃えの一つとしての魅力を高め、さらなる認知度向上と新規顧客獲得を図ってまいります。
<建装業>
建装業での営業収益は14,883百万円(前年同期は11,768百万円)、営業損失は456百万円(前年同期は662百万円)となりました。なお、建装業セグメントにおいては収益認識会計基準等の適用による営業収益及び営業利益への影響はありません。
建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、コロナ影響からの回復により、ラグジュアリーブランドを中心とした商業施設や、大型ホテルの受注が増加し、増収増益となりました。今後、先行提案営業をより一層強化し、安定的な収益基盤の構築に努めてまいります。
<その他の事業>
クロスメディア事業等その他の事業での営業収益は23,478百万円(前年同期は26,104百万円)、営業利益は687百万円(前年同期は730百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当期の営業収益は1,397百万円減少し、営業利益への影響は軽微であります。
その他の事業におきましては、クロスメディア事業が、前年に緊急事態宣言下の「巣ごもり消費」の拡大により売上を大きく伸ばしましたが、本年は百貨店の店頭回帰傾向により減収となりました。その他の事業全体でも減収減益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、1,214,726百万円と前連結会計年度末に比べ70,390百万円増加しました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことが主な要因です。負債については、779,375百万円と前連結会計年度末に比べ55,529百万円の増加となりました。これは、支払手形及び買掛金、リース債務が増加したことが主な要因です。純資産については、435,350百万円と前連結会計年度末に比べ14,861百万円増加しました。これは、利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加が主な要因です。なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高は514百万円減少しています。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,946百万円の収入となり、前年同期が10,351百万円の収入であったことに比べ7,594百万円の収入の増加となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益が26,043百万円増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,265百万円の支出となり、前年同期が30,038百万円の支出であったことに比べ22,772百万円の支出の減少(収入の増加)となりました。主な要因は、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が11,089百万円増加したこと、有形及び無形固定資産の取得による支出が7,666百万円減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、26,264百万円の支出となり、前年同期が597百万円の支出であったことに比べ25,667百万円の支出の増加となりました。主な要因は、コマーシャルペーパーの純増減額が14,000百万円減少したこと、自己株式の取得による支出が16,695百万円増加したことなどによるものです。
これらに換算差額を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,166百万円減少し、80,830百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
