【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境につきましては、国内におけるスマートフォンの保有者の割合が2020年に69.3%と前年比1.7ポイント増加するなど、スマートフォンは引き続き普及拡大しており(総務省調べ)、また、2020年の広告費は前年比88.8%の6兆1,594億円と、新型コロナウイルス感染症の影響による日本経済の減速の余波を受けましたが、その中でも、インターネット広告費につきましては前年比105.9%の2兆2,290億円と、マスコミ四媒体広告費に匹敵する市場規模への成長となりました(株式会社電通調べ)。
このような状況の下、当社グループは、既存のメディア事業においては中長期的な収益性の強化を最大の課題とし、「グノシー」において、時事性の高いニュースとユーザーの興味関心に沿ったニュースの最適な配信を通じた記事品質の向上、広告審査の厳格化を通じた広告品質の向上や、ニュースの内容がひと目で分かるようなユーザーインタフェースへの改善など、メディア価値向上のための様々な施策に取り組んでまいりました。当第4四半期連結会計期間において、「グノシー」の再成長に向けた広告宣伝投資を再開したほか、KDDI株式会社との新規協業として、「auサービスToday」のリニューアルリリースとその後の運用を開始し、順調にアクティブユーザー数を拡大してまいりました。さらに、連結子会社である株式会社ゲームエイトの運営するゲーム攻略メディア「game8.jp(ゲームエイト)」では、月間ページビューが高水準で安定的に推移し、順調な成長を実現しました。新規事業においては、特に社外への成長機会への投資を積極的に行い、インドで若年層向けにキャッシュレス決済・少額デジタル融資・クレジットカード発行サービス「slice」を提供するGaragePreneurs Internet Pvt. Ltd.との間で、同社の発行する1,500万米ドル相当の強制転換条項付転換社債を取得する投資契約を締結しました。
また、リモートワークを始めとしたニューノーマルな働き方の実現と中長期的なコスト削減を主な目的とし、本社機能をWeWork渋谷スクランブルスクエアに移転することを決議し、2021年5月1日付で移転を行いました。
収益面に関しては、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による一部業界の広告出稿意欲の減少と、広告審査の厳格化による広告承認率の減少の影響を受け、当連結会計年度において、GunosyAdsに係る売上高を5,182百万円計上いたしました。また、アドネットワーク事業においても引き続き広告承認率の減少の影響を大きく受け、当連結会計年度ではアドネットワークに係る売上高を1,161百万円計上いたしました。一方、連結子会社である株式会社ゲームエイトの業績は当初予想を上回って推移し、連結業績に大きく寄与いたしました。
費用面に関しては、財務面の強化のためコスト削減の推進を実行し、広告宣伝費777百万円(前年同期比69.1%減)を計上するほか、アドネットワークに係る売上高の減少に伴い媒体費が減少いたしました。一方で、本社機能移転に伴う固定資産の見積耐用年数の変更により、減価償却費266百万円(前年同期比275.4%増)を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高8,910百万円(前年同期比36.3%減)、経常利益642百万円(前年同期比23.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益383百万円(前年同期比0.8%減)となりました。
なお、「グノシー」「ニュースパス」「LUCRA(ルクラ)」及び「auサービスToday(※リニューアルリリース後)」合計の国内累計DL数は当連結会計年度末において6,360万DLとなり、前連結会計年度末比で574万DLの増加となりました。
当社グループには、メディア事業以外の重要なセグメントが無いため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(資産)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて513百万円増加し、13,275百万円となりました。
主な要因は、現金及び預金の減少(前連結会計年度末比123百万円の減少)、売掛金の減少(前連結会計年度末比151百万円の減少)、建物及び構築物の減少(前連結会計年度末比204百万円の減少)、のれんの減少(前連結会計年度末比64百万円の減少)、投資有価証券の増加(前連結会計年度末比1,063百万円の増加)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて30百万円増加し、1,870百万円となりました。
主な要因は、買掛金の増加(前連結会計年度末比70百万円の増加)、未払金の増加(前連結会計年度末比121百万円の増加)、未払法人税等の増加(前連結会計年度末比89百万円の増加)、前受金の減少(前連結会計年度末比233百万円の減少)であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて482百万円増加し、11,404百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(前連結会計年度末比341百万円の増加)、自己株式の減少(前連結会計年度末比50百万円の減少)であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて123百万円減少し、8,952百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、983百万円(前連結会計年度は631百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益695百万円の計上、減価償却費266百万円、売上債権の減少151百万円、未払金の増加122百万円、前受金の減少233百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、1,079百万円(前連結会計年度は986百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出1,114百万円、投資有価証券の売却による収入111百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、1百万円(前連結会計年度末は459百万円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入33百万円、連結子会社の清算による支出24百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の報告セグメントは、「メディア事業」のみであり、その他の事業セグメントは、開示の重要性が乏しいため、セグメントごとの記載を省略しております。
当連結会計年度
(自 2020年6月1日
至 2021年5月31日)
前年同期比(%)
8,910百万円
63.7
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2019年6月1日
至
2020年5月31日)
当連結会計年度
(自
2020年6月1日
至
2021年5月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
CROOZ Media Partners株式会社
1,472
10.5
-
-
2.当連結会計年度のCROOZ Media Partners株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当連結会計年度における業績は、売上高8,910百万円(前年同期比36.3%減)、売上原価5,077百万円(前年同期比36.3%減)、販売費及び一般管理費は3,115百万円(前年同期比39.5%減)となり、この結果、営業利益は717百万円(前年同期比16.6%減)、経常利益は642百万円(前年同期比23.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は383百万円(前年同期比0.8%減)となりました。また、ROEは3.5%(前年同期0.1ポイント減)となりました。
(売上高)
売上高は8,910百万円(前年同期比36.3%減)となりました。これは主に、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による一部業界の広告出稿意欲減少と、広告審査の厳格化による広告承認率の減少の影響を大きく受け、Gunosy Adsに係る売上高5,182百万円、アドネットワークに係る売上高を1,161百万円を計上したこと及び連結子会社であるゲームエイトの業績が当初予想を上回って推移したことによるものであります。
(営業利益)
営業利益は717百万円(前年同期比16.6%減)となりました。これは主に、財務面の強化のためコスト削減の推進を実行し、広告宣伝費777百万円(前年同期比69.1%減)を計上し、アドネットワーク売上高の減少に伴い媒体費が減少した一方で、本社機能移転に伴う固定資産の見積耐用年数の変更により、減価償却費266百万円(前年同期比275.4%増)を計上したことによるものであります。
(経常利益)
経常利益は642百万円(前年同期比23.4%減)となりました。これは主に、営業利益の減少によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は383百万円(前年同期比0.8%減)となりました。これは主に、営業利益が減少する一方、投資有価証券売却益51百万円を計上したことによるものであります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービス及び新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などに伴う経営環境の不確実性の高まりに備えるため、取引銀行と新たにコミットメントライン契約を締結し、より機動的な資金需要への対応を行っております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制、事業運営体制等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。
⑤経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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